
興味深いのは、中国でも北方エリアと南方エリアとでは、アルミニウムの摂取量が違うという点です。北方の方が、南方よりも多く、平均摂取量の差は4.6倍にもなっています。また、年齢別では平均摂取量で4〜6歳が最高で、北方の方では、安全量の2.6倍も摂取していることが分かりました。基本的に、北方エリアでは小麦系が主食ですから、関係があるのかもしれません。そのため、中国衛生部では、アルミニウムを含む食品添加物13種類に対して、専門家の調査を依頼しているとのことです。中華料理の朝食に欠かせない油条ですが、これも膨らますためにアルミニウム化合物を使うことがあり、注意が必要な食品の一つです。(現在では、安全な油条も売られていますが、そもそも油条はカロリーが相当高いので、要注意な食品です。)」
というのがありました。
ここでのアルミニウム摂取量とは、明礬(ミョウバン)のことを指していました。明礬といえば、日本でもお馴染みの食品添加物で、実は中医学・漢方医学でも昔から外用薬を中心に使われることもありました。日本でも、大分県の別府温泉に明礬温泉があるぐらいですからね。近年では、腋臭など体臭の治療でも使われることがあります。
その明礬ですが、以前から中華料理の朝食に欠かせない「油条」をカリカリに膨らませるために、饅頭をふわふわに仕上げるために使われていました。そのほか、スナック菓子やパンケーキ、菓子パンなどにも含まれていて、日本でも2013年6月にアルミ添加物、使用基準を設け規制へ 菓子やパンに使用がニュースになっていました。
そして、中国政府もついに規制をだしました。2014年7月1日より明礬の使用を禁止にするということです。中国の衛生当局が出した禁止令なので、上海だけでなく全国が対象です。
そもそも中国の伝統食には明礬をつかう料理が多いのも確か。大人への影響はまず問題ないとされていますが、お菓子などにも多く含まれているので、子供への影響の大きさが懸念されていました。禁止する根拠として、子供のアルミニウム摂取過剰に伴う骨格や神経系への発育影響などがあるとされています。相対的に、中国の子供たちはアルミニウム摂取量が多い傾向にあることも専門家から指摘されていました。
明礬がなくても、油条や饅頭・麻花を作ることができますが、口当たりが多少悪くなる程度です。我々も買うときには、そもそも油を使って揚げた製品は買わないようにしましょう。規制が入ったとしても、それが浸透するのには時間がかかりますし、完全に規制してしまうのはもはや不可能な状況だからです。
意外な食品にも明礬が使われています。義母から教えてもらったのですが、上海料理でもよく使うクラゲ。冷菜に登場しますが、これも口触りをよくするために明礬がよく使われるそうです。だから、食べるときはしっかりとお酢に漬ける必要があります。確かに、クラゲはお酢につけると美味しいですしね。

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