2011年01月29日

「妊娠しました!」という嬉しい知らせ

 今日は、浦東のシャングリラホテルでとある患者さんのご相談があり、2時間ほどお話ししに出かけていたのですが、こうした患者さんを通じての出会いの数々に、本当に感謝いたします。医者という仕事は、患者さんから教えてもらうことが非常に多いのです。

 そして、その帰り、タクシーのなかで私の患者さんで不妊治療をされていた方からついに「妊娠しました!」のメールをいただきました。私も非常に嬉しいです。今年に入って2例目ですね。

 ご夫婦でうちの中医クリニックに通っておられました。大抵、不妊治療の場合、女性がメインで通われることが多いのですが、やはり両方で中医治療をした方が効果があるように思います。人工授精や体外受精までも検討されておられましたが、そこまですることなく妊娠されたと言うことで私も正直肩の荷が少しおりた感じです。

 これから、体をしっかりと養ってもらって元気な赤ちゃんを産んでいただきたいです。後ほど、カルテを取り出してきて今回の症例のおさらいをしようと思っています。

 とくに中医薬や漢方での不妊治療は、10人おれば10人とも考えるプロセスが違うので、成功例の整理が大切です。

 また一つ、貴重な経験を積むことができました。

 1月29日(土曜日)の診察はいっぱいでご迷惑をおかけしております。1月30日はまだ多少空きがありますので、ご利用ください。
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2011年01月18日

皮膚の痒みに使えそうな中医学のツボ

 秋から冬にかけて、皮膚の痒みを訴える患者さんが多いような気がします。もちろん、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、慢性の湿疹などの疾患があればその可能性が高まりますが、それ以外にも寒さを感じやすい足の脛(スネ)がカサカサになって痒くなるケースや、局部的に痒みが増す場合もあります。でも、痒みは乾燥同様、かなり厄介です。

 中医学的には(少なくともうちの中医クリニックでは)、内側からは中医薬(漢方薬)を処方するか、外側からは漢方・生薬軟膏を症状にあわせて作って使うか、もしくは薬浴剤を組み合わせて使うかということになります。これでも十分に効果が出てくることがありますが、でも痒みの問題は、痛みに比べて一般的に対処が難しい言われています。西洋医学では、ステロイド剤がメインになってしまうのもそのためです。

 そこで、いくつか痒みの治療に使えそうな経穴(ツボ)がありますのでメモしておきます。内服薬・外用薬だけでなく鍼灸と抜罐法を併用してみるのも一つの手段ですし、患者さん自身がマッサージしてみても効果はあります。

 以前、抜罐法の応用では、蕁麻疹の抜罐治療で少々紹介しました。それ以外に、痒みに良いとされるツボで代表的なのは、曲池(肘外側、尺沢と上腕骨外側上顆を結ぶ線の中点)・合谷(手背、第2中手骨中点の橈側)・血海(大腿前内側にあり、膝蓋骨底内端の上方2寸)・三陰交(下腿内側、内果尖の上方3寸、脛骨の内側縁と後頚骨筋との間)・太渓行間などが思いつきます。

 曲池は、足陽明大腸経の合穴。主な効能に、疏風解表・清熱消腫作用があり、熱性の疾患にはよく使われますが、風邪との関係から、痒みにも使えるというわけです。合谷も同じく足陽明大腸経です。五臓六腑からの気がここに停留するため、原穴と呼ばれていますが、大椎などと組み合わせて皮膚の痒みの治療に使います。

 足少陰脾経に属する血海は、その名前の通り「血の海」。理血調経・健脾化湿の作用があると言われているので、皮膚疾患にはもってこいですね。

 同じく足少陰脾経の三陰交は、足太陰脾経・足厥陰肝経・足少陰腎経の3つの経絡が交わるところですので、脾・肝・腎の臓と関係があることになります。そのため、非常に用途の広い経穴ですが、風湿をとったり、肝腎を補ったりしてくれます。

 太渓は太谿とも書きますが、足の内側にある内果の最も尖ったところで内果とアキレス腱の間陥凹部に位置しますが、足少陰腎経にある原穴でもあります。陰を補う補水作用があり、水を補うことで、体内から発生する痒みのもととなる風邪、すなわち肝風をコントロールします。

 足厥陰肝経にある行間は足の先端の第1・第2中足指節関節の前にあります。肝経なので、平肝・袪風などの作用があるといわれています。まさに、内から発生する痒み対策ですね。

 ほかに色々痒み対策があると思います。皆さんもなにかいいアイディアがあれば、ご教授ください。患者さんにとっては福音です!!
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2010年12月19日

腎臓結石での中医学の役割

 健康診断のデータを見せてもらうと、泌尿器に結石を持っている方が少なくありません。猛烈な痛みを経験された方もおられるはず。エコーやレントゲンで容易に発見できますし、最近、運動不足に加え、高タンパクな食事、動物の内臓などプリン体やを多く含む食べ物の摂取、ほうれん草などの野菜の渋みとも関係あるシュウ酸とも関係があります。(まさに、中華料理ですね。)
 中国人に限らず、中国にいる日本人にとっても共通の悩みかもしれません。

 腎臓結石など泌尿器での結石は、一般的に男性のほうが、女性よりも5倍近く発生しやすい傾向があり、また結石もその原因によっていくつかに分類されます。

 腎臓結石のうち、最もよく見られるのがシュウ酸カルシウムによるもので、全体の8割ほどを占めています。色は褐色をしていて、硬いのが特徴です。シュウ酸塩を多く含む食べ物として、ほうれん草が有名ですが、そのほかにもチョコレート、トマトやイチゴなどがあります。一方で、密度が低く、体積が小さい結石になりやすいのが尿酸カルシウムによる結石。黄色っぽい色の石が多いです。

 結石のそのほかの成分としては、リン酸マグネシウムアンモニウム結石やシスチンもあります。さんご状結石、鹿角(ろっかく)状結石などの形状をするのがこのパターン。取り除くのも厄介です。

 中医学(漢方)でも、泌尿器の結石には一定の効果が期待できます。ただ、あまりにも大きくなりすぎた結石はだめで、一般的に直径1センチ以下で、形が変則的ではなく、動きやすい状態にあり、尿道狭窄などがなく、水腎症を併発しておらず、水を十分に飲めて運動ができるなどの条件が必要です。
 生薬では、車前草(オオバコ)、滑石、冬葵、瞿麦、金銭草、鶏内金、海金砂などを使います。これら生薬には、利尿作用のほかにも血の巡りをよくして、詰まっているものを通す働きがあります。状況にもよりますが、1ヶ月ぐらい続けると効果が出てきて、石が小さくなって排出されうこともあります。

 水分は、1日2リットルから3リットルは摂取する必要があり、運動して結石を移動させることも大切ですし、うちのクリニックでも、車前草(オオバコ)や金銭草などを治療用の生薬茶として出すこともあります。最近の研究では、薬膳として黒木クラゲを食べると、キクラゲの中のミネラルが、結石を小さくするのに効果的であるともいわれています。そういえば、結石を出す食材として胡桃も有名ですね。

 話がずれますが、結石と言えば、牛黄。これは、牛の胆嚢結石ですが、解毒作用のある大切な生薬です。人間の結石については、薬効を聞いたことはありません。。。
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2010年12月15日

頑固な咳と肝

 最近、風邪の症状はおさまったのだけど、咳がなかなか止まらないという症状で来られる方が少なくありません。西洋医学の病院もいろいろまわられて、色々なお薬を試されたのだけど、ダメだったというケースが多いのですが、中医学でも咳の治療には色々なやり方があります。

 私が最近よく見かける慢性咳は、喉がからからに感じて、喉がイガイガするというパターンです。空気の汚染とも多少関係があると思いますが、こんな時、以外と中医学では五臓六腑の肝から考えてみるとうまくいくことが多いよう思います。

 黄帝内経でも、肝の足厥陰肝経は喉と関係があると考えますし、足少陽胆経絡も耳の後ろから喉に入りますから、関係が深いことは容易に分かります。

 さらに、肝は人のストレスとも深い関係があり、肝がストレスなどで凝り固まると、肺の気の流れを乱し、咳が発生するというプロセスも考えられます。

 外からのウイルスや細菌などの外邪の影響を受けやすいのも肺なのですが、逆に五行説の金と木の関係から、肺が弱ってしまうと、肝を押さえ込むことができず、肝が盛んになって逆に肺を攻撃するというプロセスもあり、悪循環に陥ってしまうとも考えられます。さらに、肝が盛んになりすぎてしまうと、今度は身体の水分に相当する津液の代謝がよくなくなり、痰ができやすくなります。となると、柴胡系の生薬を使うことになります。

 ちなみに、慢性鼻炎やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎などの症状があるときも、慢性の咳となることが多いのですが、昔から鼻を通す作用があるといわれている辛夷・蒼耳子・黄芩・路路通などの生薬を使い、さらに煎じたときの湯気を鼻から吸引してもらうと、すっきりとした感じがするはずです。

 また、百日咳や慢性気管支炎、肺気腫などの咳では、背中の肺兪などを温めてあげたり、足の裏の湧泉穴(足底中央の前方陥中で、足指を屈すると最も陥凹する部)に、うちの薬局でも作っている膏薬を貼り付けるという方法もあります。肺から遠い位置のツボを刺激することで、咳を納めるという方法は、中医学ではよく使います。

 咳の治療は、中医学でも本当にいろいろ経験があるものです。
posted by 藤田 康介 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察

2010年12月06日

過敏性大腸炎と中医学

 胃や腸の疾患に対しては、中医薬や漢方薬は比較的有利なように感じます。なにより、薬はかならず胃・腸を通過するので、吸収もしやすいわけです。

 最近、ちょくちょく過敏性大腸炎の患者さんを診察しています。過敏性大腸炎とはいいますが、特に腸が炎症をしているわけでもないので、過敏性腸症候群と呼ぶのが一般的で、中国語では「肠易激综合征」と表記しています。

 寒くなってくるこの時期、寒邪や湿邪が身体を襲い、なにかとお腹の調子を崩しやすいですが、それ以外にも精神的要素や薬物によるもの、飲食の不摂生などとも関係があります。特に、上海のようなジメジメした寒さでは、腸の調子を崩しやすい条件がそろっているのも確かです。

 腹痛のほかにも便秘や下痢の繰り返し、さらには粘液性の大便や消化不良もよく見かけます。となると、脾の働きを整えるのにはどうするか?ということになります。

 中医学や漢方の生薬を続けていると、まず便の形が整いはじめ、さらに便の回数が減ってくることはよくあります。1日4回ぐらいトイレに行っていたのが、1回ぐらいで済むようになるケースも少なくありません。

 基本的に、症状から証を分類していきますが、肝・脾・胃をメインに考え、その上で外邪の影響を考慮しています。お灸なども組み合わせると、より統合的な治療になると思います。
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2010年07月10日

原発性月経困難症とお灸

 中医学の分野では、婦人科というのは非常に大きなウエイトを占めます。中国各地に婦人科の中医学の流派がありますが、上海も有名な学派があり、私も朱南山先生の朱氏婦人科を勉強したことがあります。昔は産科も中医学にあったのですが、最近ではほとんど姿を消しました。

 夏になって、気温が上昇し、暑さに体が翻弄されることが多いのですが、この時期になってもうちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックで意外と少なくないのが生理痛の患者さんです。
 器質的原因が見つからない生理痛のことを、一般に原発性月経困難症といいますが、これは体質によって症状が異なり、痛みの程度も違います。人によっては、下腹部が痛くなったり、腰痛だったり、場合によってはむかつきや嘔吐、冷や汗がでたり、中には気を失ってしまう場合もあります。そうなると、とても仕事などが手につかなくなります。特に未婚の方や、結婚されていても子どもがない方に多いです。

 西洋医学では原因がはっきりしない生理痛でも、中医学ではいろいろ原因が検討できます。一般的なのは、気血の流れが滞ったり、気血を正常に循環させるエネルギーがなかったりするのに関係があります。気血の流れを滞らせる原因としては、寒さなどの冷えもありますし、肝や腎が弱っていたりすることとも関係があります。特に、症状が激しい生理痛では、冷えとは大いに関係があり、温めてあげることで痛みが緩和することも多いです。この冷えタイプの生理痛の治療にお勧めなのが、お灸と煎じ薬(生薬)との併用です。ポイントは、生理が始まるであろう1週間ぐらい前から、お灸をしてあげたり、生薬の服用を開始すると、効果的です。

 お灸はお手軽にできて、かつ安価なので、中国では自宅でやる人もおられます。生理痛に使えるツボとしては、ヘソ部にあたる神闕穴や、そこから指4本分したの下腹部に位置する関元穴を使います。この2つのツボは、中医学でいう胞宮(いわゆる子宮のこと)と関係があり、温めることで熱を伝えやすくします。

 お灸のモグサは上海市内の薬局でも手に入ります。直径1センチ程度のお灸を1センチぐらいの高さで切り、厚さ0.5センチ程度に切った直径4〜5センチ程度の生姜のうえに置きます。このとき、生姜には針で小さな穴をあけておきます。そして、穴の上において点火します。

 しばらくすると熱く感じてきます。やけどしないけれど、皮膚が少々赤くなるぐらいまで置いておき、熱くなってきたら場所を少しずつ移動させてみてください。これを毎回5〜6個のモグサで行います。

 生理がはじまる1週間前というのはなにかと大切です。中国の女性の方で、中医学的知識がすこしでもある方なら、この1週間前はどうやってからだの調子を整えるかよく知っています。そうした心がけが、女性の体の養生という意味で非常に大切だと思います。

 以前、製薬会社の方から、皮膚科・婦人科・小児科というのは、西洋医薬でいい薬がなかなか開発されてこないという話を聞きました。身近な症状だけど、意外と治療が難しい分野なのです。
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2010年06月18日

ステロイドの使用

 昨日、ある患者さんからメールをいただきました。診断はネフローゼ(微小変化型・頻回再発型)なのですが、とりあえず尿タンパクが陰性に落ち着いたということでした。

 この患者さんも、もともとは西洋医学での治療を続けていたのですが、ステロイドを止めてしまうと再発するため、その繰り返しに頭を悩ませておられました。一旦ステロイドを導入してしまうと、今度は減量に非常に長い時間を必要とします。そうなると、ステロイドや免疫抑制剤による副作用の問題が、どうしても避けられなくなってしまいます。ステロイドの減量法にも様々なやり方がありますが、まだ患者さん個人の事情にあわせてものまではあまりないように思います。
 結局、この患者さんも漢方治療に対して主治医の同意が得られず、結局ステロイドの増量を止め、一時期4+まで尿タンパクが増えたのですが、体調は漢方(生薬)の服用のためかすこぶる調子が良く、そのまま食事療法や生活習慣の改善などで、尿タンパクは徐々に減っていき、この6月にはついに陰性になったというご連絡をいただきました。

 実はこういった症例は、中国には結構あります。私も、大学病院では腎臓内科にいましたので、子どもから大人までネフローゼの患者さんと多数接してきました。尿タンパクの問題では、現代の西洋医学もいろいろな進歩があります。しかし、どうしてもステロイドや免疫抑制剤を使うことが多いため、正直、患者さんご自身や親御さんの心の葛藤がよく見られます。

 もちろん、中国の場合でも、純粋に中医学で治療するケースモあれば、西洋医学と併用して治療するケースもあります。軽いネフローゼの再発なら、ステロイドの量を増やす前に、まず中医薬の処方を変え、経過を観察するのも一つの方法として実践されています。再発の発生回数を観察する限り、漢方薬を導入した方がまだ抑えられています。さらに、治療と同時に日常の食生活や生活リズムなど、変えられる問題点はたくさんあります。

 一般に、日本の西洋医学の先生からすると、漢方とか中医学を使ってネフローゼの治療をすることは考えられないことのように思われることが多いのですが、中国ではむしろ使う方が一般的です。ただし、どういう患者さんに漢方や中医学を導入すると有効なのか、やはり専門医の判断が必要なのですが、残念ながら日本ではなかなか理解が得られません。

 ネフローゼの場合、数値が良くなければ効果があったとは言えません。漢方や中医学の本領が発揮できる分野でもあります。こうやって改善されてくる患者さんに沢山出会っていると、もう少し日本の医療現場で漢方や中医学が認識されてもいいのではないかと思わずにはいられません。そうするだけでも、患者さんの悩みが少しでも解決できるのではと思わずにはいられません。

 病気を治すのには、薬だけではダメです。患者さんご本人の理解と協力がなければなかなか目的は達成できません。
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2010年05月04日

裘沛然先生が逝去されました

 上海で、中医学を牽引されてこられた名医が5月3日午前5時に上海竜華医院で亡くなりました。97歳でした。

 上海中医薬大学の終身教授で、国医大師とも呼ばれ、国家クラスの中医師として活躍されました。

 中医学では、学術的にも様々な実績を残されており、また文化人として辞書の編纂などにも携わっておりました。中医学に携わっている医師ならまず知らない人はいないでしょう。それぐらい有名な先生でした。

 その実績としてよく紹介されるのが、『傷寒論』と『温病学』の一体論、さらに「難病治療における八つの治療原則」、「経絡と体の聯絡学説」などが有名ですが、純粋な中医学の発展に独自の見解を数々発表されました。

 上海では、勉強会などにも多数お話を伺いましたが、ものすごいヘビースモーカーとして有名で、講義中もおもむろにタバコを取り出しておられました。さらに、寧波訛りの中国語はかなり難しく、中国人相手の講義でも、先生の弟子による通訳を入れてました。

 ご冥福をお祈りいたします。
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2009年12月21日

顔徳馨先生の処方とまたばったり

 顔徳馨先生と縁があるのか、私もよくわかりませんが、先日お話しした顔徳馨先生の処方をもって、また違う患者さんがやってきました。
 どうやら、顔徳馨先生が市内の薬局のイベントに出られ、そのときに患者さんにチャリティーで処方をされたようです。そうでもないと、なかなか先生の処方をみることはできません。
 90歳のご高齢にかかわらず、ご苦労様です。

 今度は、ストレス性の慢性の下痢のようです。せっかくなので、また処方を紹介させていただきます。

 党参10 蒼朮12 砂仁6 茯苓10 呉茱萸3 炮姜3 防風10
 陳皮6  白芍10 葛根10 黄芩6 知母10 川萆薢15 丹参15
 川芎10 車前草30

 この処方も生薬の量は控えめです。葛根黄芩黄連湯や痛瀉要方など名処方がちらほらしています。
 車前草とはオオバコのことです。ここでは、種だけでなく生薬全体をつかっています。もともと利尿作用てきな働きがあるのですが、尿をたくさん出させて下痢を止めるという「湿性泄瀉」の治療ではよく使います。そのほか、目の痛みや赤み、黄色い痰が出るような咳などにも使われます。

 呉茱萸 炮姜なんかも出したくなる組み合わせですね。で、ここで滋陰降火作用のある知母と解毒+利湿作用のある萆薢を併用。萆薢は、湿系の「おりもの」の治療にも使ったりします。

 服用された患者さんから、また効果を聞いてみます。
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2009年12月20日

顔徳馨先生の処方と黒豆

 中国では、中医病院にやってきて、いつも服用している薬だけを処方にこられる患者さんが少なくありません。患者さんの意志で来られているので、普通は処方を写してあげるのですが、時には日頃滅多に出会えない超有名な先生の処方を持ってこられる方もおり、私もしっかりと勉強させていただきます。

 今回みたのは、中国の中医大師で、上海市名老中医でもある顔徳馨先生の処方。先生は今年90歳。まだまだ現役で患者さんを診察しておられます。
 やってこられた患者さんは70歳前後の女性で、血圧が高く、のどの渇きや盗汗を主訴として訴えていました。

 出された処方は、

桑葉6 鈎藤18 生地10 女貞子10 黒豆衣10 黄連3 枳殻6
半夏10 澤瀉30 桂枝2 陳皮6  青皮6  茯苓10 車前子30
懐牛膝30 甘草5 荷葉10

 と非常にシンプルなものでした。

 この中で、私ならきっと思い浮かばなかった生薬として黒豆衣がありました。
 これは黒豆の外側の黒い皮のことです。主な効能として、養血平肝・滋陰止汗となっています。陰を補うところから、盗汗の治療に使われます。地骨皮や浮小麦などと組み合わせるのもよさそう。

 皮だけでなく、正月でおなじみの黒豆も薬膳の世界ではよく使われるモノで、補腎の作用があることから、腰や膝のだるさ、浮腫などの治療に使うほか、肌の美白効果があるともいわれているのです。肌をよくするという意味ではよく使われます。あと、解毒作用もあり、中毒になったときなども使います。

 これから正月によく食べる黒豆。「黒」という色からもわかるように、寒い冬の体を養うのにはもってこいの生薬(食材)です。ちなみに、黒豆は中国ではよく馬の飼料に用いられていて、「馬料豆」ともいわれていました。
posted by 藤田 康介 at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察