2015年06月28日

中国のもう一つの抗生物質問題

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  先日も、復旦大学公共衛生安全教育部の専門家が、上海・江蘇省・浙江省の8〜11歳の1000人の子供の尿を調べたら、殆ど全員で何らかの抗生物質が検出されたことは日本でも報道されてニュースになりました。

  それもそのはずで、中国は世界最大の抗生物質生産国であり、また消費国でもあります。中国科学院が明らかにしたデータでは、2013年に中国で生産された抗生物質の量は24.8万トンで、このうち16.2万トンが自国で消費されています。さらに内訳をみると、このうち48%が人間に使われ、52%が家畜に使われています。そして、5万トンの抗生物質が、河川にジャジャ漏れになっているということらしいです。詳しいことは、中国科学院が6月16日に発行した『中国科学報』に掲載されています。

 その結果、中国の各河川における抗生物質の濃度は平均で303ナノグラム/リットルで、最高で7560ナノグラム/リットルの数値が出たところもあったそうです。ちなみにアメリカでは120ナノグラム/リットル、ドイツでは20ナノグラム/リットル、イタリアになれば9ナノグラム/リットルに過ぎないとか。

 ではこれほどの抗生物質は、どこに使われているのか?

 実はその大部分が豚や鶏など家畜に使われているようです。ちなみに豚の中で最もよく使われている抗生物質はテトラサイクリンということでした。テトラサイクリンといえば、歯の色がかわることでご存じの方も多いかも知れません。鶏も、養鶏場はもちろんのこと、中国人が大好きな「地鶏」と呼ばれるものに関しても、抗生物質は使われているようでした。もちろん、牛に関しても同様で、搾乳するときの炎症を抑えるために抗生物質は使われています。抗生物質がなければこうした産業は成り立たないようですね。

 広州の新聞『羊城晩報』にはある養豚場の話が書かれていましたが、1匹の豚を240キロまで育てるの7ヶ月の間に、飼料は1300元必要だが、それ以外にも薬代が300元もかかるのだそうです。病気にかかれば薬を打つというのが常套手段になっています。

 人間に抗生物質を使うのと同様、家畜にも大量の抗生物質が使われている現実。将来何らかの影響が出てこないか懸念されます。

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2014年06月04日

7月1日より中国で食品に明礬使用禁止

 2012年10月に書いた記事ですが、「最近、いくつか食に関して気になるニュースが出ていました。一つは、中央人民広播電台が報道したもので、中国の子供のアルミニウム摂取量がWHOの安全基準(1週間に体重1キロあたり2mg)を越えており、その割合が調査対象の子供たちの30%を越えているというもの。調査は、中国国家食品安全風険評価中心が行っていて、加工食品中に含まれるアルミニウムについては、11品目の6000種類に及ぶサンプルが対象となりました。一般的に、小麦を使った食品にアルミニウムがおおく含まれているといわれていますが、研究チームでは米・麦・トウモロコシなどを原料とした多孔質なスナック菓子(膨化食品)が原因ではないかとしています。

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 興味深いのは、中国でも北方エリアと南方エリアとでは、アルミニウムの摂取量が違うという点です。北方の方が、南方よりも多く、平均摂取量の差は4.6倍にもなっています。また、年齢別では平均摂取量で4〜6歳が最高で、北方の方では、安全量の2.6倍も摂取していることが分かりました。基本的に、北方エリアでは小麦系が主食ですから、関係があるのかもしれません。そのため、中国衛生部では、アルミニウムを含む食品添加物13種類に対して、専門家の調査を依頼しているとのことです。中華料理の朝食に欠かせない油条ですが、これも膨らますためにアルミニウム化合物を使うことがあり、注意が必要な食品の一つです。(現在では、安全な油条も売られていますが、そもそも油条はカロリーが相当高いので、要注意な食品です。)」

というのがありました。

 ここでのアルミニウム摂取量とは、明礬(ミョウバン)のことを指していました。明礬といえば、日本でもお馴染みの食品添加物で、実は中医学・漢方医学でも昔から外用薬を中心に使われることもありました。日本でも、大分県の別府温泉に明礬温泉があるぐらいですからね。近年では、腋臭など体臭の治療でも使われることがあります。


 その明礬ですが、以前から中華料理の朝食に欠かせない「油条」をカリカリに膨らませるために、饅頭をふわふわに仕上げるために使われていました。そのほか、スナック菓子やパンケーキ、菓子パンなどにも含まれていて、日本でも2013年6月にアルミ添加物、使用基準を設け規制へ 菓子やパンに使用がニュースになっていました。

 そして、中国政府もついに規制をだしました。2014年7月1日より明礬の使用を禁止にするということです。中国の衛生当局が出した禁止令なので、上海だけでなく全国が対象です。

 そもそも中国の伝統食には明礬をつかう料理が多いのも確か。大人への影響はまず問題ないとされていますが、お菓子などにも多く含まれているので、子供への影響の大きさが懸念されていました。禁止する根拠として、子供のアルミニウム摂取過剰に伴う骨格や神経系への発育影響などがあるとされています。相対的に、中国の子供たちはアルミニウム摂取量が多い傾向にあることも専門家から指摘されていました。

 明礬がなくても、油条や饅頭・麻花を作ることができますが、口当たりが多少悪くなる程度です。我々も買うときには、そもそも油を使って揚げた製品は買わないようにしましょう。規制が入ったとしても、それが浸透するのには時間がかかりますし、完全に規制してしまうのはもはや不可能な状況だからです。

 意外な食品にも明礬が使われています。義母から教えてもらったのですが、上海料理でもよく使うクラゲ。冷菜に登場しますが、これも口触りをよくするために明礬がよく使われるそうです。だから、食べるときはしっかりとお酢に漬ける必要があります。確かに、クラゲはお酢につけると美味しいですしね。

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2014年05月09日

中国のもう一つの抗生物質濫用問題

 中国で抗生物質がよく使われているというのは、医療関係者ならよく知っている事実。以前も抗生物質や点滴使いすぎ!中国の医療の現実で少し紹介しております。

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 ただ、それが人間だけでなく、家畜や水産物にも多く使われているという情報は、以前から中国でも騒がれていました。それを裏付ける研究結果が華東理工大学・同済大学・精華大学などの研究チームが中国国内の雑誌『科学通報』に発表しています。メディアにも紹介されました。

 これによると、中国の地表水からは薬品や化粧品などの成分158種類が検出され、このうち最も多い物質のトップ10はいずれも抗生物質であり、全体では68種類の抗生物質が検出されたということです。しかも、濃度や検出頻度が高く、上海にも流れている黄浦江や広東省の珠江に関しては検出率は100%だったそうです。確かに、これら川の流域は、人の生産活動が盛んであり、汚染問題も深刻なのは紛れもない事実ですよね。

 論文によると、中国で毎年生産されている化学薬品や化粧品の原料は1300種類にものぼります。このうち、医薬品・化粧品などパーソナルケア製品に含まれる化学物質の年間生産量は3.3万トン。このうち70%は抗生物質だそうで、抗生物質の生産量がいかに多いかが分かります。この比率は、欧米なら30%ぐらいなのだそうです。

 こうした物質は、生産工場から排出されるだけでなく、医薬品や化粧品が日常生活の中から生活排水として流されることもあります。さらに、中国の場合、農業・家畜・水産養殖などで直接的に使われ、それらが土壌や水を汚染している可能性も指摘されています。特に、一般的に中国でも認識されているのが水産養殖での濫用問題で、成長を促進するためにホルモン剤を使ったり、病気の予防のために抗生物質を使ったりしていることがあるということ。特に、中国の農村エリアでの汚染では、養殖業がもたらす影響がとても大きいことも認識されています。そもそも、農民達のそういった安全とモラルに対する知識の欠乏も問題だと思います。

 これら物質が、人体にどれほどの影響をもたらすかは、はっきりとしたデータはまだ出ていません。しかし、何らかの影響があることは十分に考えられます。

(すこし古いですが、参考記事:環境中に存在する医薬品や化粧品等のパーソナルケア製品(PPCPs) について

おしらせ

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2013年10月11日

食品言葉のカラクリ〜非油炸・零脂肪

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 メタボの人が増えてきて、中国の人たちの間でも健康志向は徐々に強まってきている感じはします。ただ、それに便乗して「垃圾食品(ゴミ食品)」とレッテルが貼られている食品にも、消費者を誘惑するような様々な広告文字が溢れています。消費者側の我々としては、ある程度的確に判断できるよう、また惑わされないように注意する必要があるように思います。今回は、中国のパッケージでよく見かける「非油炸」と「零脂肪」についてです。

 最近、チップスや即席麺などでよく見かける「非油炸」の文字。こうみると、油で揚げていないのでとても健康的な印象を受けるのですが、食べてみるとやっぱり油が多いような気がしませんか?実は、確かに油で揚げていないのですが、その代わりに高温で、しかも油を使って焼いていることが多い。もちろん、揚げているときよりも油の量は少ないのですが、熱するときの温度が160℃以上になっているため、やっぱり発がん性のあるアクリルアミドが生成されやすくなるということですね。

 一方で、乳酸菌飲料といえば、日本人の我々からするとヤクルトのあの小さな容器が印象的なのですが、中国では巨大なボトルに入っている「味全」や「光明」、「伊益」など様々なメーカーのものをよく見かけます。そこによく書かれているのが「零脂肪」という言葉。これはちょっと惑わされますね。以前、上海地下鉄の広告にも、ちょっと太ったおじさんが出て来て、食後に味全の乳酸飲料を飲めば、消化がよくなるといったイメージのが出ていました。私は思わず、そんなの飲んでいるから太っているんだよ〜!と言いたくなっていまいました。
 ここでのポイントは、確かに乳酸菌飲料は零脂肪かも知れないが、決してカロリーゼロではないということ。あの甘さからも容易に想像がつきますよね。たとえば、光明が出しているある乳酸菌飲料のカロリーは100ccあたり230キロカロリー前後。これは、同量のペプシが190キロカロリーよりも多いことになります。
 確かに、乳酸菌飲料のなかに多量の乳酸菌が入っているのには間違いないのですが、しかし糖分とカロリーを考えると、炭酸飲料水よりもはるかに多いことになります。よく朝のコンビニで巨大乳酸菌飲料とパンを朝食に買っているOLとかを見かけますが、「ちょっとまって!」と声をかけたくなります。やはり飲む量はしっかりと考えるべきです。

 結局、こういった広告文句のウラには、ある一つの項目が確かにそうであっても、もう一つ項目がそうではないということがよくあります。結果的にその項目を強調するあまり、我々消費者はうっかりと「健康的!」と思ってしまうということなのでしょうね。


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2013年05月25日

広東省で相次いで見つかっているカドニウム汚染米

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(豊かな農村風景は大切にしてほしいです)

 広東省で相次いで見つかっているカドニウム汚染米について、中国の農耕地の土壌汚染の問題に注目が集まっています。広東省では、これまで2208回にわたって抜き取り検査をして、120回でカドニウムに汚染された米が見つかりました。

 中国の基準では、1キロあたりの米に対してカドニウムは0.2mgを越えてはならないとしています。これはEUと同じ基準です。今回の広東省の米の検査では米1キロあたりで最高1.12mgのカドニウムが検出されました。

 カドニウムの人体への影響は、イタイイタイ病であったように、骨と腎臓が問題となります。WHOでは、1週間あたりのカドニウム摂取量の上限を体重1キロあたり7mgとしていますが、仮に基準すれすれの1キロあたり0.2mgのカドニウムを摂取した場合でも、1日200グラム程度のお米の量なら安全上限は超えないことになります。ただ、中国人の一般的な食卓のように、山盛りのご飯を食べた場合なら、基準超えのリスクは高まります。中国でも専門家が指摘していますが、お米を選ぶときはなるべく違ったエリアのお米を買うようにして、さらにお米類を食べ過ぎないことも大事です。

 今回、広東省で見つかったカドニウム汚染米の産地に、湖南省のものが少なくありませんでした。中国湖南省は中国最大の米の産地です。2012年の米の産出量は2631万トンで、中国全国の12.9%を占めています。一方で、湖南省は有色金属の採掘でも有名で、鉱工業と農業が共存しているエリアでもあります。そのため、土壌汚染の問題は避けて通れません。
 
 また、カドニウム汚染問題で最近問題となっているのが広東省でよく食べられている牡蠣です。こちらは、魚類1キロあたり0.1mg/kgといった中国の基準があるのですが、貝に関してはまだないのが現実で、広州市の検査でも、魚類の基準値を大幅に超える2.0mg/kgといった数字が発表されていました。とくに、貝類は魚と比べると生物的に排泄できるシステムが弱いため、体内に重金属が蓄積されやすい特徴があります。そういえば、私も中国に来てから貝を食べることが明らかに減りました。

 こうしたリスクを減らすには、やはり原材料がよく分からない食材は使わない、バランスよく食べて、食べ過ぎない、魚などの内臓は食べないようにする、植物繊維を食べるようにして排出に気をつけるなどが言われています。主食のお米も、米以外の雑穀も摂取するようにすることも大切だと思います。

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2013年05月04日

ビスフェノールAと肥満の関係

 上海だけでなく、中国で社会問題となっている子供の肥満問題。お菓子などの食べ物が溢れ、運動量がすくない上海生活の影響も大きいと思います。1992年と2002年を比較すると、中国の7〜17歳の子供たちの肥満の数は39.7%も増加しています。上海市内のある区の小学生の肥満率は、2005年は15.85%だったのに、2010年には19.85%に増えています。子供の肥満は、高血圧や糖尿病、心臓疾患のリスクを高めることがいわれており、早期の対策が重要です。

 そんななか、復旦大学の公共衛生学院の周穎副教授らのグループが興味深い研究を発表していました。プラスチックなどの原料としてつかわれるビスフェノールAが、これまでの海外の研究でも、エストロゲンに類似した生理作用をおこすことが指摘されていますが、子供の肥満と関係があるのではないか、という研究です。

 ただ、ビスフェノールAの尿中に排出される濃度は、食べ物の摂取とも関係があり、季節的な影響も大きく、正確に測定することが難しいという問題がありました。たとえば、過去の研究では、尿中に排出されるビスフェノールAの濃度に関して、尿中のクレアチニン濃度から数値を調節していましたが、クレアチニン濃度は体重の影響もうけるため、ビスフェノールAとの関連を引き出すのが困難でした。そこで、尿の比重をつかってビスフェノールAとの関連をみてみると、調査した259人の8〜15歳の子供の尿84.9%から検出されたということです。さらに、ビスフェノールAの濃度が高いほど、肥満程度も高くなる傾向にあることも分かりました。今後は、さらに1500人を対象に調査を続け、長江デルタエリアにおけるビスフェノールAと肥満との関係を調べていくということです。

 もともと、ビスフェノールAはほ乳瓶などに使われていたことがありましたが、中国では2011年6月から育児用品での使用が禁止され、2011年9月からはビスフェノールAが使われた製品の育児用品での輸入が禁止されました。しかし、実際にはほ乳瓶以外の製品ではまだ使われていることがあり、たとえば缶詰の内側に塗られていたりすることがあります。

 日本の厚生労働省でも、ビスフェノールAに関するQ&AをHPで公開しています。http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

 ビスフェノールAに関しては、食べ物からの摂取か、皮膚や空気からの接触による影響が考えられますが、体内での半減期が短く、24時間以内にほとんど代謝されてしまうため、こうした物質を隔絶することが有効といわれています。とくに、我々の身の回りにはプラスチック製品が溢れていますので、そうしたものの使用を極力減らすようにすることが大切だと思います。

 中国では、はたしてちゃんとしたプラスチックが使われているかどうかも心配なので、私は毎日使う弁当箱はガラス容器にしていますし、豆乳製造器もプラスチックではなく、金属のものを使う様にしています。そのほか、ペットボトルやガロンタンクの水はなるべく早く飲んでしまうようにしています。ペットボトルの再利用にも注意が必要かと思います。なるべく食べないようにしていますが、コンビニ弁当の容器も、私は気になっています。

 生活が便利になってくると、ものが溢れてきていますが、それに伴う弊害についても注意しなくてはいけません。



 
posted by 藤田 康介 at 07:48| Comment(1) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2012年09月22日

秋、食源性の下痢にくれぐれもご注意を

 日本で食源病というと、どちらかというと生活習慣病的な意味で捉えられがちですが、中国の場合、この上海でも問題となるのが、やはり食べ物から経口で体内に入ってくる病原体による感染性です。
 というのも、2011年に中国の国家食品安全風険評価中心が行った、1000万人を対象とした1年間の食源性疾病に対する調査で、年間6.5人に一人の割合で、疾病が発生しているとしています。ここから推測すると、年間2億人が微生物などが原因の食源性疾病を起こしていると考えられています。

 これは、私の臨床の経験からいっても、非常によく当てはまっていると思います。日本人の場合で、日本では殆ど下痢とかなかったのに、上海に来た途端にお腹を壊してしまった人や、下痢に悩まされている人が少なくないのです。

 そもそも、こちらで地元の人々がファーストフードやコンビニ行ってしまう理由の一つに、衛生面での信頼性があるからという人もいます。この辺、日本とは発想がすこし異なりますね。

 そもそも、上海では清代末期ぐらいから、中医学の名医と呼ばれた先生は、赤痢などを治すのを得意としていたことからも、いかにそうした感染症が多かったか分かります。

 現代の上海でも、80年代に食源性で30万人がA型肝炎に感染し、1999年には寧夏エリアで、肉が原因のサルモレラ菌で1000人が感染したほか、2001年は江蘇省・安徽省などでH7感染症(いわゆる大腸菌O157)で、あわせて2万人が感染したケースもありました。こうした衛生と関係のある事件は、毎年どこかで発生しているといえます。逆に、小さな食中毒ぐらいだったらあまりニュースになりにくい。

 そのためにも、食べ物に対する注意は、とくに下痢が多くなる夏から秋にかけては厳重な注意が必要で、日本料理屋や焼き肉に行く場合でも、生ものにはくれぐれもご注意下さい。中医学では、養生訓の一つとして、「秋の下痢」はよく登場してきます。

 そのほか、中国の場合、食源病のリスクとしてあげられるのは、食中毒など微生物による汚染のほか、残留農薬・重金属・有機化学物質などによる汚染、そして非合法に使われた食品添加物もあります。



【連絡】・東京での温泉気候物理医学会招待講演のため、10月7日(日)は休診します。
 ・リニューアル!甘霖・我が愛しの上海へ
posted by 藤田 康介 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2011年06月28日

長江デルタエリアでの重金属による土壌汚染

 福島第一原子力発電所の問題で、日本でも放射線物質による土壌汚染の問題が大きく取りあげられていますが、中国の沿海部の経済発展エリアでは、重金属汚染の問題が相変わらず深刻です。

 南京農業大学の専門家が、江蘇省南部エリア(俗に言う蘇南エリア)で、工業汚染・農薬汚染・鉱山からの汚染水廃水により、農地のカドミウム、鉛、水銀、ヒ素、クロムなどの汚染が進んでいる警鐘を鳴らしていました。

 有機農業研究所の和文竜所長は、土壌調査を行った結果から、無錫・蘇州など蘇南エリアでは本当の意味での有機農業が出来る土壌がほとんどないと訴えています。同様の状態が、同じ長江デルタエリアの浙江省でも『食品薬品安全状況調研報告』で、都市郊外の農地や水田で重金属による汚染が進んでいる実態が報告されました。

 重金属汚染は、肉眼では見ることができませんし、少しずつ蓄積され、短期間では人体への影響を確認することが難しいといわれています。さらに、中国ではムギや米など穀物に対しての重金属の研究は進められていても、野菜類に関してはまだよく分かっていないことも多いのだそうです。

 一旦、重金属による汚染が発覚すると、その農地では耕作ができなくなり、大きな損失にもなりますし、農民自身に調査を行わせること自体、コスト的にも難しいのが現状です。

 2006年の中国環境保全部の調査では、中国の農地の1割ほどで重金属による汚染が進んでおり、直接的な経済損失は200億元にも及ぶとしています。これから数年の歳月が過ぎており、中国内陸部の工業化も年々拡大しています。

 工業化による農地の汚染は、将来起こるであろう世界的な食糧危機に対して、大きな足かせになる可能性は十分に考えられると思います。かといって、有機野菜だけでは人類を養っていけないこともまた事実です。
posted by 藤田 康介 at 16:53| Comment(1) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2011年02月08日

胡氏高湯餛飩(ワンタン)と中医学の関係

 中国では、歴史の古い町に行けば行くほど、また昔に商業都市として栄えた街に行けば行くほど、中医学にゆかりのある食文化に接することができます。かっこよくいえば「薬膳」なのでしょうけど、とくに肩肘を張ったものではありません。

 春節休み中に出かけた黄山ハイキングで、黄山の麓にある街、安徽省黄山市屯渓はまさしくその典型で、明代末期から清代初めにかけて徽州の商人たちで栄えました。

 今回、安徽省黄山市屯渓海底巷の路地裏で出会った餛飩もその一つ。名付けて、「胡氏高湯餛飩(ワンタン)」と呼ばれます。その由来をいろいろ聞いてみるとなかなか興味深い。中国語で〜氏とつくと、さしずめ日本語の〜流といったイメージになります。

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(路地裏に入っていきます。)

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(通常はこの屋台で作るのだそうです。)


 その当時、この海底巷でワンタンの店を開いていた胡さんが、水夫たちが一生懸命働く姿をみて、日常的によく食べられるワンタンを、もっと栄養価の高い料理にして、人々の健康に貢献できないかと考えました。

 そこで、その胡さんは知り合いの中医学の先生にお願いして、滋養強壮や寒さに対応できるようなワンタンを作ることができないかと考えたというのがこの「胡氏高湯餛飩」の始まりだそうです。その後、清代の乾隆皇帝の南方巡行時に大変賞賛され、「紅頂餃師」の称号をもらったという由。

 その後、もともと秘伝だったワンタンのレシピは庶民のために公開され、今に伝承されているということです。何とも喜ばしいことではないでしょうか!食品に対する不満が堆積している昨今の中国ですが、昔の人たちのこうした功績は賞賛されるべきですよね。

 ところで、この「胡氏高湯餛飩(ワンタン)」は中医学の薬膳的思想から何が具として使われているのか?いわゆる豚肉のほかに、ブタの骨髄部分、生姜、キクラゲ、椎茸、棗などが配合されているのだそうです。なるほど。。。。

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(店の入り口、歴史の香りがしますね。)

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(中でおじさんが素早い手つきで餛飩作りを)

 さて、早速私も娘も妻もいただきました。娘は口にあったようでパクパクと食べてくれました。いわゆるミニワンタンとなる上海では小餛飩と呼ばれる分類に属します。スープと一緒にいただきますが、肉のいいダシが出ていて美味しかったです。

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 でも、ここから分かることは、中医学がいかに昔の人々の間で重宝され、それが日常生活で薬膳として活かされていたのかという現実を知る、一つのよい例だと思います。

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2011年01月30日

ケシの実騒動

 最近、上海の食品安全を監督している部門が、上海市内で行った「重慶鶏公煲」の食品安全検査で、鍋スープにケシの実を使っていることが発覚、チェーン店など14店が当局の摘発を受けていました。

 「重慶鶏公煲」は鍋料理の一種。鶏肉をベースにしたもので、野菜を混ぜながら食べるのですが、味がしっかりとついていてご飯とよく合うんです!

 そこに調味料としてケシの実を入れていたということです。

 このケシのみ騒動はもうかなり前からあって、以前は四川火鍋で使われていたことも。もちろん、少量のケシの実程度で中毒になったりはしませんが、日頃こうしたものに接触していない一般消費者からすると、また店に行きたくなる衝動にかられることがあるとかで、当局も調味料として使われるケシの実の摘発に乗り出しているわけです。

 ケシの実ですが、生薬では使われることがまれにあります。「罌粟殻」と呼ばれるのですが、生薬では蜂蜜や酢を使って修治してから使います。性質は「酸・渋・平」となっていて、今の薬典では有毒として扱われています。もっとも、明代の『本草綱目』では、「無毒」とも記述されているので、適量を生薬として使う限りは問題は大きくないです。

 肺虚が原因の慢性の咳や、慢性の下痢止めのほかにも止痛作用があります。最も、止痛作用のある生薬はまだまだ沢山あるので、これが選択肢になることはあまりありません。そもそも、この手の生薬は根本を治すものではなので、症状が治まったら使わないというのが大原則です。
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2011年01月09日

ザリガニが原因?!広東省で子供が死亡

 さすがに冬になると上海でザリガニを食べる人は減りましたが、それでも全くなくなったわけではありません。

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 2010年の夏に、南京で相次いでザリガニを食べたあとに全身の筋肉の痛みを訴え、死亡やショック状態になるケースが相次いで報告され、検査の結果、横紋筋融解症と診断され、大きなニュースとなりました。

 それと同様なケースが、広東省で発生し、6歳の子供が死亡しています。

 報道では、この子供の両親はザリガニが大好きで、よく食べに行くそうで、1月5日も子供を連れて露店のザリガニを食べました。自宅に戻ってしばらくすると、筋肉が痛み出し、泣き叫ぶようになりました。両親は風邪を引いたと思い、薬を飲ませましたが症状は改善せず、8日未明に意識不明の重体となり、病院に運ばれ、血漿交換療法や、腎臓の尿細管に蓄積されたミオグロビン除去ための治療を行ったものの、亡くなったと言うことです。広東省では初めての死亡例となりました。

 上海に十数年居る私でも、さすがにザリガニは食べません。過去に食べたのは、取材のために仕方がなく食べた1回だけです。(写真)

 しかし謎が多い、ザリガニと横紋筋融解症との関係です。
posted by 藤田 康介 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2010年03月06日

中国海南島産農薬ササゲの問題とその背景

 あれだけ農薬問題が騒がれても、相変わらず出てくる農薬に汚染された野菜の問題。今年に入って、中国で賑わしているのが、武漢・上海・鄭州・合肥・杭州・広州などで検出された中国海南島産ササゲの農薬問題です。すでに、中国市内11の大都市で流通してしまったことがわかっています。

 ササゲは、中華料理でもよく使いますし、日本にも平安時代に伝わり、赤飯などの豆に使われることもあります。マメのサヤごと、野菜炒めにして食べることもあります。

 今回、ササゲに使われた農薬は、中国でも使用禁止されている殺虫剤イソカルボホス(isocarbophos)です。かなり高濃度で検出されました。

 海南省当局では、2月26日現在、問題の原因究明と対策の強化を表明していますが、この問題はかなり根が深そうです。

 データによると、海南島で生産されるササゲは、年間40万トン。今年に入ってすでに20万トンが出荷されました。このうち、陵水県英洲鎮、三亜市崖城鎮で生産されたものに問題がありました。

 では、なぜ禁止されている高濃度のイソカルボホスがササゲから検出されたのか?当局の分析では、農家が勝手にこれら農薬を手に入れて、散布したとし、さらにササゲのように発育が早い野菜に対して、農薬が十分に発散しないうちに収穫してしまったため、高濃度のイソカルボホスが検出されたと考えられています。

 さらに、海南島エリアでは、農薬の検出技術が後れていて、設備も十分ではないということです。特に、簡易検出キットでは、農薬濃度の程度まで検出することができないほか、残留農薬濃度ませ検出できる機械が海南島には1台しかないという報道も出されていました。大量の農産物を生産している海南島なのに、あまりにもお粗末だったようです。

 広東省江門で、同じく海南島産の節瓜(小冬瓜)でも、高濃度のイソカルボホスが検出され、大きな問題となりました。

 広州の『羊城晩報』の報道には、農民のコメントが紹介されていましたが、現在、中国の農民に普遍的に言えることとして、農業業界の混乱と、農薬使用に関する技術トレーニングが根本的に不足しているとしています。 確かに、我が家のアイさん(家政婦さん)のように文字も読めない農民が多いことからも、想像に難くありません。

 さらに、高濃度の農薬が手軽に買えてしまう状態も、相変わらず続いていると証言しています。また、作物が被害にあっても、それが病気によるものか、害虫によるものか区別できない人が多く、とにかく毒性の強い農薬を使ってしまえ、と判断している農民が少なくないようです。病院で高価な抗生物質を使えば、なんでも効くと信じている中国人が多いのとよく似た発想ですね。

 では、消費者はそうした農薬の状況を知るよしもありません。広州市当局が、野菜に対しての農薬を除去する方法を紹介してました。

1.野菜を水で数回しっかりと洗う。
2.水の中に30〜60分浸ける。
3.熱湯をかける。
4.料理に使う。

 といったプロセスを踏めば、95%以上の残留農薬は除去できるので、市民にも実行するように勧めていました。安全は提供されるものではなく、自分たちで努力して手に入れなければならないのが中国では常識ですよね。

 いろいろ生きるための知恵がつきます。
posted by 藤田 康介 at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国での食の安全を考える

2010年01月17日

中華料理の火鍋で注意すること

寒くなってくると食べなくなってしまう鍋物。鍋が恋しくなるのは、日本同様、中国の中華料理でも同じで、上海市内の火鍋屋はどこも大賑わいです。しかも、辛いスパイシーな鍋が好まれる傾向があり、ひょっとしてストレスがたまっている上海の生活スタイルと関係があるのかもしれません。

 中国の火鍋で気をつけないといけないのは、高タンパクでプリン体たっぷりのスープ。特に、中国の火鍋ではスープに入れる動物の内臓や肉のほかに、具に海産物をたっぷりいれる傾向にあるため、要注意。痛風・糖尿病・高血圧の傾向にある人の場合、火鍋のスープ類はなるべく飲まないようにすることがポイントです。さらに、ビール+火鍋というのは最悪の組み合わせになることが多いので、やめておきましょう。

 また、衛生状態が今ひとつのことが多い中国では、素材が古かったり、不衛生であったりして、火鍋にいれた食べ物に十分に火が通っておらず、それが急性胃腸炎の原因になっているケースをよく見かけます。日本で鍋を食べるとき以上に、しっかりと火の通り具合を確認することが必要です。

 昨今、上海で流行しているピリ辛系の火鍋ですが、単に辛いだけでなく、温度が高いために、消化器の粘膜を容易に傷つけてしまいます。その上に、冷たいビールなどの飲み物をグイグイいくわけですから、体によくないのは容易に想像がつきますね。もちろん、炭酸水を飲むと、体の酸度を調節する働きがないこともないのですが、冷たいもののがぶ飲みはよくないです。

 それと中国で鍋物を食べるときは、あまりダラダラと時間をかけて食べ過ぎないこと。2時間以内が理想といわれています。スープの中に、具に含まれているプリン体や脂肪などの成分が容易に濃縮されてしまっているだけでなく、食品添加物も多数しみ出しています。もしどうしても鍋のスープを飲んでみたい場合は、鍋が始まって30分以内にでも賞味してみるのがいいのかもしれませんね。
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2010年01月10日

ザリガニが原因?!広東省で子供が死亡

 さすがに冬になると上海でザリガニを食べる人は減りましたが、それでも全くなくなったわけではありません。

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 2010年の夏に、南京で相次いでザリガニを食べたあとに全身の筋肉の痛みを訴え、死亡やショック状態になるケースが相次いで報告され、検査の結果、横紋筋融解症と診断され、大きなニュースとなりました。

 それと同様なケースが、広東省で発生し、6歳の子供が死亡しています。

 報道では、この子供の両親はザリガニが大好きで、よく食べに行くそうで、1月5日も子供を連れて露店のザリガニを食べました。自宅に戻ってしばらくすると、筋肉が痛み出し、泣き叫ぶようになりました。両親は風邪を引いたと思い、薬を飲ませましたが症状は改善せず、8日未明に意識不明の重体となり、病院に運ばれ、血漿交換療法や、腎臓の尿細管に蓄積されたミオグロビン除去ための治療を行ったものの、亡くなったと言うことです。広東省では初めての死亡例となりました。

 上海に十数年居る私でも、さすがにザリガニは食べません。過去に食べたのは、取材のために仕方がなく食べた1回だけです。(写真)

 しかし謎が多い、ザリガニと横紋筋融解症との関係です。
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2010年01月09日

ザリガニが原因?!広東省で子供が死亡

 さすがに冬になると上海でザリガニを食べる人は減りましたが、それでも全くなくなったわけではありません。

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 2010年の夏に、南京で相次いでザリガニを食べたあとに全身の筋肉の痛みを訴え、死亡やショック状態になるケースが相次いで報告され、検査の結果、横紋筋融解症と診断され、大きなニュースとなりました。

 それと同様なケースが、広東省で発生し、6歳の子供が死亡しています。

 報道では、この子供の両親はザリガニが大好きで、よく食べに行くそうで、1月5日も子供を連れて露店のザリガニを食べました。自宅に戻ってしばらくすると、筋肉が痛み出し、泣き叫ぶようになりました。両親は風邪を引いたと思い、薬を飲ませましたが症状は改善せず、8日未明に意識不明の重体となり、病院に運ばれ、血漿交換療法や、腎臓の尿細管に蓄積されたミオグロビン除去ための治療を行ったものの、亡くなったと言うことです。広東省では初めての死亡例となりました。

 上海に十数年居る私でも、さすがにザリガニは食べません。過去に食べたのは、取材のために仕方がなく食べた1回だけです。(写真)

 しかし謎が多い、ザリガニと横紋筋融解症との関係です。
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