2016年09月11日

2回目の医師定期考核を受験して〜中国の2年に一回の医師定期試験〜

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  2014年から本格的に制度として始まり、私も前回はこれもまた外国人として初めて受験した医師定期考核。あれから2年たち、今年も9月11日にありました。2年に1回受けるというシステムは、今後も続くことになるようですね。ただ、前回は春先にあったのに、今回は秋でした。いつ試験が行われるのかが読めないのはちょっとツライですね。

 今回は上海市だけで13,200人の医師が受けました。この試験制度は、中国の厚生労働省に相当する「国家衛生和計画生育委員会」によって定められた法律で決められていて、中国全国の各省・市単位で実施されます。臨床歴12年未満の場合は、パソコンによるデータベースからの無作為試験で、12年以上の場合は、テストが簡略化され、書類審査だけになります。

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(試験会場)
 前回私が受験したときは、臨床(西洋医学)・中医学・口腔・公共衛生の3部門に分かれていましたが、今回からは主治医以上の職称を持つ人で、西洋医学の場合は、眼科・耳鼻咽喉科・精神科・消化器内科・腎臓内科などなど11分野で、中医学の場合は、中医内科学・中医外科学・中医小児科学・鍼灸推拿科の4分野で選択して試験を受けることになりました。なお、2年間の期間中で職称試験など規定の試験に合格した場合、重大な研究成果を出した医師に関しては、試験免除になる特例もあります。

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(公式のテキストも)
 前回もそうでしたが、試験内容はそう難しくはありません。復習問題は上海市医師協会のHPにも上げられていて、それをしっかりと練習すれば合格できるはずです。そもそも中国全土で医師不足であるため、そんなに厳しい試験をしてしまっては大変なことです。

 しかし、医師としてちゃんと中国で活動しているかをチェックするためには大切な試験だと思います。医師登録はしていても、医療活動をしていないような医師も結構いますから。

 試験は、自分の医学専門に関しては70%、人文とよばれる法律・心理学・倫理学に関する問題は30%という構成です。前回は、医学専門が60%、人文は40%でしたので、比率が変更されていますね。

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(復習資料)
 従って、万が一不合格になってしまうとちょっと厄介です。3ヶ月の研修をすることになり、さらに再試験となります。その再試験ですら不合格になると、医師免許がなくなる仕組みになっています。

 ということで、今回の試験も無事終了しました。

 いつも思うのですが、医学系の中国の試験システムは、本当によく出来ています。問題はデーターベースのなかに蓄積されていて、パソコンから直接回答を入力していきます。したがって、筆記用具や時計類は持ち込み禁止になっています。

 私も2年後は12年の臨床経験をクリアしていますし、今年は主治医師試験にも合格したので試験は受けなくてもいい状態になっているはずですが、でもこうやって定期試験をすることで知識の整理をすることは結構なことだと思います。

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2016年08月16日

中国の医師職称( professional title)試験

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 今年8月、中国の中医内科学の「主治医試験」に合格することができました。
 日本人では間違いなく初めて、外国人でも初めてだと思います。本来は、医学博士を取得した翌年に受験できるハズでしたが、外国籍の問題でなかなか実現しませんでした。

 職称試験は、中国人の医師が受験するのは当たり前なのですが、これが外国人となるとなかなか大変で、私もまずは中国の永住権を取得して初めて受験資格がもらえました。以前は、永住権を持っている外国人でもダメで、一切門戸を閉ざしていた資格でもあります。しかし2年前の制度改革で、ついに受験が可能になったことは、私にとってはラッキーでした。ものは試しと言うことで、私も早速チャレンジしての今回の合格でした。今年は例年通り60%の得点率で合格だったようです。

 ちなみに、公立病院に勤める中国人の医師にとっては、職称は将来もらう退職金の額とも関係してくるため、非常に重要な資格でもあります。

 職称は大きく分けて中級・副高級。高級の3段階あるのですが、医師・薬剤師など医療系以外でも、小中高大学の教職や弁護士などの国家資格にはすべてついてきます。私が今回合格できた主治医はこの中で「中級」に相当します。また専攻では今回私は中医内科を受けましたが、中医学では中医内科学・中医外科学・中医小児科学・中医鍼灸学・・・などいくつかの専門に分かれて受験します。私も次の資格を目指して勉強していきたいと思っています。うちの妻も、全科医・中医内科医・鍼灸医の3種類の主治医師資格をもっています。まあ、冷めた中国人はそんなの必要ないと言いますが、私は勉強するキッカケとしては決して悪いものではないと思います。知識の補充にもなりますし。

 詳しいことは、日本の東洋学術出版社が発行している季刊『中医臨床』2016年9月号に「中国の医師職称制度〜外国人初の主治医師資格(中医内科学)合格体験記〜」で紹介していますので、関心のある方はぜひご一読ください。

 この職称制度によって、医師は西洋医学・中医学(中国伝統医学)にかかわらず、医師免許取得後のキャリアに応じて職称をスキルアップしていくのですが、日本だと専門医制度と似ているのかもしれません。ただ、中国の場合は職称資格は国の一括で行政(人力資源社会保障部)が管理していて、統一試験の形で実施されています。こうした医学系の試験は問題のデーターベースがあるそうで、すべてパソコンで行われます。一般に、大学や各種学校には大きなパソコンルームが完備されていて、筆記用具などの持ち込みは一切禁止で、パソコンの前でキーボードから択一試験を解いていきます。この方法だと、マークシートを塗り違える心配もありませんし、前後左右で受験する専攻科目が違うので、カンニングの心配もありません。こうした試験システムは、さすが科挙の国中国だけあり、ほんとうによく出来ています。日本も見習えるところがあるかもしれませんよ。

 ただ、受験したのは上海の5月後半、梅雨前のジメジメしたときに、1日かけて朝から晩まで行われた試験はさすがに疲れました。

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 出題範囲は、私の専攻である中医内科学以外にも、中医学の基礎科目全体と西洋医学との融合問題、症例問題、法律・倫理・心理学なども含みます。一応、1000ページぐらいの参考書も売られていて、それをみて練習問題も解きつつ復習しました。相変わらず、中国の参考書は字面ばかりで図などで一切整理しないのが特徴ですね。

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 主治医資格を取得すると、初級(住院医師)医師の指導にあたるほか、他院でのアルバイトも認められます。また、有名な先生について公式に弟子入りして勉強するときも、最低限の資格として求められたり、行政での仕事でも資格として必要となることもあり、中国で医師として仕事をしていく上でも最低限の職称となります。

 とはいえ、一連の職称取得レース(?!)のなかでは、主治医師の資格はまだまだ入り口。今回、外国人の私が初めて受験できて、さらに合格したことで、中国の職称制度にもすこし風穴を開けることができたのではないかと思っています。

 次に向けて、まだまだやることがいっぱいです。

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2016年05月31日

大気汚染だというのに減らない中国の喫煙人口

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(食事はタバコが欠かせない上海人)

  中国疾病予防コントロールセンターが発表した、中国の喫煙者人口は5年前と比較してなんと1,500万人増加の3.16億人に。さらに、1日あたりの平均喫煙量も前年比1本増加の15.2本に。男性の喫煙率は52.1%、女性の喫煙率も27.7%と一向に減少する気配もありません。ちなみに、中国では18歳で成人と見なしますので、そこから合法的にタバコを吸っても良いことになります。

 これだけ中国で大気汚染が言われていて、大気汚染時の喫煙はさらに肺へのダメージを高めるとまで言われているのに、気にかけてることもない様子ですね。そういえば、大気汚染でN95マスクをしているくせに、タバコを吸っている強者も上海の街角で見たことがあります。そこまでタバコに未練があるわけなのでしょうか。

 中国政府も禁煙に躍起になっているのがよく分かります。公共の場所ではタバコ禁止、高速鉄道も喫煙ルームもないし、全車禁煙。だけど、駅などではトイレなどでタバコを吸う人が後を絶たないし、禁煙と書いていても待合室で堂々とタバコを吸う人もいる。受動喫煙が問題になっているのに、街角でタバコを吸う人も多い。街を歩いているときに、前でタバコを吸っている人を見かけたら、なるべく先に追い越すようにしています。

 さらに、農村に行けばタバコを吸う人も割合はもっと増えます。農村では女性の喫煙はあまり見かけませんが、男性は殆どタバコを吸っていますし、上海など大都会では逆に女性の喫煙者をよく見かけますように思います。

 まあ、日本もあまり人のことを言えません。先日、ある禁煙していない居酒屋でPM2.5値を測定したら、300〜400㎍/㎥でしたし、喫茶店など飲食店の禁煙率も非常に低いのが現状。ちなみに、分煙程度では全く意味ありません。
 上海で言う「重度汚染レベル」の中で働く若い従業員の皆さんが気の毒です。1日中その煙の中で仕事をしているわけですから。

 鉄道でも、近鉄特急もいまだに喫煙車がありますし。

 総じて、アジアは喫煙に寛大なのでしょうか。

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2016年05月19日

ダイアモンド・オンライン インタビュー記事「次は「爆医療」!?中国庶民の健康意識が様変わり」

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 先日、ジャーナリストの中島恵さんのインタビューを受け、その記事が2016年5月19日のDIAMOND onlineに紹介されました。
タイトルは『次は「爆医療」!?中国庶民の健康意識が様変わり』ということで、上海における現代の上海の医療状況について、私自身の専門である中医学を通じてお話させていただきました。5,000字を越えるインタビューを受けたのは久しぶりです。

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 中島さんとは、このインタビューが初対面だったのですが、我が家の近くの地元食堂で数時間にわたってお話してしまいました。さすが、中国各地を長年取材でまわっておられる方だけに、質問されるテーマも素晴らしかったです。

 インタビューを受けることで、自分自信を見直す良いチャンス。楽しいひとときをありがとうございました。

 しかし、この記事がヤッフーのトップに顔写真入りで登場したので、びっくりしました。おかげで色々な方に読んでいただき、光栄です。

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2016年04月27日

中国が世界初めて手足口病EV71型不活性化ワクチンを実用化

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 日本ではあまり重症になる症例はありませんが、中国では死者が出るほどの猛威を振るう手足口病。特効薬もなく、中国ではそうした背景から2008年に丙類法定伝染病に指定されました。統計によると、2008年5月〜2015年9月までで中国で報告された手足口病による死者は約3,300人とのこと。上海市ではこれから4〜7月に流行しますが、娘の小学校でも時々感染者がでることがありました。一旦発生すると、クラス全体が隔離となるのでなにかと厄介です。

 ところで、手足口病はウイルスの種類も色々あり、特にEV71 型の手足口病で中枢神経や呼吸器系の合併症を引き起こし、重篤になりやすいことが知られています。そこで、このウイルスに関してワクチンの開発が進められていました。

 開発を行ったのは中国医学科学院医学生物学研究所で、2016年3月には既に北京でEV71型不活性型ワクチン接種が行われました。続いて昆明でも行われ、世界ではじめての手足口病のワクチンとして注目されています。接種対象は6ヶ月〜5歳の子供で、1ヶ月あけての2回接種とのこと。ワウクチン接種者の手足口病予防率は97%以上で、重篤者も一人も出なかったという結果でした。中国では2類ワクチンの扱いですので、有償で希望者のみになっていますが、一定の予防効果は期待できると思います。上海市でも導入の検討を始めているということでした。

 あまり知られていませんが、実はこれまでの中国はワクチンの研究開発ではかなりの実績持ってきています。一時期流行したあの「新型インフルエンザ」のワクチンも各国に先駆けて開発し実用化しました。

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2016年04月02日

ますます進む上海人口の高齢化

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 上海市が発表したデータによると、2015年の上海市民(上海戸籍)の平均余命は男性が80.47歳、女性が85.09歳、男女合わせて82.75歳でした。女性はついに85歳の大台に乗りましたね。生活レベルや医療レベルがあがるにつれて、平均余命が長くなる傾向は今後も続くとみられています。上海戸籍における65歳以上人口の割合は19.6%だったようです。
 ちなみに日本は2015年9月の推計で65歳人口の割合は26.7%でさらに高い数字になっています。(総務省

 現在、上海市の戸籍人口は1442.97万人でこのうち60歳以上が30.2%の435.95万人、65歳以上が19.6%の283.38万人。ただ、上海市に住んでいる人口は2400万人といわれており、外来人口も加えると2020年には60歳以上の人口は570万人以上になると見込まれています。さらに、一人っ子政策の影響もあり、近い将来に一人っ子の両親が高齢化を迎え、その割合が高齢者人口の8割を占めるようになるとのこと。高齢者の核家族化が増え、若い世代の負担が重くなるのは明白ですね。また、現在でも1000万人以上いるといわれている上海戸籍をもっていない人たちが、今後多かれ少なかれ上海で老後を過ごす可能性もあり、こちらの対策も急務ですね。

 ちなみに、上海市で100歳以上の高齢者の数は1751人で、このうち420人が男性。ここでも女性は長生きです。また、80歳以上の人口は78.05万人で、上海戸籍の5.4%を占めています。ちなみに日本では80歳以上の人口は7.9%だそうです。

 上海の地下鉄に乗っていても、出勤時間帯は若者が多いものの、休日になると高齢者の割合がぐっと増えます。公園や住宅地で運動する人たちもまた然りです。健康にどうやって老後を過ごすか、またデイケアサービスのネットワークをどう拡充させていくのか。課題はいっぱいです。

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