2016年01月20日

大和当帰と大和生姜、もっと活用出来ないだろうか?

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 中医学に携わっているものからすると、毎日のように使う生薬の一つに、当帰(とうき)が入ってくるのではないでしょうか。

 奈良県各地では当帰が栽培されていて、大和当帰(ヤマトオウキ)として徐々に盛り上がってきています。地元今井町でも、田原本の大成漢方薬局さんが薬膳料理のお食事処「やくぜん」を今井町4丁目でやっておられ、当帰料理をいただくこともできます。

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 今日はここで当帰酒作りの実演があったので、聞きに行きました。

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 当帰酒というのは、薬味酒と呼ばれるジャンルに属し、家庭では消費分に限って製造が許されているそうです。「酒」という字が付くと、いろいろ規制がうるさくなるのですね。中国では伝統的に米酒を自宅で作ってしまうところもあったりします。

 さて、当帰の場合は7ヶ月浸けておくようです。もちろん程度をみて飲んでみても構いませんが、ただ、当帰そのものの味に好みが分かれるかも知れません。

 一方で、生姜は橿原エリアで古くから栽培されていたようです。地元橿原市でも生姜の普及に力を入れていて、メニュー開発もされているとか。詳しくはこちらから。

 藤原京の木簡からも生姜に関する記載が出土しており、橿原エリアでも栽培されていました。今日は試食で大和生姜の天麩羅を頂きましたが、ちょっとピリ辛で良い風味を出していました。中華料理では生姜を使うレシピがとても多いので、そのあたりを研究してみるのも良いかも知れません。うちの妻も家庭料理には生姜は必需品で、効能云々以前の問題ですね。

 さて、漢方をやっている方なら大和当帰と大和生姜とくれば、『傷寒雑病論』の当帰生姜羊肉湯を思い出しますが、これはちょっと薬臭くて、味が今ひとつだと思います。でも2000年前からこうして使われています。

 中国本場の中華料理でしたら、一般に当帰とニンニクを組み合わせることが多いです。当帰特有の臭みが取れるからですね。当帰・ニンニクと鶏肉なんかも美味しいと思います。日本では法律の関係上、葉っぱしか食材として使えませんが、中国では本来は根っこを使います。

 当帰は一般に、中医学では補血薬に入りますが、その他に血虚系の便秘や咳喘など呼吸器疾患でも使われます。伝統的には、当帰の頭・身・尾で効能が違うと言われていますが、ただ現代医学の研究では違いがなかったようです。何れも子宮の平滑筋を収縮させる働きが確認されています。

 一方で、生姜はあらゆる料理で日常的に使います。残念ながら、日本ではここまで使いませんよね。豚生姜焼きや中国でも有名ですし、家鴨の臭みをとるのにも生姜は便利です。それ以外にも、かぜ薬やムカつきなんかでも重宝します。

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 色々新しいメニューを開発することも大切ですが、こういう伝統的な食材には、古くからのレシピがなんらかの形で残っているはずですし、それらを発掘してみたいですね。

日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
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2015年02月19日

雲南でもドクダミはれっきとした食材、仏手に香櫞に辛夷花も

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  雲南省での春節前後の市場は、正月用品を買う地元の人たちで市場は大賑わいでした。季節物の食材もあって、探検するのも楽しいものです。しかし、普通の自由市場なのに、日頃我々が処方箋でよく使う食材が多くてびっくりしました。

 ドクダミ(魚腥草・十薬)に関してはこれまでもいろいろ取りあげていて、こちらにもいろいろ書いておりますが、雲南大理エリアでは、食材としてもよく食べられていることを知りました。

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 写真は、白族の食堂で見つけたドクダミ料理。前菜料理として、ドクダミとキュウリをまぶし、そこにピリ辛の調味料をつかって和え物にしていました。味はと言うと・・・、これが結構いけたりします。ドクダミは確かに臭いのですが、生で食べるとまた違った味わい方でした。


 この市場では、柑橘類も豊富です。なかでも、香櫞(こうえん)は非常によく見かけました。中医学での香櫞は、疏肝・理気・和中・化痰と効能は豊富で、食欲がないとき、胃腸の調子が悪いとき、胃痛や胃のもたれなどにも使います。雲南省では咳とか痰にも使うと言っていました。

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 食べ方は至ってシンプルで、写真のように輪切りにして白いところを食べるだけです。
 味は多少苦みがありますが、でもさっぱりとして美味しいです。ミカンのようなジューシーさは一切ありませんが。

 香櫞とペアで使う生薬に仏手もありました。上海エリアでもあるのですが、こちらのはでかい!

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 そのほか、鼻炎や副鼻腔炎でよくつかう辛夷(こぶし)も見つけました。普通は蕾ですが、こちらではすでに開花したもので、お茶にして飲むそうです。

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 薄荷もありました。

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 中国の地方を旅行するチャンスがあったら、ぜひ地元の市場をのぞいてみてください。きっと面白い発見があると思いますよ。

4月までの日本と中国各地への出張スケジュールが出て来ました。↓をご覧ください。
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2015年02月18日

雲南大理州洱源伝統料理、豚の生皮と梅

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 中国の旅は、まさに食探しの旅ですよね。そして、これがまさに医薬同源と言われる根源になっているのだと思います。今回、雲南にやってきてその食文化の多様性に改めて感動し、彼らが驚くほど豊かな食生活をしていることを実感しました。百貨店のお総菜やコンビ二がなくても、全然困らない彼らの食文化は、今も頑なに継承されています。

●黒い梅干し

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 今回私が滞在しているエリアは、雲南でも白族が多く住んでいます。そのなかでも洱源は梅の産地として有名で、気候的に梅の飼育にも適しており、至る所で梅を加工したモノを売っていました。海抜2000メートルで栽培される梅には、害虫がつきにくく、農薬も殆ど要らないというメリットもあります。洱海梅子というブランドもあり、政府によって保護されています。梅の栽培に関しては2000年以上の歴史があるというわけですから、筋金入りですね。

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 洱海では彼らはいまだに梅酢を使っていました。日本でも昔はあったそうですが、少なくとも私は食べませんし、上海エリアでも滅多に見ません。しかし、このエリアには健在でした。そして、この梅酢を作るときに出て来た梅が、梅干しに加工され、もしくは中医薬や漢方薬の烏梅になります。この烏梅が「うめ」の語原になっているとも言われています。

 さらに、洱源には梅と青じその組み合わせで作られる蘇裹梅もありました。そのほか、上海でもお馴染みの話梅は、まさに現代中国人の味に改良された梅干しですね。とにかく梅を使ったバリエーションは非常に豊富です。これほど伝統食の中で梅が活用されているのは、中国でも珍しいと思います。

●豚の生皮

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 本当の生の豚肉は、さすがに寄生虫の心配があるので食べられませんが、雲南省洱源エリアで、源泉で88℃の温度がある温泉水で洗った豚肉であれば、伝統食としてその豚の皮が食べられていたそうです。現在では、豚の皮の表面を丸焼きにした豚が市場でも売られていて、それを「生皮」として白族の人たちは食べています。豚の皮を黄色になるぐらいにまで炙ってあるわけで、このシャキシャキ感がたまりません!

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 そして、さらにスパイシーなタレがつきます。材料には梅酢のほかにも、山椒や生姜、香菜のほかにも、漢方薬や中医薬で使われる大麻の種(火麻仁)などをブレンドします。

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2014年12月22日

上海で冬至に食べるお団子〜湯圓〜

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 今年は12月22日が冬至でした。冬至は中医学でもとても大切な節気で、24節気の中でも最も古い節気とも言われています。日本でも柚子風呂に入ったりいろいろな風習がありますが、中国各地も同様で、寒さの厳しい北方エリアでは餃子を食べ、上海など南方エリアでは湯圓と呼ばれるお団子を食べます。ワンタンを食べるところもあります。

 そもそも、冬至は人々の生活にとってもとても大切で、周代では冬至を1年のはじまりとしていたらしく、その名残もあっていろいろな行事が今にも伝わっているのでしょう。

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 我が家でもお団子を作りました。子供がいるとこういう年中行事は楽しいもので、喜んでお団子をこねていました。

 お団子になかには中にはいろいろな具を入れますが、我が家では豚肉を入れました。黒ゴマをラードに溶かしたペーストを入れることもあります。握り拳大ぐらいのお団子ですが、中国ではとてもめでたい食べ物の一つなので、ありがたくいただきました。

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 中医学を生業とする私達にとって、冬至が過ぎてくると、徐々に陽気が増えてくるという意味でとても重要です。冬があるからこそ、春が待ち遠しくなるのですよね。四季があるのは結構なことです。

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2014年10月02日

中医学の糕(こう)〜八珍糕〜

 国慶節直前に行った紹興旅行の続き。

 ご存じの通り、様々な点心(お菓子類)も、中医学の世界では立派な養生食となります。紹興の中医薬局「震元堂」で見つけたこの八珍糕もまたその一つです。なかなか美味でした。

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 この八珍糕の言われですが、清代の光緒6年(1880年)9月にさかのぼるらしい。


 一説によると西太后が、食生活の不摂生で、消化不良や食欲不振、下痢などの症状で苦しんだときに、太医たちが相談して出した診断は「脾胃虚弱」で、補脾益胃の生薬を処方したのが、この八珍糕の原形ともなる「健脾糕」だそうです。


 しばらくこれを服用した西太后でしたが、症状は改善し、食欲も増加、体力もついてきたとのこと。すっかり気に入った西太后は、「健脾糕」を「八珍糕」と呼ぶようになり、健康維持のためによく食したそうです。

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 八珍糕には、以下の8種類の生薬が使われています。


 茯苓・・・健脾補中・寧心安神作用
 芡実・・・健脾止泄作用
 薏苡仁・・・健脾開胃作用
 山薬・・・補虚・益肺腎作用
 扁豆・・・理中益気・補腎健胃
 麦芽・・・消食和中
 白朮・・・健脾補気・燥湿利水
 党参・・・益気健脾・生津養血


 こうみてみるとまさに参苓白朮散のベースがしっかりと入っていますね。


 服用方法は、それぞれをしっかりと粉にして、多少の砂糖と藕粉(蓮根が原料)を混ぜ、水に溶かして型に入れ固め、糕を作ってきます。


 さて、実際に食べてみると。。。。

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 これが意外と美味しい。甘さも控えめで、すっと胃の中に入っていきそうです。


 ただ、粉を固めて作ったものなので、パラパラと落ちてくるのが難点ですが。


 お菓子のようですが、ちゃんと中医師のアイデアと絶妙な処方の組み合わせが反映されています。中医薬の活用法の一つだと思います。


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2014年08月06日

上海の夏の薬膳「山羊鍋」、伏天を過ごすために

 夏の暑い「三伏」の時期に食べる山羊のことを「伏羊」と言います。 
 上海エリアの夏の薬膳といえば、私は山羊を外すことができないと思います。とくに、上海南部の奉賢区や金山区までいくと、「伏羊のスープを飲めば、薬は必要ない」と言うぐらい、山羊肉信仰が強いのも事実です。

 「三伏」はちょうど暦の上で小暑から立秋ぐらいの時期を指します。ここでいう「伏」というのは、伏邪のことを言います。つまり、身体の病気を引き起こす六淫(風、寒、暑、湿、燥、火)のうち、夏の暑さと関係のある暑邪が体内に潜伏し、もしこの暑邪を排除しなければ、秋になると肺を傷つけ(火克金)、咳や発熱など上気道に関係する疾患に罹りやすいと中医学では考えるのです。こうした暑邪の排出には、冷たい物を飲んだり、エアコンに頼ってもだめで、しっかりと汗をかきなさいというわけです。

 従って、山羊肉を食べる地元の人たちは、空調の入った部屋で涼しげに鍋をつつくのではなく、わざわざ暑い部屋を選んで、汗をダラダラ流して食べるものだといっていました。(さすがに私は真似できませんでしたが。。。。)
 地元の人たちは、まだ太陽も昇りきっていない早朝3時〜4時頃に汗流しながら山羊肉を食べ、身体をさっぱりとさせてから野良仕事に出かけるのだそうです。

 いずれにしろ、滋養強壮作用の強い山羊肉を食べることで、「熱で以て熱を制する」と考え、汗によって解毒し、ジメジメした湿気を吹き飛ばし、涼しさを身体にもたらそうということです。

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 中医学的な発想で考えると、山羊肉の性質は温性でいて陰を補う働きもあり、腎・脾を整え、気血を養う働きがあるとされています。そのため、冷え性や冷え系の咳、慢性気管支炎、喘息に対して養生食としてよく使われます。西洋医学的にも、鉄分やカルシウムも豊富に含むため、貧血や骨粗鬆症にもよいとされています。血液循環の改善や、免疫力の向上には欠かせない食材の一つなのです。また、夏ばてなどで体力が弱まったときにも、山羊肉を食べることで弱った脾の働きを高めて、気を補うことができるわけです。

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 幸い、高層ビルで熱帯夜で喘ぐ上海中心部と違って、崇明島や上海南部は緑豊かで、山羊の好きな草が豊富にあります。そうした草も実は薬草として使われるものも多く、山羊自身が日頃から薬草を食べて育っているので、身体に良いと考えられているのも納得できます。

 もちろん、山羊肉は身体を食べる食材ですから、冬にも食べます。ただ、鍋のようにして汗タラタラにする食べ方ではなく、ゼラチン質でかためた肉のかたまりをスライスにしていただきます。これも絶品です!

 私も、この時期になったらいつも行く山羊肉のお店が上海市南部の金山にあります。浦東新区からだとクルマで50キロぐらいの道のりです。お店の情報は、2012年に行った記事にあります。

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 8月5日に行ってきましたが、この日も沢山の地元のお客さんで賑わっていました。私も山羊肉に関しては上海松江や、上海奉賢でも食べましたが、私的には金山のこのお店がお気に入りです。

 こうした料理も、上海の名物料理の一つです。そういえば、沖縄にいったときも山羊汁を食べることができて、感動しました。暑い時期の共通した食材なのかも知れませんね。

 ただ、沖縄料理の山羊よりも、上海料理の山羊のほうが臭みをとるテクニックがうまいような気がしました。また、山羊肉もあばらあたりの肉が比較的臭みがなくて美味しいとか。このあたり、お店によって様々な伝統技術が伝わっているようで、使う肉の部位にもこだわりがあります。沖縄では臭みをとるために艾を使っていましたが、上海では使いません。香菜ですら使わないで、醤油だけで頂きます。さすがに、生食を食べない食文化ですので、山羊肉の刺身は絶対食しませんが。

 金山からの帰りは、浦東金橋にある極楽湯で「補陽」の締めくくり。外からと中からで確りと汗をかけたら、伏邪も少しは減らせたのではないでしょうか。

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2014年07月08日

沖縄料理と上海料理の接点・豚と山羊

 7月1日〜5日まで沖縄に滞在していました。
 そのときに感じたことを色々書いてみたいと思います。今回は沖縄の食について。

 沖縄料理といえば、ゴーヤチャンプルしか食べたことがなかった私ですが、今回の旅を通じて地元の人の食文化の一面を垣間見ましたし、なによりも中華料理(とくに上海料理)との共通項を多く見つけ、上海人の私の妻も驚いていました。

 沖縄料理も中華料理同様にとってもシンプルな食べ方をされています。特に、今回の旅で主に滞在した今帰仁(なきじん)エリアで食べた「アグー豚肉」は絶品です。豚の本場中国でもなかなかここまでのお肉は食べられませんが、いや美味しかった。

 今帰仁でも結構有名なしゃぶしゃぶ専門店「長堂屋」で食べたしゃぶしゃぶはアグーの味を一番良く引き出していたと思います。いろいろこだわりのあるお店で、ポン酢や薬味、タレ類はすべて自家製で化学調味料なども一切使っていないとのこと。

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 そもそもアグーは600年前に中国大陸から導入されたもの。しかも体重は普通の豚の半分から三分の一程度の小型の豚です。この品種を守るために、沖縄県ではいろいろ研究を重ねているようです。

【データ】「長堂屋」沖縄県国頭郡今帰仁村字玉城710-1 
     0980-56-4782
     HP: http://www.nakijin.net/

 
 しかし、沖縄の豚料理は本当に上海料理に似ているのです。上海でも豚足はフツーに売っていますし、豚足(テビチ)なんかはどこのお店も美味しかったです。もう骨までとろけてしまいそうな感じでした。

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 上海料理の代表の一つ、紅焼肉なんかはまさに沖縄のラフティーですよね。味付けも甘党。ラーメンにも欠かせない豚肉の数々はとても印象的でした。ラフティーに関しては、美ら海水族館のある本部町の居酒屋「亀蔵」さんのが印象に残っています。店の外観からして、ちょっと入ってみたい誘惑に駆られます。我が家では私も含めてみんな下戸なので、泡盛チビチビとまではいきませんでしたが、でも雰囲気は抜群でした。

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【データ】「亀蔵」沖縄県国頭郡本部町大浜880-3 ニライ荘1F
      0980-47-7122

 さらに、もっと豪快な豚料理にも巡り会いました。名前もそのまま「骨汁」です。沖縄今帰仁の手打ちそばの専門店で、売り切れ御免のお店「まんてん」で見つけた料理です。中国でよく食べられる「骨頭湯」とそっくりですね。妻はそばよりもこちらを注文していました。骨の髄をしゃぶることができればもっと美味しいでしょうが。

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【データ】「まんてん」沖縄県国頭郡今帰仁村仲宗根315
      0980-56-2618

 もう一つ、沖縄の料理で忘れてはいけないのは山羊料理。今帰仁で地元の人と色々話をしていると、今帰仁地区では山羊がとても大切だということに気づきました。お祝い事には山羊料理が出てくるそうで、一昔前は海岸で山羊をしめていたそうです。さすがに、上海では刺身では食べませんが、沖縄では山羊の刺身もありました。

 ただ、中国と大きく違う食べ方は、沖縄では艾をトッピングします。お灸につかう、あの艾です。中医学や漢方では生薬としても使いますが、これはちょっと不思議。中医学では艾といえば温める性質の生薬。山羊といえば温める肉の代表選手。両方とも温める性質なのですが、地元の人に聞くと、山羊を食べ過ぎると鼻血がでるので、そのために艾をたべるとか、確かに、生薬としては止血作用はありますが。。。。

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 ちなみに、中国では山羊肉といえば香菜です。私は苦みのつよい艾よりも香菜のほうが好きなのですが。

 ところが、今帰仁村では意外と山羊を食べさせてくれるお店がなく、地元の人に教えてもらった「ゆなみ」へいきました。地元の人が数人いた程度で、女将に「山羊しかないけど大丈夫?」「本当に食べられるの?」とか何度も聞かれましたが、もちろん「OK!I」。山羊を食べるために来たのですから。

 メニューを注文することもなく、さっそく出てきたのが「山羊汁」。

 味はなかなかいいのですが、もうすこし豪快にお肉のある部分を食べたかった。いや、それぐらいにしておくのがちょうど良いのかもしれませんね。女将にきくと、夏のあついときに山羊で滋養強壮をするということなので、上海でたべる伏羊と一緒ですね。

 このように、沖縄と中国の食文化にはとても関連性があることが分かります。日本本土とはまた違った発展をしているわけで、気候風土にあった独自性が興味深いですね。

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2014年03月25日

春は肝の養生・食編

 すっかり暖かくなってきて、上海でも公園の花々がとても美しくなってきています。各地で菜の花がキレイに咲いていますし、サクラも開花しはじめています。春のこの時期の中医学的養生では、やはり五臓六腑の肝・胆を注意しなくてはいけません。春に注意すべきことを食・睡眠・情緒に分けてここにメモしておきます。今回は食編です。

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 春は五行説では「木」に属します。草花が成長し、動物たちも動き指す季節は、まさに中医学の肝の性質を非常に似ていて、肝の養生をとても大切にします。また、冬を越えてきて、やっと緑の野菜の種類が増えてくる季節でもあります。幸い、上海には日本と同じような四季がありますので、参考にできることも多いです。

 まず、五行説の関係から、肝に問題があればその症状を脾に伝えてしまうことになります。我々の飲食とも密接に関係があり、「後天之本」とも呼ばれる脾を守るには、唐代の医学者で『千金方』の著者でもある孫思邈(そんしばく)が「省酸増甘・以養脾気」と言うように、酸味のある食べ物を減らし、甘みのある野菜類がいいとされています。例えば、ほうれん草やニンジン、里芋、南瓜、ソラマメ、ササゲなどがそうです。

 また、春先は陽気の調節が難しい季節でもあります。例えば、口が苦く感じたり、渇いたりしたときは、肝熱が過剰の可能性もあります。そういうときは、キュウリや緑豆など肝熱を下げて解毒作用がある食材を使えばいいです。体内の熱をとる働きの野菜は、セロリやアスパラガス、ナズナ、キノコ類などがそうです。野山に生えている蒲公英・車前草・タケノコ・スベリユリ(馬歯莧:生薬では解毒作用もあり、春の湿疹や蕁麻疹、アトピー性皮膚炎の治療などではよく使います)も食材として使われます。

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 我が家でもベランダに桑の木の鉢植えがありますが、冬を越して桑の葉っぱが出て来ました。桑は便利な植物で、この葉っぱは熱タイプの感冒や肺を潤したりしますが、肝に関しても肝陽上亢系の目眩にも使えます。なかなか重宝する、春にふさわしい生薬の一つです。

 逆に陽気が過剰気味になってきたら、ニラ・大蒜・タマネギ・葱類をつかいます。これらは冬の間に蓄積された寒気を除去してくれますし、栄養価が高いものも多いです。

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 ストレス社会の上海では、近年ピリ辛系の料理が大繁盛していますが、この時期はなるべく避けるように。とくに肝の陽気を動かしてしまいますので、控えるようにすることが必要です。中国人・日本人に関係なく、患者さんをみていると、冬の延長でまだまだ食べ続けている人がいました。

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2014年02月20日

薬膳とシンプルな本場の中華料理

 中華料理というと、脂っこいとか不健康とかのイメージがありますが、それを打ち消しているのがある意味、薬膳の世界ではないかと思います。でも、そもそも中国で食べる中華料理と日本で食べる中華料理が全然違うものであるというのは紛れもない事実。つまり、日本食のなかに中華料理というジャンルがあって、それが独自の変化をしていると考えたほうが良さそうです。

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(日本の王将の麻婆豆腐)

 ちなみに、我の上海人の妻は大学時代の同級生。浦東の東和クリニックで中医学の医師をしていて、そんな関係で私とは同業です。だから、食には結構うるさく、上海料理に関しては私も妻からいろいろ勉強しました。私自身も、20年近い上海生活の中で、日本人が如何に安全な食生活をおくれるか、上海の食材のなかで色々研究してきました。

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 その結果、たどり着いたのが如何にシンプルな料理を楽しめるか?ということ。つまり、外食やお総菜に頼らず、自分の納得できる食材でシンプルに食べるというのが、一番大切ではないかと思うようになりました。

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 事実、上海料理というのはとってもシンプルでしかも油を使うのが非常に少ない。こう書くと、信用してもらえないのですが、妻が私の日本の実家で披露した中華料理にもうちの父母は喜んで食べていました。

 いくら上海人でも毎日コテコテのものを食べるほど胃が丈夫なハズがありません。彼らの食文化は、やはりよく観察してみると非常に面白いのです。上海人に聞いてみるのが一番です。

 さらに、昨今では上海の外食産業の値上がりも尋常ではなく、その分を自分たちの食材に使った方がより納得いくものが食べられるのではないかと思います。

 そういえば、元宵節が過ぎて、うちの家の家政婦さんも田舎から戻ってきました。今回、お願いしていたしていたのがこの写真の中国ベーコン。いわゆる腊肉です。中国の田舎では、冬に欠かせない保存のきく食材です。

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 うちの家政婦さんの実家では、自宅で豚も飼育して、1年かけて育てた体重150キロもある豚を春節前に処理して、2〜3ヶ月かけて腊肉を作ります。これが絶妙に美味しく、さっそく浙江省の桐廬で分けてもらった農家自家製の豆板醤とあわせて一品作りました。

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 食の安全が色々いわれるのも、そもそも消費者である我々が自分で作ることを怠り、他人に頼るようになってきたからというのが最大の原因ではないかと思います。良い物を安くというのは、そういつもあるわけではありません。

 でも、本場の中華料理のシンプルさは、食材そのものの味を生かしたメニューと組み合わせの法則でまとめられています。これは実際に食べてみないと見当がつかないと思います。



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2014年01月21日

精子と肥満・食材の重要性

 男性不妊の治療で、中医学や漢方を使われる方も増えてきているような印象です。西洋医学では決定打がないだけに、色々な事をやってみる必要があると思います。

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 私もこのブログで以前、六味地黄丸と精子の質・男性不妊の治療でという記事を書いておりますが、あわせてそちらも参考にしていただければと思います。

 ただ、精子の問題を考えるときに、男性の生活習慣の問題は必ず考えなければいけません。スタンフオード大学の研究で、肥満と過体重の男性の精液の数と質が劣るという結果が出ていました。テキサス州とミシガン州で妊娠を希望している468組の夫婦で、男性のウエストと体重を測り、射精時の精子の量との関係を調べました。それによると、BMIが正常範囲の場合、平均射精量は3.3ミリリットルでした。一方で肥満でBMIが最高レベルの場合、射精量は2.8ミリリットルで量が減りました。また、ウエストが102センチ以上だと、94センチ以下のグループと比較して、射精量は22%減少しました。実は、この射精の量は精液の質を見る上でとても重要といわれており、精子が安定した環境で活動するためにも欠かせないとされています。また、脂肪が精子に与える影響としては精子の成長を妨げたり、陰嚢の温度を上げてしまったりと諸説がありますが、いずれにしろ、あまりよくないことは確かです。

 また、飲食が精子に与える影響に関しても興味深い研究がありました。
 一般に、男性の年齢が大きくなると、精子のDNAが破損され、染色体異常が出やすいといわれています。イギリスの研究では、44歳以上に男性に対して、柑橘類やイチゴ、ジャガイモなどビタミンCが豊富に含まれている食品を摂取したら、こうした食材をあまり食べない人にくらべて、精子のDNAの破損が20%近く減ったということです。同様に、亜鉛を含む魚介類、ビタミンEを豊富に含むナッツ・胡麻類、葉酸を含む緑の野菜などの食材も大切です。精子の質を高めるために、活性酸素によるダメージも防がなくてはいけません。さらに、精子の成長を妨げる女性ホルモンに似た物質も要注意です。これに関しては、偏頭痛とペットボトルもご覧ください。

 この分野は、中医学の薬膳・養生とも深く関わりがあります。我々現代人の生活からすると、ちょっとした工夫が必要ですね。

 
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2014年01月08日

上海松江の木桶山羊づくし

 中国での薬膳といっても、気候風土によって大きく違うし、食文化による影響も大きいのが実際です。そんな上海で、夏の猛暑と冬の厳寒期に人々が食べるのが山羊です。

 (参考:伏羊〜上海の無形文化遺産〜上海金山で山羊づくし

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 この冬は、いつもと違うところで、ということで上海松江区まで足を伸ばしてきました。松江区といえば、上海発祥のエリアとしても有名ですが、様々な食文化が残っています。

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 今回訪れたのは、松江区の郊外にある鎮南路の「木桶羊肉」という小さな小さな街の食堂。ただ、インターネットではそこそこ有名で、結構遠くから食べに来ていました。

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 上海でいう羊肉は、羊ではなく山羊を指します。山羊は身体を温めるだけでなく、胃腸に優しいのも特徴で、腹持ちがいいのも納得できます。羊と違って、意外と臭みがありません。

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 一般にこうした町の食堂はまだ夜明け前の朝4時頃から店をあけて仕込むのですが、早起きのお年寄り達が山羊肉麺を食べに訪れてきます。中国のお年寄りは、それこそ夜の7〜8時頃には就寝し、思いっきり早く起床、腹ごしらえをして明るくなったら颯爽と活動というパターンも多いのです。

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 松江の羊肉の食べ方は、金山ともまた違う。金山では香菜を沢山使っていましたが、ここではまず使いません。これも地域の特徴と言えるでしょう。


 この食堂では多い日では1日10頭の山羊をさばくのだそうです。店頭には山羊がぶら下がっていました。木桶という名前も、この山羊を桶にいれてスープを作るからだそうで、山羊鍋のスープはそこからきていました。

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 もう一つ、この店が有名なのは、自分ところで山羊を飼育しているのだそうで、そういったところからもウワサになっているのでしょうね。


 さて、肝腎の山羊肉ですが、山羊の血を固めた羊血や、内臓などを食べる羊雑、上海料理でお馴染みの白切羊肉など、絶品が揃いました。


 こうした羊肉を食べると、パワーで出てくるような気がしますね。牛肉や豚肉のように脂っぽくないのが嬉しいです。


 日本でも、ほんの最近まで農村で山羊を飼育していました。山羊の乳搾りをした経験のあるお年寄りもいました。山羊の乳は、牛乳アレルギーがあっても飲める人が多く、中国でも以前は粉ミルクがない時代に、その代わりとして使われていました。


 山羊の食文化は、上海料理の大事な一部分です。ぜひ食べてみたいところですね。



 
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2013年10月15日

蘇州蔵書の羊肉麺

 上海エリアでは、夏に山羊肉を食べる習慣があることは以前もここで紹介しました。猛暑の今年も、夏の一番暑い三伏の時期に食べに行きました。奉賢区には山羊肉節もあったりします。詳しくはこちらから。

 そして、やっぱり山羊肉は秋から冬にかけてふと食べたくなるもの。その山羊肉で、中国全国でも有名な一大ブランドとなっているのが蘇州市の蔵書の山羊肉で、商標も登録されているそうです。
 
 先日、閔行区の清水路を歩いている時にたまたま見つけたお店でいただいたのが、蘇州人が経営している蔵書山羊肉の麺専門食堂。とても小さな店なのですが、味はなかなかでした。

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 私が注文したのは湯麺ではなくて、拌麺。山羊肉スープがべつについてきて、醤油ベースのつけ麺みたいな食感です。中身はとってもシンプルで、薬味として使われているのが大蒜の葉っぱ。

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 そのほか、山羊肉でもっとも典型的な食べ方である白切羊肉と、羊雑と言われる山羊の肝臓、肺、胃などの内臓をスライスしたものもいただく。食べるときは甘い甜麺醤を使ってもいいし、お醤油でもいいです。まさに、江南エリアならではの食べ方です。

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 山羊肉は中医学でも薬膳として使われる食材です。虚弱体質や身体の冷えなどに対して有効とされ、とてもマイルドな食感が美味しいです。あまり臭みもありません。上海エリアではぜひ一度食べてみたいところです。山羊は上海の郊外で、いまでもよく飼育されている動物です。山羊は草食で、飼料を食べさせないので、比較的安全な肉だと言われています。


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2013年08月15日

伏羊〜上海の無形文化遺産〜

 上海市郊外の奉賢区庄行鎮に行ってきました。

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 ここでは、上海の中医学の特徴の一つでもあり、特に金山・閔行・奉賢区エリアの夏の養生として欠かせない山羊肉を食べる習慣があります。上海に20年近くいると、この私も夏に山羊肉が恋しくなってくるのでした。(笑)

 実は、毎年行っているお店が金山にあり、ブログでも紹介しましたが、今年は一度、無形文化財に指定されている庄行に行ってみようということになり、クルマを走らせました。

 ちなみに、山羊は本来冬に食べるものと思われがちですが、上海エリアの中医学では夏に食べることも多いです。日本で言うと、土用の丑の鰻といった感じでしょうか。
 暑い夏、「熱でもって熱を制する」というように、一年のうちで最も暑い三伏の時期に、しっかりと身体を温めることで、身体のなかにたまった寒邪を追い出そうという生活習慣は上海を含む江南エリアの中医学に色濃く残っています。山羊肉は栄養価も高く、とくに中医学の消化器にあたる脾胃に優しいので食べても胃にもたれにくいのも特徴的です。

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 ここでは、村全体が夏に食べる伏羊を観光の中心にしているため、広場には多くの食堂が集まっています。そのまえには、特産の梨の売店が所狭しと並んでいますから、間違いなく観光客向けですね。

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 残念なのは、近年、こうした梨作りも上海地元の人が栽培しなくなったことです。地方から来た出稼ぎ労働者に任せっきりでちゃんと監督されていない。そうなると農作物の品質が心配、というのが上海の消費者の声です。

 さて、我々が入った店は、そのなかでも一番大きい「李記羊肉」という大型の「農家楽」です。

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 まあ、結果から言うとまずまずでした。なんというか、料理は地元の味というよりも観光客向けといった感じで、個人的にはちょっと興ざめ。
 しかし、気軽に伏羊を食べられると言う点では、合格かもしれません。ぐつぐつと煮込んだ羊肉を、汗かきながら食べるのが美味しいです。

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 さまざななサイドメニューもあるので、山羊以外の料理も楽しめました。

 近年、エアコンの普及で夏でも身体が冷えたり乾燥したりすることが多くなりました。そんなときは、ぜひ山羊肉など身体の芯から温めることができる食材も使ってみたいところです。

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(上海郊外定番のサトウキビ、緑の茎がポイント)

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2013年07月12日

長夏の始まり、小暑

 連日最高気温が38℃を超えている上海です。新暦の7月7日は日本では七夕とするところが多いですが、中国ではこのころがむしろ二四節季の「小暑」であることのほうが有名です。

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(上海の田んぼの稲の緑)

 中医学では、春夏秋冬による四季の養生があります。たとえは、春は肝、夏は心、秋は肺、冬は腎というように養生を考えますが、その中で忘れてはならないのは長夏の存在です。ちょうど、二四節季では小暑から立秋の間に入る季節のことを長夏といいます。この時期は、暑さはもちろんのこと、湿気が非常に高いのが特徴です。そのため、中医学では湿気を嫌う脾の養生に注意します。

 湿気が身体にどういう影響を与えるかは、日本や中国の夏を体験したらよく分かると思います。身体が何となく重く、食欲が減退し、疲労感が出て来ます。場合によっては、便が緩くなったり、目眩や頭痛を感じたりすることも多いです。まさに、この小暑を過ぎたあたりから、湿気対策を重視します。

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 湿気対策は、中国でもそれぞれの地域によって違いますが、たとえば我が家は妻も中医学の医師で地元上海人なので、その食生活を見てみるといろいろ反映されています。基本的に、この時期に我が家の食卓に出てくる料理は、あっさりとした薄味で、消化しやすい物が多いです。薬膳以前に、そういう食材が市場に多く出回るんですよね。

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(夏の食卓)

 たとえば、緑豆や小豆や大豆などの豆類、冬瓜・苦瓜・キュウリ・ヘチマなどの瓜類、アヒル・豚肉などの肉類、上海の特産でもある西瓜や桃などもよく食べます。湿をとることを考えると、ハトムギやハスの実、山芋なんかも重宝します。

 一方で、衛生状態も考えると、この時期の生ものはなるべく避けたいです。患者さんをみていても、下痢を訴える方が少なくありません。この時期になると、腸の調子がよくないというのもやはり湿気と脾臓と関係があると思います。

 高温と湿気から如何にして身体を守るか。これぞこの長夏時期に一番注意しないといけないことなのです。

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2013年07月04日

自家製の酸梅湯

昨日は本当に暑かった。クルマで浦東の我が家を出たときの気温は、お昼で36℃。うお〜、と思ったら、浦西の中医クリニックに到着すると38℃。やはり、世紀公園エリアと浦西のど真ん中では2℃ぐらいの差があります。夜の診察をおえて、9時半頃に再び気温をみると、浦東の内環状線の上での気温が36℃、浦東の我が家に到着すると36℃でした。やっぱり2℃の差がある。

でも、多くの家ではエアコンをつけて窓をあけていないので、外の温度変化には気づいていないのではないかと思います。実際、明け方4時半頃に起床すると、まだエアコンなしでも仕事ができるんです。

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 夜、家に帰ったら、妻が酸梅湯を作っていました。

 中国の食べ物も、日本同様、季節感をとても大切にします。

 上海では、伝統的に夏に飲んだり食べたりするものがいろいろあり、その殆どがこの暑さと湿気に関係があります。代表的なのが緑豆湯であったり、様々な薬味でたべる涼皮であったり、キンキンに冷やさなくても涼感を感じられるのはいいです。

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 酸梅湯は、見た目はなんかあの苦い中医薬の煎じ薬に見えますが、甘酸っぱい味が結構いけます。生薬でも使う烏梅や山査子に氷砂糖をいれて煮詰めて作りますが、家庭によっていろいろレシピがあると思います。我が家では、新疆から送られてきた大棗も使います。

 中国人にとって、この酸梅湯はいろいろなの思い出があるはずです。アイスクリームとかなかった時代でしたから、それでもこういう酸っぱさと甘さを兼ね備えた飲みものは重宝されたらしい。これぞまさに生活の知恵で、飲むと不思議と涼しさを感じます。

 酸梅湯は、清代の宮廷でも飲まれたといいます。

 中国の食文化の楽しみ。

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2013年01月18日

乳癌と豆乳

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(色々な豆乳メーカーが売られていますが、プラスチックではなく金属製のものがお勧めです。)

 中国では本当に大豆製品をよく食べます。豆腐も然り、豆乳も然り。上海の朝食では、豆乳は欠かせません。我が家では、豆乳は親戚の田舎で分けてもらった大豆を使って、豆乳-メーカーで作っています。豆乳は不思議なもので、出来たてはクセもなく非常に美味しいのですが、時間がだってしまうとダメですね。やはり、出来たてを飲むのに限ります。
 大豆製品の摂取について、上海市疾病予防コントロールセンターが過去に興味深い研究データを出しています。2002年から5000例の症例に対して、5年間にわたる調査を行いました。この結果、大豆のタンパク質を多く摂取している人は、乳癌リスクが25%さがり、再発のリスクも32%さがるというものでした。また、近年では中国とアメリカの合同研究で、9514人の乳癌患者に対して、7.4年間の追跡調査をしたところ、毎日イソフラボンを10mg摂取した女性の乳癌リスクは下がるというものでした。

 更年期のホットフラッシュに関しても、大豆は有効であるという研究もあります。詳しくは、こちらをご覧ください。

 ちなみに、中国の栄養ガイドラインには、毎日30〜50gの大豆を摂取するようにとなっています。だとすると、1日800CCぐらいの豆乳は必要ということになりますが。。。

 上海市疾病予防コントロールセンターによると、上海・広州・北京・大連・鞍山は乳癌の発生リスクの高いエリアになっています。


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2012年12月26日

張仲景と餃子

 今年は12月22日が冬至でした。日本では柚子風呂にはいったり、南瓜をたべたりしますが、中国ではあまり見かけません。我が家では、農家からもらった柚子には農薬がついていないので、皮をめくってお風呂にいれてみましたが、こちらの柚子は、日本で言う文旦なので、とにかくでかい。それでも、いい香りに楽しめました。

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 冬至をきっかけにして、ますます寒くなってくるわけですが、やはり体を温めることは非常に大切です。上海の街をすこし歩いてみると、山羊肉を使った料理をいろいろ見つけられます。ラーメンのトッピングに山羊肉をつかったりするのは、このあたりの特徴です。これがおいしい!

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(野菜たっぷり)

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(紅焼羊肉)

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(白切羊肉、こちらは特製のタレで食べることが多い)

 

 一方で、中国の北方エリアでは犬の肉も食べます。犬の肉も、山羊肉にも負けない、体を温める食材です。



 さて、中国の北方ではよく食べられる餃子。我が家では、むしろワンタンのほうが多いのですが、たまに餃子を作ることもあります。



 中医学や漢方を勉強している人なら必ず一度は読む「傷寒雑病論」の作者、張仲景にも餃子にまつわるエピソードがあります。さすがに、名医の誉れが高い(医聖)の張仲景です。医食同源に関しては心得たものです。



 張仲景が長沙で役人をしていたころ、故郷南陽の白河沿岸では粉雪が舞って、身を切るような寒さに見舞われました。故郷の人たちの耳がしもやけで爛れている様子をみて、どうにかならないかと炊き出しを思いつきます。



 これは、羊肉や唐辛子などのほかに、体を温める働きのある生薬をいれて一旦煮だし、そのあとそれらを切り刻んで、小麦粉の皮で耳のようにまるめて再度鍋に煮詰めるというもの。「駆寒矯耳湯」として、人々に食べてもらいました。その結果、耳の爛れが治ったと言うことです。これが餃子として現在にも伝わっているという説もあるぐらいですから、名医の影響力というのは大きい。でも、たしかに焼き餃子を食べるよりも、こうした煮詰めた餃子の方が体が温もりますよね。



 餃子やワンタンをつかって薬膳的な試みを行うことは、わりとよく行われていて、2011年に出かけた安徽省黄山市でも胡氏高湯餛飩(ワンタン)のような老舗のワンタンの屋台がありました。

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(焼きワンタンも上海地元料理の一つです)

 ちなみに、上海では冬至にお団子をたべる習慣があります。胡麻ペーストや小豆の入ったお団子です。お団子は、縁起物の食材の一つですので、よく上海の年中行事で登場しますね。




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2012年11月05日

秋本場の薬膳弁当「三味南瓜鶏」

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最近、上海にいらっしゃる日本人の間にも、薬膳を勉強されている方が増えてきて、巷の薬膳教室は結構賑わっているようです。中医学をやっている私からしても、これは嬉しいことです。中医学への正しい認識を広めてもらってこそ、治療効果が高まるというものです。

 ところで、例のゴタゴタ騒ぎで結局お流れになってしまったのですが、実は延期して11月3日に開催予定だった、東日本大震災被災地支援イベント「第2回上海秋祭り」のお弁当コンテストに、我が家からも妻の力作を出展していたのですが、古北のヤマトギャラリーでの参加者写真ポスター展示ということになりました。

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 私は、基本的に昼食は妻の弁当を持って行っていますが、完全に中国式の弁当です。すなわち、日本式のようにおかずを一品ずつ分けるのではなく、ご飯のおかずをのっけるタイプ。このやり方だと、とてもシンプルなのと、飾りが一切ないので弁当のゴミがでにくい。合理的と言えば合理的だと思います。


 ただ、弁当コンテストではちょっと不利。さすがに、日本人のお母さんが作られるお弁当の美的センスには妻も驚いたようです。もちろん、妻も中医学の医師だけに、食材にはいろいろ工夫しました。ということで、本場中国の秋の薬膳弁当です。(薬膳といっても、我が家ではよく使う普通の食材なのですが。。。。)


 名前は「三味南瓜鶏」です。秋の食材として、南瓜・鶏肉(手羽・足など)・タマネギ・生姜をミリン・氷砂糖・塩・醤油を使って炒め、ここに鬱金(ウコン)・陳皮(チンピ)・香附子(コウブシ)などの生薬を煮出してからスープとして加えています。味を調えるために、日本のミリンを使うことで、生薬特有の苦みを抑えることができました。


 そのほかにも、秋の食材がテーマとなっていて、秋葵(オクラ)、百合根、南瓜に、秋に収穫される新鮮な蓮の葉も使っています。蓮の葉は、荷葉と言って、生薬としても使います。ご飯には、精神を落ち着かせ、胃を養ってくれる粟もまぜてみました。メインとなる鶏肉には、疲れた体を元気にし、秋の乾燥を潤す効能で、午後も元気に
仕事!という意味が込められています。

 もちろん、腹7分目と安全を意識して、弁当箱は小さめ。これが結構ポイントだったりします。さらに、有害物質が出にくいガラス容器を使っています。ガラス容器は少々重いですが、私は弁当箱として愛用しています。

 いつもここまで凝った弁当が毎日出てくるとは限りませんが(^_^)、それでも栄養には気を遣ってくれているようです。ありがたい。


甘霖・我が愛しの上海へ
 

posted by 藤田 康介 at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界

2012年08月06日

苦瓜(ゴーヤ)の汗疹での活用

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夏になると、うちの娘にも時々みられる汗疹(あせも)。お子さんがいらっしゃる皆さんもいろいろな対策をされているかと思います。

中医学や漢方の世界でも、昔から伝わっている方法が沢山有ります。中医学的な病因病気は暑湿が皮膚に蘊蒸(うんじょう)し、汗がうまく排泄されないからと考えます。『外科正宗・痤痱瘡』には、熱い身体に風があたることで毛竅が閉じてしまうからとあります。

 外用薬でよく使うのは、六一散や青黛散など。内服では緑豆や金銀花、忍冬藤、地骨皮などを使ったりしますが、上海近郊の田舎で活用されているのが苦瓜(ゴーヤ)。

 我が家では、苦瓜をみじん切りにして、薄荷を混ぜ、さらに水を少々足してその汁を皮膚に1日に2〜3回塗ります。苦みの強いゴーヤは、清解暑熱などの作用があり夏の瓜類の代表選手。塗ってもそれほど刺激がないので、子供でもまず大丈夫です。(ただし、ゴーヤでアレルギーがある方は避けて下さい。)これが結構いい感じで、赤みや痒みがラクになるかと思います。

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 そのほか、我が家では薬草風呂を作っています。この場合は、エキス剤などを使うよりも、煎じ薬のほうが圧倒的に有利です。ちょっとすっとした感じの清涼感があっていい感じです。

【連絡】 ・8月19日(日)は東京でのTCMN15周年夏大会での発表のため、休診します。
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2012年07月24日

冬にしか山羊を食べないのは勿体ない

7月22日は大暑。大暑といえば、上海の奉賢区・金山区エリアでは山羊を食べる習慣があるのです。薬膳でとかよく言われる、山羊は「上火」しやすいから、冬しか食べないというのは正直正しくない。むしろ、夏だからこそ大補できる山羊肉を食べるべきだ、という地方もあるのです。そう、土用の丑にウナギを食べるのと何となく似ている上海で食べる山羊肉の発想です。

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 去年に引き続き、金山区の漕にある知り合いの山羊肉屋へいって、山羊肉を食べに行ってきました。S4高速道を使うと、浦東新区からでも金山まではひとっ走り。ところが、去年と同じ場所にあるかと思いきや、近所に拡張OPENしていました。おお、よく儲かっているんだ!

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 お昼過ぎに入ったのですが、すでに大入り。辛うじて端に席を確保して、ナベをつつきました。地元の人でいっぱいです。山羊と言えば、内臓も含めてあらゆるモノをいただけますが、レバーや胃などの内臓もおいしい。何れもお湯で湯がいて火をしっかりと通したものなので、熱々をいただきます。醤油だけで食べられるのはお肉が美味しいから。不思議と臭みが全然無いのです。

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 中医学の薬膳の世界では、山羊肉は温中暖腎・益気補血となっていて、虚寒系の証や疲れの解消などにいいとされています。夏ばて気味ならいいかもしれません。

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 ところで、ここでも冷たいお茶は出て来ません。飲み物として出て来たのは暖かい佩蘭(はいらん)茶。祛湿・祛暑系の代表選手で、上海エリアの農村部では夏の代表選手の決明子とともにお茶として飲みます。さすが!

 季節とともに動く食文化の魅力。これぞ医食同源の中華料理ですね。
posted by 藤田 康介 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界