2014年02月19日

進化する中国の中薬単味エキス剤

 安全で品質の安定した生薬をどうやって活用するか?というのは日本でも中国でも我々のように生薬を扱う医療関係者からすると切実な問題です。そんななかで、以前から私も自分の診察で使ってきている単味エキス剤の活用は、今後の流れではないかと思います。よく質問を受けるので、今日は少し紹介します。

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 単味エキス剤とは調薬ひとつひとつをエキス剤にして、分量を加減しながら調剤して服用するというやりかたで、日本にはないシステムです。日本漢方では、ツムラでお馴染みの葛根湯など複合処方のエキス剤がメインですが、逆に、中国では単味エキス剤しか認可されていません。

 おそらくですが、中国には製薬会社が非常に多く、複方エキス剤を認めてしまうとこうした中小企業が潰れてしまう可能性があり、利権が絡んでいるのかと思います。近い将来には複合エキス剤の製品も登場するはずです。

 中国では現在合法な6社が単味エキス剤を製造しています。それぞれが中国政府のGMP基準に基づいてエキス剤を提供していて、ISOの標準化問題でも討論されている分野でもあります。

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 単味エキス剤の最大のメリットは、やはり煎じ薬とは違う品質の安定性です。農薬が重金属の検査も非常にやりやすくなります。(煎じ薬のときは大変でした。)調剤場所を見ても分かりますが、300〜400種類の単味生薬が棚にぎっしりと並んでいて、とても清潔です。欧米の検査機関に持ち込んでも、単味顆粒エキス剤では残留農薬や重金属は検出されておらず、実際にオーストラリアなどにも輸出されています。

 いままで手作業で手間がかかっていた先煎じに関しても、エキス剤なら数時間単位でコントロールが可能になったほか、後入に関しても、揮発油成分の抽出で有効成分の保持が実現しています。さらに、有効成分の確認では、TCMF法(traditional chinese medicines fingerprints、フィンガープリント技術)や中国で過去20年間に蓄積された600あまりの生薬成分研究データが『中薬配方顆粒質量標準』として制定され、中国食品薬品監督管理局で登録されています。これらはエキス剤の品質管理の上で活用されています。

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 おそらく、中国は今後、単味エキス剤のISO標準化に関して、自国の基準を持ち出すことになるかと思いますが、日本とは違う観点でまた摩擦問題になるかもしれません。

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 薬剤師の先生による分包に関しても大きな変化です。ひとつひとつのカートリッジに生薬エキスが入っていて、このカートリッジをあるバーコードを機械に読み取らせ、自動的に分包するシステムがすでに導入されています。処方をパソコンから入力するので、調合ミスも防げます。

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 カートリッジ式のメリットは、在庫管理がラクなのと、粉末の生薬が湿気るのを最大限に防止できます。また、同じ単味でも、患者さん自身が小袋を沢山混ぜて服用するエキス剤を使っているメーカーもあるようですが、ひとつひとつの袋を破るのが大変で、しかも水に溶けにくかったり、医師も微妙な量調整が難しいといったデメリットがありましたが、このシステムを活用するとその心配がありません。密封されたカートリッジから、直接分包されるようになり、空気に触れる機械が明らかに減ります。

 顆粒剤の賞味期限は2年となっています。煎じ薬より明らかに長いですし、運ぶのも楽で、郵送もできます。出張するときの携帯も便利になりました。

 顆粒剤の製造では、さまざまな技術が活用されています。生薬によって、有効成分の抽出方法が違うからです。しかし、有効成分を抽出するからこそ、服用量を減らすことができます。従来の薬草では100g必要だった生薬が、5〜10gにまで減らすことが可能になりました。中成薬として市販されている糖分や澱粉まみれの甘ったるい顆粒剤と比較しても明らかに服用量が減ります。よく、私も患者さんから感冒の薬で有名な市販の板藍根冲剤が甘すぎると指摘されるのですが、板藍根のエキス剤は甘くありません。

 お湯に溶かして服用する単味エキス剤は、直接袋をあけて液体を服用する煎じ薬と比較して一手間増えますが、こうやって様々な最新技術が盛り込まれた、未来の中医学の方向性を考えさせる薬剤となってきています。

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2013年09月11日

秋のレンコン

 上海の世紀公園では、毎年蓮の花が鮮やかに咲きます。地元でも結構有名で、多くのカメラマンたちが撮影にきます。考えてみれば、上海料理にはレンコンをつかうものが多いですね。一番有名なのは、やはりレンコンの穴に餅米をつめた冷菜ではないでしょうか。

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 夏の疲れがでてくるこの時期、スタミナをつけようと思っても、胃腸の働きが今ひとつという人もおられるかもしれません。また、秋口の干燥も徐々に出て来ました。そんなときは、ぜひレンコンを試してみてください。

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藕節
 中医学ではレンコンのことを藕節といいます。藕節の主な効能は、涼血散瘀・除熱清胃解渇で、止血作用がある生薬としても有名です。藕節としては乾燥したものを使うことが多いですが、レンコン汁として生で使うと、喉の痛みや肺熱系の咳、頻尿、血尿、尿路感染、膀胱炎などでも使います。また、健脾開胃作用もあるので、お腹が弱っているときや下痢気味の時、お酒を飲み過ぎたときなどにも使えます。

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蓮心

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蓮葉

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蓮子肉

 レンコンはとっても便利な植物で、根っこは藕節として使いますし、葉っぱは荷葉として、実は蓮子肉として、さらに花托は蓮房として使います。実の中にある胚芽は蓮心として使い、不眠症や近年では高血圧にもよいとされています。

 蓮子肉は、薬膳でもよく登場します。胃腸の働きを整えるほか、慢性の下痢や不眠、夢精や女性のおりものの治療にも使われます。スープやお粥に入れると独特の食感がありますね。




8月〜9月の日本出張予定
posted by 藤田 康介 at 16:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2013年08月27日

華麗なる花、凌霄花

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先日、上海のとある友人のお宅をお邪魔したときに、庭に美しく咲いていた凌霄花をたまたま見つけました。とても素敵なお庭だったのですが、そのなかでも凌霄花が一段と目立っていました。

 凌霄花の花は、花そのものが夏から秋にかけての時期に収穫され、乾燥させて生薬として使われます。

 中医学的性質は辛・微寒、効能は活血破瘀、涼血袪風です。瘀血系の生理不順にも使いますが、私は顔に出てくるアトピー性皮膚炎には欠かせない生薬だと思っています。とくに、夜中に布団に入ったとき、身体が温もることで痒みが憎悪し、皮膚の赤みが強い時に、他の生薬を組み合わせながら使います。場合によっては、ニキビの治療でもでも使われることがあります。

 ただし、活血作用が強いので、妊婦や血虚・気虚の場合は使わない注意が必要といわれています。




8月〜9月の日本出張予定
 
 
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2013年08月11日

中医薬としての冬瓜

夏になると、中国でよく口にする冬瓜(とうがん)。最近、日本でもよく見かけるようになりました。繁殖力が強いから、みるみる大きくなり上海の市場にいくと、その存在感は圧倒的です。夏に収穫されますが、冬まで保存が利くので冬瓜と呼ばれます。

 一般に、市場にいってもそのまま1個持って帰ることはなく、スライスししてもらいます。

 我が家では、冬瓜+枝豆、冬瓜+干しエビの組み合わせでスープや炒め物を作ることが多いです。さっぱりとして淡白で、とろけるような果肉がとっても美味しい。

 こういう季節ものの野菜は、たいてい中医学では生薬として使われます。冬瓜の場合は、主に種を冬瓜子(とうがし)、皮を冬瓜皮(とうがひ)といい、中医薬局(いわゆる漢方薬局)にあります。

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 冬瓜子は痰熱系の咳・喉の痛みに使います。特に、肺癰(肺結核・肺化膿症・肺腫瘍など)で、慢性的な熱系の咳を伴う場合、腸癰(虫垂炎)の処方にも使われることが多いです。冬瓜皮は、利尿作用があることで有名。主に、浮腫に使いますが、その時は量は多めで30gを煎じます。

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 台湾では、冬瓜はお茶として飲むようですね。冬瓜茶は、いまや上海でも売られています。冬瓜を煮込むと、ドロドロになってしまい、ほぼ溶けてしまうような状態になりますが、これに黒砂糖をいれて、少々甘くしていただきます。上海にもありますが、なんとも香ばしい味がしました。夏の伝統的なスィーツですね。

 このあたりの生薬は、夏ならではのもの。

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 また、先日、浙江省の農村にいったときは、外で働く人たちが飲む定番の生薬「六月雪」を買って来ました。猛暑で、上海人定番の夏の炭酸飲料水、「塩汽水」が品切れだそうで、そんなときはこんなシンプルはお茶はいいと思います。葉っぱや枝を少々コップに入れて、常温のお水をいれるだけで色が出て来ます。六月雪は、私の中医学の師匠が得意として使われていた生薬だけに印象深いものがあります。

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2013年06月13日

ドクダミ(魚腥草)料理

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 鹿児島県湧水町にある丸池湧水は本当に美しい水で、水源として今でも使われているそうですが、そこからわき出る小川で、地元の方がドクダミを洗っておられました。採れたてのドクダミで、白い花もついていました。麦茶と一緒に、お茶として飲むのだそうです。

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 ドクダミは中医学では魚腥草といいます。日本では重薬や十薬とも呼ばれ、民間の漢方薬と扱われているようですが、中国では立派な生薬として扱われています。詳しくはこちらをご覧ください。

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 ドクダミ自体は、魚腥草というように、臭みを感じるかもしれませんが、一旦乾燥させると結構いい香りがします。

 四川省や貴州省では実際に魚腥草を野菜として食べます。上海でもスーパーLotusなどにいくと、ドクダミの根っこが手に入ります。これを生のままで切り刻んで、酢・醤油などで味付けして食べるのですが、この味はかなり好みが分かれますね。まずはニオイは強烈ですから。でも、乾燥させてお茶にすると結構美味しく飲めます。

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 古来から肺膿瘍のほか、気管支炎や肺炎などにも使われたドクダミ。このドクダミが優秀なのは、その抗菌力だと思います。黄色ブドウ球菌や肺炎レンサ球菌、溶連菌、真菌、インフルエンザウイルスなどにも一定の抑制力があることが分かっています。
 
 そのため、中医学の呼吸器科では欠かせない生薬の一つになっていて、注射剤も作られました。この注射剤は、私は外用薬としても重宝しています。また、尿道炎など泌尿器の感染症にも使われます。魚腥草には利尿作用もあるので、尿路感染に伴う排尿時の痛みなどでも効果がありました。
 日本の漢方では、内服として便秘症・風邪・蓄膿症に、外用としては痔・腫れ物・腰痛・冷え性などに使います。(難波恒雄先生の『生薬学概論』)とはいえ、日本では民間薬の範囲でしか使われていないのが少し残念ですね。

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2013年05月08日

生薬「淫羊藿(いんようかく)」という変わった名前

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 生薬・淫羊藿は、またの名を仙霊脾と呼びます。その性質は辛温ですが、比較的性質が穏やかなため、中医学の教科書では補腎壮陽・袪風除湿となっていますが、そほかにも強筋健骨や止咳平喘などの作用があると言われています。

 淫羊藿は、不妊症の治療や、手足の冷え、インポテツ、腰痛、頻尿などの処方によく使いますが、そのほかにも関節の痛みやしびれのうち、特に寒湿と呼ばれる冷えやだるさを伴うものにふさわしいとされています。

 この淫羊藿という字をみると、なんとも不思議な名称だとは思いませんか?

 これには有名なエピソードがあって、中国南北朝時代の医学者、陶弘景(456〜536)がこの名前をつけたと言われています。当時の遊牧民によると、羊が発情期この薬草をよく食べ、さらにオスはしっかりと勃起し、メスとの交配する回数や時間が増えるのだとか。その後、陶弘景がその草を現地で観察し、確かにその作用があると言うことで、「淫羊藿」という名前をつけたのだそうです。
 このように、動物たちへの効果の観察から人間にも応用された生薬というのは少なくありません。現在の薬理学の動物研究でも、男性ホルモンの働きを強める作用があったり、免疫力を高めたりすることがあるといわれています。

 その他、淫羊藿の強筋健骨作用では骨粗鬆症に、止咳平喘作用では抗菌や抗ウイルス作用、袪痰や咳止めや喘息を抑える働きが研究されています。特に、これらの中でも、陽虚の症状を伴うものには、もってこいということになります。


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2013年05月07日

生薬・葛の花(葛花)

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(左から粉葛根・柴葛根・葛花)

 葛根湯で出てくる葛根は、中医学でも日本漢方でもよく使う生薬です。中国ではスーパーでも売っていますが、そこで手に入るのは中国語で粉葛根と呼ばれるもの。一般に、生薬薬局にあり、中国の薬典で使われているのは柴葛根です。

 日本漢方の権威、難波恒夫先生の『生薬学概論』に出ている葛根の項目では、「粉白色でデンプン質に富んだものが良い」という記述があり、どうやら日本では粉葛根がいいとされているのですが、中国の薬典には褐色で繊維質の多い柴葛根を使うということなので、すこしとらえ方が違うような感じがします。

 ただ、一般に中医学の臨床では、高血圧や脳梗塞、狭心症などの治療では柴葛根の活血作用を活用し、発熱・下痢・肩こり・頭痛では粉葛根を使うことが多いですし、私もそう区別しています。

 もう一つ、あまり知られていない葛の生薬として、葛花があります。実際には、葛の花がまだ開花していない蕾の状態を使うのですが、二日酔いの症状に使う「解酒」作用があるといわれている生薬です。ただ、お酒を飲む前に、酔い防止では使わないので注意が必要です。

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2013年03月19日

2012年の中国での医薬品副作用報告

 医薬品の安全性というのは、何がなくても一番気を遣わなければならないこと。3月14日に発表された、中国国家食品薬品監督管理局が発表した2012年度の医薬品に対する副作用報告を検証してみました。

 去年1年間で、中国全土で程度はいろいろあるものの、報告された医薬品に関する副作用報告は120万件で、このうち重大なものは20万件ありました。中医薬に関するもので重大な問題については、私もこのブログで逐一書いています。

 薬品類別では、化学系の医薬品が81.6%、中医薬系(いわゆる漢方薬)が17.1%、生物製剤が1.3%となっています。昨年度は、珍菊降圧片のように中成薬のような名称なのに、実は西洋薬の成分が入っていたというような中成薬による副作用や、同じような成分の中成薬を重複して使用したりするケースがみられたということです。中国では、もの凄い数の中成薬(漢方薬)が出回っていて、その多くが処方箋なしで購入できるというなかで、副作用報告が17.2%というのはある程度安全であるということが言えますが、でも薬には変わらないので正しい服用法を心がけたいところです。

 なお、中成薬の副作用のうち、重篤な副作用が発生したのはいずれも注射剤。副作用報告数も、2011年と比較して58.2%の増加で、10.3万件となっていました。副作用報告が多かったのは、順に清開霊注射剤・参麦注射剤・双黄連注射剤・血塞通注射剤・丹参注射剤・香丹注射剤・生脈注射剤・血栓通注射剤・脈楽寧注射剤・黄耆注射剤でした。こうした副作用の背景には、他の製剤との併用による問題もありました。

 一方で、中成薬での副作用報告が多かったのは、順に鼻炎康片・複方丹参片・双黄連合剤・黄連上清丸・牛黄解毒丸となっています。ちなみに、鼻炎康片にはクロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれています。


 西洋薬での副作用では、トップ5位はすべて抗生物質でした。多い順にレボフロキサシン、セフトリアキソン、セフロキシム、ペニシリン、メトロニダゾールとなっています。


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2013年03月08日

珍菊降圧片にSFDAが注意喚起

 私はまず処方しないのですが、中国人の患者さんを診ていると、服用している人が時々いるのが、高血圧の治療に使われる珍菊降圧片です。今回は、SFDAが注意を促しています。
 ソースは、国家食品薬品監督管理局(SFDA)の第52期『薬品不良信息通報』http://www.sfda.gov.cn/WS01/CL1033/78803.html です。

 珍菊降圧片という名前から、いかにも中医薬のニオイがしますが、実は西洋医薬が混じっている中成薬です。このことは、薬の説明書をみればすぐ分かります。

 主成分は野菊花、珍珠粉(真珠粉)に塩酸クロニジン・HCTZ・ルチンが含まれています。SFDAによると、2012年1月1日〜12月31日の1年間に、443例の副作用の報告が出されたということです。副作用のうち、重篤なものは肝機能異常、黄疸、膵蔵炎、目眩、運動障害、離脱性皮膚炎、水疱をともなう皮膚炎、低カリウム血症、低ナトリウム血症、低クロル血症、腎不全、不整脈など。SFDAでは、副作用の多くが含有されている新薬の成分と関係があるとしています。

 今、降圧剤では様々な新薬が出ているため、わざわざ珍菊降圧片を服用することはないわけですが、なんせ値段が安いこともあり、いまだに中国では需要があるようです。

 中国で売られている中成薬で、新薬成分が入っているものが少なくありません。糖尿病に良いと言われている中成薬・消渇丸もそうでした。中成薬(中医薬のカプセルや錠剤など)を使用するときは、医師・薬剤師と相談してください。



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2012年11月06日

中国で雷公藤製剤の副作用に追加事項

 中国食品薬品監督管理局が、再度雷公藤製剤に対しての副作用警告に追記しました。2012年4月にも中国国家食品薬品監管局による中薬製剤「雷公藤製剤」の副作用警告として本ブログに書きましたが、今回の追加事項は、さらに踏み込んで、雷公藤製剤は消化器系・血液系・泌尿器系に副作用があり、子供・妊婦・授乳期の女性には使用禁止と明言されました。また、使用する場合は、厳格に医師の指示に従うこと、ということです。

 雷公藤製剤は、生薬雷公藤を原料としたもので、中国では慢性関節リュウマチや腎疾患、ネフローゼなどの疾患で免疫抑制剤的に使われることがあります。ただ、副作用に関しては以前から指摘があり、臨床医師の間では、注意が喚起されていました。

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2012年11月01日

煎じ薬(漢方薬)を飲むタイミング

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 日本で漢方薬を飲んだことのある患者さんの多くは、食前に服用されることが多いのに対して、中国の中医学では食後に服用することが多い傾向にあるように思います。ただ、実際にはそう単純な問題ではありません。本来は症状によって、本来は飲む時間を変える必要があります。
 食後に服用する場合は、一般に食後15〜30分ぐらいが理想です。一般的に中焦以上の部位、たとえば胃脘部や心・肺・脾などを治療目的にする場合は、食後に服用してもらいます。また、刺激のつよい生薬や、毒性のある生薬を使う場合も、食後が良いとされています。よって、煎じ薬のなかでも、飲みにくい味の場合は、私は一般的に食後に服用するようにお願いしています。

 食前に服用するのは、補益系の生薬で多いです。膏方を服用するのも、食前のことが多いです。食事前直前よりも30〜60分が理想です。また、下焦以下の部位や、腸や腎に関係する疾患の場合は、食前がいいといわれています。空腹時に服用した方が、下向きに伝わりやすいという説もあります。また、四肢経絡に薬効を早く届かせたい場合も空腹です。いずれにしろ、食べ物のとの影響が少なくなるので、より直接的に胃腸に伝わるというわけです。

 そのほか、不眠の治療や、睡眠の質を改善する治療の場合は、寝る前に服用してもらうこともあります。養陰系のものも、寝る前がいいとされています。また、瀉下剤の場合は、午前よりも午後の方がよいとも言われていますし、補腎陽の場合は明け方の空腹時などなど様々なきまりがあります。

 煎じ薬の場合、一般に1日2回服用します。午前中に1回、午後に2回目です。ただし、場合によっては1日3回服用する場合もあります。また、温めて飲むのが一般的ですが、清熱系の生薬を使うときは、冷ましてから服用することもあります。ただし、冷蔵庫から出してきてすぐに服用することは避けましょう。また、生薬服用後に、コーヒーや緑茶のほかにも、牛乳、豆乳などタンパク質を豊富に含むような飲み物を飲むのは避けたいところです。



 
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2012年10月20日

2011年に中国で認可された中医薬の新薬

 中国で新薬を認可している国家食品薬品監督管理局が公表した『2011年薬品登録審査年度報告』を見てみると、2011年度は149件の新薬が認可され、このうち中医学関係の新薬が21件あるということでした。

 科学技術の発展と、法整備が進む中で、中医薬の新薬認可も難しくなってきているのも事実で、そんななかで、時々副作用が問題となっている中医薬の注射剤が2件認可されています。内容物の分析が比較的はっきりとしていて、品質が安定しているものが認可されたとのこと。

 また、報告書では、消化器系の症状を改善する纈草(カノコソウ)抽出物カプセル・連蘇カプセル、骨関節炎や慢性関節リウマチの症状改善に使われる丹参通絡膏、子供の夜尿症の治療に使われる小児益麻顆粒、多動症(ADHD)治療に使われる小児黄竜顆粒、前立腺炎に使われる丹益片、前立腺肥大に使われる霊澤片、ウイルス性の感冒の治療に使われる荊感カプセルなどが含まれていました。



 中国の中医薬の特徴として、保険診療の中で単味生薬を自由に組み合わせて、新しい処方を作り出すという点が、日本の漢方と大きく違います。そうした処方は、老中医達によって中医理論に基づいて組まれ、それが弟子達によって継承され、実験室でエビデンスを見つけてくるというプロセスになりますが、それでも処方を薬剤として世の中に出すと言うことは大変なことです。



 また同時に、2011年度は新薬申請のための臨床研究として、621件の申請を受理し、この中には中医薬が54件含まれています。方向性として、悪性腫瘍や循環器系疾患の治療薬の研究を進めるということです。



 我々臨床医も、そうした研究成果を研究しながら、日頃の臨床活動に役立てたいと思います。





【連絡】
甘霖・我が愛しの上海へ
posted by 藤田 康介 at 11:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年08月26日

産地直送の生薬・肉蓯蓉(にくじゅよう)

 甘粛省の蘭州へ出かけていた友人から、生薬の肉蓯蓉をいただきました。なんとも奇妙な形をした生薬ですね。

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 内モンゴルや甘粛省、新疆ウイグル地区な乾燥したエリアが産地です。生薬として使うときは、紹興酒を加えて蒸して使うので、「酒蓯蓉」と呼ばれることもあります。インポテツや不妊症で使われることが多いでしょうが、私はむしろその便秘解消の力に着目しています。


 特に、近年よくみられる20〜30代の日本人女性にある、便秘+冷え性の場合には、ビックリするような効能を発揮してくれることもあります。センナや大黄を使ったときのような腹痛がないのが特徴で、すっと便が出てくるようになります。


 そもそもの中医学的な効能は、補腎陽益精血・潤腸通便。腎陽虚の場合に使われることが多いです。甘・温の性質から味も悪くないので、薬膳でも使われます。『薬性本草』という本には、肉蓯蓉に羊肉とお米を煮詰めて、お粥にする食べ方が紹介されていますし、『世医得効方』では男性の遺精や夢精などの治療として、鹿茸(ロクジョウ)・山薬・茯苓と組み合わせた四精丸があります。


 こういった感じの肉蓯蓉ですが、性質が穏やかなので、20gぐらいの量を使うことはよくあります。逆に、これぐらい使わないと効果が出にくいようです。

【連絡】・日本温泉学会参加のため、9月6日(木)〜13日(木)まで休診します。 
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2012年08月10日

値下がりはじめた中国の生薬

 中国でも日本でも生薬の値上がりがさまざまなところに影響を及ぼしてきましたが、ここに来て生薬が値下がりの兆しがでてきたということです。とくに、中国で最大の生薬市場である安徽省亳州の生薬市場。華佗の故郷として有名です。ここでは、中国全国の5000余りの卸売り業者が入っていますが、生薬全体の約8割で値下がりし出しているとのこと。ただ、三七や冬虫夏草などもともと値段の高い生薬に関しては、あまり変化はないようです。

 いろいろな情報が交錯していますが、その中でも白朮はもともと2009年でキロ60〜70元していたのが、今ではキロ20元前後にまで下落し、今ではキロあたり15元程度にまでなることも。白朮は、2005年はキロあたり14元程度だったのですが、2007年には56元になり、2008年にはまた14元前後にまで戻りました。同様に、白芷も2005年はキロあたり3元だったのが、2007年に16元になり、2008年には再び3元に下落、ところが2009年に再度17元程度にまで上昇し、2011年には11元程度に落ち着きました。このように、価格が年度によって大きく上下していることが分かります。



 こうした価格変動に関して、中国の農民はかなり敏感で、値段があがると一斉にその品種の栽培をはじめ、下落したときには過剰気味になってしまうというサイクルを繰り返しているという指摘もあります。とくに前述した白朮は比較的栽培がしやすい生薬と言われていますが、収穫してしまうと保存が難しく、一旦値段が下がりはじめるとたたき売り状態になってしまうのだそうです。



 中国での生薬のサイクルは、3年間値上がりすると、つぎの2年間では下落するといわれています。そのバロメーターとなるのが、種の価格で、種が値下がりし出すと、その生薬の値段が底をうち、近い将来に上昇に転じる可能性が高くなるようです。逆に、種の値段が高いままの生薬は、暴落する可能性があるということです。



 生薬の供給は自然が相手だけに、安定した量を提供できるようにするには至難のワザです。昨日のうちの中医クリニックでも白朮が底をつき始めていて、ちょっと厄介だなと思いました。



 安徽省亳州市によると、農民たちによる生薬の栽培面積自体は年々拡大傾向にあり、さらに製薬会社自身が標準化された栽培基地を年々拡大しています。安定生産が出来るようになってきたら、相場のぶれが少しでも改善されるのではないかと思います。



【連絡】 ・8月19日(日)は東京でのTCMN15周年夏大会での発表のため、休診します。

・リニューアル!甘霖・我が愛しの上海へ
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2012年06月04日

中医薬(漢方薬)のオオヤモリ

 私は、中医薬局が大好きです。
 よく、うちのクリニック内の薬局にお邪魔して、中薬を扱う薬剤師と中医談義をしにいきます。

 生薬のさまざまな活用方法のアイデアを考えるのには、薬局にいって考えるのが一番だし、なによりもあの独特の香りが好きです。最近、クリニックに来られた方は感じたかもしれませんが、香ばしい香りがしていることがあると思います。これは、動物系の生薬をトースターで燻しているとくの香り。昨日は、ミミズを焼いていました。(^_^)

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 生薬棚のしたで見つけたのが写真。これから丸薬をつくるために準備されていた蛤蠏(ごうかい)です。オオヤモリのことですが、干乾しにされています。以前はしっぽと足には毒があるといわれていたのですが、最近の研究では、体全部を生薬として使えることが分かっています。煎じ薬として湯液に入れてもいいし、粉にして頓服する場合もあります。有名なところでは、お酒にいれて漬けることもあります。

 腎の陽気を補う働きがあるので、慢性の咳や喘息の治療、インポテツなどにも使いますので、場合によっては不妊症に治療にも登場することがあります。

 生薬は自然の恵みです。動物・昆虫類では、九香虫と呼ばれるカメムシも使うことがあります。昔の人の知恵ですからね。
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2012年05月18日

生薬(中医薬・漢方薬)のリサイクルの問題

私は仕事柄、毎日のように生薬を使った処方を書いていますが、エキス剤にしろ、煎じ薬にしろ、中医薬の使用には、どうしても大量の生薬のガラが出てきます。環境保護が言われている昨今、このガラをどのように処理するかが大きな問題になってきました。

 中国では、中医薬関係の製薬業界だけでも、年間70万トンの植物系の生薬が消費されていて、100万トンの生薬のガラが出てきているといわれています。乾燥した生薬は、一旦煎じると水分を含むため、膨大な量のガラとなります。そのガラの有効利用について、中国でもやっと第十二次五カ年計画の国家プロジェクトとして動き出しました。

 その仕組みは、生薬のガラを高温発酵させ、再び生薬栽培基地に再利用するというもので、総投資額は1.45億元。プロジェクトでは、広東省四会市の広東一力集団製薬有限公司が事業を行い、製薬会社の持っているGMP認証を取得した生薬栽培基地から生産された生薬を使って、生薬のガラから15万トンの有機肥料の原材料を作り出すというものだそうです。

 以前、三重県伊賀市(旧大山田村)にある農家の人に、製薬会社から出た生薬のガラを試しに肥料として使ったら、農作物がびっくりするほどよく育ったという話を聞いたことがあります。安全に肥料として加工できるのなら、循環型の農業として環境保護にも大きく役立つと思われます。
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2012年05月12日

中医学での中薬薬剤師の役割

 西洋医学の医師と中医学の医師とでは、その専門性からライセンスが分かれている中国ですが、薬剤師も同様です。

 西洋医学での薬剤師と中医学での薬剤師の資格は分かれていて、それぞれの役割がはっきりとしています。それほど、生薬を扱うということは、ある意味プロフエッショナルな仕事だとも言えます。中医学の医療としての技術も、代々継承されなければなりませんが、中医薬(いわゆる漢方薬)の薬剤師も、様々な技術を検証されなければならず、いい医師と薬剤師との共同作業で、生薬の調剤がすすめられているのです。私達中医学の医師が中医クリニックでいろいろ生薬の工夫ができるのも、優秀な中薬薬剤師がいなければ実現できません。

 上海市非物質文化遺産の伝統医薬の分野では、中薬薬剤師のそうした技術を、中医薬局全体として保護する動きが出ています。それが、上海市松江にある余天成堂薬局です。1782年創業で、上海エリアでは最も古い中医薬局です。90年代に老舗ブランドに与えられる「中華老字号」の称号を取得して以来、中薬分野での伝統技術の継承に力を入れてきているようです。

 とくに、中医薬局の場合、生薬の配合以外にも、生薬をふるいに掛けたりする作業や、丸薬の製造技術も大切で、最低でも2〜3年の修行が必要といわれています。さらに生薬の修治も、中医薬局の大切な役割で、薬草を乾したらすぐに使えるというわけではありません。

 近年、上海市非物質文化遺産に指定されたことで、さらに伝統的に伝わっている中成薬の処方の保護も可能になり、継承するための素地が出来てくることになります。以前、後継者難が言われていましたが、いまでは若い継承者のトレーニングも進んでいるそうです。
posted by 藤田 康介 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月23日

上海中医薬大学の薬草園

 最近、日本人観光客もコースの中に、上海中医薬大学附属の中医博物館が含まれていることが多いようですが、実はそのうらに薬草園があることはあまり知られていません。最近いろいろと整備されて、ちょっとした温室もあります。

 さすがに、生薬そのものに興味がないと見に来ることはないかもしれません。ただ、そこそこ充実しているので一度ぜひ訪れてみてください。入場は無料です。

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 いくつかお馴染みの生薬をご紹介。

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 芍薬です。蕾はかなり大きくなっていて、もう少ししたら開花すると思います。生薬では根っこを使います。

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 こちらは魚腥草(ドクダミ・十薬)です。根っこも葉っぱも使います。四川人は料理にも使うほどポピュラーな生薬です。

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 成人病対策や脂肪肝の治療でよく使われる山査子の木です。

 さて、中医博物館のとなりは大学の図書館です。
 1階には中医学の専門書が買える本屋があり、母校に行く時は、必ず寄っています。

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 誰が買っても1割引きですので、少しお得感があります。

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 私も色々買いましたが、興味深かったのがこの本。私が住んでいる浦東新区の有名な医師達の処方集。近年、上海中医薬大学付属曙光医院と浦東新区医学会が合同で、その地域に伝わる効果が高い処方を集めてきています。現地の新聞でも話題になった一冊です。

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 ついでに少林功と易筋経のDVDもゲット。いずれも、学部時代に推拿(中医学式マッサージ)の授業で練習しました。ちなみに、手前味噌で恐縮なのですが、母校の武道大会で、少林功の馬歩の部で優勝したことがあるんです。賞品に洗剤をもらったっけ。。。。



posted by 藤田 康介 at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月18日

中国の単味エキス剤

 いろいろ検討を重ねた結果、うちの中医クリニックでも4月からエキス剤を導入しています。これで、伝統的な煎じ薬に加えて、また新たに選択肢が増え、応用範囲が広がることになりました。日本では、葛根湯や柴苓湯など処方として複合処方のエキス剤が使われますが、中国ではもっぱら単味のエキス剤です。
 例えば、葛根湯だと葛根・麻黄・大棗・桂枝・芍薬・生姜・甘草のそれぞれのエキス剤を混ぜて組み立てて使います。病院によっては、それぞれの薬を別々の小袋に梱包して出すところもありますが、うちのクリニックでは薬剤師が調剤してから1回分を一つの袋に詰めて出す方法にしました。薬剤師の手間が増えますが、服用は明らかにラクになります。

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 服用方法は、沸騰したお湯250ミリリットルに一袋を入れてしっかりとかき混ぜます。私も幾度となく実験しましたが、30秒〜1分程度で混じります。

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 この方法だと、お湯さえあれば服用できるので、今までみたいに液体の煎じ薬を持ち歩く必要がありません。また、中国のエキス剤の特徴は、味もニオイも煎じ薬に近いものを再現できるという点です。溶かしたあとの色もなんとなくそれに近い。(厳密には違うでしょうけど。)そのため、煎じ薬を服用していた人も違和感があまりないと思います。この点は大きい。さらに、出張に持っていくときや郵送も飛躍的に便利になります。今まで、クリニックでは伝統的な丸薬も作っていましたが、この製造にもエキス剤は活用でき、メリットは大きいかと思います。

 エキス剤は、品質が安定しているという点でもメリットがあります。中国ではすでにいくつかの単味エキス剤のメーカーが出てきていますが、うちが使っているのは天江薬業のもので、江蘇省江陰に大きな工場があります。一時、薬が溶けにくいと不評でしたが、その後改善されて私自身のテストでもかなり飲みやすくなりました。写真は、2008年に工場見学にいったときのものです。江蘇省も産業として力をいれていて、このときは社長自らが案内して下さいました。(余談ですが、江陰はフグでも有名です。)
 伝統的な煎じ薬とコスト面で比較してもあまり変わらないというのも中国の単味エキス剤の強みだと思います。また、薬を煎じる時に注意する必要がある包煎・先煎じ・後煎じや頓服なども簡単に実現してしまいます。使用方法も内服以外に、外用や灌腸なども可能です。

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 私が上海中医薬大学付属竜華医院でネフローゼの研究をしていたときも、処方の均一性を図るために、ここのエキス剤を使いました。実験をするときはかなり使いやすい。その頃から、中国の中医病院でも中医薬局にエキス製剤のブースを設置することが徐々に普及してきました。おかげで中医薬局も整理整頓され、かなりスマートになってきました。

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 とはいえ、煎じ薬には煎じ薬そのものの良さがあります。伝統的な服用方法にもメリットがあり、私自身はこれからも両方をうまく組み合わせて処方していきたいと思っています。

 世の中がいくら発展してきても、煎じ薬そのものはなくならないと思います。
 
 

 
posted by 藤田 康介 at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬

2012年04月06日

中国国家食品薬品監管局による中薬製剤「雷公藤製剤」の副作用警告

 2012年4月4日に、中国国家食品薬品監管局が第46期『薬品不良反応信息通報』を出し、生薬製剤で慢性関節リウマチやネフローゼの治療で、免疫抑制剤として広く使われている「雷公藤製剤」について、使用を注意するように警告を出しています。

 雷公藤は、生薬そのものよりも、中成薬として製品化されたものを使い、抗リウマチ剤や尿蛋白の治療で使われることが多いが、以前から副作用の指摘があり、我々中国の臨床医の間でも、慎重に使われるべき中成薬として扱われています。中医学的には袪風除湿・活血通絡・消腫止痛作用があります。もともとは毒草として有名な薬草でした。

 今回の通報は、以前から中国国内でも指摘のあった内容だったですが、連続的に服用すると、肝・腎機能、生殖機能、血液系を損傷する可能性あるので、医師の指示に従って正しく服用するようにと呼びかけています。服用時は少量からスタートし、連続3ヶ月以上は服用しないようにし、服用中は血液検査・尿検査を定期的に行い、心電図や肝・腎機能のチェックを強化するようにとしています。

 一方で、肝・腎機能に問題がある場合、重度な貧血や白血球・血小板の値が低い場合、胃・十二指腸潰瘍の活動期や、不整脈があるときも使用禁止としています。

 雷公藤製剤として中国国内で発売されているのは、雷公藤片や雷公藤双層片、雷公藤多苷片など多数あります。臨床では、西洋医学の免疫抑制剤的な使われ方をすることが多いです。
posted by 藤田 康介 at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 生薬・漢方薬・方剤・中成薬