もちろん、中国の糖尿病患者の増加がすごいことになっているということは、これまでも中国国内の学会で何度も言われているのですが、上海交通大学医学院附属瑞金医院の寧光教授らのグループが、18歳以上の中国人約10万人(98658人)を対象とした糖尿病の国際基準をつかった疫学調査を行い、論文を発表しています。
今回の調査は、2010年のアメリカの基準に従い、HbA1c(6.5%以下)と経口ブドウ糖負荷試験2時間値(OGTT)の結果をあわせて中国全国を対象にしているところがポイントです。
これによると、2型糖尿病の発病率は、全体で11.6%あり、このうち女性(11%)よりも男性(12.1%)の方が高く、都市部(14.3%)のほうが農村(11%)よりも高いことが分かりました。
また、糖尿病予備軍に関しては、アメリカの基準に当てはめると中国人の50.1%がそれにあてはまる一方で、2型糖尿病を認識している人は、18歳以上では30.1%に過ぎず、意識がまだまだ低いことが分かります。このうち、都市部での認識率は38.7%、農村部では24.6%に過ぎません。
また、糖尿病の治療を受けている患者で血糖値のコントロールがうまくいっている症例(HbA1cが7.0%以下)の割合は全体の39.7%となっていました。さらに、糖尿病患者のうち、男性の50%は喫煙していて、さらに生活習慣に問題があることも分かりました。
中国の糖尿病の発病率は年々上昇傾向にあります。まだまだ国全体が貧しかった80年代は、糖尿病の発病率は1%だったのが、90年代に入ると2.5〜5.5%に、さらに2007年には9.7%となり、現在は11.6%という結果です。今後、さらに増えることが予想されてもいます。
糖尿病は、腎臓病など様々な合併症が問題となっていますが、近年では女性は乳癌や卵巣癌、男性は大腸癌や膀胱癌のリスクを上昇させるともいわれています。

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