2014年01月17日

偏頭痛とペットボトル

 この時期、中医クリニックに来られる患者さんの中に意外と多いのが頭痛訴える方です。

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 大抵、西洋医学で必要な検査を済ませ、原因がよく分からないと言われてこられます。一般的な症状として、男性よりも女性の方が多く、夏よりも冬の方が多いような印象です。イギリスの研究では、英国で500万人の偏頭痛持ちがおり、その発生率は女性は男性の3倍といわれています。ネットで見つけた英国での報道の原文はこちらから。

 さて、偏頭痛の原因として、遺伝的要素や飲食なども関係ありますが、冬場の寒さも大敵です。温度差など外部の環境の変化により、偏頭痛の症状が悪化するからです。そんなときは、帽子をかぶるのがいいですし、寝るときでも頭を冷やさないようにするのがよいとされています。中国でも以前から冬の帽子は一般的です。また寝る前にぬるめのお風呂に入るのも有効だといわれています。

 ところで、女性の場合は、女性ホルモンの変化と偏頭痛にも関係があります。そのため、初潮があったころから偏頭痛の発作が起こることもあります。

 女性ホルモン関係では、環境ホルモンでもあるビスフェノールA(BPA)の存在も注意しなくてはいけません。最近こそ、BPA Freeの材料も増えているようですが、ペットボトルや飲み水用のガロンタンク、プラスチックの弁当箱などに含まれていることが多い物質です。この研究では、BPAは偏頭痛の発生率を高めるとしています。新鮮な食材を使った食べ物を食べると、尿中のBPAは3日以内に66%減少するとのこと。

 一般に、BPAに関しては女性ホルモン的な作用があると言われていて、肥満症や不妊症、心臓病にも関わっているのではないかと考えられています。中国では、よく直射日光があたるところにペットボトル飲料が置かれていたり、クルマの中に積みっぱなしであったりしているので、これは良くない。強者は、ペットボトルにお湯を入れている人もみたことがありますが、これは厳禁です。

 そういえば、偏頭痛には緊張性頭痛型のものもあります。頭痛範囲が広く、額や後頭部、頸部などに及び、鈍い痛みと頭が締め付けられるような圧迫感や、場合によっては帽子をかぶったように感じることもあります。酷いときは、悪心もともなうことがあり、かなりつらい症状になります。中医学では、痰・湿系の頭痛にもみられます。

 偏頭痛をおこす食べ物では、チラミンを含むものが偏頭痛を誘発するともいわれています。代表的なのは、赤ワインやチーズ、チョコレートなどがそうです。そのほか、脂っこい物も要注意です。

 偏頭痛の発作の60%は、何らかの前兆が数時間前から数日前にかけてあるといわれています。たとえば、精神的なストレス、疲れ、眠気、イライラなどです。情緒が不安定であってさも発作を誘発します。

 さらに、頭痛以外にも自律神経に関す症状もよく見られます。中医学で言うと気虚・陰虚・陽虚などと関わりある症状です。たとえば、動悸や口渇、頻尿、腹痛などをともなうものです。いずれにしろ、調子が悪そうだな、と思ったら早めに休息をとることも大切です。

 中医学での特徴として、痛み方の症状分析以外にも、太陽経・陽明経・少陽経・厥陰経など頭での痛みの部位にも注目します。それぞれ使われる生薬が決まっていて、例えば太陽経ならば羌活・川芎・蔓荊子、陽明経なら葛根・白芷・知母、少陽経なら柴胡・黄芩・川芎、厥陰経なら呉茱萸・藁本などです。これらは経絡の分布と関係があるわけなのです。

 偏頭痛の治療はとても奥深いです。すこしでも鎮痛剤を服用するチャンスを減らすことができ、快適な生活がおくることができたらと思っています。

posted by 藤田 康介 at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情
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