私自身、病院を移ることになったのと、上海市の医師定期考査の準備のために忙殺されていたからです。

去る4月27日は、上海市内各地で上海市医師協会が主催する「上海市医師定期考核」(上海市医師定期考査)をうけてきました。まあ、中国で医師をするということは毎年なんらかの試験を受け続けないといけないということなので、慣れていると言えば慣れているのですが、今回に関しては第1回だったのでさすがにちょっと緊張しましたし、準備万端で臨みました。(^_^)
ちなみに、中国では大学で規定年数勉強して医師資格を取得しただけでは医療行為ができません。衛生局に医師登録をしてはじめて処方できるようになります。そのため、医師の手元には最低2冊の証明があることになり、上級医師の資格をとるためには、医師資格取得年よりも医師登録年数が重要になってくるのもそのためです。

この医師登録に関して、今までは一旦医療機関に属して登録すると更新する必要はありませんでしたが、今年から2年に1回の更新制に変わりました。また、医師が所属病院を変わった時も受験しなくてはいけないことになりました。こういう制度の変化が早いのも中国の特徴ですね。今後は、上海で医療行為をするにあたってもう一冊「上海市医師定期考核」の合格証明が必要になります。
この背景にあるのは、医師登録をしておきながら医療行為をしない医師がいるということと関係あると思います。医師登録はそう簡単にできるものではなく、必ず病院に属しているとかいろいろ条件があり、一旦医師登録から長期間外れてしまうと、再登録するために再度研修をうけないといけないことになっています。そのため、資格維持のために勤務実態がないのに医師登録が行われているというのが実際に散見されたのです。そこで、2年に1回の試験を受けることでそういう現象を減らすことは可能ではないかと思います。患者さんサイドからするといいことだと思いますが、医師サイドからするとそうでなくても業務に忙しい毎日に新しい負担が増えることになります。とはいえ、知識の整理には多少なりとも役立つかも。
さて、上海市医師定期考核ですが出題範囲は私は中医学のライセンスをもつ医師ですので、専門の中医学全般と人文(法律・心理学・道徳など)です。もちろん、西洋医と口腔系はまた別の問題になります。共通科目でもある人文に関しては新しい総合科目の試験だったので試験準備には結構困りました。人文科目が加えられた理由は、近年の社会情勢と関係があります。上海でも患者と医療関係者との関係問題が複雑になり、ときには診察室で殺傷事件が起こるようなこともあるのです。そこで、「医徳」と呼ばれる、医師として最低心がけないといけない道徳行為や法的知識を身につけさせるという目的もあると思われます。試験に出題したからといって解決するかどうかは疑問ですが、すくなくともカイゼンに役立つのでは?という判断だと思います。
基本的に、試験のためのテキストが医師協会から発行されていて、それで勉強することになります。これが結構高いんですよね。

試験は試験会場に赴き、パソコンで行います。最近、中国での試験ではこの形式が多いです。パソコンで直接答えを入力するので、昔みたいにマークシートを塗り間違えたり、名前を書き忘れたりといった心配はなくなります。ただ、今回の試験でもそうでしたがたまにシステムにバグがあるんですよね。中国らしい・・・・。
出題される問題は膨大なデーターベースが作られていて、そこから抽出される形式。学生時代も、試験を公平に保つために、データーベースから出題する形式が採られていました。こうすると、万が一試験問題が漏洩しても影響は少ない。また、一斉に試験を受けるのではなく、異なった時間帯で試験を実施できます。5択から一つを選ぶ選択式で、100問の出題でした。時間は1時間もあるので楽勝でした。
試験会場には、大学時代の同級生など珍しい顔もありました。とりあえず、今年の一つのイベントが終わりましたが、今年は5月19日から病院を移るので、また来年も受験しなくてはいけませんねえ。トホホ。
大切なおしらせ
