2014年04月29日

上海で始まった新医師資格制度、「住院医師規範化培訓制度」

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 私が医学生をしていたときと比較して、資格制度がますます複雑になってきました。以下は西洋医師も中医学医師も同じ扱いになります。
  これまでは、5年制の大学を卒業して、1年間付属病院で研修して医師国家試験の受験資格を獲得し、登録医として登録されてから医療行為をするという仕組みでした。これらは比較的古い制度の延長で、卒業した大学生をそれぞれの職場に分配するというのが原則でした。ただ、これでは卒業後の研修施設によるレベルの違いも大きく、ましてや1年程度の研修では習得できる知識も限られています。その後は、各医療機関によるトレーニングに大きく依存することになります。

 私自身の場合は、大学卒業後、大学付属病院で6年間過ごしたので、そこで中医学の臨床トレーニングを受けてきました。修士課程3年終了後に医師国家試験受験資格が与えられ、合格後引き続き博士課程で3年間臨床を続けました。

 そこで、3年前から上海市がはじめたのが、国の定める医師国家試験とは別に設置された「住院医師規範化培訓制度」という研修制度で、上海市内全域ではすでに実施され、ついに全国でも行われることが決まりました。特徴は、カリキュラムが上海市で統一されていて、最終的には統一試験をパスしないといけないという点です。

 これまでは、卒業後の研修は病院単位で行われていましたから、明らかに制度が違います。現在、上海市内には大学附属病院を中心に50箇所の医療機関でこの制度を受け入れています。研修中は給与をもらえるので研修医として働くことになります。

 指定医院での住院医師規範化培訓制度に参加しないといけないのは、5年間の医学部本科生を卒業した場合なら3年間、修士課程3年修了した場合は2年間、博士課程までの6年を修了した場合は1年間程度の研修で上海市の統一試験を受験する資格が与えられます。もし合格しなければ、続いては自費で継続研修を受けて、合格まで頑張らなくてはいけません。言い換えると、合格できなければ、医師免許を持っていても臨床医(登録医)として仕事ができないということになります。

 しかし、ここ数年は制度の変化が多いですよね。今年からスタートした医師の定期考査試験もそうだし、大学卒業後にすぐに3年間研修する病院を探すのもまた大変な競争になることでしょう。医師不足が上海ですら叫ばれる中、ころころかわる制度に翻弄されるのが我ら中国での現場の臨床医ということになります。

おしらせ

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2013年02月03日

中国のAmazonで中医学原書の電子版を買う

 実は我が家の書斎には、中医学の本が所狭しと並んでいて、最近ではダイニングまで侵出してきているのですが、中医学に携わっていると、書籍の増加は頭が痛い問題です。
 日本ではこういった専門書は値段も高いし、電子化もほとんど進んいないので厄介なのですが、こちら中国では近年電子化が急速に進んでいます。地下鉄に乗っていても、Kindleや中国ブランドの端末で読書をしている人をよく見かけます。

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(用途によって大小を使い分けています)

 私もiPad miniが発売されてから、Kindleのアプリをダウンロードして活用させてもらっていますが、最近ちょっとしたことに気がつきました。それは、中国のAmazon(亚马逊)(http://www.amazon.cn/)の活用です。

 まず、知っておかないといけないのは、Amazon.co.jpとAmazon.cnのアカウントは同じではないということ。つまり、同じAmazonでも日本サイトでのアカウントと中国のアカウントは別物であるということ。もちろん、同じIDでもいいのですが、そうすると以下のことができません。そのことを最近になって知りました。(^_^)


 つまり、日本語サイトでKindle向けに買った書籍は、日本のIDでログインすると読めますが、中国のIDではむりで、その逆もまた然りなのです。「設定」でIDを切り替えると、「端末にダウンロードされた書籍は削除されます」と表示されるので、一瞬どきっとしてしまったのですが、実はそうではなく、Kindleのクラウドに保存された書籍は残されています。つまり、アカウントを変更しても、クラウドから自動的にダウンロードしてきてくれるので、端末で削除されても全然問題ないのですね。(ただし、IDは入力しなおす必要がありますが。)

 ということで、Amazon.cnにある中医学の原書も現地価格でダウンロードできますし、もちろん中国にいる我々も、日本の書籍をダウンロードしてきて読むことができます。幸い、中医学の原書は古いモノばかり。著作権の縛りがすくないのか、本の種類はなかなか揃ってきています。日本のクレジットカードでの決済もできます。

 本が増えてきたら、中国語と日本語で2台のiPad miniを使い分けてもよいかも。双方で参照したりするのに便利ですし、原書と違って持ち運びもぜんぜん苦にならない。便利な世の中になったものです。

posted by 藤田 康介 at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2012年07月27日

長寿の秘訣には社会活動も大切だそうで

 今朝のニュースで、日本人女性の平均余命が85.90歳で、世界一の座を香港に譲ったということが大きく報道されていましたが、香港と言えば薬膳を代表する食養も盛んだし、なんといっても中医学の文化も残っているところなので、こうしたことも関係しているのでは?と勝手に想像していました。

 長生きの秘訣について、2012年6月18日のアサヒコムの記事に、長生きの秘訣3要素は運動・栄養・そして…静岡県調査というのがあがっていました。中国では、同様の記事を新華社が翻訳して発信していて、結構広く知られています。

 結果として、長寿である人の特徴として、毎週5日間以上散歩などの運動を心がけ、3食に大豆製品や魚・肉・卵などのタンパク質を摂取し、さらにボランティアなどの社会活動にも参加することも大切ということでした。

 とくに、上記の三条件のうち、すべて満たした人はどれも満たされていなかった人と比較すると死亡率は51%低下し、さらに栄養と運動を満たしていて、社会活動を行わない人との比較の場合、死亡率が32%低下にとどまることがわかり、高齢者の社会活動の重要性が浮き彫りになったと新華社は報道しています。

 運動と野菜だけでなく、肉とのバランスの良い食事は中医学の世界でも強調されますが、たとえば太極拳や気功などの練習も、グループでやったりすることで、社会性を高めることができるのではと思うのでした。
posted by 藤田 康介 at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2012年05月24日

中医学や漢方医学のはたす役割はまだまだあると思う

 現代医学は、遺伝子治療にまで進歩し、論文を読んでいる限りでは、あたかもすべての病気が治療できるようなイメージをもってしまいがちですが、中医学や日本漢方といった伝統医学も私はまだまだ活躍する場面があると思います。

 確かに、原因が特定され、はっきりと治療法が分かっている場合だったら、西洋医学は圧倒的に有利です。例えば、癌治療で外科的手術が出来る場合なら、私は絶対西洋医学を優先するべきだと思います。でも、残念ながら、私が日頃臨床で出くわす問題は、そうではないのです。

 先日も数ヶ月にわたって咳が止まらない患者さんが来られました。日本で西洋医学の検査をやっても原因が特定できず、初めは半信半疑で中医学の煎じ薬を試されたようです。そうすると、びっくり。2週間ぐらいで症状が改善し、咳で喋ることが難しく、仕事への影響も出ていたということなのですが、先日お会いしたら咳がまったく無くなってしまいました。患者さん自身も驚いていました。慢性の咳に関しては、私自身も困ったことがあり、学生時代はしばらく竜華医院呼吸器科の邵長栄教授のもとへ通って勉強させていただきました。先生の達筆なカルテを分析するのには時間を要しましたが、独創的な弁証方法で、目からうろこでした。このように、中医学では自由な発想で治療方法を組み立てることができる独創性があり、そこから効果を引き出すことができます。

 そのほかにも、頑固な湿疹が治ってしまったり、マッサージなどでも治らなかった肩こりや頭痛が治ってしまったり。そういう症例が結構出て来ます。不妊治療もそうでしょう。一部の西洋医学の医師から、不妊治療では漢方は効かない、と毛嫌いされているようですが、実際にはやっぱり100%ではないにしろ、ちゃんと結果的には妊娠してしまいます。

 もちろん、全部が全部効果があるとはいいません。でもなにがしらいい結果をもたらす可能性が、中医学や漢方医学にはあります。それは、西洋医学の「症例」として上げることはできないかもしれないけど、個別の症状を解決することができるという伝統医学ならではの特性と可能性があると思います。だから中医学では症例のことを「病案」というんです。
 一般に、西洋医学では患者さんお病気・ケガなろの症状の経過や分析を症例とか病例といいますが、中医学では病案とか脈案といいます。中国語でもこの点は区別されています。中医学では、「案」という言い方をするのが私は好きです。これはすなわち一般的な「例」ではなく、「案」という言葉が指し示すように医者や患者さんの考えや思考のエキスが詰まったものなのです。
 ちなみに、脈案というのは、中医学では昔から脈を重視したから。私も中医学や漢方医学で診察するのなら、脈は非常に大切だと思います。カルテを書きながら、脈をとるという中医学の先生も中国で時々みますが、私は真剣度から言えばどうもいただけない。

 医療の中の治療手段のひとつとして、中医学や漢方医学を活用してもらえたら、私は嬉しいです。現代医学がいくら発展してきてもまだその役割がしっかりと息づいているのです。いわゆる、西洋医学の隙間を埋めていくのが伝統医学であり、両者は対立するものでは決してないのです。
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2012年03月24日

WHOのICD-11改定への中医学の動き

 WHOがICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)のICD-11への改定作業を行っていますが、今回からは伝統医学の国際疾病分類が加わることになり、各国が制定作業を行ってきていました。近日、この分野に関しては、中国の報道ではついに初版ができたようで、伝統医学の標準化に関して、大きく前進することになるかと思います。

 これまで使われてきたICD−10では、西洋医学の名称と定義、さらにコード名しか定められていませんでした。2008年にWHOがICD−11の制定作業を始めるにあたって、伝統医学も含まれることになり、日本・中国・韓国を中心に、中医学を起源とする伝統医学をもつ国々で作業が行われてきました。中国サイドでは、中国国家中医薬管理局が上海市中医薬発展弁公室に作業を委託され、中国全国の中医学の専門家が関わってきました。

 こちらの報道では、日本漢方や韓医学の特徴も踏まえながら、中医学の理論体系をICDの要求にあわせて制定作業を行ったとされており、140の中医学でよくみられる疾患と253タイプの典型的な証に整理し、WHOに提出したと言うことです。

 どういう過程で制定されてきたかは私は詳しくは分かりませんが、いずれにしろICDに整理されたことは、意義有ることだとはおもいます。
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2012年02月28日

中医学の継承の難しさ・・・老中医の逝去

 2月23日、浙江省杭州で、中国での『金匱要略』の権威の一人である、何任教授が亡くなりました。93歳でした。『金匱要略』は、中医学や漢方医学を勉強した人なら必ず1度は読み込む本です。それだけに、この先生の本を読んだことがある人は非常に多いと思います。元、浙江中医学院の院長でした。

 何教授は、中国政府が中医学に貢献のあった老中医(ベテランの中医師)に送る「国医大師」の称号も受けられており、教育の世界でもご尽力されました。上海にも何度もこられ、私も講義を受けたことがあります。幸運なことに、私が上海中医薬大学に在籍していた90年代のころは、まだまだ「国医大師」の先生方が、ご高齢ながらも第一線で診察をされていたので、その外来のお供をさせてもらったことがたびたびありました。今となっては、そのときの記憶が本当に大切な宝物になっています。

 中国の中医学の世界では、先の「文○」の影響もあり、50〜60歳代のベテラン中医師の人材の層が薄いのが問題で、技術の継承に大きな障害が出ています。いまでこそ、危機感をもって継承問題に取り組んでいるようですが、時は遅しといった感じは拭えません。中には、「国医大師」の称号を受けたら命がなくなる、と揶揄する人もいるぐらいです。

 伝統医学では自分の師匠の先生とのつながりが非常に大切です。今度、またご自宅を訪問してきます。

 ご冥福をお祈りします。
posted by 藤田 康介 at 08:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年12月29日

偶然の喜び・・中医学の不妊治療から無事出産された患者さんからのすごいシンクロ体験

 中医学はテリトリーが広く、毎日本当に様々な主訴の治療の研究を行っています。

 不妊症の治療もその一つですが、先日、無事妊娠されたあるご夫婦で不妊治療に来られていた患者さんからものすごく嬉しくて、かつ不思議なシンクロのあったメールを頂きました。思わず、ここで紹介したい衝動にかられました。

 患者さんから頂いたメールには、

「(前略)・・・・私はおかげさまで女の子を出産しました。ありがとうございます。○月××日の明け方3時半頃にお産を終えたのですが、その数時間後に病室で藤田先生が出演されている「トクダネ」の放送を観ました。地下鉄事故の解説をなさっている藤田先生のお声を聞きながら、無事に出産を終えた喜びに浸っていました。・・・(後略)」

 とあったのですが、今思い出すと、そういえば、○月××日と言えば上海地下鉄10号線事故があって間もない頃で、その後の夜に東京のフジテレビの「とくダネ!」番組スタッフから私の携帯に電話がかかってきて、事故についての私の見解を述べる電話インタビューがありました。

 ここまで読んだだけでも、かなりの偶然でびっくりなのですが、実はこの○月××日というのは私の誕生日だったのです!
 つまり、生まれてきた女の子と私は偶然にも同じ誕生日。これだけ幾重にも偶然が重なることがあるんだと、喜びはもちろんのこと、本当におったまげました。

 新しい生命の誕生に私が関わることができたことは大変光栄で嬉しく思います。また中医学で不妊治療に研究をしての醍醐味です。来年2012年も少しでも沢山の子供たちが元気に生まれてきてくれるためのお手伝いができたらと思っています。

 私と同じ日に生まれた赤ちゃんの写真をお母さんから頂きました。大切な記念とさせてください。
posted by 藤田 康介 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年07月16日

いのち。。。。

 先週診察した中国人の患者さん。上海でいうと、持ち家有り、マイカー有り、子供有りのいわゆる富裕層にはいる家族のご夫婦。
 最近、こういう上海人家庭が増えています。一人っ子政策の緩和で、2人目を合法に出産できるようになった上海ですが、私がいつもびっくりするのは、人工中絶をいとも簡単に決心し、実行してしまうお母さんの心理。

 様々な理由が重なり、産みたくても流産してしまい、中医学による治療にこられる患者さんが来られる一方で、自分の都合のよい時期に妊娠できなかったからといって中絶させてしまうのは、う〜ん、と思わずにはいられません。

 この日診察したある上海人のお母さんも、1人目を出産したあと、様々な理由で人工中絶を3回しています。今度は、2人目を本当に欲しいからということで、私の元に治療に通っておられますが、その前に私はぜひお寺にでもいってどんな形でも亡くなった命を弔って欲しいとお願いしました。

 豊かになってきて、モノに関しては日本も上海も大差はないような気はしますが、それでも色々な価値観や理念の違いはあります。でも、ヒトとしての根本的道徳は、同じだと私は信じています。

 ちなみに、上海人の既婚者の間では、コンドームよりペッサリーが広く普及していることもまた驚きです。
posted by 藤田 康介 at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年05月31日

きっと、なんとかなるものである

 5月も今日で最後です。

 患者さんの症状が改善され、いよいよ生薬を服用しなくてもよくなった、という瞬間は、私にとっても非常に嬉しい限りです。

 先日も、すこし鬱気味の女性で、しばらく仕事にも行けなかったのですが、やっと仕事に復帰できる状態にまで改善されました。一時は、針灸治療と生薬を一緒に使ったのですが、最終的には生薬だけになり、きっとあとしばらくしたら生薬も止めることが出来るようになる思います。
 精神的な疾患に関しては、実に様々なパターンがあり、単に弁証だけで解決できないことも少なくないのですが、中医学や漢方では確かに効果が出せる分野ではないかと思います。私も16年間上海におります。大学の学部を卒業してもう10年になりました。私の上海生活のノウハウでもすこしお伝えすることができれば、きっと気分も楽になるのではと思っています。

 そして、その同じ日に妊娠しましたという嬉しい知らせがもいただきました。ただ、これからは流産しないようにケアが正念場です。今度こそうまく行きますように!と心底願っています。

 さらに、中医学を知ってから、ご自身が非常に健康に気をつけるようになり、これではダメだと減量に力を入れられ、毎週着実に体重を減らしてこられている方も、喜ばしい顔を見せに来てくださいました。

 すべてがうまくいくほど人体は単純ではありません。ただ、少しでも患者さんが前に進むことができたら、私が中医学をやってきてよかったと思うのです。

 私も日々コツコツと勉強を進めます。
posted by 藤田 康介 at 18:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年05月19日

日本でいつもの歯科へ 歯と全身疾患

 年に何回は日本に戻ったときに歯医者に行くようにしています。

 歯医者だけは、医師とのフィーリングや考え方のマッチングが大切だし、一度削ったり埋めたりすると毎日使うものだけに一生関係があり、食生活に影響もでてきます。
 最近は、歯周ポケットの問題も日本ではいろいろ言われてきていますが、残念ながら上海ではまだ一般的にはそこまで意識は高まってきていないように思います。

 私がいつも行っている大阪柏原市にある杉本歯科院も、毎回予約が大変なのですが、歯の病気と体全体の疾患の関連性を強調されており、しかも自分の歯をどのように活かし続けるかもいろいろ研究されており、そういった観点から私は共感しています。
 また、インプラントなどをされる方が増えている一方で、失敗例も少なくなく、その不具合が場合によっては全身疾患を引き起こすこともあり、先生のところにも遠くから患者が来られていられました。改めて歯の重要性を実感させられます。

 先生も私が上海で中医学の医師をやっていることをご存じということもあり、そうした歯科のお話を伺うのは、非常に勉強になりました。

 歯周病も放っておくことができません。最近の研究では、歯周病菌が動脈硬化したところから見つかったり、また歯が出血することで、そうした細菌が血液内に入ってしまうことも分かってきています。さらに、歯周病で歯を失ってしまうと、心筋梗塞にかかりやすいというデータもあります。歯というのは、全身疾患とも非常に深い関係があることが分かります。

 ただ、年齢とともに免疫力(抵抗力)が弱ってきたら、歯周病や虫歯など歯のトラブルも増えてくる傾向にあるといいます。免疫力は日々の生活やストレスと密接に関係していますから、歯の変化は大切なからだのバロメータなのです。

 中国医学的整体概念も、歯科の分野で重視されてくるのは、今後の流なのではないかと思います。
posted by 藤田 康介 at 10:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年04月14日

子供からのお手紙

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 昨日の中医クリックの診察で、私が診察している幼稚園児のお子さんから「せんせい、だいすきです」とお手紙をいただきました。黒ハート

 いや、なんか嬉しいです。。。。大事に保管しておきます!

 小さい子供に漢方薬を飲ませるのを大変だと思っていらっしゃる方も多いかと思います。

 実際に、他の病院で処方された漢方薬が飲めなかったり、砂糖やお菓子で紛らわせているお母さんも多いですが、私がみているかぎり、それほど身構えなくても大部分の子供はちゃんと煎じ薬を飲んでくれています。お菓子を食べないで!と言っているのに、薬を飲むときにお菓子を食べていたら意味がありませんしね。

 ただ、難しいのが小学校高学年や中学生ぐらいの子供たち。好き嫌いが激しい子供に限って、漢方服用にふさわしい疾患を持っている症例が多く、味を受け付けないということがあります。小さい頃からこの味をしっておれば、問題ないのですが。。。

 生薬を服用することがストレスになってしまうと本末転倒です。

 子供自身も、効果があることが実感できれば、自分から飲んでくれるようになることもあります。このあたり、処方する医師とのコミュニュケーションが大切だと私は考えます。

 子供たちの笑顔を励みに、今日もがんばります。
posted by 藤田 康介 at 08:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年03月21日

日本の鍼灸師の先生方

 これも何かのご縁かと思います。
 千客万来は嬉しい限りです。

 日本の東京からわざわざ日本医学柔整鍼灸専門学校のスタッフや鍼灸師の先生方が来られました。私自身が、夜の診察の時しか時間が取れなかったにもかかわらず、ご足労いただいて非常に恐縮です。ありがとうございました。1時間ほどいろいろ交流させていただきました。

 中医学をしている以上、日本の鍼灸や薬剤師の先生方との交流は日頃からあるのですが、結構、中医学系の先生との交流が多いため、日本の鍼灸の先生とお会いできて非常に光栄でした。

 東北東日本大震災の影響で、医療の世界も大変なことになっていますが、いろいろお話を伺っていると、鍼灸師や柔道整復師の先生方も、被災地でボランティアとして施術に行っておられると言うことです。

 医療機器や医薬品が被災地で不足する中、鍼灸がもし現場で使えるのなら、これはかなり役立つはずです。カゼはもちろんのこと、不眠症の治療、腹痛や便秘などの症状にも、針ならばとりあえずの応急処置はできます。

 中国では、鍼灸をしている中医学の先生が、カバンの中に鍼灸セットを忍ばせていて、鉄道や飛行機などで急病人が出たときに医師として手を挙げて治療されます。それぐらい鍼灸の世界は応用範囲が広いのです。

 日本では、昨今、就職難のあおりをうけて、鍼灸師などの資格を目指す人が増えていると聞きます。確かに独立開業できるチャンスでもありますが、数が増えすぎて過当競争にもなってきているみたいです。でも、伝統医学のすばらしさを、こうした学習を通じて知っていただければ、裾野が広がるわけですし、決して悪いことではないと思います。

 若い鍼灸師の先生からは、まだまだ治療に対して自身が持てないといったお話も伺いました。
 
 私も臨床に出たばかりのころは、果たして中医学で本当に効果があるのかいろいろ不安がありました。でも、諦めずに師匠につきながら地道に経験を積んでいくうちに、実は想像以上の効果があることが実感できるようになってきました。私の中医学の師匠、上海中医薬大学附属龍華医院の陳以平教授には、本当に感謝しています。

 日本人であるからこそ、中国人には見えない中医学に魅力を感じることができ、そしてそれを実践していかなくてはいけません。純粋な医療としての中医学の発展に、私もがんばって行きたいと思っています。

 しかし、日本でせっかく伝統医学の知識を専門的に勉強している鍼灸師の先生が、生薬を処方できないというのは(少なくとも専門学校などで勉強しないというのは)なんか間違っていると思います。伝統医学は鍼灸以外にも、生薬など内服の薬を結合することで初めて本領を発揮するのですから。
posted by 藤田 康介 at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年02月07日

辛兎年がいよいよスタートです

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(黄山の峰)


 2011年2月3日に中国農歴(旧暦)の新年がスタートしました。

 旧暦からみると、庚寅年から今年は辛兎年になります。街中爆竹が鳴り響き、すこし郊外に行くと店という店がすべて閉まっていました。私自身も、家族を連れて新年明けは黄山へ、ちょっとしたハイキングとドライブを楽しみました。

 詳しくはこちらをご覧ください。

 今年も2月7日から春節明けの診察がスタートしました。病院のスタッフも徐々に戻ってきました。

 辛兎年もブログ共々よろしくお願い申しあげます。

 中国での生活が長くなると、春節を越えないとどうも新年が来た感覚になりませんね。昔は逆だったのですが。。。。でも、日本では昔は春節がありました。季節的には、春節に正月を迎える方が、春の到来を実感できていいのでしょうけど。

 春節を過ぎた途端に、上海はめっきりと暖かくなりました。
posted by 藤田 康介 at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年01月13日

久しぶりに母校・上海中医薬大学を訪れて

 久しぶりに母校の上海中医薬大学を訪れました。

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 上海に住んでいるとはいえ、張江ハイテクパークにあるキャンパスに行くことは、大学院修了後滅多になくなりました。大学の教授に呼ばれて出かけたのですが、ついでに私が留学していた頃、いろいろお世話になった留学生事務所の先生にも会いました。

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 風の便りか、私のブログを読んでか知りませんが、私の近況をよくご存じで、すっかり驚いてしまいました。でも、こうやって目の前で会うと、いろいろ懐かしい限りです。

 私の医学部時代は、キャンパスが徐家匯にあり、ちょうど付属竜華医院の隣だったのですが、修士課程に入ったころに引っ越しし、浦東新区張江ハイテクパークの今の場所になりました。徐家匯の旧キャンパスには6年間いましたし、クラスで一人の日本人であったこともあり、いろいろな思い入れがあります。

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 一方で、大学院での生活は新キャンパスでした。動物実験などでキャンパス中を走り回っていましたが、それも今となっては良い思い出です。

 こうやって自分の母校を訪れてみると、何かものすごく新鮮な感じがします。エネルギーをもらえた気分もします。

 大学の先生からも、また顔を出して近況を教えて、とも言われたので、運動がてら自転車で出かけてみたいと思います。新キャンパスは敷地も広く、郊外で空気も悪くないので、とてもいい感じです。

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 ちなみに、新キャンパスの図書館の1階には中医関係の本を販売している書店があります。中医学系の本では品揃えも悪くないので、結構おすすめです。(写真は母校の図書館です。暖房が入っていて暖かかった!)

 忘れた頃に連絡が来る。。。まさに中国的な人のつきあいですね。
posted by 藤田 康介 at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年01月10日

哇!樱花博客可以用中文了

SAKURA Blog (樱花博客)能否使用中文是对我来说很关键的问题。因为很多中药的名称和中医的术语都是日语的常用汉字里面没有。

至少我刚开始使用SAKURA Blog时中文都是乱码的。但是我偶然发现上一次的系统改良以后好像可以用中文了。

目前Mixi还不能用中文。连腊月的腊都不显示。很郁闷。。。。

这一点Explore Blog好!它早就支持中文了。
posted by 藤田 康介 at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2011年01月01日

あけましておめでとうございます

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 2011年はカンボジアから上海へ戻る飛行機の上で新年を迎えました。

 アンコール・ワットからのぼる太陽に、心が動かされました。

 このブログは、主に中医学や健康について、日頃診察をして思っていることをざっくばらんに書いていますが、今年こそはできるだけ更新できるようにがんばります。

 「我が愛しの上海へ・1」同様、本年もよろしくお願いします。

2011年1月1日 藤田 康介
posted by 藤田 康介 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2010年08月10日

多様化する在上海日本人

 うちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックに来られる様々な患者さんをみていると、この上海における日本人社会の多様化に気づかされることがあります。

 もともと、私がローカルの病院にいてたころは、中国人の患者さんを診察することが多く、地元の方が大部分だったので、当然さまざまな世代の方が来られていたのですが、これと同じ傾向が最近の日本人の患者さんのなかでもあります。

 上海に在住する日本人でも、私が診察している最高齢の方は90歳を超えていますし、生まれて数ヶ月の赤ちゃんも含めると、その年齢層が非常に厚いのです。特に、最近は退職後に上海に来られる方も多く、年齢層が高くなる傾向にあるように思います。いずれにしろ、上海の街があらゆる層の日本人にとっても住みやすくなった証拠だとも言えます。

 私よりもはるか年齢の高い人生の先輩に、診察室でお会いできることは、私にとってもまさに「一会一期」であり、逆に色々なことを学ばせていただいております。

 私自身の経験を踏まえながら、何かお役に立てることができないか考える今日この頃です。
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2010年07月25日

どんな症状でも話してください

 中医学や漢方など伝統医学で診察するとき、検査結果の数字も大切ですが、やはり大きなウエイトを占めるのが主訴をはじめとする患者さんの症状です。もちろん、医師がすぐ診てわかる場合もあれば、大抵の場合は患者さんご自身から言葉の形で表現されてくることが多いように思います。

 小さい頃から中医学に親しんでいる中国人や華僑、台湾人・香港人などの患者さんはそういった表現が結構特異なのですが、日本人の患者さんではなかなかどのように表現したらよいのか分からないという方が多いように思います。

 たとえば、皮膚疾患で来られた場合、皮膚の状態はいろいろお話してくださるのですが、皮膚とあまり関係ないと思われる症状に関しては、「え、先生ところではそういう症状も診るのですか?」と驚かれててしまうこともあるぐらいです。

 でも、実は主訴以外の症状に、その状態を解決する大きなキーワードがあったりして、ぽろりとおっしゃった言葉が、処方に大きく影響を与えることがたくさんあります。医学のなかでも、中医学や漢方医学が患者さんとの意思疎通を大事にする大きな理由がそこにあります。また、日本語のなかには、微妙な状態を表現できる言葉が結構多いため、いろいろお話してくださることが、処方の大きな助けになります。
 中国語で診察するときも同様で、例えば日頃上海語を使う人がやってくると、普通語にはない表現をお話してくださることがよくあります。おお!なるほど、と私が思うこともたびたびです。

 どんな小さな症状でも、話してくださることが我々中医師にとっては非常に貴重なことなのです。どんな小さな疾患でも、中医学は全身を診ますから。
posted by 藤田 康介 at 07:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2010年01月26日

うれしい知らせ

 うちのクリニックに来られる患者さんですが、一般的に女性のほうが多いのです。
 が、しばらく通ってられるうちに「妊娠しました!」と報告を受けることが最近多く、なんか私までもうれしくなってしまいます。

 今日も、またお電話をいただきました。

 もちろん、不妊の治療をされている方に限らず、体調がよくなってきて、めでたく妊娠というケースもあります。

 ほんのすこしのことなのですが、中医学や漢方に触れていただいて、健康に注意していただけるきっかけになればと思います。

 そのためのお手伝いが私の本望です。

 
posted by 藤田 康介 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ

2009年12月26日

柯雪帆先生が亡くなられました

 また、中医学の権威の先生が亡くなられました。

『傷寒論』の研究では、日本でもその名が知られている柯雪帆先生が、11月10日に82歳で亡くなられました。上海中医薬大学の傷寒論研究室で教鞭も執られておられましたが、1997年に病気で退職されており、私は直接教わってはいません。

 しかし、その後、ご縁があってたびたび先生のお宅にお邪魔させていただいたことがあり、控えめで温厚な先生の人柄に私もすっかりと引き込まれてしまいました。

 最近、中国の中医学の世界では、有名な先生方が次々とご高齢のため亡くなっておられます。私が上海中医薬大学の医学部で勉強してたとき、本当に多くの先生方の指導をうけましたが、多くの方は退職されてしまいました。考えてみれば非常にラッキーなわけで、私が中国で勉強・研究してきた最高の財産です。

 ご冥福をお祈りいたします。
posted by 藤田 康介 at 13:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感もろもろ