2010年01月29日

風邪をひいたら滋養強壮?!

 風邪をひいたら、皆さんも色々な方法で治療されていると思います。単に風邪薬を飲んだら終わり!という方は少ないと思います。

 私も、患者さんに風邪の時の対処法を聞いてみると、実に様々な答えが返ってきて興味深いです。もちろん、理にかなっているものもありますし、「ちょっとそれはおかしいぞ!」というのもあります。

 たとえば、風邪ひいて熱が出たとき、肉や卵類などの高タンパクのものを食べて元気をつけよう!と考える人もおられます。実は、この発想は中医学でも西洋医学でもすこしおかしい。

 卵を例にとってみると、卵は、タンパク質のかたまり。「非常に吸収がよく、栄養価も高いので発熱したときに元気をだすために食べよう!」というのは間違い。発熱しているときに、さらに余計なカロリーを注ぎ込むことになるので、体で発生する「熱」がさらに増加、発散が難しくなり、「火に油を注ぐ」ような結果となります。

 むしろ、熱があるときはあっさりとして消化しやすく、ビタミンが豊富な食べ物を食べるべきです。おかゆやおもゆ、果物類がおすすめなのはそのためです。なるべく胃腸に負担をかけてはいけない。
 
 そして、熱が下がったら、たとえば麺類とか野菜が混ざったおかゆなど徐々に硬いものを食べるようにしていきますが、それでもまだ高タンパク質のものはよくありません。

 回復期にはいったとき、初めて高タンパクな卵・肉・魚類を食べることが理にかなっています。

 このように解釈すると今の私たちにとってわかりやすいですが、実は2000年以上続く中医学や、日本の漢方医学でも同じような説明をします。

 風邪の引きはじめ、特に熱があるときは体を「補う」生薬は処方しません。「補う」生薬は消化器に負担をかけるだけでなく、体の中にとどまっている「邪気」という病気の原因にエネルギーを与えてしまい、かえって邪気の除去に支障がでてしまうのです。

 熱があるときは、人間の免疫力ともいえる正気と邪気が戦っている最中であり、このときはこの戦いが無事すむようにしてあげなければいけません。そこで、汗をかくことを強調するのです。おかゆを食べるのもそのためです。胃気を養い、邪気を発散させるのです。

 そして、熱が下がった後、発汗などの影響もあり、今度は陰を補うことを重視します。陰を補う生薬や食べ物が登場します。古来、「温病」という中医学の伝染病学という分野では、様々な陰の補い方を説明しています。また胃の気を補う「養胃気」も。

 完全に回復したあと、ここで初めて正気を補うために再び体の元気が出てくる「滋養強壮」系の生薬を使います。つまり、平常の状態にもどったとき、初めて「滋養強壮」が使えるというわけです。

 こうした高タンパクな食品や「滋養強壮」系の食べ物・生薬・漢方薬は値段もはりますし、手に入れるのも難しいことも。無駄にしないためにも、正しい摂取法でやっていきたいものです。
posted by 藤田 康介 at 06:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 中医学の魅力