私が医学生をしていたときと比較して、資格制度がますます複雑になってきました。以下は西洋医師も中医学医師も同じ扱いになります。
これまでは、5年制の大学を卒業して、1年間付属病院で研修して医師国家試験の受験資格を獲得し、登録医として登録されてから医療行為をするという仕組みでした。これらは比較的古い制度の延長で、卒業した大学生をそれぞれの職場に分配するというのが原則でした。ただ、これでは卒業後の研修施設によるレベルの違いも大きく、ましてや1年程度の研修では習得できる知識も限られています。その後は、各医療機関によるトレーニングに大きく依存することになります。
私自身の場合は、大学卒業後、大学付属病院で6年間過ごしたので、そこで中医学の臨床トレーニングを受けてきました。修士課程3年終了後に医師国家試験受験資格が与えられ、合格後引き続き博士課程で3年間臨床を続けました。
そこで、3年前から上海市がはじめたのが、国の定める医師国家試験とは別に設置された「住院医師規範化培訓制度」という研修制度で、上海市内全域ではすでに実施され、ついに全国でも行われることが決まりました。特徴は、カリキュラムが上海市で統一されていて、最終的には統一試験をパスしないといけないという点です。
これまでは、卒業後の研修は病院単位で行われていましたから、明らかに制度が違います。現在、上海市内には大学附属病院を中心に50箇所の医療機関でこの制度を受け入れています。研修中は給与をもらえるので研修医として働くことになります。
指定医院での住院医師規範化培訓制度に参加しないといけないのは、5年間の医学部本科生を卒業した場合なら3年間、修士課程3年修了した場合は2年間、博士課程までの6年を修了した場合は1年間程度の研修で上海市の統一試験を受験する資格が与えられます。もし合格しなければ、続いては自費で継続研修を受けて、合格まで頑張らなくてはいけません。言い換えると、合格できなければ、医師免許を持っていても臨床医(登録医)として仕事ができないということになります。
しかし、ここ数年は制度の変化が多いですよね。今年からスタートした医師の定期考査試験もそうだし、大学卒業後にすぐに3年間研修する病院を探すのもまた大変な競争になることでしょう。医師不足が上海ですら叫ばれる中、ころころかわる制度に翻弄されるのが我ら中国での現場の臨床医ということになります。
おしらせ
【雑感もろもろの最新記事】