2016年04月27日

中国が世界初めて手足口病EV71型不活性化ワクチンを実用化

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 日本ではあまり重症になる症例はありませんが、中国では死者が出るほどの猛威を振るう手足口病。特効薬もなく、中国ではそうした背景から2008年に丙類法定伝染病に指定されました。統計によると、2008年5月〜2015年9月までで中国で報告された手足口病による死者は約3,300人とのこと。上海市ではこれから4〜7月に流行しますが、娘の小学校でも時々感染者がでることがありました。一旦発生すると、クラス全体が隔離となるのでなにかと厄介です。

 ところで、手足口病はウイルスの種類も色々あり、特にEV71 型の手足口病で中枢神経や呼吸器系の合併症を引き起こし、重篤になりやすいことが知られています。そこで、このウイルスに関してワクチンの開発が進められていました。

 開発を行ったのは中国医学科学院医学生物学研究所で、2016年3月には既に北京でEV71型不活性型ワクチン接種が行われました。続いて昆明でも行われ、世界ではじめての手足口病のワクチンとして注目されています。接種対象は6ヶ月〜5歳の子供で、1ヶ月あけての2回接種とのこと。ワウクチン接種者の手足口病予防率は97%以上で、重篤者も一人も出なかったという結果でした。中国では2類ワクチンの扱いですので、有償で希望者のみになっていますが、一定の予防効果は期待できると思います。上海市でも導入の検討を始めているということでした。

 あまり知られていませんが、実はこれまでの中国はワクチンの研究開発ではかなりの実績持ってきています。一時期流行したあの「新型インフルエンザ」のワクチンも各国に先駆けて開発し実用化しました。

日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2014年09月24日

中国医師資格の定期考査完了


 今年2014年からはじまった制度で、中国では医師免許を持っていても、2年に1回定期考査試験を受けて登録更新をしないといけないわけですが、その合格証が送られてきました。といっても、医師免許に貼るペラペラのシールだけなのですが。。。。

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  4月頃に中医学の基礎知識のほかに、法律や道徳、さらに一般常識的な試験問題もありましたが、試験会場に出向いて、パソコン操作をして受験する中国語でのシステムで、中国で無数の試験を受けてきた私達にとっては特に難なくこなせました。

 ただ、さすがになにも勉強していないで臨むとまずいわけで、それなりにしっかりと勉強しないといけません。(詳しくはこちらから。)

 まあ、このクニでは毎年のようにいろいろな試験が登場して、制度がころころ変わるので、最新の情報に注意する必要があります。これも別の意味でのチャイナリスクなのでしょうね。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール
posted by 藤田 康介 at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2014年06月11日

数字でみる2013年の中国の中医学

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(上海で有名な西洋医学の総合病院、華山医院)

 毎年公表されますが、中国の厚生労働省にあたる国家衛生計生委員会が発表した2013年度の統計で、中国での医療における、中医学の役割がどの程度なのか、数字からいろいろ知ることができます。ここでいう中医系医療機関には、中医・中西医結合・民族医学も含みます。

 2013年末現在、中国全国にある医療機関の数は97.4万箇所あり、このうち入院施設をもつ病院は2.4万箇所になります。また、この97.4万箇所のうち、入院施設をもつ中医病院は3590箇所、中医門診部(クリニック)は38328箇所になっています。意外と少ないと感じるかも知れませんが、実際は西洋医学の病院にも中医科があるため、これはこの数字に反映されていないようです。

 ベッド数でみると、西洋医学も含めた総ベッド数は618.2万床ですが、このうち中医系病院のベッド数は68.7万床になります。前年比8.8万床の増加ということです。

 ちなみに、2013年度の中国全国での医療機関における診察数はのべ73.1億人、このうち中医系医療機関はのべ8.1億人診察しているようです。内訳は、中医医院がのべ4.9億人、中医門診部(クリニック)がのべ1.2億人、その他の医療機関の中医科がのべ2.0億人ということです。

 入院患者では、2013年で全医療機関ではのべ1.92億人ですが、このうち中医系病院では2276万人となっていて、前年比12.6%の増加とか。

 中医学の医師の数では、2013年は39.8万人で約40万人いることになり前年比3万人の増加に(このなかには、医師だけでなく助理も含みます)中医薬剤師(士)の数は11万人だそうです。

 ここから分かるように、やはり中国でも圧倒的に西洋医学のほうが数では優勢のようですが、その特徴をいろいろ活かすように努力はしているように思えます。

東和クリニック・中医科での担当スケジュール

 
posted by 藤田 康介 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2014年01月17日

偏頭痛とペットボトル

 この時期、中医クリニックに来られる患者さんの中に意外と多いのが頭痛訴える方です。

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 大抵、西洋医学で必要な検査を済ませ、原因がよく分からないと言われてこられます。一般的な症状として、男性よりも女性の方が多く、夏よりも冬の方が多いような印象です。イギリスの研究では、英国で500万人の偏頭痛持ちがおり、その発生率は女性は男性の3倍といわれています。ネットで見つけた英国での報道の原文はこちらから。

 さて、偏頭痛の原因として、遺伝的要素や飲食なども関係ありますが、冬場の寒さも大敵です。温度差など外部の環境の変化により、偏頭痛の症状が悪化するからです。そんなときは、帽子をかぶるのがいいですし、寝るときでも頭を冷やさないようにするのがよいとされています。中国でも以前から冬の帽子は一般的です。また寝る前にぬるめのお風呂に入るのも有効だといわれています。

 ところで、女性の場合は、女性ホルモンの変化と偏頭痛にも関係があります。そのため、初潮があったころから偏頭痛の発作が起こることもあります。

 女性ホルモン関係では、環境ホルモンでもあるビスフェノールA(BPA)の存在も注意しなくてはいけません。最近こそ、BPA Freeの材料も増えているようですが、ペットボトルや飲み水用のガロンタンク、プラスチックの弁当箱などに含まれていることが多い物質です。この研究では、BPAは偏頭痛の発生率を高めるとしています。新鮮な食材を使った食べ物を食べると、尿中のBPAは3日以内に66%減少するとのこと。

 一般に、BPAに関しては女性ホルモン的な作用があると言われていて、肥満症や不妊症、心臓病にも関わっているのではないかと考えられています。中国では、よく直射日光があたるところにペットボトル飲料が置かれていたり、クルマの中に積みっぱなしであったりしているので、これは良くない。強者は、ペットボトルにお湯を入れている人もみたことがありますが、これは厳禁です。

 そういえば、偏頭痛には緊張性頭痛型のものもあります。頭痛範囲が広く、額や後頭部、頸部などに及び、鈍い痛みと頭が締め付けられるような圧迫感や、場合によっては帽子をかぶったように感じることもあります。酷いときは、悪心もともなうことがあり、かなりつらい症状になります。中医学では、痰・湿系の頭痛にもみられます。

 偏頭痛をおこす食べ物では、チラミンを含むものが偏頭痛を誘発するともいわれています。代表的なのは、赤ワインやチーズ、チョコレートなどがそうです。そのほか、脂っこい物も要注意です。

 偏頭痛の発作の60%は、何らかの前兆が数時間前から数日前にかけてあるといわれています。たとえば、精神的なストレス、疲れ、眠気、イライラなどです。情緒が不安定であってさも発作を誘発します。

 さらに、頭痛以外にも自律神経に関す症状もよく見られます。中医学で言うと気虚・陰虚・陽虚などと関わりある症状です。たとえば、動悸や口渇、頻尿、腹痛などをともなうものです。いずれにしろ、調子が悪そうだな、と思ったら早めに休息をとることも大切です。

 中医学での特徴として、痛み方の症状分析以外にも、太陽経・陽明経・少陽経・厥陰経など頭での痛みの部位にも注目します。それぞれ使われる生薬が決まっていて、例えば太陽経ならば羌活・川芎・蔓荊子、陽明経なら葛根・白芷・知母、少陽経なら柴胡・黄芩・川芎、厥陰経なら呉茱萸・藁本などです。これらは経絡の分布と関係があるわけなのです。

 偏頭痛の治療はとても奥深いです。すこしでも鎮痛剤を服用するチャンスを減らすことができ、快適な生活がおくることができたらと思っています。

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2013年12月18日

上海市の脳卒中治療指定総合病院

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 脳卒中とは、ご存じのように脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳細胞に栄養が行かなくなり、神経細胞が障害を受けてしまう病気です。早期発見と有効な治療が必要で、少しでも早く専門の病院に運ぶことで予後の後遺症と死亡率を改善することが出来ます。近年、上海でも発生率が上昇しており、罹患して1年以上の死亡率も増加する傾向にあります。

 そこで、上海市では衛生当局が中心となって、「60分以内に脳卒中患者を収容して治療」することを目標に指定総合病院を決めました。いずれも、大学付属病院クラスの市立病院で、専門家がいて迅速に対応出来る病院となっていて、上海市の脳卒中臨床救急センターとして機能することになります。

 上海市内に11箇所ありますので、いざというときのためにその場所を知っておきたいところです。

1.浦西

復旦大学附属崋山医院
復旦大学附属中山医院
上海交通大学附属瑞金医院
上海市第六人民医院
上海市長海医院
上海交通大学医学院附属第九人民医院
上海市第十人民医院
上海市長征医院

2.浦東
上海市東方医院
上海中医薬大学附属曙光医院
上海交通大学医学院附属仁済医院




posted by 藤田 康介 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2013年11月03日

上海市でネットを活用した市民の健康情報管理システム

   2013年10月31日から公開がはじまった上海信息網は、今後の上海市の医療ネットワークの構築の上でも、なかなか興味深いシステムになっています。

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 これは、上海市内の公立病院500箇所を対象にネットワーク化を進め、患者データを共有し、さらに患者自身も閲覧できるデーターベースにするというもの。とくに、患者自身が自分の健康管理のために、様々な検査データを一括して閲覧できるというシステムは画期的だと思います。

 登録される市民一人一人の健康データーベースのなかには、出生時の状況から、予防接種の接種状況や診察状況、薬の使用状況なども登録されるということで、すでにデーターベースには38億件の日々の診察記録が登録されたそうです。さらに、日々1600万件の診療データが追加されていいます。現在では、どこの病院でも電子カルテ化が進んでいて、ネットワーク化された公立病院では、どの病院からも医師が検査結果やカルテを確認出来るシステムができあがったのだそうです。中医学の煎じ生薬でも、かなり前から電子カルテ化が進んでいました。

 同時に上海市民のほぼ全員が公的医療保険に加入しており、保険証カードの番号をもとにインターネットで自分の状況を検索できますが、プライバシーの保護のため、初回は近所の社区衛生服務中心にいって実名登録します。すでに松江区では登録作業が始まっているということです。

 最近、うちの中医クリニックにこられる上海人の患者さんをみても、自分でインターネットから検査結果をダウンロードしてきて持ってこられる方が多いです。今までは病院まで取りに行っていましたから、便利になったと思います。有名な教授の診察も、ネットを通じて予約するシステムを作っているようですが、実際はそう簡単ではないと思います。患者数と比較して、絶対的に医者の数が不足しています。

 なにかと批判の多い中国の医療システムですが、出来るところからいろいろ実践しているみたいですね。

 日本の国民健康保険も保険料を支払って終わりではなく、インターネットなども活用して自分の健康情報を共有できるシステムがあってもいいのではないかと思います。保険料、決して安くないのですから。

 
posted by 藤田 康介 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2013年10月16日

上海市の公的医療保険(医保)に加入

 2013年の私にとってのビッグイベントは、日本人としての中国でグリーンカードの取得だったのですが、せっかく全世界で5000人程度しかいない中国のグリーンカード(永久居住証)を所得できたので、次はこれを使って上海市の基本医療保険加入の手続きを進めていました。

 2009年頃から上海市でも規定が出来ていて、詳しい状況はこちらにありますが、実際加入したという人は殆ど聞きませんし、どういった待遇を受けられるかということもよく分からないのが実情ではないでしょうか。

 ただ、企業サイドからすると、この医療保険は会社側の負担が大きく、そのわりには利用者が使いにくいというデメリットもあります。しかし、中国語が堪能で、ある程度医療に対する知識が有り、ローカル病院でも全然問題ないという人なら、あっても便利かもしれません。上海人とほぼ同じの公的医療保険待遇となります。

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 私も、管轄している区の保険事務所にいって手続きをしました。ただ、日本と違って手続きしたらすぐ加入できるのではなく、手続き後4ヶ月の保険料納付の実績が必要です。

 そして、さらに私が興味深いと思ったのは、病院にかかったときに自己負担の計算です。

 基本的に上海の公的医療保険では、完全に保険から給付される部分(A)と、完全自己負担になる(B)、そして40〜50%自己負担となる(C)の3つの部分から構成されています。

 (A)の部分は、掛け金から決まります。ここは自分の銀行口座のようになっていて、毎月の掛け金の額から完全に100%支払われる毎月の限度額が決まります。もし1ヶ月使い切ることがなかったら、次の月に繰り越されていき、どんどん貯まっていく仕組みです。

 しかし、(A)を使い切ってしまったら(B)の部分に移行します。すなわち医療費が(B)の額を超えるまでは、完全に自己負担になります。この(B)の額は、年齢とも関係があって、年齢があがるに従って(B)の完全自己負担の限度額が下がることになります。うちの義母などは完全自己負担の分は300元程度でした。

 そして、(B)の額を超えると、今度は自己負担率40〜50%の(C)の部分になります。具体的にどれぐらいの自己負担率になるかは様々なケースで変わってくるようですが、だいたいその程度だそうです。

 ただ、これらはあくまでも上海市が運営している「基本医療保険」の分です。さらに企業によっては、保険でまかないきれなかった医療費を、福利厚生の一環として会社負担してくれるところもあり、またそうした負担は医療領収書からの税控除もうけられるということです。

 保険加入の手続きが完了すると、社会保障カードと自己管理用の記録ノートが配付されます。

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 上海市内の公立病院はネットワーク化されていて、今後は診察券ではなく、どの病院でも社会保障カードをつかって診察を受けることになります。また、カルテは記録ノートに書いていきます。もちろん、病院にも電子カルテシステムがあり、この記録ノートにもカルテ内容が印刷される仕組みです。もちろん、糖尿病や高血圧など慢性疾患も問題有りません。公立病院だったら中医学に関係する鍼灸・生薬(煎じ薬・エキス剤)・推拿・気功などでも使えます。

 中国は市・省によって医療保険の制度が全く違います。また異なった市・省間での医療保険の相互利用もまだまだ未整備の状態で、たとえば広州で上海の公的保険を使うということもまだ実現していません。それでも、上海市に関して言えば、公的健康保険の加入者はほぼ100%の状態にまで増えました。

 いずれにしろ今後、さらにめまぐるしく制度が変化していくのではないでしょうか。

 でもやっぱり、改めて適用範囲の広い日本の国民健康保険の制度はすごいと思うわけです。ただ、病気にほとんどならない人も保険料を納めているわけで、上海みたいに使わなかった分の一定額がプールできる仕組みは、健康増進と意識改善のためにいいのではないかと思いました。

*参考情報*上海医保


posted by 藤田 康介 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2013年08月12日

上海で臓器移植が認められた病院11箇所

 いろいろウワサも出ていますが、少し前まではブローカーが暗躍していた中国での臓器移植です。近年、やっと制度化が進められてきています。

 中国の衛生当局が、中国全国165箇所の病院に対して、臓器移植ができる病院として指定しました。上海ではこのうち11箇所の病院が入っています。また、11箇所の病院を含む、市内17箇所の病院で臓器提供を受け付けることが可能ということです。

※各病院の臓器移植の分担は以下の通りです。

中山医院・・・・肝臓・腎臓・心臓・膵臓
華山医院・・・・肝臓・腎臓
第一人民医院・・肝臓・腎臓・膵臓・小腸
瑞金医院・・・・肝臓・腎臓・膵臓・小腸
仁済医院・・・・肝臓・腎臓
新華医院・・・・肝臓
肺科医院・・・・肺
長征医院・・・・肝臓・腎臓・膵臓
長海医院・・・・腎臓・心臓
東方肝胆外科医院・・・肝臓


※臓器提供を受け付ける医院

上記の11箇所に加え、

上海児童医学中心
児童科医院
上海市公共衛生臨床中心
第六人民医院
第十人民医院
上海市胸科医院

現在、上海市では2000人が臓器提供の登録をしているそうです。

 また、上海市ではこれに先だって、2012年12月から上海市器官捐献弁公室を立ち上げ、臓器移植のための制度の整備を行ってきました。

 ただ、臓器移植希望者は相変わらず非常に多い状態で、長期の待ち時間に関してはまだ抜本的な対策は出ていません。しかし、各病院で情報を共有し合うことで、コーディネーターを中心に、臓器移植を円滑に行う仕組み作りができ、少しでも公平・公正に行われるのではないかと期待されます。

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2013年04月28日

5月1日より施行される中国の『精神衛生法』

 私が以前所属していた上海中医薬大学附属竜華病院は、ちょうど上海市の精神病治療の中核となっている上海市精神衛生中心の向かい側にありました。窓に格子が設置されていたりして、結構物々しい様子であったことを憶えています。

 いまだに中国では精神病疾患や障害者への認識が低く、家族からも理解が得られないのも事実です。そのため、「社会の安全のため」を名目に、本人の意志に関わりなく、強制的に施設に入院させるのが常となっていました。報道では、一部の自覚症状を本人が認識していて、自分自身で積極的に治療したいと来院する場合を除いて、8割が意志に関わりなく、精神病院に送り込まれているともいわれています。

 そんななか、5月1日から中国ではじめても『精神衛生法』が制定されることになりました。その特徴は、原則として精神病患者が自らの意志で施設への入院を決めることができるということが明文化されました。また、治療方針も患者自身の権利も尊重されると言うこと。そして、本人の同意なしに家族などが施設に送り込むことは違法行為と見なされると言うことです。一方で、重篤な精神病患者で、自分自身(自殺)や他人に危害を与える場合は、強制的に入院させることもありえるということです。

 ただ、新規定では退院することに関しても、患者の権益が重視され、自由度が増すようですが、この点に関しては、まだ精神病患者の家族からは根強い不安があるのも事実のようです。いずれにしろ、また一歩、国際的な感覚に向けて前進してきたのではないかと思います。

posted by 藤田 康介 at 07:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2013年04月05日

4月4日現在の上海のH7N9型鳥インフルエンザ感染者情報

 上海で新たに3例のH7N9型鳥インフルエンザ感染者が4日に発生しています。以下は新華社の報道です。

 52歳女性、上海人。退職者。3月27日に微熱、3月29日に長寧区中心医院の救急センターで治療を受ける。重篤化して4月1日に華山医院に、4月2日に再度華山医院に再度行くも、4月3日に救急処置を受けるも死亡。この患者と接触していた1人が発熱・咳の症状を訴え、上海公共衛生臨床中心で隔離治療中。

 67歳女性、上海人。退職者。3月22日に喉の痛み、咳、痰、身震いをともなう発熱。3月24日に東方医院で診察を受け、3月25日〜27日の3日間は仁済医院で診察を受ける。3月27日に瑞金医院の救急で診察を受け、ICUへ。症状は重篤化。

 4歳男男児、上海人・3月31日に発熱39℃・鼻水。4月1日に第六人民病院金山分院で治療を受け、4月2日に児科病院に転院、現在状態は良好。体温は36℃に。

 また、上海市松江区の瀘準卸売市場のハトサンプルからH7N9鳥インフルエンザが検出され、この市場の家禽類がすべて処分され、消毒された模様。また、中国農業部からの緊急通知により、H7型鳥インフルエンザを検出した閔行区景川菜市場、鳳庄市場を一旦閉鎖して消毒したほか、活きた家禽類の交易を中止しました。

 4日現在、中国では14人がH7N9型鳥インフルエンザに感染し、5人が死亡。いずれも長江デルタエリア。このうち6人が上海で、4人死亡しています。また、子供は軽くすんでいるようでしたが、中高年は概ね重篤化しています。今のところ、人から人への感染は確認されておりません。

 ただ、タイミングが悪く、現在は清明節の休みで、地方に出かけている人も多いはず。田舎に行くと、必然的に家禽類に接触するチャンスが増えるし、また上海人は活きた鶏・アヒルなどを料理して食べる食文化。食文化を根本的に変えてしまわないと難しい問題ですね。


posted by 藤田 康介 at 08:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2013年03月27日

上海で麻疹風疹ワクチンを受けてきました

 今朝の上海は朝からガスが出ています。上海浦東世紀公園エリアのAQIは82、PM2.5 は59、PM10は64.8。ここ24時間のPM2.5の推移を見ていても、比較的安定している感じです。 

 日本だけなく、中国でも風疹が増えていることは、こちらにも紹介しております。私も、ちょっと免疫が不確定だったので、4月の日本出張を前に接種しておくことにしました。もちろん、妻も一緒にです。

 上海市のローカル病院では、社区衛生服務中心で大人・子供の予防接種を行っています。いわゆる1級病院と呼ばれる、地域医療を支える公立病院です。普通は、市内の居住地から歩いて行ける範囲に点在しています。

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 ※上海における予防接種に関しての情報は、上海市の予防接種スケジュールをご覧ください。


 さて、上海のローカル病院で予防接種の受け方ですが、まず大人の予防接種の時間を確認してください。我が家の近所の「聯洋社区衛生服務中心」では、水曜日の午前中がその日に指定されています。中国語が堪能だったら、ワクチンに関する相談にものってくれます。

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 特に予約もせず、いきなり予防接種の窓口へ行きます。窓口では、有償となっている輸入ワクチンの値段表などが表示されていますが、大人用の風疹麻疹ワクチン(MRワクチン)は無料です。

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 そこで、問診票に記入します。


 このとき、使われるワクチンなどの説明が行われると思います。私が使ったのは「北京天壇」のもの。中国語の名称は「麻疹風疹聯合減毒活疫苗(Measles and Rubella Combained Vaccine,Live)」で、生ワクチンになります。ワクチンに添付されている説明書ももらえますので、副作用・禁止事項・注意事項などは読んでおくといいと思います。かなり詳しく書かれていますので。


 問診票の最後に、ワクチンメーカーを書き、サインすると手続きは完了です。

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 そのまま、となりの接種コーナーに行くと、さっそく接種が行われました。全然並ぶこともなく、5分程度で完了しました。


 日本では、大人の風疹予防接種は有料のようですが、ここ上海では無料です。しかもすぐに接種してくれます。もちろん、外国人も接種できますので、上海長期在住の方で、接種したかどうかはっきり分からない場合は検討されてもよいかと思います。ワクチン接種は、みんながしないとその社会的効果は出て来ません。一人でも先天性風疹症候群の子供たちが出ないようにするためにもぜひ小さな社会貢献を。



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2013年03月26日

上海でも風疹・結核に注意を

 26日早朝の上海市浦東エリアの大気の状況は、PM2.5は16、PM10は 28、AQIは45。こりゃもう絶好調ですね。外での運動・換気するもよし、洗濯物を外で干すのもよし。午前3時にはPM2 .5が浦東新区で9という数字も出ていました。浦東新区のサクラは今が満開を過ぎたぐらいです。世紀公園にいってお花見もまたよしですね。

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 さて、風疹が日本で急増していることが問題になっていますが、こちら中国でもどうやら増加傾向にあるらしく、中国衛生部が発表している2013年2月の法定伝染病報告による風疹感染報告数は2341例で、1月と比較しても11.42%の増加、昨年度2月は1001例だったので、133.87%の増加となっています。上海エリアでは、これから夏にかけて水ぼうそう・手足口病・風疹などが流行しやすいシーズンにはいるため、注意が必要です。

 風疹は風疹ウイルスが原因で、咳・クシャミなど飛沫感染のほか、便や尿に排出されたウイルスからも接触感染で感染することもありますし、胎盤から胎児へ、母乳から乳児へ感染することもあります。一度感染すると数週間から1年間にわたってウイルスを排出つし続けることもあるようですが、特に、風疹発病前の1週間から発病後5日間ぐらいの間での感染力が強いので注意が必要だとされています。一般に1〜9歳でよくみられ、特別な治療をしなくても治癒することが多いのですが、妊婦への影響が大きいのが特徴です。特に、妊娠後3ヶ月で感染すると、流産や早産、先天性奇形などとの関係があり、先天性風疹症候群とも呼ばれます。(参考:NIIDのHP

 結核に関しては、ちょうど3月24日が結核予防デ−だったので、いろいろなニュースが中国でも飛び交っていましたが、上海市衛生局によると、上海市では毎年7000例の活動性肺結核の報告があり、このうち感染性肺結核が3500例とされています。上海籍の結核感染は横ばいか減少傾向だそうですが、流動人口が多いので、こちらの感染増加が心配されています。上海市肺科医院によると、結核感染者の平均死亡年齢は55.2歳ということで、中高年成人の健康にとっても脅威となっています。

 結核感染者には、いろいろ共通した兆候があるようですが、たとえば過労や徹夜、無理なダイエットなどとも関係があります。咳や血の混じるような痰、胸の痛みが長期間続くようでしたら、近くの社区衛生サービスセンターで無料の胸部レントゲンや痰の結核菌検査を受けることができます。(『肺結核可疑症状者免費篩査実施法案』の規定では、咳や痰が2週間以上続き、喀血や痰に血が混じる場合、また直接上海市の結核指定病院に行った場合は、無料で痰の検査を受けることができます。)

 上海市の場合、中国全国でも先駆けてWHOが提唱するDOTS(ドッツ)を実施しており、予防に力をいれていますが、上海疾病予防コントロールセンター(SCDC)の報告でも、法定伝染病の死亡数では結核がトップになっているところから、対策は重要です。

 最後に、上海市内のローカル病院でもそうした法定伝染病の予防接種を受けることができます。我が家の場合、住宅地の近くに「社区衛生サービスセンター」があり、私自身も毎年インフルエンザの予防接種などを受けに行きます。そこでは予防接種の成人向けの接種・及び相談は毎週水曜日と曜日が決まっているので、利用する際は問い合わせる必要があります。子供の予防接種はまた別扱いです。

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2013年01月25日

中国の「精気神」ブランドの豚肉

 今朝の上海のAQIも250越えで重度の汚染。今の段階での子供たちの屋外での運動はやめましょう。

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 中華料理に欠かせない豚肉。肉の種類が限られている中、日常の食卓で豚肉を使うという人も多いかと思います。上海ではみなさんどこの豚肉を使っておられますか?


 なんせ、私も妻もわけ分からん食材が使われている外食は嫌いで、極力自宅で食べるようにしているのですが、それだけに食材に関しては結構うるさい。家で食べるのなら、やっぱり良い食材で料理したいものですね。

 以前、このブログでも「愛森」がいいと書いたこともありましたが、最近、カルフールなどでも登場している精気神というブランドの豚肉もなかなかいけます。さっそく、ワンタンやしゃぶしゃぶにしてみたのですが美味しかったです!水炊きにしても、豚肉特有の臭みがありません。ただ、値段もそれなりで、「愛森」の豚肉の倍はします。でも、それだけのお金を払う価値があるかと思います。

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 彼らの豚肉作りのこだわりはいいと思います。飼料に抗生物質などケミカルなものを一切使わず、トウモロコシや大豆、野菜などで1年かけて育っています。そのため、肉をみたら分かりますが、脂肪分の付き方が違うんです。中国の農村でみる豚肉のように、脂肪分が厚い。また通常は長くても半年ぐらいで出荷される豚肉を、1年かけて育てているというのもすごいと思います。黒豚が吉林省の山の中で自由に動き回って育てられた豚肉なのです。

 さてさて、精気神というブランド名は、中医学をしているものからすると、かなり挑発的なネーミングです。(^_^) 人の「三宝」とも呼ばれる精気神は、人の根本を形成するもの。ある意味、企業の豚肉作りへの意気込みが伝わってきます。今後も、安全で美味しい豚肉を提供して欲しいと期待します。

【データ】精気神
HP:http://www.ejqs.com


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2012年11月27日

上海の病院の有力診療科目一覧

 今年も中国で2011年度の病院ランキングが発表されました。

 中国全国の病院ランキングでは、上位100位のなかに、上海の病院19箇所がランクインしました。そのなかで、総合力でトップになったのは今年も北京協和医院でした。順番に、四川大学華西医院、中国人民解放軍総医院、上海交通大学医学院付属瑞金医院と続きます。上海の中山医院は第6位、華山医院は第7位でした。いずれも中国を代表する病院です。

 医療という点に関しては、上海には中国でも有数の総合病院が揃っていることになります。

 では、上海市内の病院に関して、中国国内で評価が高い病院を紹介しておきます。


【内科系】

1.呼吸器科・・・中山医院、瑞金医院、長海医院。中山医院は中国で第2位に。
2.消化器・・仁済医院、長海医院、瑞金医院、中山医院。
3.リウマチ科・・仁済医院、長征病院、崋山病院、長海医院。仁済医院は中国で第2位に。
4.内分泌科・・瑞金医院、第六人民人民医院、崋山医院、中山医院。瑞金医院は、中国で第1位に。
5.循環器系・・中山医院、瑞金医院。中山医院は中国で第3位に。
6.神経内科・・崋山医院、瑞金医院。瑞金医院は中国で第2位に。
7.腎臓内科・・瑞金医院、崋山医院、長征医院、中山医院、仁済医院。
8.腫瘤科(癌科)・・腫瘤医院、東方肝胆外科医院、中山医院。腫瘤医院は中国で第3位。
9.血液学・・瑞金医院、長海医院。瑞金医院は、中国で第2位に。
10.小児内科・・児科医院、上海児童医学中心、新華医院、上海市児童医院。このブログにも時々登場しますが、復旦大学附属児科医院は、中国でトップになっています。
11.感染症科・・・華山医院、瑞金医院、上海市公共衛生臨床中心。華山医院が中国で1位になっています。

【外科系】
1.心臓外科・・中山医院、上海児童医学中心、長海医院。こちらも、中山医院は中国で第3位に。
2.一般外科・・中山医院、瑞金医院、東方肝胆外科医院。中山医院は中国で第2位に。
3.神経外科・・華山医院、仁済医院、長海医院。華山医院は中国で第2位に。
4.泌尿外科・・長海医院、仁済医院、華山医院、中山医院、第一人民医院、瑞金医院。
5.小児外科・・児科医院、新華医院、上海児童医学中心、上海市児童医院。児科医院は、中国で第2位になっています。
6.整形外科・・第9人民医院、長海医院、長征医院。第九人民医院は中国でトップに。
7.骨科・・第六人民医院、長征医院、瑞金医院、第九人民医院、華山医院、長海医院。

【皮膚系】
1.華山医院、瑞金医院、新華医院。皮膚科といえば華山医院というのはだいぶ前から。今回も中国でトップに。

【耳鼻咽喉系】
1.眼耳鼻喉医院、新華医院、第六人民医院、長海医院。

【口腔系】
1.第九人民医院、同済大学附属口腔医院

【産婦人科】
1.婦産科医院、仁済医院。婦産科医院は中国で第2位に。

【眼科系】
1.眼耳鼻喉科医院、第一人民医院、第九人民医院。

【放射線科】
1.華山医院、中山医院、瑞金医院、長征医院。

【病理科】
1.腫瘤医院、長海医院

 今年で、3回目になる中国全国の病院ランキングですが、臨床28分野の2000人の医師から評価された結果です。臨床技術、研究内容などから総合的に判断されたものになっているということです。



甘霖・我が愛しの上海へ
posted by 藤田 康介 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年11月23日

中国でもスタチン系製剤による血糖値異常に注意喚起

 コレステロール血症の治療薬として広く使われているスタチン系(中国語では他汀类)製剤の使用に関して、中国国家食品薬品監管局が、血糖値の異常を示す場合があるして、注意喚起を出しています。

この第51期薬品不良反応信息通報の原文はこちらから。

 血糖値異常に関しては、空腹時血糖値の上昇、HbA1cの上昇、糖尿病の発病、糖尿病患者の血糖値コントロールの悪化などが起こりうるとしています。

 スタチン系の製剤は、高脂血症の患者さんを中心に、長期的に服用されることが多いため、とくに肝機能・腎機能に障害があったり、糖尿病の可能性がある場合は注意が必要です。また、スタチン系製剤のうち、中国で血糖値異常の報告が多いのが、アトルバスタチン(Atorvastatin Calcium 阿托伐他汀)と、ロスバスタチン(Rosuvastatin Calcium 瑞舒伐他汀)と報告されていました。




甘霖・我が愛しの上海へ
posted by 藤田 康介 at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年11月09日

上海の大気汚染中のPM2.5 が肺に与える影響とその対策(2)

 前回からの続きです。
 では、PM2.5による大気汚染対策で我々がいまできることはなにか?これはかなり難しいと思います。

 活性炭入りのマスクをしたらいいとか、いろいろな情報が流れていますが、たとえば活性炭入りのマスクは、ホルムアルデヒドなどは吸着できても、PM2.5に関しての効果はかなり疑問です。

 海外での報道を見てみるとこんなのもありました。(
The worst air pollution in the nine to five! To eat oranges anti PM2.5
)イギリスでの研究ですが、喫煙していたこともある200人(54歳〜74歳)の喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者を調査し、入院前に住んでいた場所の大気汚染状況との相関関係を調べたところ、自動車が原因とみられる大気汚染濃度が、1立方メートルあたり10㎍増加すると、喘息とCOPD患者の入院する確率は35%増加し、また体内のビタミンC濃度が最も低い患者は、入院率が1.2倍高まるという結果を発表しています。ビタミンCが、フリーラジカルの人体への攻撃を守ったとも考えられますが、同じような理由で、生薬の魚腥草(ドクダミ)がよいという報道もあります。魚腥草は、もともと肺への効果がいい生薬の一つですので、理屈は通っていると思います。

 ビタミンCといえば、キーウィや葡萄、ミカン類に多く含まれていますので、やはり新鮮な果物の摂取は欠かせないと思います。結局、抗酸化作用のある食物を摂取することが大切ということみたいです。そうなると、ビタミンAや、ビタミンEなども大切ですね。野菜や果物はしっかり食べましょう。

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 また、大気汚染の情報は日々刻々と、さらに時間単位で変化しますので、リアルタイムで注意する必要があります。私がよく見ているのが、「China Air Quality」という、iPhoneのアプリです。PM2.5 のほかにも、PM10や二酸化窒素や二酸化硫黄の濃度も出ています。また、Weibo(中国版ミニブログ)にも、ニュースを通じて最新の大気汚染関係の情報が出ていることがあります。

 家でできることとして、空気清浄機も有効です。日本でも光化学スモッグ対策がいろいろ行われてきた経験があるので、それを思い出していただければよいかと思いますが、空気が悪いときは窓を開けないようにし、ぜひ空気清浄機も活用して下さい。そして、なによりも空気がよくないときは、外での激しい運動をしないことです。水分を適度に摂取して喉を守るほか、疲労が溜まりすぎないように注意することも大切です。

 しかし、以前、宮崎駿監督のアニメ「風の谷のナウシカ」であったように、人類も高機能なマスクをしないと健康に生活できない日がくるのでしょうか。

posted by 藤田 康介 at 07:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年08月30日

第16回国際小児腎臓病学会(IPAN)は上海です

第16回国際腎臓病学会(IPAN)が、なんと2013年8月31日〜9月4日まで上海で開催されることになりました。IPANの公式HPはこちらです。

 上海での窓口は、復旦大学附属児科医院と中華医学会児科学会の腎臓学グループで、これほどの大きな国際会議が上海で行われるというのは、本当にビックリしました。復旦大学附属児科医院は、私が博士課程のときに小児ネフローゼで共同研究をしていて、私も大変お世話になった腎臓内科の徐虹教授などが先頭となって活動されたのではないかと思います。中医学に理解のある先生で、西洋医学と中医学の両方の見解からの研究となりました。
 この学会は、3年に1度行われ、小児科の腎臓病の分野では世界で最高権威の学会の一つです。また、この学会が発展途上国の国で開催されるのは、初めてとのことだそうです。全世界から1000人を越える専門家が上海に集まってきます。

 いま、中国でも子供の腎臓病が増える傾向にあります。年間0〜14歳の子供のうち、1万人につき1.3 ~1.5人の慢性腎臓病の患者が発見されていて、その数年間1000人程度の増加といわれています。中国も、子供用の透析設備の拡充や、専門医を増やす努力が行われています。

 大都市に住んでいて、世界中から人が集まってくる国際会議というのは非常に意義があります。人々の交流が盛んになれば、当然学術的な交流も深まります。そして、街の経済も活性化する。上海がこうした国際会議の誘致に必死なのも理解出来ます。

 次の9月の日本温泉学会は鳥取の三朝温泉ですが、私もはるばる上海から行く予定で、地元の旅館に宿泊もするし、お土産も買う予定です。そうしたリアルな人やモノの流れが出来るような環境作りを急がないと、街の経済は活性化しませんよね。

 しかし、この時期は日本でも学会が多い季節。願わくば、日程が日本の他の学会とかぶりませんように。。。。
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2012年07月29日

中国で医療行為をするための2つの資格

 中国で外国人も含めて、合法的に医療行為をするんは、2つのライセンスが必要です。

 一つは、大学の規定の教育をうけて、所定の大学付属病院でのインターン(実習)を1年こなし、医師国家試験を受けて取得する資格です。法律的には、『中華人民共和国執業医師法』に定められています。ただ、近年上海市では、全国に先駆けて卒業後にさらに衛生局指定病院での3年間の研修医制度(レジデント)も始まりました。

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 この資格は、執業医師資格といいます。ただ、3年間医療病院に登録して医療行為をしなければ失効してしまいます。もし失効すると、衛生局管轄の指定病院で研修を受けなければなりません。国家試験には、西洋医学と中医学、さらに中西医結合の3種類があります。私が取得したのは中医学のライセンスです。これは現在でも条件を満たした外国人は受験可能です。
 一般に、中医薬大学の学部(本科)を卒業した段階では、中医学のライセンスしか受験できません。ただし、中医学のライセンスには、中医薬治療全般が含まれるため、生薬・鍼灸・推拿などがテリトリーとなります。私の回りの中国人で中西医結合を受験していたのは、修士課程で中西医結合コースの教官にすすんだ人だけでした。実際に病院での臨床となると中医学ライセンスと中西医結合ライセンスとでは大きな違いはないように思いますが、就職に関しては希少価値がある中西医結合ライセンスのほうがよいみたいです。

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 資格取得後、医療行為をしていたかどうかは、執業医師執業証書をみて判断します。これがいわゆる医療行為を行う衛生局に登録することを指します。この登録期間が、医師としてのキャリアを積んだ期間として認められます。いいかえると、この登録を行っていない場合は合法的な医療行為を行えないことになっています。自分が登録しているかどうかはインターネットで調べることができます。それがこの上海衛生監督のサイトです。

 近年、中国で医師資格を取得した外国人医師に対して新規登録を行っていません。以前沢山いた中医薬大学の韓国人留学生が激減したのも、このあたりの事情と関係があると思います。ただ、海外で医師資格を取得した外国人は、1年間単位の短期更新に限り登録を認めています。日本人の西洋医の先生方が中国で医療行為をされているのは、この制度によるものです。

 このあと臨床経験を積んでいくと、日本では専門医にあたる主治医のライセンスがあります。卒業後5年目もしくは博士課程を修了したら受験資格がもらえます。専門医にはいろいろな種類があります。先日、私の妻は中医内科と全科医のほかにも鍼灸医の専門医をとりましたが、残念ながら外国人には受験資格がありません。総合病院で仕事をする場合には、とても大切な資格となります。

 私が、こちらの大学に入った頃、医師国家試験すらなかった中国の医師の資格制度ですが、最近では急速に制度が確立されてきているのがわかります。

【連絡】 ・8月19日(日)は東京でのTCMN15周年夏大会での発表のため、休診します。

posted by 藤田 康介 at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年07月28日

中国でのC型肝炎問題

 B型肝炎のキャリアが1.2億人居るといわれている中国ですが、それとは別に、近年はC型肝炎が増えているとして、注意が呼びかけられています。近日発表された『中国C型肝炎医院感染予防指南』では、病院内でのC型肝炎予防についての具体的な対策についてガイドラインがまとめられました。

 B型肝炎は、中国では生まれたすぐに予防接種をうけるのですが、C型肝炎の場合、いまのところ予防接種はなく、しっかりとした治療をしなければ慢性化し、場合によっては肝硬変や肝臓癌になる可能性もあります。一方で、C型肝炎の検査も採血でできますし、中国では30元前後と非常に廉価です。一般にHCV抗体を検査し、陽性の場合はHCVーRNAを測定することになります。

 中国におけるC型肝炎の感染者数は1000万人程度といわれています。ただ、近年急増していて、2010年度と比較して17万人増加(13.1%増)となってます。その主な原因に、院内感染が挙げられています。

 さて、このガイドラインのなかで、特に注意しないといけない人たちとして、以下の場合が挙げられていました。まず中国での輸血や血液製剤の使用に関して、1993年以前はC型肝炎のウイルス検査を行っていませんでした。(日本でも1989年からです)そこで、1993年以前に輸血や血液製剤を使用した場合は要注意となっています。また注射器を1度でも共用したことがある場合、歯ブラシやひげそりなどを共用したことがある場合、安全でない鍼治療(中国でも鍼治療が使い捨て針になったのはまだ最近です)や入れ墨、ピアスのために耳に穴をあけたことがある人などとなっています。原因不明でトランスアミラーゼが上昇している場合も要注意とされています。
posted by 藤田 康介 at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情

2012年06月27日

中薬注射剤の副作用問題

 大部分の中医薬や漢方薬は比較的副作用が少なく、また抗生物質と比較しても抗ウイルスや抗炎症作用は強く、耐薬性が出にくいというのが一般的な評価ですが、それでも一部の製剤で副作用報告が出ているので注意が必要です。

 それが、今回問題となっている中薬注射剤です。

 中国国家食品薬品監督管理局が6月26日に発表した通知では、喜炎平注射剤では2011年1年間で1476例の副作用報告があり、14歳以下の子供の副作用報告が1048例あったということです。また、脈絡寧では、年間1500例の副作用報告があり、重篤な症例は189例あったということです。主な症状は、呼吸器系・循環器系への影響ということです。いずれも、アレルギー反応が根底にあり、投与量が規定通りに守られていない、点滴処方の組み合わせに問題があったという問題が指摘されています。

 中医薬や漢方薬が経口では副作用が少ないというのはその通りですが、点滴で注射剤として使う場合は、アレルギーのリスクが当然高まります。2011年に副作用報告が多かった中医薬系の注射剤は、清開霊注射剤、双黄連注射剤、参麦注射剤でした。こうした問題に対応するため、2009年より中国では中医薬注射剤の安全性の再評価を行っているようですが、副作用問題は未だに発生しています。

 この中には、いくつかの問題も考えられています。まずは、他の注射剤を併用して中医薬注射剤を使っているケースで発生した副作用が全体の25%もあり、さらに中医学の知識の少ないこちらの西洋医師が、中医薬注射剤を処方して問題となったケースもあったようです。

 私自身は、中薬注射剤の一定の効能は認めますが、中医薬は伝統的な使い方を重視すべきだと思います。それが歴史的にみても安全であり、やはり血管に直接中医薬を点滴することには抵抗がありますし、私は使いません。

 これは個々の医師の考え方とも関係があるでしょうけど、やはり安全を第一に処方を考えるべきだと思います。しかし、中国の患者さんは点滴が大好きです。これにはちょっと困りますね。

【連絡】・6月28日〜7月1日まで日本東洋医学学会のため休診します。
    ・7月17日に上海で一般向け講演会を開催します。テーマは「中国伝統医学からみた上海の最新アレルギー事情」です。

posted by 藤田 康介 at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情