上海のとなりの省、浙江省。
山や川が豊富で、美しい農村の景色を楽しめるエリアです。私も、上海の雑踏に疲れたら、高速道を飛ばして浙江省の村々を訪れます。人々の暮らしを観察するのも良いですし、美味しい物を食べのもよし。そして、何よりも伝統的な中医学の姿がまだ残っているところも多いです。
今回は上海の自宅からクルマを運転すること約4時間半、約330キロのところにある浙江省磐安にまで行ってきました。
結構な山奥で、それでも今は高速道路が開通しているので、行きやすくなりました。昔の国道も走りましたが、高速道路並にしっかりと整備されていました。
磐安が有名なのは、何と言っても「中国薬材の郷」と呼ばれるぐらい中国有数の薬草の産地だから。一説によると、1,200種類ぐらい薬草が産出するとか。
浙江省では、浙江八味と呼ばれる浙江省で収穫される良質な生薬があります。それは白朮・白芍・浙貝母・杭白菊・延胡索・玄参・筧麦冬・温鬱金の八種類を指します。
そのなかでも時に磐安は有名で、磐安で収穫される五種類の良質な生薬を磐五味と呼び、白朮・元胡・浙貝母・玄参・白芍を指します。特に、白朮・元胡・浙貝母・玄参・天麻に関しては、全国一の生産量を誇ります。
(浙貝母ですね。)
例えば貝母ですが、四川省で収穫される川貝母・浙江省の浙貝母・河北省の土貝母の3種類がよく使われます。値段が一番高いのが川貝母。体積が大きいのが浙貝母・褐色しているのが土貝母。私は、上海に近いこともあり、浙貝母を使っています。味からすると、苦みは明らかに浙貝母>川貝母なので、潤す力の強い川貝母と開瀉力の強い浙貝母って覚えました。いずれも痰や咳の治療では欠かせません。
磐安では、街全体が生薬の生産や交易に力を入れていて、大きな生薬交易市場もありました。街全体も生薬をテーマにして整備されている感じでした。まだ工事しているとこもチラホラ。
磐安では中国ではお馴染みの製薬工場も次々と進出しています。
生薬はどこで栽培しても良いわけではなく、その栽培に適した土壌・気候が決まっていて、上手くマッチした生薬のことを中国語で「地道的薬材」と呼びます。どこでどれだけ良い生薬を仕入れることができるかが、中医薬局を経営する中医薬剤師の腕の見せどころでもありますよね。
中国の生薬栽培は全国に広がっています。
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