2015年11月07日

中国の長寿地図、やっぱり温暖湿潤な地方のほうが長寿か?

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 2015年10月に中国科学院地理研究所から発表された長寿地図。ネットでも紹介されているのでご存じの方も多いはず。

 これによると、長寿な人(100歳以上)の分布は省別に、

(1)海南
(2)上海
(3)広東
(4)広西
(5)福建
(6)江蘇
(7)山東
(8)浙江
(9)河南
(10)四川

 となったらしい。

 相変わらず、上海は長生きエリアですね。2014年度の平均余命は82.29歳(男性80.04歳、女性84.59歳)でした。同時に高齢化が著し大都市でもあります。中国のハワイと言われている海南島もすごいですね。

 これをみると、上海を中心とする長江デルタエリア、広東省を含む珠江エリアなど沿海部南部、もしくは標高があまり高くないエリアや平地などに多いことが分かります。さらに、気候は温暖であり、降水量が多く、大河にも恵まれています。また、山間部に行くと良い空気にも出会うことが難しくありませんし、海岸エリアなら海風の影響で大気汚染の影響軽減に役立ちます。一方で、中国東北エリアなど寒さがきつく、空気が乾燥しているエリアでは長寿の人が相対的に減るようです。厳しい気候条件の影響もあるのでしょうね。さらにこうしたエリアをみると経済的な発展とも大いに関係あるのではないでしょうか。

 長寿の秘訣は人によっていろいろだと思います。もちろん遺伝子そのものの影響もあるでしょうが、うちの妻方の親戚筋も結構長寿家系で、詳しく見てみるとこれも指摘があたっていると思いました。

1.良質な睡眠(とにかくしっかり寝ている)
2.(人に嫌われても)くよくよしないでマイペース
3.(体調不良と言いつつも)食欲旺盛で肉も魚も野菜も何でも食べる

など色々な共通点が見当たります。

 水の要素も大切ですね。
 日本の厚生労働省が、健康のために水を飲もう!と紹介していましたが、日本みたいに水が水道水からも飲めて、水資源が豊かであればいいですが、中国では北方エリアや内陸エリアを中心に水不足が深刻で、それに伴う疾患のリスクも大いに高まります。中国の長寿エリアでは水が相対的に豊かであることからも分かると思います。

 このような背景をみてみると、日本の生活環境は恵まれていますね。長寿の人が出やすい土台があるわけです。あとは、どうやって老後を健康かつ快適に過ごすか?ですね。そしてカゼも含めた、病気にかかる回数を如何に減らすか?といった工夫も必要ではないかと思います。

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2015年11月06日

日本東洋医学会関西支部例会、今回は立派な会場でした

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 10月27日は、日本東洋医学会関西支部例会が大阪駅近くのグランフロント大阪であり、ちょうど私も出張に日本にきていたので一本発表してきました。今回は例年以上に400人以上の参加者があったそうで、昨今の東洋医学に対する日本での関心の高さを知ることができます。

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 私は今回は、我々が上海で取り組んでいる様々な「未病を治す」プロジェクトのうち、上海市など中国の衛生当局が力を入れている項目について、昨今の動きを発表しました。

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 これがまた立派な会場で、大きなスクリーンもあり、とても良い場所を選ばれたものだと感心しました。

 どの先生方の講演も興味深かったのですが、とくに特別講演をされた日本医科大学の高橋秀実先生の「漢方薬の解表作用によるlipid raftの解除とアレルギー・感染症の治療」のお話は興味深かったです。アレルギー症状を改善するために、解表作用のある薬草がどういうメカニズムで働くのかという話でした。

 日本の東洋医学会でも、最近は中医学を勉強される先生方が少なくありません。そうした旧知の先生方との交流も参加する楽しみです。もちろん、会終了後の懇親会も多いに盛り上がりました。

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2015年11月01日

雑誌『壮快』2015年12月号

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 先月号に引き続き、シリーズでインタビューを受けました。「癌でもなかなか死なないひとになろう」の第2弾。

 具体的にどういうことをするべきか、中医学という伝統医学の立場から紹介したのですが、これは私が日頃患者さんに出会って気づいたことばかりで、やっぱり共通点が多いのです。

 よかったらご覧ください。

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2015年10月26日

九州大分県杵築市での中医勉強会

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 10月27日〜28日は予てより依頼されていた九州中医会の勉強会の講師を務めるべく、九州大分県杵築市にまで行ってきてきました。今回は、杵築市の九州中医会の小倉先生には大変お世話になりました。

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 さてさて、九州に行くのは久しぶりのこと。いつも上海⇄関空で上空を飛んではいるのですが、奈良橿原今井町からは朝6時頃の電車で出発して、新幹線と特急ソニックを乗り継いで、九州に上陸しました。鉄道好きの私からすると鉄分補給の良いチャンス。とくに、普通車なのに革張りシートのJR九州のソニック号にはびっくりしました。

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 13時頃に杵築駅に到着。とても雰囲気のある木造の駅では、生粋の地元人である小倉先生の奥さんがお迎えに来て下さり、さらに勉強会前の腹ごしらえには、地元でも有名な杵築市柳家さんのちゃんぽんの出前をいただきました。杵築市の「世間遺産」第一号だそうで、今後も杵築市の遺産として残されていくということでした。

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 今回は、実際に先生方が遭遇した3つの症例が事前に私に渡されていて、その弁証論治の立て方と、中医処方と養生を含めた中医全体的な治療法を、出席された先生方と一緒に討論するという形式で4時間ほどかけて行いました。なかなか密度の濃い討論ができたと思っています。

 中医学の弁証方法というのは、いろいろな考え方があって良いのですが、ただ共通の筋道は必要で、そのための勉強は欠かせません。また、治療方法も中医薬の薬だけではダメで、内治法や外治法、さらに養生の話まで、いろいろなアイデアを浮かばせます。そうなると、少人数での討論形式での勉強会が都合いいですね。

 夕方からあいにくの雨になってしまいましたが、熱い討論は、そのあとの懇親会まで続き、杵築地元の美味しい海産物をいただきながら、充実した1日を過ごすことができました。

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 しかし、杵築の海産物は美味しい。「亀の手」のような食べたことない料理も登場し、上海では絶対味わうことができない海の幸に舌鼓を打ちました。

 九州は食べ物が本当に豊かですね。しかもお米が美味しい!

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2015年10月19日

中医薬で使うアケビと木通のふしぎな関係

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 この時期、日本の山々でもよくみかけるアケビ。これは中医学の世界でも意外によく使う生薬でもあります。
 中医学では「八月扎」と呼び、実をスライスして乾燥させたモノを使います。この季節、中国の山々でも立派なアケビの実がなっていて、熟してくると実の真ん中に線が入ってきて割れてきますよね。

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 この秋、湖南省へ行ったときもしっかりと見つけてきました。八月扎の主な性質は苦・平で、疏肝理気・散結の効能があるといわれています。理気作用のある香附・枳殻・川楝子などとよく処方されます。ストレスが原因の胃の不快感などにもよく使われますが、近年は乳癌や消化器系の癌にも良いとされ、腫瘍を治療する処方にもよく登場します。また、以前は昆布や象貝と一緒に処方して瘰癧(リンパ節結核)に治療にも使われました。

 さて、八月扎は別名「木通子」とも呼ばれますが、これの蔓も薬草として使われ、それが「木通」になります。
 ただ、木通は過去にいろいろと問題になった薬草でもあります。

 本来、木通は五葉木通 Akebia quinta(Thumb.) Decent、 三葉木通 Akebia trifoliata( Thunb) Kouds、 白木通 Akebia trifoliata (Thunb.) Kooide.var.australis(Diels) Rehd. の蔓を使うことになっています。唐代の『新修本草』にも、その記載から五葉木通が木通として使われていたようです。ところが、『本草図経』では三葉木通と思われる薬草を通草と呼んでおり、このあたりから木通を通草と呼んだり、通草を木通と呼んだりと地域や時代によって混乱していました。

 現代では「中華本草」などを通じて整理されています。通草は現在でも薬草として使われていて、通脱木 Tetrapanax papyriferus(Hook.) K.Koch の茎がそれにあたります。効能は利水滲湿・通乳で使われ、産後の母乳不足などに重宝する薬草です。

 実は木通はその後、さらに混乱がありました。今から20年前、私が大学で中薬学を勉強したとき、中医学の教科書には木通とは関木通を指し、Aristolochnia manshuriensis Komの記載が主流でした。一説によると、文革などの歴史的背景と関係があったらしい。ここでは詳しくは書けませんが。
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 はっきりとしているのは、関木通と木通はまったく違う植物であったのにも関わらず、木通と言えば関木通として広く流通してしまったということです。しかも使われるグラム数が多かった。実はこれが大きな問題で、本来の木通では副作用が出なかったのに、関木通を使うことによって急性・慢性腎不全を引き起こしてしまいました。有名なアリストキア酸による健康被害です。現在は問題は解決していますが、薬草やハーブを使うことによる副作用のケースとしてよく取りあげられます。そもそも、ちゃんとした木通を使っていたら問題なかったのですが。

 このように、伝統医学の世界では、薬草は薬草名とその起源となる薬草が一致しないことが時々あります。現在は「薬典」によって規範化されていますが、中国では地域によっては習慣的に使っていることもないわけではありません。さらに日本語と中国語で生薬名が似ているために、その起源の違いでの問題もあります。
 いずれにしろ、私が中国で従来の煎じ薬から単味エキス剤をつかうようになったのも、単味エキス剤の製造工程では薬草の品種管理が厳しいため、品種によるリスクを十分に下げることができるからです。

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2015年10月16日

上海市は秋〜冬のノロウイルスの季節に突入

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  新聞でも報道されたのでご存じの方も多いかもしれませんが、10月14日夜に上海市普陀区武寧路小学校で、児童や教師にノロウイルスが発症し、15日10時までに児童54人、教師2名が感染したことが確認されています。

 これまでの調査で、14日に1人目で学校内で症状を訴えた小学1年生の児童が、11日に親せきの結婚式披露宴に参加していることが分かっています。結婚式披露宴は26テーブルの規模のものでしたが、そこでも20人以上が嘔吐下痢の症状を訴えており、関連性が強く疑われていますが、すでに食中毒の可能性は否定されています。重篤患者は出ていないようですが、当該小学校では1年生、2年生が学年閉鎖になりました。

 ノロウイルスがいかに早く広がったか、報道を読んでいるとよく分かります。14日午前中に音楽室で1人目の子供が嘔吐し、翌日15日午後に同じクラスの2人が嘔吐、15日の夜までに同クラスだけで10人の子供が同じような症状を訴えたということです。

 ノロウイルスは感染力が強いことで有名です。潜伏期間は12時間〜72時間、一般には1〜2日間と言われています。主な症状は嘔吐・下痢(1回以上の嘔吐、3回以上の下痢)・発熱などで、児童は嘔吐、大人は下痢が中心です。また児童や高齢者に感染しやすいです。ただ、重篤化する可能性は低く、1週間程度で回復します。上海市の規定ですが、ノロウイルスと確認されれば、胃腸の症状がなくなってから72時間は隔離してから登校しなければいけません。またいまのところ特効薬やワクチンなどはありません。

 感染源は食べ物・水が原因で、感染者にさわったり、感染者の排泄物に触れたりしても感染します。上海市でも11月〜2月にかけてよく流行します。食材としては、水以外にも、貝・魚類、サラダなども要注意と言われており、火をしっかりと通して生ものをなるべく食べないようにすることが必要です。特に衛生環境のよくない未許可の露店や飲食店では食べないようにしましょう。

 とにかく、まめな手洗いを忘れずに!!

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う