2012年04月16日

中国南方で手足口病が増加傾向、発疹以外の症状にも注意を

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 中国衛生部では、天気が暖かくなるにつれて、子供の手足口病の患者が増えてきているとして注意するように呼びかけています。また広東省では、重篤患者の死亡例も出始めています。広東省の場合、2012年に入っての手足口病の報告症例数は3万例で、前年よりも明らかに多い状態です。また、重篤患者に関しては、手足に発疹がでる典型的な症状がはっきりしないこともあり、医療関係者や父兄に注意を呼びかけています。

 手足口病は一般的に、7歳以下の子供に多いのですが、重篤化しやすいのは3歳以下の場合で、5日間ほど発熱が続き、元気がなく、嘔吐や手足の震えに冷え・痙攣を伴うなど神経性の症状が出てきたら、必ず専門の病院で診察を受ける必要があります。発疹以外でも手足口病の重要な症状になることがあります。手足口病のウイルスは、複数の腸のウイルスによるものですが、その中でも今年はエンテロウイルス71型(EV71型)が多く、これが中継神経系合併症を起こしやすく、神経原性肺水腫や肺出血などの症状を引き起こし、重篤な場合は死亡してしまうということです。

 一般に、手足口病は2〜3年に一度のピークがあり、2008年と2010年に中国で大流行しました。2008年は、私は復旦大学附属児科医院で研究していましたが、患者さんが外来の待合室に入りきらず、道路まで行列ができていたのを覚えています。大部分の手足口病は軽く済むとはいえ、決して侮れない病気でもあるのです。

 手足口病の流行は、春と秋にありますが、特に5〜8月は中国では多く発生しており、より注意が必要です。また、今年は春先雨が多かったため、ウイルスが増殖しやすい環境がそろっていたとも言われています。さらに、子供に発病しやすいのですが、親がキャリアになっている場合もあり、親子共に予防に励む必要があります。

 人混みにあまり行かない、手洗いをしっかりとする、部屋の通気性をよくするなどが基本事項ですが予防には非常に重要です。
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2012年04月15日

『2012年度版B型インフルエンザ中医薬予防・治療案』にみる国家中医薬管理局の処方

 インフルエンザの治療で、中医学や漢方が有効であるという報道は国内外で少なくないですが、中国の国家中医薬管理局では、管理局政司組織局突発公共事件中医薬応急専門家委員会が、2012年度版の中医学によるインフルエンザ対策の処方を発表しました。

 2012年に入って、中国各地でインフルエンザ患者が増加傾向にあり、そのウイルスの大部分がB型であるというところから、今回の処方が考えられたとのことです。

 基本処方は、荊芥10g 蘇葉10g 羌活10g 黄芩10g 連翹15g 炒梔子10g 牛房子10g 桔梗6g 杏仁10g 芦根15g 生甘草5gとなっています。治法は解表宣肺・清熱透邪・止咳利咽。

 加減法は、頭痛があれば白芷、喉の痛みは錦灯籠、舌苔厚膩は生薏苡仁・佩蘭、高熱が3〜4日続く場合は石膏・知母、便秘の場合は虎杖、咳と痰があれば魚腥草・金蕎麦、胸悶時は蘇梗、といった組み合わせとなっています。

 中成薬として挙げられていたのが、疏風解毒膠嚢、連花清瘟膠嚢(連花清瘟顆粒)でした。
 
 注射剤は、柴胡注射剤・喜炎平注射剤・苦碟子注射液・熱毒寧注射剤・痰熱清注射剤。

 予防処方としては、桑葉6g、蘇葉6g、芦根15g、生甘草3gを煎じ薬として服用とありました。

 この連花清瘟膠嚢は、2011年の中国衛生部が示した『流行性感冒の診断と治療指南(ガイドライン)』にも収録されています。麻杏石甘湯と銀翹散をベースにしたもので、インフルエンザだけでなく、SARSをはじめ、手足口病など各種ウイルスの治療に効果があるとされています。効能は清瘟解毒・宣肺瀉熱で、咽の痛み・頭痛・体の節々の痛み・疲労感・発熱などの諸症状に使われます。

 インフルエンザの予防では、手洗い・うがいのほかに、天気の変化にあわせて衣類を加減し、食べ物は薄味をこころがけ、部屋の通気性をよくするなどが注意点としてあげられていました。
posted by 藤田 康介 at 07:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年03月23日

2月の上海での法定伝染病、トップは手足口病でした

 上海では、日系の幼稚園や学校は春休みに入りましたが、春休みの直前までインフルエンザが流行していた幼稚園や学校があったようです。 最近、上海市衛生局が発表した、2月1日〜29日までの上海市で報告された法定伝染病の症例数は5000例で、このうち死亡例が6例だったようですが、トップは手足口病で、続いてインフルエンザ、おたふくかぜ、と続き、この3つだけで中国での丙類法定伝染病の約95%を占めたようです。やはり、手足口病が増加傾向にあるみたいですね。

 衛生局は、3月は呼吸器疾患が多く、ウイルス性の肝炎にも注意する必要があります。特に、上海では貝類の摂取には気をつける必要があります。(個人的には汚染が気になるので、貝類は上海では食べません。)インフルエンザも、A型とB型両方に感染した子供も少なくありません。

 また、部屋の換気にも気をつけるようにしていください。中国の人たちが、寒くてもやたらを窓をあける習慣があるのも、そのあたりと関係があります。

 上海市衛生局では、3月から麻疹ワクチンの追加接種を行っています。とくに、上海にやってきた地方からの外来人口で、8ヶ月から16歳の子供を中心に、麻疹の発生率が高い地区を中心に接種を行っていると言うことです。
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2012年02月23日

SARSのウワサはアデノウイルスだそうで

 先日、上海の地下鉄車内で、中国人の乗客が、「SARSが発生した?!」とかいって話をしていたのを小耳に挟んでいました。SARSという言葉は、最近、とんと耳にはしていなかったので、一瞬、「またか!」とか思ったのですが、これについて中国衛生部が25日にコメントを出していて、河北省保定市の解放軍252医院に入院した呼吸器感染による発熱患者は、アデノウイルスによる感染と診断されたようです。

 入院患者はほぼ軽症で、死亡例もないとのこと。

 アデノウイルスは、飛沫感染や接触感染でひろがります。さまざまな亜種があり免疫がつきにくいのも特徴。プール熱もこのウイルスと関係があります。とりあえず、当局が発表してよかったです。
posted by 藤田 康介 at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2010年10月06日

中国で最近流行し始めている風疹

 2010年は、中国では風疹の流行がしていると言われていますが、通常春に多発している風疹が、秋のこの時期にも増えているという報告があり、注意が必要です。

 風疹ウイルスによって、飛沫感染で発症する風疹ですが、初期の症状が風邪と非常によく似ているため、見過ごされやすいともいわれています。アメリカなどと違って、日本人では予防接種をしていない人も多いのが現状です。

 風疹の症状は、咳や喉の痒みをとともに赤っぽいブツブツが出てきます。これまで、中国では5〜10歳程度の子供の発病が多かったのですが、今年の特徴として、20〜30歳前後の大人で、しかも妊婦の感染が多いと言われています。妊婦が感染すると、胎児への白内障や心臓の奇形、難聴などのリスクが高まります。

 中国での風疹の予防接種は、子供に対しては行われていますが、大人に対しては今のところ任意となっています。そのため、風疹の予防接種が必要だといわれていますが、妊娠の予定のある人は、接種後2〜3ヶ月間はしっかりと避妊しなければいけません。また、妊娠している人は予防接種を基本的に受けられません。

 中国では大人への風疹の予防接種が完全でないため、今後の流行が心配されています。

 ちなみに、中医学では風疹のことを風痧(やまいだれに沙)とよんでいます。銀翹散や透疹涼解湯などの加減を使います。
posted by 藤田 康介 at 07:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2010年07月18日

この時期は蚊やウイルスにご注意を

 7月17日に梅雨明けとなり、上海でも本格的な夏に入りました。上海市衛生局も、7月〜9月にかけて注意しなければならない疾患について市民に呼びかけています。

 この時期、上海では蚊を媒体とする伝染病が毎年発生しています。日本脳炎やデング熱、マラリアなどです。ここ数年の状況は、大流行まではいきませんが、例年数例の症例は発表されています。そのため、上海市では蚊が発生しやすい地下室などに消毒液をまいて対策をとっていますが、やはり蚊に対しては要注意です。

 また、ウイルス・細菌性の伝染病も多数発生します。最近、上海の子供たちの間でも流行している手足口病、大人などでもよく見られる急性の下痢、症状の激しいものではチフスや赤痢なども上海ではあります。いつもの下痢と違って、粘液のような下痢や膿血便があれば要注意です。強烈な腹痛を伴うことが多いです。

 上海の一般的な日本人の生活ではまずないとは思いますが、旅行にいったときなど生水に要注意です。必ず、外出先では火の通った水を飲みましょう。
 また、手足口病は経口感染です。子どもも大人も手洗いをしっかりとし、生ものは極力食べない、部屋の風通しをよくして太陽に干す、という原則を忘れないでください。

 こうした伝染病は、昔から中国南方の中医学では大きな難題でした。西洋医学が発達し、死亡例は減りましたが、中医学の先人たちの経験を読みと、今でも参考になることがたくさんあります。きっと、日本の漢方も同じだと思います。
posted by 藤田 康介 at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2010年03月20日

中国南方エリアでこれから新型インフルエンザに注意を

 2010年3月7日現在、中国では全国で12万例の新型インフルエンザ患者が累積数として発表されていますが、インフルエンザ検査キットを使っていない患者さんはもっといるため、実際の数はこれ以上であるのは明白です。死亡例は796例、重症例は8320例となっています。

 ただ、2009年12月中旬に死亡例と重症例のピークを迎えてから、その数は減り続けており、今のところ患者数の増大は報告されていませんが、臨床で診ている限り、最近、発熱を訴える患者さんがまた増えてきているように思います。

 中国疾病予防コントロールセンターでも、新型インフルエンザの夏の中国南方エリアでの流行に注意するように呼びかけています。WHOもH1N1型インフルエンザは、今後も長期的に流行する可能性があり、春・冬はなにかと厄介です。
posted by 藤田 康介 at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2009年12月18日

インフルエンザ予防の中医学的発想 扶正

 先日、上海中医薬大学付属竜華医院の知り合いの先生との会食をしたのですが、竜華病院では、インフルエンザ対策として処方する生薬の基本は、やはり「弁証論治」で、特に決まった処方はない、ということをおっしゃっていました。タミフルとの併用もありでしょう。

 私もインフルエンザの患者さんを何人か診ましたが、重篤ではないかぎり、基本はやはり症状に併せて如何に臨機応変に処方が出せるか、という点だと思います。「麻黄湯」ですべて解決するというわけでもありませんから。場合によっては、銀翹散(芦根15.0;金銀花・連翹各12.0;淡豆豉・淡竹葉・牛蒡子各9.0;薄荷・荊芥・桔梗各6.0;甘草3.0)や麻杏石甘湯(石膏10.0;麻黄・杏仁各4.0;甘草2.0)を使ったこともありました。一概には言えません。

 実際、中国でのインフルエンザ治療では、ほとんどの症例で何らかの中医薬(漢方薬)が使われているわけで、これはある意味非常に意義のあることであるとも思われます。

 予防の基本は、やはり病気の原因となる邪気に対して人間の抵抗力を高める「扶正」と、その邪気を追い出す「祛邪」の2つの力を高めることがポイントです。
中医学の養生的立場から考えると、どのように「扶正」と「祛邪」をするかを考える必要があります。

 「扶正」の基本は、なんと言ってもやはり飲食・睡眠・精神状態・気候への順応性の4つだと思います。食べ物に関しては、刺激物や冷たいものを食べず、野菜・果物をしっかりと摂取し、薄味で偏食をせず、水分をしっかりと撮ることです。適度なタンパク質ももちろん大事です。十分な睡眠で、疲れをとり、適度の運動によって体の気血の循環をよくしなければなりません。徹夜なんかは論外なのですが、こう師走の時期に忙しくなると真っ先に犠牲となるのが睡眠時間というのも悲しいことです。
 
 体の中の気の流れを考えたとき、穏やかな精神状態というのも非常に大切です。精神的に不安定であれば、これも気の流れを見出します。例えば、驚かされたときなど、「はっ」としてしまうのも、実は気の乱れの表現の一つです。楽観的な考え方、積極的な生き方が非常に大切です。

 気候への順応は、おそらく我々現代人がもっとも苦手としていることではないでしょうか。オフィスビルなど冬でも常時暖かい環境におり、今朝もこのくそ寒い天気の中、タイツなども履かずに生足でウロウロしている若い女性をみてびっくりしました。そんな風景が最近の上海では珍しくありません。中国人の養生的考え方はいったいどこにいったのか?と思います。そして、現代社会で忘れてはならないのは気候の異常。春だったら風邪、夏だったら暑邪、冬だったら寒邪、そして秋になると燥邪がでてきますが、そうした通常の邪気以外のものが異常気候などで発生すれば、体がすぐに対応できず、大きな変調をもたらします。そのため、こうした邪気にいかに順応できる体をつくるかという問題も大切なわけです。
 
 こう書いてみると、極めて当たり前のことばかりなのですが、これが意外にも難しい。
 では、祛邪はどうするのか?次回触れてみたいとおもいます。
posted by 藤田 康介 at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2009年12月05日

上海で初めて発生した新型インフルエンザによる死者・妊婦の無償のワクチン接種が可能になるかも

 上海でもついに出てしまいました。11月27日に徐匯区の第六人民病院で新型インフルエンザと確認された60歳の男性が、12月5日の未明に亡くなりました。上海では初めての新型インフルエンザによる死者です。

 上海では、12月4日現在で報告されている新型インフルエンザ患者数は累計で2123人となっていますが、人口2000万人の大都市だけに、潜在的にはもっと患者がいます。重症例は36例です。

 今回の死者について、その死因は肺塞栓です。肺塞栓は死亡率が高く、20%前後ともいわれています。重篤な場合は、数分以内に亡くなってしまうことも。

 当局の発表では、一時期様態は安定していたようですが、心臓から動脈を詰まらせる原因物質が肺へいってしまって塞栓を形成、数時間後に死亡したということです。

 60歳と言うことで免疫力の低下も考えられますし、様々な要因が重なった結果でしょう。

 そして、もう一つ上海の対策が打ち出されました。ようやく、妊婦に対しても無償の新型インフルエンザのワクチン接種が行われる見通しです。私も含め、医療関係者は新型インフルエンザのワクチン接種を終えましたが、妊婦に対してはまだでした。

 これまで、妊娠15週以上の妊婦では、新型インフルエンザによる死亡率が高いことがわかっており、要注意なのはご存じの通りです。
 上海市でも、妊娠末期の妊婦は早めに出産し、いったん感染したらタミフルなどの薬をすぐに服用するように呼びかけています。こうした妊婦に対しても新型インフルエンザのワクチンが無償で接種されることは、非常に大切です。
posted by 藤田 康介 at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う