2017年01月06日

上海市で水ぼうそう流行の季節に入っています

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 空気が乾燥し、気温が下がってくると、上海では毎年水ぼうそうが流行し始めます。
 うちの子供の通っている地元の小学校でも、秋口から水ぼうそう注意するように通知が出されていました。クラスに水ぼうそうの子供が出ると、教室が隔離状態になり、他クラスとの行き来も厳しく制限されていました。

 水ぼうそうは、水痘・帯状泡疹ウイルスによる感染で、急性の呼吸器系伝染病です。空気飛沫感染し、感染力が非常に強いのが特徴です。
  
 ウイルスに初めて感染すると、まず発熱や水痘が発症し、重篤になると脳炎・肺炎・心筋炎などを発症し、厄介なのは治った後でもウイルスは終生潜伏し続けます。そのため、免疫力が下がったときや免疫抑制剤などを使ったときにウイルスの再活性化がおこり、帯状泡疹を発症することがあります。大人でも、子供の時に水ぼうそうに罹ったことがなければ、子供などから感染して、症状が重くなることも多々あります。一方で、帯状泡疹にかかった場合でも、疱疹が完全に枯れてしまうまでは感染力があるので、これも注意が必要です。

 上海市でも予防接種が行われてはいますが、12歳以下はまだ1回接種で、13歳以上が2回接種となっています。上海市のCDCによると、上海市での子供の水ぼうそう予防接種は1995年から行われていて、自費にも関わらず、接種率は93%まで増えていますが、上海市では2013年から水ぼうそうの予防接種を受けていない、もしくは接種後5年以上が経過している子供に関して、流行状況に応じて学校単位での無償予防接種をすすめています。

 最近の上海での傾向として、すでに水ぼうそうの予防接種をしているのにもかかわらず、感染してしまう子供が増えているようで、上海市でも1歳時に接種をしたあと、再度2回目を接種する方向でCDCで検討中とのことです。今のところ、予防接種を受けていて水ぼうそうに罹ってしまった子供の症状は軽いようですが、やはり何らかの対策が必要のようですね。

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2016年03月18日

上海で黄熱病の報告、アフリカ・アンゴラからの渡航者

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 上海市の衛生当局によると、3月18日に上海で江蘇省出身の男性・46歳が黄熱病と診断されたとのこと。この男性は、3月5日にアンゴラの首都ルアンダで発熱し、3月6日に飛行機に搭乗してドバイでトランジット、3月7日夜9時に上海到着、上海入国時には発熱はなかったものの、病院で診察をうけて、上海疾病予防コントロールセンターでの検体標本の検査と、中国疾病予防コントロールセンターでの再検査で3月17日に黄熱病と確認されたようです。現在、肝機能障害がみられるものの、容体は安定しており、治療が行われています。

 黄熱病はかつて野口英世が研究した伝染病ですよね。最後、黄熱病で亡くなってしまいましたが、熱帯アフリカや中南米の風土病で、蚊によって媒介されます。中国では法定検疫伝染病に指定されています。人から人には感染しませんし、黄熱病を媒介する蚊も上海にはいませんので、あまり馴染みのない伝染病です。潜伏期間は3〜6日程度、発熱・黄疸・出血などの症状を伴い、生ワクチンはありますが、特効薬は今のところありません。感染後5〜20%で症状が出ますが、まれに重篤化してなくなることもあります。

 この報告を読んで、最近、アフリカへ仕事へ出掛ける中国人も多いことを感じました

 うちの近所でも、南アフリカで雑貨屋を経営しているとか、そんな話をよく耳にします。中国人のビジネススタイルはとてもグローバルですが、近年特にその傾向が強いように感じます。それにともない、様々な伝染病のリスクが高まりますが、これはなにも中国に限った問題ではありません。

 人間の経済活動は、地球を小さくしました。

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2015年10月16日

上海市は秋〜冬のノロウイルスの季節に突入

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  新聞でも報道されたのでご存じの方も多いかもしれませんが、10月14日夜に上海市普陀区武寧路小学校で、児童や教師にノロウイルスが発症し、15日10時までに児童54人、教師2名が感染したことが確認されています。

 これまでの調査で、14日に1人目で学校内で症状を訴えた小学1年生の児童が、11日に親せきの結婚式披露宴に参加していることが分かっています。結婚式披露宴は26テーブルの規模のものでしたが、そこでも20人以上が嘔吐下痢の症状を訴えており、関連性が強く疑われていますが、すでに食中毒の可能性は否定されています。重篤患者は出ていないようですが、当該小学校では1年生、2年生が学年閉鎖になりました。

 ノロウイルスがいかに早く広がったか、報道を読んでいるとよく分かります。14日午前中に音楽室で1人目の子供が嘔吐し、翌日15日午後に同じクラスの2人が嘔吐、15日の夜までに同クラスだけで10人の子供が同じような症状を訴えたということです。

 ノロウイルスは感染力が強いことで有名です。潜伏期間は12時間〜72時間、一般には1〜2日間と言われています。主な症状は嘔吐・下痢(1回以上の嘔吐、3回以上の下痢)・発熱などで、児童は嘔吐、大人は下痢が中心です。また児童や高齢者に感染しやすいです。ただ、重篤化する可能性は低く、1週間程度で回復します。上海市の規定ですが、ノロウイルスと確認されれば、胃腸の症状がなくなってから72時間は隔離してから登校しなければいけません。またいまのところ特効薬やワクチンなどはありません。

 感染源は食べ物・水が原因で、感染者にさわったり、感染者の排泄物に触れたりしても感染します。上海市でも11月〜2月にかけてよく流行します。食材としては、水以外にも、貝・魚類、サラダなども要注意と言われており、火をしっかりと通して生ものをなるべく食べないようにすることが必要です。特に衛生環境のよくない未許可の露店や飲食店では食べないようにしましょう。

 とにかく、まめな手洗いを忘れずに!!

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2015年10月06日

中国の屠呦呦先生がノーベル生理医学賞受賞をもたらした発見〜マラリアとの格闘〜

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 昨夜は、マラリア治療で使われるアーテミシニンの研究で、屠呦呦先生が中国人ではじめてノーベル生理医学賞を受賞したニュースで中国は持ちきりでした。この日、上海のホテルで泳いでいたのですが、スマホにおくられてきた速報を、Apple Watchがとらえ、私にブルブルしてきたものですから、本当にびっくりしました!

 一方で、中国の医学会では屠呦呦先生の受賞でちょっとした波紋が出ています。そもそも欧米での留学経験がなく、中国では科学者の名誉である院士に選ばれているわけでもなく、ましてや英語流暢でもなく、国際的に権威と言われる雑誌に論文を発表したわけでもなく、しかも女性であり、中医学(中国伝統医学)を研究した背景をもつという点で、一般中国人でとくに医学の分野で想像すされるノーベル賞受賞者とは大きくかけ離れていたからかもしれません。

 中医学の関係者なら生薬青蒿から抽出されるアーテミシニンの存在は結構知られていました。屠呦呦先生もその業績から、2011年にアルバート・ラスカー医学研究賞を受賞されていて、中国でも大きなニュースになっていました。屠呦呦先生は1930年生まれ、1951年〜55年に北京医学院(現在の北京大学医学部)の薬学部生薬学専攻され、卒業後は中医研究院に配属、そして1969年に国の523プロジェクトに参加します。文化大革命で、特に中国のなかでも非常に特殊な時代背景の中、多くの研究者が研究を続けることができなくなります。しかし、マラリア問題に関しては、ベトナム戦争などの背景から国が集中的に人や資金を投入していたため、ある意味ラッキーだったのかも知れません。

 マラリアに対する薬の研究は、1940年代にまで遡ります。当時は生薬山常(Dichroa Febrifuga)に注目が集まっていて、成分の解析が行われていましたが、臨床では嘔吐の副作用が強すぎるため、広く一般的に普及しませんでした。ただ、ここでの研究経験は青蒿のアーテミシニン発見に大きく活用されることになります。1950年代にはすでに中国の民間でマラリアの治療で青蒿が使われているという報告が出始めていて、これらは古典文献に基づく発想があったと言えます。

 文革、そしてベトナム戦争に突入します。この戦争と関係のあった中国は、マラリア問題に直面することになります。折しもアメリカでも同様にマラリアの研究が行われていて、化合物の選定が行われていました。とくに、当時主流だったクロロキンにたいしてマラリア原虫が耐薬性を持ち始めており、新しい薬の開発が急がれていたのでした。

 そこで、523プロジェクトグループでは、中医学の古典文献の整理を行い2000種あまりの処方箋を絞り出します。屠呦呦先生等のグループもマラリアに効果があるだろうとされる薬草808種類まで絞り込みました。この中には、烏頭や青蒿、烏梅、硫黄、黄花、馬鞭草なども含まれています。青蒿も効果があるのですが、なかなか安定した成果を得ることができませんでした。その背景には、様々な古典文献で、青蒿の使い方が違うことにも関係があったと言われています。さらに『肘後備急方』に記載された新鮮な青蒿の絞り汁での応用がヒントとなり、アーテミシニンの抽出に必要な条件などの研究も行われ、ついに1971年にエチルエーテルでの抽出に成功しました。

 その結果、屠呦呦先生らのグループは青蒿の研究に集中することに決めました。雲南省、山東省、北京市、広東省、上海市など各地の中医薬大学などの共同研究をへて、1972年、1973年に海南島で臨床試験が行われ実用化されています。新しいマラリアの薬が誕生したことはもちろんすごかったですが、この研究過程も非常に大きく評価されています。

 さらに、1973年にアーテミシニンの研究中に、ジヒドロアルテミシニンを初めて発見します。これは各種アーテミシニン誘導体のなかでも非常に画期的なことで、アーテミシニンよりも効能や安全性が高まり、服用も便利という利点がありました。その結果、国際的にも広く認められ、マラリア治療で広く活用されることになります。

 そのほか、屠呦呦先生等の研究チームでは子供でも使いやすいようにジヒドロアルテミシニンの栓剤(直腸から使う)の開発、価格の安い内服薬の開発、さらに免疫疾患の分野ではジヒドロアルテミシニンをエリテマトーデス(LE)や光過敏性疾患などでも応用する研究も行いました。また、青蒿の品種の整理も行い、青蒿に含まれる17種類の化合物(このうち5種類は新発見)の鑑定も行いました。

 こうした一連の研究成果を経て、今回のノーベル生理医学賞の受賞に繋がったわけですが、中国にはまだまだ地道に研究を続けている研究者が多いのも事実で、例えばAPL(急性前骨髄性白血病)の治療に、三酸化二ヒ素を使った研究も、中国発の研究として専門家の間では有名です。これも中医学をヒントに、現代医学による研究が続けられた成果です。

 参考文献:省略

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2014年09月06日

デング熱(中国語;登革熱)予防は一人一人にかかっています!

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 日本でも東京を中心に感染例が出ているデング熱ですが、中国でも南方エリアでは比較的頻発している蚊を媒介とする伝染病でもあります。中国衛生当局では、8月26日に『デング熱診療ガイドライン(2014年度版)』を出して注意を呼びかけています。

 これによると、早期発見・早期治療・蚊を避けるための隔離がとても重要といわれています。中国でも毎年よくデング熱は発生しているので、その経験は我々も活用できると思います。デング熱は中国語では登革熱と書きます。発音からの表記でしょうね。9月4日現在、広東省では1145例が感染し、このうち31例が重篤化しているようですが、報告症例数としては例年の倍と言うことです。地区別には広州市が1021例と大部分を占めています。暖かい広東省では、7月〜11月が蚊の活動が活発な時期で、政府も蚊の対策に乗り出しています。

 私自身で出会った患者さんにも、実際に過去にデング熱に感染して重篤化して生還された方がおられ、その時の話を伺うことができました。重篤化すると出血傾向が強くなり、血尿や血便、吐血、鼻血、膣出血などあらゆる箇所からの出血があったそうで、ご本人もびっくりするような症状だったそうです。感染後、デング熱の同型ウイルスでは免疫力がつきますが、異型ウイルスでは再度感染の可能性があります。

 潜伏期間は3〜15日とされており、発病前の15日間にデング熱流行エリアに行っていたり、居住地区でデング熱が発生していたり、白血球と血小板が減少しておれば、デング熱の疑いがあると判断されます。

 主な症状ですが、発熱が急で、24時間以内に39〜40℃まで上昇します。また、顔面+首+胸部の皮膚が赤くなり、結膜が充血したり、歯茎から出血したりリンパが腫れてきたりします。さらに、全身の倦怠感が強くなり、頭痛+目のまわりの痛み+筋肉の痛みを伴います。嘔吐や腹痛下痢などが発生することもあります。

 一般的にデング熱で重篤化しやすいのは、糖尿病・高血圧・心臓病・肝硬変・消化器系の潰瘍・喘息・腎不全などの基礎疾患を持っている人、肥満者、高齢者、乳幼児、妊婦なども要注意です。また、少数ですが死亡例も出ていて、急性心不全、急性腎不全、急性呼吸窮迫症候群、中毒性肝炎、脳炎などが死因となっています。

 世界的に見ても、東南アジアでデング熱が猛威をふるっています。『羊城晩報』の報道では、9月1日現在、マレーシアで53000例が感染し80例が死亡、フィリピンでは35000例が感染し100例以上が死亡、シンガポールでも14000例が、タイでも19000例が感染したということです。台湾でも1000例が感染し、初めての死者も出ているようです。

 デング熱の対策は、まさに蚊を増やさない、蚊に刺されないにつきると思います。そのため、一人一人の予防対策がとても大切です。
 中国南方エリアでは夏になるとよく言われるのが、ベランダなどに水たまりがないか、植木鉢などに水がたまっていないか、注意することです。とにかく蚊を増やさないようにすることです。水生植物を栽培している場合は、3〜5日に1回水を交換するとともに、根っこもしっかりと洗うように。蚊の卵が付いていることがあります。また、池がある場合は、魚をかって蚊の発生を防ぎましょう。

 中国ではまだ見かけますが、蚊帳も有効です。特に午前7時〜9時、午後4時から夕暮れ時ぐらいが蚊の活動が盛んになるので、長袖+長ズボンなどの対策の他、草むらや木陰などに行かないように気をつける必要があります。

 暑いエリアでは、蚊媒介による伝染病はどうしても発生しますにで、日頃から情報をチェックしておく必要があると思います。

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2014年03月22日

上海市金山区で手足口病、幼児2名死亡について

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(上海中医薬大学にて。杏の花です。)

 上海市南部の金山区で3月18日、20日に同一の「看護点」に通っていた子供2人が手足口病に感染し死亡しました。

 まずこの「看護点」という施設ですが、機能的には幼稚園と同じですが、幼稚園の条件を満たしていない施設のことを指します。一般に、都市部郊外や農村で見られます。今回の金山区の施設も同様で、これまでも金山区の教育局からも衛生許可証が揃っていないとか、朝の体温測定を怠っていたとか、玩具の消毒をしていなかったとかで指導を受けていたようです。さらに、2012年には消防設備などに問題も見つかり停止処分を受けていたことも発覚しています。ただ、実際には学費の問題など様々な理由で幼稚園に行けない子供たちが通う施設として、看護点は出稼ぎ労働者の子供たちを中心に一定のニーズがあることは事実です。

 さて、今回の死亡例の症例報告では、2歳8ヶ月の男児が3月17日に発熱・下痢・身体のだるさなどを訴え、3月18日午後3時には病院で死亡しています。また、もう一人の子供も同様の症状で20日夜8時頃に死亡。衛生当局では同一の施設からの死亡症例ということで上海市疾病予防コントロールセンターが調査に入り、重症の手足口病であることを確認しました。

 その後の調査で、さらに8名の子供が発熱・咳を訴えて入院したものの既に5人は退院し、残りの3人も特に重篤化していないとのことです。この施設には158人の子供たちと9人の先生がいました。

 手足口病は腸のウイルスで感染する疾患で、一般に0〜3歳児ではよく見られますが、上海ではちょうど4〜7月頃が患者数も増える季節です。糞口感染、接触感染、飛沫感染するウイルスなので、やはり衛生環境や免疫力との関係は大きいです。大部分の症状は軽く、1週間ぐらいで軽快しますが、発熱のほかに、手足や口に皮疹が出て、口の中に疱疹ができて潰れるととても痛いのでモノを食べられないこともあります。さらに、心筋炎や脳膜炎、肺水腫などの合併症をおこすと重篤になる場合が稀にあります。

 予防方法は、手洗いやうがいのほか、おもちゃなどの衛生管理、野菜・果物・水分などの摂取、睡眠の確保なども挙げられます。免疫力が下がらないように注意するほか、人混みに出かけないようにすることも大切です。

 手足口病は、過去に中国で大流行したことがあります。このブログでも過去に紹介しておりますので、ブログ内検察していただけたらと思います。


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2013年12月17日

中国での季節性インフルエンザの流行とワクチン時期

 上海ではいまのところインフルエンザの発生は散発的です。広東省ではH7N9型鳥インフルエンザの報告がありました。 
 
 中国疾病予防コントロールセンターとアメリカ国立衛生研究所の合同研究で、中国での季節性インフルエンザの流行とワクチンの使い方について興味深い論文が発表されていました。出典はPlos MedcineのサイトにCharacterization of Regional Influenza Seasonality Patterns in China and Implications for Vaccination Strategies: Spatio-Temporal Modeling of Surveillance Dataあります。

 この研究では、2005年〜2011年にかけて中国全国30の省の193箇所の医療機関からインフルエンザ症例報告を分析しています。興味深かったのは、やはり気候の違いにより、インフルエンザ流行のピークが異なっているというところです。中国は大きいですからね。

 A型インフルエンザの場合、北緯33度以北では1月〜2月の冬季にインフルエンザが流行し、北緯27℃以南では6月〜8月に流行する傾向があるようです。さらに、この間に属するエリアでは1月〜2月、6月〜8月にインフルエンザが流行するとのこと。ちなみに、上海はちょうどこの真ん中に属すので、年に2回はインフルエンザが流行しやすいようです。

 一方で、B型インフルエンザは中国の大部分で冬季に流行する傾向あるということです。

 北方で冬季にインフルエンザが流行するのは、やはり気温が理由と考えられていますが、南方で春にインフルエンザが流行することがあるのは降雨と関係があるという結果でした。

 また、北方エリアでは10月頃から季節性インフルエンザの予防接種を、南方エリアでは2〜3月頃からが望ましいとしており、これはちょうどWHOの推薦している北半球と南半球の予防接種時期合致していることになります。

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2013年07月19日

広東省や東南アジアのデング熱

 広東省の疾病予防コントロールセンターの情報では、最近、広東省深セン・広州・中山などで海外で感染して発病するデング熱感染者が増えているということで、注意を呼びかけています。そのほかにも、麻疹・ノロウイルスによる下痢などに対しても注意が必要とのことでした。

 今年に入って、シンガポール・ラオス・タイ・ベトナムなど東南アジア各国で、デング熱による死者が出ており、7月14日までのデータではその死亡者数は146人になるということです。症例数は各国で過去最高を記録しています。

 また、広東省衛生当局では、2013年上半期に確認されたデング熱患者数は15例で、6月は5例報告されています。

 デング熱はデングウイルスを保有した蚊を媒介して感染します。そのため、蚊の増殖を防止することが大切です。広東省では、5月以降、蚊の数が警戒値を大きく超えており、市民にたいして、ベランダの水たまりの水などを処理するように呼びかけています。

 デング熱の主な症状は、発熱・皮疹・関節の痛みなどです。皮疹ははしかの症状にも似ています。また、稀ですがデング出血熱に進行することがあるようですが、症状はかなり重篤になります。以前、デング出血熱から無事回復した患者さんから貴重な体験を伺いました。

 上海では、ここ最近、下痢の患者さんが増えているような感じがします。手洗いをしっかりとし、生ものはなるべく食べないように気をつけてください。そもそも、私が上海にきた20年近く前は、夏場に刺身を食べることは怖くて出来ませんでした。世の中の進歩は大きいですね。

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2013年06月28日

広東省や浙江省で多い梅毒

 上海で、大学附属病院の皮膚科にいたころ、確かに梅毒に感染した症例はありましたが、そんなに多いことはないと思います。それでも、中国では人口が多いだけに、決して少ないというわけではありません。

 2012年で中国全国で報告された梅毒の症例数は44.8万例。このうち、広東省が5.1万例、浙江省が3.5万例、広東省のとなりにある広西で3.3万例とのこと。また、トップの広東省で報告されている性病は14.6万例なので、このうち約三分の一近くが梅毒だということになります。前年比と比較しても3.9%の増加。

 広東省で梅毒が多いのは、実はかなり以前から有名だったのですが、近年ならではの特徴があるのだそうです。広東省皮膚病院によると、まずは同性愛者の間での梅毒陽性率が高く、10%を越えているとのこと。また、同性愛者のうち、男性の同性愛者のほうがその割合が高くて、20%を越えるということ。そして、感染して間もないので感染力が強いと言うこと。

 広東省自体が、中国でもかなり前からさまざまな分野での「開放」が進んでいて・・・、ということなのですが、高齢化社会も進んでいて、梅毒に関しては最近では20〜45歳世代だけでなく、60歳以上の世代でも増えているのだそうです。60歳以上の退職者は時間的にも余裕があり、お金もあり、さらに彼らが集まる公園などでいかがわしい場所が作られたりしているらしい。(これは私も知りませんでした。)

 中国のビザを取得するときに、皆さん経験済みかと思いますが、梅毒の検査は市内のローカルの総合病院でも簡単にできます。

 とはいえ、まずは健全に、健全に・・・・。



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2013年06月26日

基礎疾患がH7N9型鳥インフルエンザの症状を悪化させるという報告

 今朝からTwitterのほうでも呟きましたが、上海で新たにH7N9型鳥インフルエンザの死亡症例が報告されました。
 上海市の衛生当局の発表で、4月11日に診断された56歳の上海人男性が6月26日未明に死亡しました。これで、上海市のH7N9型鳥インフルエンザによる患者数は33例で、2例が治療中、15例が退院し、16例が死亡したことになります。

 SARSの時と違って、今回のH7N9型鳥インフルエンザでは中国の各大学が海外に向けて英語で早い段階での論文を出しているように思います。そのなかで、5月10日までに上海市・浙江省・安徽省・江蘇省などで確認された111例の症例についての分析が復旦大学や浙江大学などのグループによって『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』に発表されました。原文はClinical Findings in 111 Cases of Influenza A (H7N9) Virus Infection にあります。

 さて、それによると111例の患者の年齢の中間数は61歳で、65歳以上の高齢者の占める割合が42.3%でした。また、男女比では31.1%が女性でした。一方で、重篤化してICUでの治療が必要だったのは76.6%で、27%が死亡しました。入院当初の段階で97.3%が肺炎となっており、高齢者の男性が大部分でした。


 また、少なくとの1種類の基礎疾患を持っていた患者は61.3%で、その割合が多かったことが分かります。ここでいう基礎疾患とは、内分泌失調や糖尿病などの基礎代謝障害、先天的もしくは後天的な免疫不全、悪性腫瘍など慢性消耗性疾患などを指します。


 また、死亡の原因としては、抗ウイルス治療を始めた時間が遅かった、もしくは基礎疾患との関係でARDS(急性呼吸窮迫症候群)をおこしてしまったことと関係があったようです。


 この論文では、今回猛威をふるったH7N9型鳥インフルエンザと、これまでのA(H1N1)型インフルエンザ、H5N1鳥インフルエンザとの共通点として、いずれも重度の肺炎をおこして死亡する可能性がある一方で、H7N9型は免疫力の落ちた高齢者や基礎疾患との関連が強く、後者に関しては若者・子供に多い傾向にあるとしています。


 同じインフルエンザでも、その性質に大きな違いがあるわけで、今後の研究にも注目が集まります。そういえば、中医学のバイブルでもある『傷寒論』に出てくる傷寒も、実はこうしたインフルエンザの一種ではないかという説もあるぐらいです。


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2013年04月27日

H7N9鳥インフルエンザでの中医学の活用法

 4月26日現在の中国と台湾でのH7N9型鳥インフルエンザ感染者数ですが、25日に江西省で1例、26日に福建省で1例新たにみつかり、累計感染者は115例に。北京・山東・台湾・福建・江西がそれぞれ1例、江蘇24例、上海33例、浙江45例、河南4例、安徽4例。中高年の感染が多く、死亡例は計23例になっています。 

 今晩は夜8時から金茂大厦で、日本領事館主催の医師向けの交流会があり、東北大学の感染症の専門家である賀来教授を囲んでのH5N7鳥インフルエンザに関する情報交換がありました。先生は、明日は蘇州での公演というご多忙の中、日本での取り組みなども含めて、様々な観点でのお話を伺うことができました。

 今回の鳥インフルエンザに関して、2003年に我々も経験したSARSと比較すればまだはるかに対応はしやすく、タミフルやリレンザも有効であるのですが、発熱外来の問題も含めて、日本と中国とではその対応が違うのもまた事実で、医療従事者として注意することはたくさんあります。また、一般的に、インフルエンザにかかって、早期にタミフルやリレンザを使用した場合、治癒しても抗体ができにくいということにも注意が必要です。

 巷では、一時期、板藍根がいいとか言って、薬局から姿を消す騒ぎがありましたが、これはちょっと理性のない行動です。たしかに、板藍根には清熱解毒の作用がありますが、これがインフルエンザウイルスに効果があるという確かな証明があるわけでもなく、ましてやそのメカニズムが分かっていません。我々、中医学を専門とするものは、まずそうした使い方はしません。また、仮に効果があることが分かっても、それを盲目的に服用すること自体が、すでに中医学の本質からずれてしまっていることを認識しなくてはいけません。

 まだあまりまとまったデータは出て来ていませんが、徐々に部分的にはH7N9鳥インフルエンザの治療に中医薬が活用されているような印象です。4月17日に行われた国家中医薬管理局の記者会見でも、当時発生していた77例の症例のうち、24例で中医学が使われたということです。

 先日このブログで紹介した、既に退院した北京の子供の感染者も、タミフルでは15時間発熱が収まらず、中医薬との併用で3時間で発汗して解熱し、すでに軽快しました。

 江蘇省中医医院に入院していた79歳の高齢患者は、内服の麻黄湯・白虎湯で、さらに痰熱清注射液(黄芩、熊胆粉、山羊角、金银花、连翘)・生脈注射液(红参、麦冬、五味子)を静脈点滴し、最終的には気管切開をせずにすみ、既に歩けるようになったということです。

 安徽省の症例では、10日間にわたるステロイドと抗生物質の治療により、腸内細菌のバランスが崩れ、便秘になってしまったところに、三仁湯を介入させて、脾・胃の動きを整えて、既に回復に向かっていると言うことです。

 中医学がどこまで力を発揮できるかは、これからの研究をまたないといけませんが、しかし歴史的に昔から伝染病と闘ってきたのもまた中医学だったので、今後も西洋医学とうまく活用していけたらいいのではないかと思います。

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2013年04月18日

H7N9鳥インフルエンザ、北京で中医学を併用した症例

 4月17日に、北京で初めて確認されたH7N9鳥インフルエンザに感染した7歳の女の子が退院しました。4月11日に肺感染症で入院し、北京地壇医院で治療を受けていました。この患者は、中医学の治療法も導入されたということで、注目を受けています。

 治療を担当した医師が、メディアにコメントを残しています。それによると、4月11日に入院した当初、体温は37.2℃であったが、その日の夜には40.2℃にまで上昇し、タミフルを投与し、物理的方法などで解熱を試みましたが熱は思うように下がりませんでした。12日のお昼頃、体温は引き続き39.8℃あり、当時の症候は高熱にもかかわらず汗がなく、痰や咳も見られず、舌苔は紅絳、脈は浮・滑・数でした。そこで、中医学の「汗出熱退、脈静身涼」の原則に法り、まずは発汗させることと、邪気が衛気にあることから、辛散透邪・解毒清熱の治法で処方を考えたと言うことです。

 中国衛生当局(国家衛計委員会)は中医学治療によるガイドラインを出していますが、その中で銀翹散と白虎湯の基本処方が出されており、これの加減をとる方針とし、さらに舌苔の様子から衛気営血の変化も考慮して青蒿などを使って邪気が営分に入るのを防ぐようにしたとしています。服用後4時間程度で子供は汗をかくようになり、12日の夜8時には体温は37.3℃まで下がりました。

 4月13日には、今度は元の処方から発汗作用のある荊芥穂を抜き、玄参・芦根など益気養陰・清熱解毒とし、温病後期における熱邪による気陰の消耗を防ぐようにしたということです。

 中国衛生当局の処方は、江南エリアで発生したH7N9鳥インフルエンザの症例にあわせて作成されたもので、ある意味非常に実践的な処方です。今回は、温病の「春温」に属し、早くから中医薬を併用する必要性を示した症例であるかと思います。

 今後、色々な症例についての検討が行われることかと思いますので、注目していきたいところです。


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2013年04月05日

『人感染H7N9型鳥インフルエンザ治療診療方案』(2013年第1版)から

 中国の衛生当局から中医治療の診療方案が発表されました。参考のためにご紹介します。この診療方案は、西洋医学の部分と中医学の部分の両方から書かれています。以下はその治療方案からの情報です。

 鳥インフルエンザウイルスは寒さには強いが、熱には弱いという特性があります。そのため、65℃以上で30分の加熱、100℃以上で2分間の加熱で対策できるということですが、寒さには強いので、糞便の中では1週間、4℃の水の中では1ヶ月も活きていることが確認されているようです。さらに、PH4.0の酸性の環境でも生存できるとか。

 また、潜伏期間は1週間程度で、発熱・咳・痰・頭痛・筋肉痛・身体のだるさなどをともない、39℃以上の体温となり、呼吸困難・喀血・血痰が確認され、呼吸窮迫症候群となり、縦隔気腫、膿毒証、ショック状態、意識障害、急性腎不全など重篤化します。

 そのため、1.腋窩体温が38℃以上 2.胸部レントゲンで肺炎の特徴 3.早期でWBCが正常もしくは低下、リンパ球が低下、4.症状から通常の肺炎とは診断できない場合など以上の4点が満たされた場合、中国では監測症例となります。

 治療は、西洋医学の部分と中医学の部分に分かれていますが、酸素吸入、隔離を行った後、解熱や咳止めなど対処療法を行い、早めに抗ウイルス剤の使用を行うようにとしています。

 西洋医薬では、H5N1型、H1N1型で有効だったオセルタミビル(奥司他韦・oseltamivir・いわゆるタミフル)、ゼナミビル(扎那米韦・Zanamivir・いわゆるリレンザ)が有効であるとされ、成人の場合のタミフルは75mgを1日2回、重症患者は量を倍増して1クール5〜7日間、リレンザは成人の場合10mgを1日2回吸入するということです。


 ただし、A型インフルエンザの治療に使われることもあるアマンタジン(金刚烷胺)とリマンタジン(金刚乙胺)にかんしては、過去にアメリカのCDCが使用停止を勧告しているように、今回のH7N9型鳥インフルエンザでも耐薬性があるということです。


 一方で、中医学的治療に関しては、2つの証に分けて処方が紹介されています。


1.疫毒犯肺・肺失宣降
  症状:発熱・咳・少量の痰・頭痛・筋肉の痛み
  治法:清熱宣肺
  参考処方:桑叶・金銀花・連翹・炒杏仁・生石膏・知母・芦根・青蒿・黄芩・生甘草
  煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用。
  加減:咳がひどい場合は枇杷葉・浙貝母
  中成薬:疏風解毒カプセル、連花清瘟カプセル、清開霊注射剤


2.疫毒壅肺・内閉外脱
  症状:高熱・咳・痰が出せない・息苦しい・息を切らす・喀血・四肢の冷え・冷汗・不安感・意識が確りとせず、ろれつがまわらない
  治法:清肺解毒・扶正固脱
  参考処方:炙麻黄・炒杏仁・生石膏・知母・魚腥草・黄芩・炒梔子・虎杖・山茱萸・太子参
  煎じ薬で1日1〜2回、4〜6時間に1回服用もしくは鼻腔栄養法
  加減:高熱が続き、意識が朦朧とし、ろれつがまわらない場合は安宮牛黄丸、四肢が冷えて汗が大量に出る場合は人参・炮附子・煅竜骨・煅牡蠣、喀血のある場合は、赤芍・仙鶴草・側柏葉、チアノーゼの場合は、三七・益母草・黄耆・当帰尾。
  中成薬:生脈注射剤・参麦注射剤

 参考までに。

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2013年04月04日

浙江省杭州でもH7N9型鳥インフルエンザ2例、など

 4月3日の浙江省衛生庁の発表で、浙江省でも2例のH7N9型鳥インフルエンザ感染例が確認され、このうち1人が死亡したということです。これで、4月3日現在でH7N9型鳥インフルエンザ感染者は中国全国で9例となり、3例が死亡したことになります。

 38歳男性(死亡)、調理師。江蘇省太倉で仕事していたが、3月7日に発病し、3月18日に地元杭州建徳に戻ってきて入院、20日に䔥山で治療をうけたものの、24日に症状が悪化。27日に死亡した。家禽類との接触は明らかではないが、調理師となると何らかの接触があったのではないかとも想像はできます。

 67歳男性(治療中)、退職者。3月25にに発熱・咳で杭州市内の病院に入院、容体が悪化して4月2日に浙江大学の某大学病院に転院、現在治療中。

 この2症例からも分かるように、同じ杭州市内での発生とはいえ、かなり場所が離れているのは明らか。

 また、それまで江蘇省で確認された4例に関しては、以下の通り。

 45歳女性(治療中)、江蘇省南京市江寧区の市場で家禽類の処理に関わる仕事。3月19日に発熱・目眩・身体の痛みを感じて治療を受ける。24日に症状が悪化し、南京市内の病院のICUに転院。

 48歳女性 (治療中)、江蘇省宿遷沭陽で木材加工業、3月19日に発熱、目眩、咳。3月30日に症状が悪化して南京市内の病院のICUに転院。

 83歳男性(治療中)、江蘇省蘇州で職業不詳、3月20日に発熱・咳と胸の痛み、胸痛、息切れなど。3月29日に症状が悪化し、呉江区の病院に転院。

 32歳女性(治療中)、江蘇省常州で無職、3月21日に発熱、咳。3月28日に無錫市内の病院のICUに転院。

 これまでの状況からみると、H7N9型鳥インフルエンザの患者の発生は、長江デルタエリアに集中しているものの、かなり広範囲に散らばっているのが特徴。また、発病して1週間程度で重篤化しているのも分かります。

 ちなみに、上海で先日確認されたH7N9型鳥インフルエンザの死亡患者は、いずれも閔行区であり、同一の病院で治療を受けていました。居住エリアも近いようですが、双方の関連性については現在のところないと当局は発表しています。

 これとは別に、4月3日22日の発表では、湖南省岳陽でH1N1インフルエンザウイルスに感染して死亡しています。58歳で武漢に出張後に3月26日に発熱・高熱・咳などの症状を訴えて入院。その日のうちに呼吸困難となり、4月1日に死亡しています。


posted by 藤田 康介 at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2013年03月31日

上海などで発生したH7N9型鳥インフルエンザについて

 すでにNHKなどでも報道されていますが、上海市で87歳の男性が、H7N9型鳥インフルエンザに感染して2月19日に発病し、3月4日に死亡、27歳の男性が、2月27日に発病し、3月10日に死亡、安徽省滁州では35歳の女性が3月9日に発病し、現在症状は重篤で南京にて治療中ということです。

 症状は、咳・発熱などの呼吸器感染からはじまり、1週間後に重篤な肺炎となって呼吸困難となり3月29日に北京のCDCにてH7N9型鳥インフルエンザのウイルスが分離され、3月30日にこの3例の患者がH7N9型鳥インフルエンザに感染したことを確認しました。この3例についての関連性には認められないということです。

 上海で発生した2例に関しては、慢性基礎疾患があったということです。また、死亡した87歳男性の子供2人も重症な肺炎となり、治療したものの1人は治癒し、1人は死亡した模様。ただ、この2人に関してはH7N9型インフルエンザはまだ確認されていません。

 インフルエンザはA,B,C型に分類されますが、H7N9型はA型で、これまでは家禽類のなかで発見されていましたが、今回人への感染が世界で初めて確認されたことになります。また、H7N9型インフルエンザのワクチンはできていません。

 いまのところ、上海では肺炎やインフルエンザの発生率が高まったという情報は入っておりません。ただ、手洗いやうがい、死んだ家禽類には近づかない、部屋の換気に気をつける、疲労に注意する、などの基本的な予防が必要です。

 また、発表が遅れた理由に関しては、法定伝染病ではなかったことと、上海市ではまず、H1N1型、H3N2型、H5N1型、H1N1亜型、SARS、新型コロナウイルスなどの可能性を排除し、上海市公共衛生臨床中心にて3月22日にH7型のインフルエンザであることを突き止め、3月29日に北京のCDCにてH7N9型を確認したということです。

 引き続き、情報を確認していきたいと思います。

参考情報
http://www.smhb.gov.cn/website/b/103669.shtml
http://www.smhb.gov.cn/website/b/103668.shtml
http://www.smhb.gov.cn/website/b/103667.shtml


posted by 藤田 康介 at 22:17| Comment(1) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年10月17日

広東省で増えるデング熱

 広東省衛生庁によると、9月に入ってデング熱の患者が増加しているようです。デング熱は、中国では乙類伝染病に分類されていますが、8月の症例数は19例しかいなかったのに、9月に入って一気に97例まで増加しました。今年に入ってからの推移をみると、1月〜8月の間では合計でも32例しか報告されてませんでしたので、秋以降の増加が気になります。

 今年のデング熱の流行状況の特徴として、上半期は東南アジアで感染して発病したケースが多かったのですが、下半期は広東省での発症例となっています。地域別では、仏山が広州よりもダントツに多いようです。デング熱は、蚊を媒介しますが、今年は仏山での蚊の密度が警戒線を越えているので、蚊対策が鍵となっています。

 一般的にデング熱の潜伏期間は3〜15日で、突発的な発熱が3〜5日続き、激しい頭痛や、関節の痛み、嘔吐、鼻血などの出血、発疹などが出てきます。人から人へは感染しないといわれていますが、蚊を媒介としているので、注意が必要です。

 ちなみに、広東省での9月の法定伝染病の状況は、エイズ発症369例(死亡84例)、狂犬病新発症16例(死亡17例)、肺結核発症9130例(死亡11例)、肝炎発症4190例(死亡3例)、デング熱発症97例(死亡0例)と報告されています。乙類感染症に関しては多い順に、肺結核、梅毒、B型肝炎、淋病、C型肝炎となっており、この合計が乙類法定感染症全体の9割を占めているとのことです。

 上海でもまだまだ蚊が飛んでいます。もう一度、ベランダや植木鉢などに水が溜まっていないか確認しておきたいところです。


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2012年08月09日

「江蘇省連雲港で2例の皮膚炭疽」について

 江蘇省疾病予防コントロールセンターによると、8月3日に江蘇省連雲港で7例の皮膚炭疽の疑いのある症例が連雲港市第四人民病院に収容され、このうち2例が8月9日に皮膚炭疽であると診断されました。江蘇省で皮膚炭疽が発見されたのは、1989年以来23年ぶりということです。

 この2人の患者は、連雲港市贛楡県贛馬鎮半路村の農民で、発熱・紅斑・水疱・丘疹・潰瘍などの症状がみられました。また、残り5人についても医学観察の対象として隔離されています。

 皮膚炭疽は、炭疽菌による感染で発生する人獣共通感染症で、芽胞に汚染された土地に接触した草食動物などを通じて感染し、芽胞が発芽して増殖し、炭疽を発症します。炭疽菌は熱・乾燥・消毒薬などに強いのが特徴です。また芽胞が皮膚から入ってくると、皮膚炭疽になります。皮膚炭疽のほかにも、肺炭疽や腸炭疽などもあり、敗血症を併発します。潜伏期間は1〜5日と言われてます。

 今回の皮膚炭疽は、牛が原因とみられており、また江蘇省以外から流入された牛であることが分かっていますが、牛の標本は確保されていないとのことです。(どうやら、さきに処分されてしまったようです)

 中国では毎年皮膚炭疽の症例報告があり、最近2年間では300例ほどあるということです。そのため、病気になったり異常な死亡をしている家畜(牛・羊など)には近づかず、すぐに衛生監督機関に報告しなければいけません。

 8月10日付けの『東方早報』の報道では、村人10人が、外から運ばれた病死した牛を処理し、このうち7人で皮膚が腫れるなどの症状がみられ、残り3人に関しても予防としての薬を服用したということです。皮膚炭疽は、一般に人から人に感染する可能性は非常に低い病気ですが、汚染された土壌や家畜が問題になります。中国では内陸部を中心にまだ見られる感染症なので、注意が必要です。

【連絡】 
・8月19日(日)は東京でのTCMN15周年夏大会での発表のため、休診します。
・リニューアル!甘霖・我が愛しの上海へ

posted by 藤田 康介 at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年05月23日

4月の上海での麻疹患者は新疆についで多く

 新華社の報道によると、中国衛生部の発表として、2012年4月の中国全国での麻疹(はしか)の症例数は557例で、前年度同期と比較して72%の減少だったようですが、死亡例が一人出ています。

 全国的にみると、発病数では新疆エリアが最も多く、そのあとに上海・広東省・四川省と続きます。また、発病率では、新疆・上海・チベット・北京と続きます。

 発病数からも、発病率からも、上海市は全国で2位となっているので、注意が必要かと思います。

 なお、手足口病に関しては、相変わらず警戒が必要です。上海のCDCの発表では、中高生でも手足口病の患者が出ているとのことです。
 上海市衛生局のHPでは、毎月の上海での法定伝染病の状況を公開しています。2012年3月に関しては、こちらで確認できます。
posted by 藤田 康介 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年05月19日

4月も中国で手足口病発病数及び死亡例が増えました

 毎年、春から夏にかけて中国で流行する手足口病ですが、今年も患者数が増えています。

 中国衛生部によると、2012年4月には中国全国で報告された手足口病の症例数は237478例で、死亡例が77例となっています。これは、前年同期の発症例99819例と死亡例45例と比較しても明らかに増えています。

 上海市では、復旦大学附属児科医院と交通大学附属新華医院の2箇所が手足口病患者用の専門病院として指定されていますが、重篤患者に使われるベッドも満床となっているようで、その他の小児科総合病院でも患者の受け入れ体制を整えているということです。

 手足口病は、3歳以下の子供への発病率が最も高く、飛沫感や糞便による感染が中心ですが、食器やタオル、おもちゃなどを通じても感染しますので、そうした物品の消毒が大切です。
 
 一般に手足口病患者の80%は軽いのですが、こちらの専門家も感染拡大防止のために、自宅での休養をすすめています。しかし、例年重篤症例や死亡例が出ており、特に39℃以上の熱が出て、ぐったいりしていて、食欲がない場合は、専門病院への診察が必要です。

 また、妊婦の感染は、胎児への影響も考えられますので、手洗いの励行や、生ものを食べない、部屋の換気をしっかりするなどの注意が必要です。
posted by 藤田 康介 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う

2012年04月16日

中国南方で手足口病が増加傾向、発疹以外の症状にも注意を

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 中国衛生部では、天気が暖かくなるにつれて、子供の手足口病の患者が増えてきているとして注意するように呼びかけています。また広東省では、重篤患者の死亡例も出始めています。広東省の場合、2012年に入っての手足口病の報告症例数は3万例で、前年よりも明らかに多い状態です。また、重篤患者に関しては、手足に発疹がでる典型的な症状がはっきりしないこともあり、医療関係者や父兄に注意を呼びかけています。

 手足口病は一般的に、7歳以下の子供に多いのですが、重篤化しやすいのは3歳以下の場合で、5日間ほど発熱が続き、元気がなく、嘔吐や手足の震えに冷え・痙攣を伴うなど神経性の症状が出てきたら、必ず専門の病院で診察を受ける必要があります。発疹以外でも手足口病の重要な症状になることがあります。手足口病のウイルスは、複数の腸のウイルスによるものですが、その中でも今年はエンテロウイルス71型(EV71型)が多く、これが中継神経系合併症を起こしやすく、神経原性肺水腫や肺出血などの症状を引き起こし、重篤な場合は死亡してしまうということです。

 一般に、手足口病は2〜3年に一度のピークがあり、2008年と2010年に中国で大流行しました。2008年は、私は復旦大学附属児科医院で研究していましたが、患者さんが外来の待合室に入りきらず、道路まで行列ができていたのを覚えています。大部分の手足口病は軽く済むとはいえ、決して侮れない病気でもあるのです。

 手足口病の流行は、春と秋にありますが、特に5〜8月は中国では多く発生しており、より注意が必要です。また、今年は春先雨が多かったため、ウイルスが増殖しやすい環境がそろっていたとも言われています。さらに、子供に発病しやすいのですが、親がキャリアになっている場合もあり、親子共に予防に励む必要があります。

 人混みにあまり行かない、手洗いをしっかりとする、部屋の通気性をよくするなどが基本事項ですが予防には非常に重要です。
posted by 藤田 康介 at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝染病と闘う