冬至は、24節気の中でも最も古い節気の一つで、2500年前の春秋時代からあるらしい。
季節と共に動く中医養生ではとても重要な意味がある季節でもあります。八掛学の考え方から陽気が徐々に盛んになってくるのがまさにこの時期なのです。とくに、慢性疾患で陽虚体質の人には体質改善をするちょうど良い時期ともいわれています。それを「冬令進補」と呼びます。陽虚以外にも、気虚・血虚・陰虚などがあり、身体に何かが足りない「虚」である場合には、身体を補う大切な時期でもあります。
実は、中医学の不妊治療をしていて、結果が出やすいのもこの時期のような気がします。陽気が徐々に盛んになってくることと関係があるのかもしれません。
一般的に身体を温めるものを食べることが多いですが、代表的なのはニワトリや山羊、牛肉などの肉類、胡桃や胡麻などもそうです。折しも、新疆ウイグルの農場の友達から今年産の胡桃や大棗が送られてきました。完全無農薬でこれがとっても美味しいのです。


さて、毎年のこの時期我々中医学に携わっている医師は「冬令進補」膏方の処方箋書きに忙しいです。上海地方では、この時期に身体を補う生薬を煮詰めて服用する習慣があり、これを膏方と呼びます。春にむけて身体を整え、さらに春節前の1年の締めくくりとして健康を総括する意味合いもあります。特に、毎年この時期だけに中医医院にこられる中国人の患者さんもおられるぐらいで、それぐらいポピュラーな習慣でもあります。

膏方の処方は、いつもの処方とは違っていて、生薬の数が多いだけに思考方法がすこし変わるのです。私も学生時代の数年間は師匠の外来について教わりました。
その他、冬至の習慣は上海でもいろいろあります。
代表的なのは、「冬至には鬼がでるから外出しない」なんかもそうですね。また、冬至はお墓参りのシーズンになります。春の清明節と冬至というと上海での2大お墓参りシーズンで郊外に向かう高速道路が混雑します。
上海では冬至にお団子を食べますが、中国北方エリアでは、冬至に餃子を食べる習慣もあるとか。場所が変われば習慣が変わるのも中国の楽しみの一つです。

【「治未病」という発想の最新記事】