2010年09月05日

上海でマラリア対策強化

 WHOが貧困対策の一環として強化しているマラリアや血吸虫の問題について、中国ではまだ根絶できておらず、大きな問題となっていますが、中国疾病予防コントロールセンターで、9月から上海でも発熱患者に対して、マラリアの検査も行うことを決め、2020年までに全世界でマラリアを撲滅する行動目標に協力するということです。

 特に、中国から貧困エリアに働きに出る人たちも増えており、帰国後のマラリアの発症がみられていて、上海エリアでも毎年30例前後のマラリア患者が確認されています。

 いまだにワクチンがないので、感染エリアでは蚊に刺されないようにすることが何よりも大切で、高熱が続いたり、規則的に発生する高熱がある場合は、マラリア原虫の検査を行うことになります。

 マラリアの治療では、実は中医学も貢献していて、昔から使われているチンハオス系薬剤(青蒿素)は、まさに中医薬(漢方薬)から抽出された成分です。比較的副作用が少ないとして、臨床の第一線で活用されています。
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2010年08月14日

ニキビ治療薬のアキュテイン(ACCUTANE)に関する副作用問題

 中医学・漢方で、治療に来られる患者さんが多いニキビの治療です。弁証するときには様々なパターンに分けられ、ある一定のグループのニキビは治しやすいのですが、頑固なパターンもあり、こちらは生薬+外用生薬でも四苦八苦することがあります。

 さて、うちでは使っていませんが、中国でニキビの治療に使われることもある西洋薬、アキュテイン(ACCUTANE)(中国名:異維A酸)に関して、中国国家薬品不良反応監測センターが副作用に関する情報を出して、市民に注意を呼びかけています。

 アキュテインの本来の働きは、皮脂腺(ひしせん)の活性を抑え、上皮細胞の角化抑制するなど、ニキビの総合的治療には良さそうなのですが、副作用として子どもに奇形をもたらしたり、逆に皮膚の状態を悪化させ、皮膚の乾燥・痒み・唇の乾燥などのひどい皮膚炎の症状を引き起こし、さらに頭痛や眠気など精神的な反応も出てくることが指摘されています。

 この薬自体は、日本の厚生労働省の認可を受けていないので、日本では処方されることはないと思いますが、すでに開発されて20年以上の歴史をもち、中国では薬局などで外用薬・内服薬ともに手に入ります。

 しかし、その中国でも、2004年〜2010年7月15日までに259例の副作用の報告が出されていて、このうち4例に関しては重症ということです。よって、今回、当局が注意を促しています。
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2010年08月12日

上海の救急車

 中国では、電話番号「120」で救急車を呼ぶことになっています。上海で猛暑が続き、体調を崩す人が続出、上海ではこの時期1日平均で750回も出動していて、多い時は1日に1000回近くも出動しているということです。
 そこで、上海市衛生局では、スムーズに救急車が稼働できるように、いくつかの方針を打ち出しています。

 まず、伝染病や精神病、中毒ややけど以外の疾患では、基本的に近くの二級、三級総合病院に送ることにしています。また、患者が搬送されてきた病院側も、救急車を断ることができず、救急車が到着したら10分以内に患者をおろして、病院側に引き継ぐことが決められています。
 そうすることで、救急車は次の任務へ出発することができますし、病院も迅速な対応が求められます。もし、出来なければ衛生局から批判されることになります。

 一方で、一部家族が遠くの病院に搬送することを求めるケースがあるようですが、原則認めないと言うことなので、かかりつけの総合病院がある場合は、やはりタクシーなどを利用した方が無難かもしれません。

 なにより、上海の交通事情をみて分かるように、自動車教習所のテキストでは、救急車は優先とあるのに、実際には救急車の存在にすら気がつかないドライバーが多いのが現状です。これは明らかにルール違反だけに、ドライバーのモラル向上が求められます。
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2010年06月17日

男性にも見られる骨粗鬆症

 骨粗鬆症といえば、女性に多く発生すると思われがちですが、近年男性にも増えてきています。

 中国の場合、60歳以上の男性のうち、骨粗鬆症を患っている人の割合は20%、上海に限ってみると、その発病率は60歳以上の男性で20%、70歳以上の男性となると30%に増えます。特に、お酒の飲む量が多かったり、タバコを長期にわたって吸っている、運動を殆どしない、カルシウムの摂取不足、テストステロンのレベルなどの影響で、男性でも骨粗鬆症にかかるリスクは高まります。そこで、中国では40歳を過ぎたら、男性でも骨密度を測定するべきではないかと言われ始めています。

 男性が骨粗鬆症になる年齢は、一般的に女性より遅く、その発病率も高くはないにせよ、上海市の男性を例に取ると、骨粗鬆症が原因の脊椎の骨折や大腿骨骨折が90年代を比較して倍増しているというデータも見られます。

 中医学の世界でも、中医婦人科は中医整形外科で(骨傷科)で、骨粗鬆症に関する様々な研究が行われています。
 一般的に中医基礎理論から言えば、骨というと、腎に関係があると言われ、腎は骨を主り、髄を生むとされます。腎の精気が十分でなければ、骨髄を養えず、脳にも影響すると考えます。しかし、年齢が増すに従い、腎は衰えてきます。そこで、生薬を使うときは腎・肝を補い、筋骨を強化するものを使います。骨粗鬆に伴う痛みなどの症状の治療では、中医学でも一定の成果はあります。

 とはいえ、まだ中医薬だけで完全に骨粗鬆症を治療する方法は確立されたとは言えず、今後の研究成果が待たれます。中国では他の症状の改善も考えて、併用されることが多いようです。
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2010年06月16日

シクロスポリンの薬の使い回しをしないように

 中国の国家食品薬品監督管理局が6月8日に医療関係者を対象に通知をだし、シクロスポリン系の薬の使い回しをしないように呼びかけていました。

 西洋医学では、ネフローゼや乾癬、最近では難治性のアトピー性皮膚炎にも使われるシクロスポリン系の薬は、免疫抑制剤の一種です。中国では、環孢素(フアンバオス)と呼ばれていて、新山地明、田可、新賽斯平などの商品名で流通しています。

 ただ、歯肉増殖証や多毛症、肝機能・腎機能障害、高血圧など副作用も大きいため、血中濃度のチェックをしなければなりません。中国では、2004年から2010年の現在まで、556例の副作用が報告されていて、このうち18.2%が重篤な副作用ということ。

 今回の通知では、シクロスポリン系の薬で、異なった商品名・異なった製剤のものを混合して使わないように呼びかけています。

 医師の指示に従って正しく服用したいものです。
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2010年06月14日

上海市、末端医療に中医学導入を本格化

 6月8日の上海市のニュースで結構大きく報道されたのですが、上海市が2010〜2012年にかけて、中医学を末端医療に導入する本格的な行動指針を作成することを決めたようです。これは大きな動きと言えます。

 上海市の韓正市長は、中医薬が、中国の伝統医学として各家庭に普及し、医療技術の継承とその発展が行われることに力をいれると表明し、『上海市の中医薬事業のさらなる発展に関する意見』と『上海市の中医薬事業発展の3年行動計画』を発表しました。

このなかで、特に強調されているのが、社区衛生サービスセンターのような末端医療を担当する医療機関での中医学の普及です。私の妻も、この社区衛生サービスセンターで、中医学の医師として働いていますが、こうして政策の関係もあり、かなりの患者数で忙しいと言っていました。今後、大卒以上の医師たちが、末端医療に人材として投入されていくことでしょう。

 ちなみに、中国では約2万箇所の病院(クリニックや村の衛生室も含めると、91.7万箇所にもなるそうです)がありますが、このうち中医学系列のビョインは2728カ所で、全体の13.5%ほど。しかし、実際には西洋医学の総合病院にも大抵中医科が設置されているので、数としてはもっと多いと思われます。また、中国の医療機関では、年間のべ54.9億人の患者さんの診察をしていますが、このうちのべ3億人が中医系列の病院にいっているようです。これも増加傾向のようです。

 これから、我々のように中医学をやっている医師も忙しくなりそうです。
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2010年05月13日

ニセモノ対策

 日本の読売新聞のニュースに、ニセ医師、偽造免許の局長・大臣名は同一筆跡?という記事がありましたが、「へえ〜」とびっくりしてしまいました。資格というのは、なかなか見抜けないことが多いのでしょうね。

 では、ニセモノ天国の中国ではどうしているかというと、インターネットを利用することが多いです。
 たとえば、医療の世界ではというと、上海市の場合、特に我々のように中国の国家資格で医療行為をしている医師に対しては、当初からデーターベースができていて、一般市民が検索出来るようになっています。

 上海衛生という、上海市衛生局が管轄している公式HPに医療従事者の資格を検索するためのHPも公開されています。試しに、自分の名前を入力してみると、ありましたのでホッとしました。

 中国は医師免許の制度が日本と違っていて、医師免許を取得しても医療行為ができず、医療機関から衛生局に登録して初めて医療行為ができます。さらに、外国人の場合は就労許可証がいりますから、医師免許、登録証とあわせて3つの証明が必要と言うことになります。
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2010年02月21日

産婦人科にも中医学を導入する動き

 かつての中国では、産婦人科でも中医学を使っていました。むしろ、中医学しか産婦人科がなかったというのが正しいかもしれません。しかし、現在の中国の医療システムでは、中医病院には婦人科はあっても、産婦人科はありません。

 そんな流れも変わり始めています。中医学が強い力をもっている広東省の広州中医薬大学第一付属医院で産婦人科を開設し、2009年末に初めての子供が出産されました。

 確かに、中医学でも妊娠期や出産後に活用できる治療手段はいろいろ伝わっていますし、分娩時の鎮痛方法にも活用できる手段があります。
 例えば、妊娠中の様々な体の不快感や流産の治療に使う、いわゆる「保胎」作用のある生薬もいろいろあります。胎熱不安に使う黄芩(オウゴン)は保胎作用のある生薬の中では最もよく使われる生薬です。そのほか、胎動不安に使う白朮(ビャクジュツ)、つわりに使う砂仁(シャジン)などが代表選手です。

 今ではあまり使われていませんが、今後さらに研究が進められてくることかと思います。中医学と西洋医学を上手に併用した妊娠・出産が、これから登場してくることを期待しています。
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2010年02月10日

後で診察する方式

 中国の病院と言えば、診察を受けるときも、まずは診察料を支払って、そのあとに診察を受け、さらに検査料を先に支払って、あとで検査をうけ、先に薬代を払って、あとで薬をもらいに行く。。。。という何でも先払いシステムでした。

 さすがに、うちの中医クリニックではそうはしていませんが、中国のローカル公立病院での支払いの仕組みはなんでも「先払い」です。
 入院患者の場合は、先にデポジットを払っているので、デポジットがなくなるまでは先に治療してもらえます。
 
 でも、この「先払い」システムは、病院にとっては患者に逃げられることがないので、一番確実なのですが、患者サイドからすると面倒が多い。何より、救急などでは厄介ですよね。
 
 そこで、10年2月に中国衛生部門が通達をだし、上海市でもそれにあわせて後払いシステムの構築を考えるようです。上海市の場合、市民は公的医療保険のカードをもっているわけですから、本人の確認も比較的やりやすいわけで、これは近々実現すると思います。

 さらに、総合病院となる3級病院では、完全予約制に移行するようです。ちょっとした風邪程度でも大学病院に行くような上海人ですから、ここは病院の役割分担をしっかりするべきでしょうね。24時間対応の予約センターも設置する方針で、そうすると明け方から待合室に並ぶ必要もなくなるでしょう。

 少しずつですが、着実に進化しているようです。
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2010年02月03日

上海万博に備えて、麻疹の予防接種を強化

 上海万博開催時に、麻疹の流行を防ぐため、上海市では3月1日〜31日、9月1日〜30日に上海市全域で麻疹ワクチンの予防接種を強化し、摂取率をあげる運動を行います。

 上海市では、今回の運動で、上海に住む16歳以上の常住人口の摂取率を95%以上、また万博に関連する重点地区での摂取率を70%以上に高めたいとしています。子供が居る家庭で、該当者には、各エリア内にある社区衛生サービスセンターで、『上海市児童予防接種証』を受領するように呼びかけています。

 対象となっているのは、麻疹の予防接種をうけていない8ヶ月〜18ヶ月の幼児。または、18ヶ月〜16歳までの子供の場合、予防接種の回数が2回未満の場合。特に、私立学校に通う1年生もしくは最高学年の児童・生徒。地方から転入してきた児童・生徒は接種するようにということです。

 これ以外にも、上海万博会場で働く職員や企業関係者、飲食関係、出稼ぎ労働者などで5年以内に麻疹ワクチンを接種していない人も含まれています。

 そのほかの市民でも、タクシー運転手など交通関係者などサービス業に関係する人で、5年以内に麻疹ワクチンを接種していない場合、接種するように呼びかけています。
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2010年01月23日

上海で増えるか?バリアフリータクシー

 「我が愛しの上海へT」に書かせていただきました。

 医療関係者の一人として、身体障害者だけでなく、高齢者にとっても優しい上海の街になってほしいと願っております。
posted by 藤田 康介 at 18:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2009年12月19日

上海の民間クリニック・外資病院のランキング制定へ

 中国では、公立・国立病院に関しては、病院のランキングを非常にはっきりさせています。地域医療を担う1級病院から総合病院として研究や研修も受け入れる3級病院まで、級によって役割も違いますし、診察料も変わってきます。

 ただ、最近では民間資本のクリニックや外資による病院も上海で増えてきており、そうした医院の評価についてどうするか?まだ明確な結論が出ていませんでした。

 そこで、上海市では上海医療衛生体制改革の一環として、2010年度中に民間医院、外資医院、国有の株式医院など1000カ所(このうち病院165カ所、クリニック450カ所、外資系医院22カ所)の医療機関に対してランキングをつけるという試みが行われるということです。中国で初めての試みですね。

 大変結構なことだと思います。

 さらに、上海市では今後、高齢者や身体障害者などのリハビリ、介護などを重点的に扱った病院の設置も行う計画です。たしかに、今の高齢化社会の上海でもっとも不足している施設ですね。これだけ増えてきたお金持ち高齢者が入ることができる施設がまだほとんどありませんから。きっと新しいビジネスが登場してくることでしょう。
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2009年11月30日

「我が愛しの上海へU」をスタートさせます

 2005年6月から始めた「我が愛しの上海へ」のブログですが、おかげさまで非常に多くの方に読んでいただきました。
 ただ、どうしても内容が「无法八门」状態になっており、自分自身でも収拾がつかなくなってしまいました。

 そこで一度、上海エクスプローラーのプラットホームを離れ、他社様のブログのシステムを研究してみる目的もあり、私自身を成長させてくれた中医学に専念したブログを立ち上げることをずっと考えていました。

 とりあえず、2010年からこちらに中医学関係の内容を引っ越すことにしました。
 
 のびのびと書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
posted by 藤田 康介 at 20:58| Comment(3) | TrackBack(0) | 中国の医療事情