
中医薬(もしくは漢方薬)を使って偏頭痛の治療をするのはかなり効果的であるのは以前にもご紹介したとおりです。西洋医学の痛み止めを飲む前に、ぜひ中医学や漢方医学を試して頂きたいと思うわけです。良質な生薬であれば、一定の効果があることは間違いないと思っています。(「良質な」がポイントです。ここに私はこだわっています。)
ところで、浙江省長興県といえば、上海から天目山や安吉などに行くときによく通る街ですが、ここの中医院が興味深いマスクを開発して中国で特許を取得しています。
中医学では偏頭痛の原因を風邪によるものと、体内の五臓六腑の虚によるものと考えますが、この病院の研究グループでは活血化瘀の生薬をできるだけ細かい粉にしてそれを袋につめてマスクにして当てる方法を考え出しました。生薬として使うのは、頭痛の内服薬としてお馴染みの川芎・白芷・当帰・細辛・氷片など。この生薬の混合粉は使用直前までビニル袋に保管し、使うときに取り出してマスクの中に挟み出します。そうすると、生薬の有効成分が発散し、鼻粘膜から吸収され、偏頭痛治療するというもの。確かに、鼻粘膜から吸収した方が嗅神経回路をうまく活用して脳の痛みに作用できるかもしれません。使用する生薬の量も内服と比較して減らすことができる可能性も十分にあります。
研究グループによると、偏頭痛の患者100例を対象にした研究では、内服とマスク法の比較で、マスクを使ったグループのほうが痛み止めの効果やQOLの改善に関して有効であったということです。
中医学では、生理学的な側面も考えて、如何に直接的に患部に薬効を届けることができるか研究されています。私は、今後の中医学の発展に関して、とても興味深い取り組みだと思います。
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