2016年02月01日

上海市で女性の平均余命がついに85歳を越える一方で、楽観できない肥満問題

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 2015年の上海市民の平均余命が市当局から発表されました。

 男性:80.47歳
 女性:85.09歳
 男女平均:82.75歳

 調査をはじめて以来、女性がはじめて85歳を突破したようです。

 また、妊婦の死亡率は6.66/10万人、新生児死亡率は4.58‰(←%ではありません)
 こういう数字から見る限り、上海市民が如何に長生きかわかりますね。この年代は、若いときに非常に貧困や飢餓など非常に苦労しています。妻の父親も70歳を越えていますが、自転車が趣味で、泊まりがけで数百キロを平気で走ってきます。

 一方で、若年層の肥満問題が深刻化しています。2013年の統計で18歳以上で体重が基準値を超えているもしくは肥満である人も割合は42.3%。これは今の上海人の生活をみていたら十分に理解出来ます。これだけ道路が渋滞するわけだから、歩く人が減っているのも確か。最近では、自転車も電動自転車に切り替わっていて、めっきり数を減らしました。一方で、2007年と比較して体重が基準値を超えている人の割合は3.5%の増加、肥満率も1.7%の増加になっています。

 これに関して、やはり市民の栄養に関する認識の不足が大きいと思います。上海人と外食したり、お宅にお邪魔してご馳走になったとき、その食べ物の内容で検討がつくと思います。

 まず、上海料理は全体的に甘味。しかも主食の取り方が半端ではない。量もそうですが、たとえば砂糖+モチ米+こしあんでつくる上海名物の八宝飯とか、さらには最近では西洋風のスポンジケーキ類まで今や主食と認識されています。その背景には、お腹にいっぱいになることが健康であるというような間違った考え方が多い。ご飯信仰も一際強いため、私も中国人の患者さんに説明するのに一苦労です。

 一方で、野菜・果物類の摂取に関しての誤解も多い。最近の健康ブームで、果物・野菜ジュースがブームでもあるのですが、大量に飲んで野菜を摂取した気分になっている人が多い。実際、これらの飲み物は糖分が半端なく多く、肥満の原因になってしまうわけです。

 上海市では市民の野菜の摂取量は1日300〜500gと定めていますが、実際には250g弱程度、果物は1日200〜400gと定めていますが、実際には75g程度とかなり少ないわけです。

 さまざまな食べ物が溢れている飽食の上海。若い世代の間で高血圧・糖尿病などの疾患が今後急増するのは想像に難くないです。

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2016年01月20日

大和当帰と大和生姜、もっと活用出来ないだろうか?

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 中医学に携わっているものからすると、毎日のように使う生薬の一つに、当帰(とうき)が入ってくるのではないでしょうか。

 奈良県各地では当帰が栽培されていて、大和当帰(ヤマトオウキ)として徐々に盛り上がってきています。地元今井町でも、田原本の大成漢方薬局さんが薬膳料理のお食事処「やくぜん」を今井町4丁目でやっておられ、当帰料理をいただくこともできます。

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 今日はここで当帰酒作りの実演があったので、聞きに行きました。

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 当帰酒というのは、薬味酒と呼ばれるジャンルに属し、家庭では消費分に限って製造が許されているそうです。「酒」という字が付くと、いろいろ規制がうるさくなるのですね。中国では伝統的に米酒を自宅で作ってしまうところもあったりします。

 さて、当帰の場合は7ヶ月浸けておくようです。もちろん程度をみて飲んでみても構いませんが、ただ、当帰そのものの味に好みが分かれるかも知れません。

 一方で、生姜は橿原エリアで古くから栽培されていたようです。地元橿原市でも生姜の普及に力を入れていて、メニュー開発もされているとか。詳しくはこちらから。

 藤原京の木簡からも生姜に関する記載が出土しており、橿原エリアでも栽培されていました。今日は試食で大和生姜の天麩羅を頂きましたが、ちょっとピリ辛で良い風味を出していました。中華料理では生姜を使うレシピがとても多いので、そのあたりを研究してみるのも良いかも知れません。うちの妻も家庭料理には生姜は必需品で、効能云々以前の問題ですね。

 さて、漢方をやっている方なら大和当帰と大和生姜とくれば、『傷寒雑病論』の当帰生姜羊肉湯を思い出しますが、これはちょっと薬臭くて、味が今ひとつだと思います。でも2000年前からこうして使われています。

 中国本場の中華料理でしたら、一般に当帰とニンニクを組み合わせることが多いです。当帰特有の臭みが取れるからですね。当帰・ニンニクと鶏肉なんかも美味しいと思います。日本では法律の関係上、葉っぱしか食材として使えませんが、中国では本来は根っこを使います。

 当帰は一般に、中医学では補血薬に入りますが、その他に血虚系の便秘や咳喘など呼吸器疾患でも使われます。伝統的には、当帰の頭・身・尾で効能が違うと言われていますが、ただ現代医学の研究では違いがなかったようです。何れも子宮の平滑筋を収縮させる働きが確認されています。

 一方で、生姜はあらゆる料理で日常的に使います。残念ながら、日本ではここまで使いませんよね。豚生姜焼きや中国でも有名ですし、家鴨の臭みをとるのにも生姜は便利です。それ以外にも、かぜ薬やムカつきなんかでも重宝します。

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 色々新しいメニューを開発することも大切ですが、こういう伝統的な食材には、古くからのレシピがなんらかの形で残っているはずですし、それらを発掘してみたいですね。

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2016年01月04日

橿原市観光アドバイザーの辞令を頂きました

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 橿原今井町に住むようになり、地元の皆さんとの交流も徐々に出てきました。我々家族も本当に多くの方に支えられています。
 そんな中、2016年1月4日より橿原市観光アドバイザーとして様々なアイデアを献策することになりました。日頃の上海⇄奈良橿原の経験を活かして、インバウンドや中医学・漢方も含め、色々活動していきたいと思っています。

 どうかよろしくお願い致します。

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2015年12月23日

ストレッチヨガと中医学のコラボ、視点を変えて「妊活と中医学」のお話をしてきました

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 12月21日〜25日は日本です。

 12月23日は、大阪でひとつ新しい試みを行ってきました。
 
 上海では、一人っ子政策が解禁され、二人目妊娠のブームになりつつあり、私もよく所謂「妊活」の相談を受けることが多いです。日本の報道では二人目産むのを控えているとか言われていますが、実際は何の其の。「二人目欲しい」という上海人が私のまわりにも沢山おられ、実際に出産された人も非常に多いですよ。

 ただ、総じて年齢が高めの人の妊娠希望者が多いため、なかなか妊娠できないと感じる人が多いのが現実です。二人目出産の困難さに関しては、実は日本でも同じような問題があり、これをどうにか順調にできないかと私もいろいろ試行錯誤しています。

 そんななかで、今回はストレッチヨガを実践されているアンシーさんとのコラボが実現し、ヨガの指導をされている先生方や生徒さんに、中医学における妊活の考え方をお話しするチャンスが大阪南森町でありました。

 中医学では妊娠に関して、五臓六腑や気血の問題以外にも、衝脈・督脈・任脈・帯脈・胞絡などの経絡の流れを非常に重視します。もちろん、漢方薬や中医薬などを服用することは妊娠を成功させるために応用できますが、それ以外にもそうした経絡の流れを整えること、則ち体の滞りを取り除くための運動は欠かすことができません。

 経絡の話ですから、もちろん鍼灸やマッサージなどの施術を受けるのもいいのですが、やはり日頃セルフケアとしてなにか出来ることはないだろうか?といつも考えていたわけです。そんな中で日本人の若い女性にも受け入れやすいストレッチヨガは十分に活用出来ると言うわけなのです。

 今回の1時間強の講演では、伝統的な中医婦人科についてのお話以外にも、中医学で考える妊娠の仕組み、月経のおこる中医学的メカニズムについてもお話しました。日常生活で実践できることばかりですし、カタカナを使わない伝統医学ですので、むしろ分かりやすいと思います。お陰様で皆さんもとても熱心に聞いて下さり、質問も沢山いただきました。

 お話のあとはアンシーさんの実技。
 経絡の流れを意識した体の動きは気持ちいいですね。私も一緒に体を動かしました。世の中の女性達が元気なのは、やっぱり男性諸氏に比べて健康への関心が非常に高いこと。ムリのない運動を日々実践される方が多いのはとても大切なことだと思います。

 確かに、最近の健康ブームで薬膳などは人気になってきていますが、一つの分野に偏りすぎている傾向があるように思います。伝統医学の本来の姿は、あらゆるものを取り入れて系統的に実践することにありますので、西洋医学も含めた幅広いアプローチがあってもいいと私は考えています。こうした中医学の草の根活動は、これからも臨床活動とともに並行して続けていこうと思っています。

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(南森町駅すぐに上方落語の繁昌亭があったので寄っていきました)

 さてさて、講演のあとは、その足で東京へ。夕方は面談を秋葉原で四件こなす。

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 しかし、東京は雨が降って寒かったです。

 24日のクリスマスイブは横浜へ行きます。

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2015年12月10日

上海日本人学校高等部でお話して

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 12月10日は上海日本人学校高等部の生徒150人ぐらいを対象に、第2回特別講演会『中医伝統医学とともに20年〜古さの中に再発見〜』をテーマに1時間半ほどお話してきました。上海には、全世界で唯一の日本人学校に高等部があり、今年で5周年になるそうです。これまで日本人学校では小学校、中学校でお話をしてきましたが、日本人の高校生に話をするのは初めてでした。過去に中国人の高校生にはお話したことがあります。
 そして、メールで送られてきた生徒達の丁寧に書かれた感想文を読みながらこのブログを書いています。

 講演は前半は私の中医学を勉強したきっかけから、上海中医薬大学や大学院の話しなど。特に、私の医学部クラスでは日本人が一人しかいなかったので、中国人学生の中で揉まれて過ごし、そこで感じたことを話しました。中国には日本人でも返済免除の中国政府奨学金もありますので、その気になれば誰でもチャレンジできることを話しました。そして、やりたいと思ったら、まずはやってみようではないか!という話もしました。若いときだったら、体さえ健康を保つことができたら、なんでも出来ます。インターネットが発展した今、場所による縛りもますます少なくなってきました。

 後半は中医学に関して、東洋医学と西洋医学の考え方の違い、日本の漢方と中医学の特色の違い、生薬青蒿の研究で受賞したノーベル賞のお話し、そして葛根湯をはじめとして日本人が馴染みある処方のお話などをしました。単なる風邪薬として日頃服用していた漢方薬に、実はそんな意味があったのか!と気づいてもらえたみたいです。何よりも、そういった医学に全く関心なかった生徒の皆さんが、実はそういう医学もがあったのだ!と書いてくれて嬉しかったです。

 そして、なんといっても嬉しかったのが質疑応答に沢山の生徒達が手を上げてくれたこと。また、講演終了後も控え室にまで生徒達が質問に来てくれました。こうした反応があったことは、それなりにこちらの思いが伝わった結果ではないかと思います。
 いろいろな質問の中には、生薬の最新の動向に関してとか、動物・植物資源の保護についてとか、身近な疾患の中医学での治療方法とか結構鋭い質問もありました。

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 東洋医学、特に漢方とか中医学というのは、我々毎日携わっているものからするともの凄く身近なのですが、当然ですが高校生にとってはとても遠いものに感じられたことでしょう。私もかつてはそうでした。でも、実は身の回りにある雑草や昆虫、貝殻から石ころまで治療に役立つということを話すとすごく新鮮だったようです。もちろん、今回はムカデ・サソリ・地鱉虫の生薬の実物をもっていって皆さんに見てもらいました。気持ち悪いと思うかも知れませんが、そうした生薬が人類に果たした貢献はとても大きいということを実感してもらえたらと思います。先人達の経験の成果を現代の我々が引き継いでいるわけです。

 私も奈良高校時代は、いろいろなOBの講演会を楽しみにしていました。やはりその道にプロとして進んでいる方々の話を聞くと、ワクワクします。
 これからこの上海から日本だけでなく世界各地に活躍していくであろう高校生の皆さんには、ぜひ自分がやりたいと思う分野のプロに出来るだけ早く会って話を聞いて欲しいということを伝えました。私自身も、幸いにそういう先生方との出会いに恵まれ、今でも好奇心一杯で中医学を続けることができす。そして、その目標を達成するための道は決して一つだけではないということ。道が一つしかないから諦めることは決してないようにと願います。

 13億人いる中国と違って、日本は1億2千万程度の人口です。人材面ではこれからますます海外との交流は進むことでしょう。
 私も上海の先輩として、若い高校生たちがこれからもぐんぐんと色々なものを見つけて欲しいと願わずにはいられません。これからも応援します。

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2015年11月07日

中国の長寿地図、やっぱり温暖湿潤な地方のほうが長寿か?

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 2015年10月に中国科学院地理研究所から発表された長寿地図。ネットでも紹介されているのでご存じの方も多いはず。

 これによると、長寿な人(100歳以上)の分布は省別に、

(1)海南
(2)上海
(3)広東
(4)広西
(5)福建
(6)江蘇
(7)山東
(8)浙江
(9)河南
(10)四川

 となったらしい。

 相変わらず、上海は長生きエリアですね。2014年度の平均余命は82.29歳(男性80.04歳、女性84.59歳)でした。同時に高齢化が著し大都市でもあります。中国のハワイと言われている海南島もすごいですね。

 これをみると、上海を中心とする長江デルタエリア、広東省を含む珠江エリアなど沿海部南部、もしくは標高があまり高くないエリアや平地などに多いことが分かります。さらに、気候は温暖であり、降水量が多く、大河にも恵まれています。また、山間部に行くと良い空気にも出会うことが難しくありませんし、海岸エリアなら海風の影響で大気汚染の影響軽減に役立ちます。一方で、中国東北エリアなど寒さがきつく、空気が乾燥しているエリアでは長寿の人が相対的に減るようです。厳しい気候条件の影響もあるのでしょうね。さらにこうしたエリアをみると経済的な発展とも大いに関係あるのではないでしょうか。

 長寿の秘訣は人によっていろいろだと思います。もちろん遺伝子そのものの影響もあるでしょうが、うちの妻方の親戚筋も結構長寿家系で、詳しく見てみるとこれも指摘があたっていると思いました。

1.良質な睡眠(とにかくしっかり寝ている)
2.(人に嫌われても)くよくよしないでマイペース
3.(体調不良と言いつつも)食欲旺盛で肉も魚も野菜も何でも食べる

など色々な共通点が見当たります。

 水の要素も大切ですね。
 日本の厚生労働省が、健康のために水を飲もう!と紹介していましたが、日本みたいに水が水道水からも飲めて、水資源が豊かであればいいですが、中国では北方エリアや内陸エリアを中心に水不足が深刻で、それに伴う疾患のリスクも大いに高まります。中国の長寿エリアでは水が相対的に豊かであることからも分かると思います。

 このような背景をみてみると、日本の生活環境は恵まれていますね。長寿の人が出やすい土台があるわけです。あとは、どうやって老後を健康かつ快適に過ごすか?ですね。そしてカゼも含めた、病気にかかる回数を如何に減らすか?といった工夫も必要ではないかと思います。

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