(参考:伏羊〜上海の無形文化遺産〜、上海金山で山羊づくし)
この冬は、いつもと違うところで、ということで上海松江区まで足を伸ばしてきました。松江区といえば、上海発祥のエリアとしても有名ですが、様々な食文化が残っています。
今回訪れたのは、松江区の郊外にある鎮南路の「木桶羊肉」という小さな小さな街の食堂。ただ、インターネットではそこそこ有名で、結構遠くから食べに来ていました。
上海でいう羊肉は、羊ではなく山羊を指します。山羊は身体を温めるだけでなく、胃腸に優しいのも特徴で、腹持ちがいいのも納得できます。羊と違って、意外と臭みがありません。
一般にこうした町の食堂はまだ夜明け前の朝4時頃から店をあけて仕込むのですが、早起きのお年寄り達が山羊肉麺を食べに訪れてきます。中国のお年寄りは、それこそ夜の7〜8時頃には就寝し、思いっきり早く起床、腹ごしらえをして明るくなったら颯爽と活動というパターンも多いのです。
松江の羊肉の食べ方は、金山ともまた違う。金山では香菜を沢山使っていましたが、ここではまず使いません。これも地域の特徴と言えるでしょう。
この食堂では多い日では1日10頭の山羊をさばくのだそうです。店頭には山羊がぶら下がっていました。木桶という名前も、この山羊を桶にいれてスープを作るからだそうで、山羊鍋のスープはそこからきていました。
もう一つ、この店が有名なのは、自分ところで山羊を飼育しているのだそうで、そういったところからもウワサになっているのでしょうね。
さて、肝腎の山羊肉ですが、山羊の血を固めた羊血や、内臓などを食べる羊雑、上海料理でお馴染みの白切羊肉など、絶品が揃いました。
こうした羊肉を食べると、パワーで出てくるような気がしますね。牛肉や豚肉のように脂っぽくないのが嬉しいです。
日本でも、ほんの最近まで農村で山羊を飼育していました。山羊の乳搾りをした経験のあるお年寄りもいました。山羊の乳は、牛乳アレルギーがあっても飲める人が多く、中国でも以前は粉ミルクがない時代に、その代わりとして使われていました。
山羊の食文化は、上海料理の大事な一部分です。ぜひ食べてみたいところですね。
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