2012年05月16日

蚊に刺されたときはまずは冷やす?!

 ふと見つけた英国の新聞にこんな小さな記事がありました。「Over-the-counter insect bite remedies are just not worth buying , say experts」というもの。ごく普通に蚊などの小さな昆虫類に噛まれたとき、薬局で売られている処方箋の薬はあまり効果は無く、虫さされの痒みをとるには、冷やすことがよいということでした。そのため、医療関係者に対しても、抗ヒスタミン剤やステロイド軟膏は、湿疹などの痒み止めには効果があるが、虫さされには効果がないので、むやみやたらに薬を出す必要はないという専門家のコメントを載せていました。

 中医学の世界でも、虫さされ用の軟膏が色々あります。うちのクリニックにもありますが、要は噛まれたときの痒みを紛らす働きがメインです。冷やす働きが強いのも納得できます。

 
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2010年07月17日

蕁麻疹の抜罐治療

 最近、うちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックでちらほら蕁麻疹の患者さんを見かけます。西洋医学の病院にいかれて、薬を服用してもいっこうによくならないという慢性蕁麻疹のパターンが多く、長い場合だと数ヶ月から数年間も症状を抱えておられる場合があります。

 そうなると、中医学でどうにかならないか、ということになります。もちろん、生薬や漢方薬をつかっても一筋縄にいかないこともありますが、結構うまく行く場合もあります。

 そのなかで、私も時々使わせてもらう治療法が、吸い玉をつかった抜罐治療法です。吸引する場所は臍部の神闕穴。5分前後吸い玉を臍に吸い付かせ、外すという治療を1度に3回ほど行います。これを3〜4日間ほど連続して行います。

 慢性蕁麻疹には様々な分類がありますが、消化吸収が弱っている脾胃虚弱の証では、この治療法は結構有効みたいです。

 神闕穴は、経絡では任脈に属します。脾の陽を高めて、体全体の陽気を高めることができます。よって、お灸では非常によく使う経穴でもあるわけですが、ここを鬱血させることは、治療の上では非常に意味があるというわけです。

 といっても、すべての慢性蕁麻疹で使えるわけではありませんので、医師とご相談ください。
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2010年07月02日

改めてアトピー性皮膚炎をいろいろ考えてみた

 アトピー性皮膚炎の中医学的治療法について、文章を書くことがあり、ここ数日改めていろいろ考察しています。改めて、非常に奥が深い治療であり、患者さんが100人おれば100人とも症状も異なっており、私も日々試行錯誤しています。とくに、皮膚の状態に関して言えば、一人として同じ方はいらっしゃいません。

 うちのクリニックでも、春の終わりからまた徐々にアトピー性皮膚炎の患者さんが増えてきているように思います。春は様々なアレルゲンが飛び交っていて、それが中医学でいう「風邪」の様な外邪となり、アレルギー性鼻炎だけでなく、アトピーの症状も悪化させたりします。
そして、今度は夏に入ると、汗の問題や紫外線の問題も顕著に。汗に関しては、エアコンの使いすぎによる自律神経とも関係のある気持ちの悪い汗が多くなってくるように思います。一方で、発汗が正常に行われないことも厄介で、中医学での治療では発汗を促せるように考えます。

 アトピー性皮膚炎では、うちの中医クリニックに来られる前からステロイド(副腎皮質ホルモン)や免疫抑制剤を使ってらっしゃる方が多いため、こういった薬と中医学・漢方がどうやって併用できるかが大きなポイントになると思います。

 話は変わりますが、腎疾患のネフローゼ症候群同様、アトピー性皮膚炎も活動期と非活動期があり、その違いで治療方法も変えていく必要があります。でも、ネフローゼの治療で経験してきたように、やはり生薬や食べ物の養生・ライフスタイルの問題を同時に考えることで、再発の回数を減らしたり、ステロイドの総量を減らすことが可能でした。ネフローゼの場合、一旦ステロイドの量を増やすと、今度減量して離脱するまでにまた多量の時間を必要としますから、如何に再発の回数を減らすかが大命題です。

 一方で、アトピーの場合でも、問題となるのがいわゆるリバウンド現象で、せっかくステロイドで症状が緩和されていたのに、突然の中止や減量で皮膚が悪化し、皮膚炎の面積が拡大してしまうといったケースです。

 さらに、ステロイドを長期に使用し、すでにステロイドの副作用として皮膚自体に皮膚の萎縮や赤みが出ていたのに、急にステロイドを中止すると、今度は皮膚のさらなる悪化につながります。いわゆるステロイドの離脱皮膚炎です。
 もしアトピーの活動期にステロイドを中止をしてしまうと、症状が非常に悪化してしまうのですが、一般に離脱皮膚炎とリバウンドが重なってしまうからです。

 となると、アトピーの活動期に、いかにそのアトピーそのものの症状を改善できるかというのがポイントで、ネフローゼの治療時に、尿タンパクの量をいかに減らすかという考え方と似ているようにも思います。そうすることで、結果的にステロイドの使用量を減らすことができ、副作用の心配がないレベルまで到達できれば、QOLも高まるはずです。

 そういった観点からみると、中医薬や漢方を使った治療は、体本来の自然治癒力を高めるのに何ができるか?という根本的な問題に大きく関係していると思っています。
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2010年03月22日

アトピー治療薬の発がん性問題

 アトピー性皮膚炎の患者さんが一向に減る傾向にならない日本。最近では、上海でも中国人の間に見られるようになっています。

 このアトピー性皮膚炎の治療薬として、日本でもよく使われているプロトピック。中国では、FK506、他克莫司と呼ばれます。内服としてはネフローゼなどの免疫疾患や臓器移植にも使われますし、外用軟膏はステロイドと比較しても副作用の比較的少ない治療薬として重宝されています。私のところに来られる患者さんでも、西洋医学の病院で処方されて数年間塗り続けている方もおられます。確かに、皮膚はきれいになり、かゆみも治まるのです。

 しかし、この手の軟膏の発がん性の可能性は、かねてから指摘されていました。そういった前提のもとで、使用されていると思うのですが、アメリカFDAで、2004年1月〜2009年1月までの5年間に、0歳〜16歳の米国人子どもでプロトピックを使った人15人、日本ではまだ未承認のエリデル(中国名:医立妥)27人、両方を使った4人の計46人で、皮膚がんやリンパ腫、白血病を発症したことを明らかにしました。このうち、4人が死亡したということです。

 長期に使い続けたり、適応対象年齢外の子どもに使ったりしたのが原因だそうですが、ちゃんと医師の指導の元で使うべきでしょう。

 アトピー性皮膚炎の治療は、患者さんによって様々な症状のパターンがあり、さらに生活習慣や環境とも関係があるため、個別にあった治療法が求められると思います。
 私が使っている中医薬や漢方の処方もどれだけ成果があげられるか、日々の挑戦が続いています。
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2009年12月26日

爪剥離症(爪甲剥離症)

 最近、立て続けに3例の爪剥離症(爪甲剥離症)と診断された患者さんを診察し、このうち2例の患者さんに関しては生薬治療の家庭で爪がすこしずつ根っこの部分からくっついてきています。2〜3週間で1ミリ程度ですが、着実にちゃんとした爪が伸びてきています。

 私も、この症状に関してはあまりたくさんの症例はありませんが、中医学や漢方が効くのでは?と思うところがあり、ブログに記録しておきます。

 西洋医学的な説明はここでは書きませんが、爪の疾患に関しても、中医学や漢方でも一定の考え方があります。

 爪は、中医学では「筋」の一部と見なします。中医学では、人間の体の構成は、五臓六腑以外にも皮毛・肌肉・血脈・筋腱・骨格という5つの要素、すなわち「五体」で形成されていると考えます。日本語の「五体満足」もここからきているの言葉なのですが、これらそれぞれが五臓とつながっているのです。たとえば、皮膚なら肺、肉なら脾、血脈なら心臓、そして筋なら肝といった感じです。

 アトピーの治療で、必ず肺系に属する生薬を使いたくなるのも、肺と皮膚が密接に関係しているからなのです。

 そこから考えると、爪甲剥離症の治療では、やはり肝・胆がポイントとなることがわかります。単なる爪の疾患としてとらえるのではなく、体の中から治そうと考えるのは、中医学・漢方の定石ですよね。

 爪の様子は健康を示すバロメーターであることは、皆さんご存じのとおりです。たとえば、爪が薄く、そりあがってしまうような場合は肝血不足と考えますし、爪を強く押して白くなった状態からなかなかピンク色にならなければ気血が不足していることになります。冷えが強く、陽虚の人ならば、爪の色も白っぽいです。

 ただ、体の中からだけでは、やはり生薬が直接的に作用しにくいので、生薬外用薬も可能なら併用してみたいところ。私もいろいろ試行錯誤しながら考えています。 
posted by 藤田 康介 at 12:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 中医学と皮膚病