2013年08月15日

伏羊〜上海の無形文化遺産〜

 上海市郊外の奉賢区庄行鎮に行ってきました。

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 ここでは、上海の中医学の特徴の一つでもあり、特に金山・閔行・奉賢区エリアの夏の養生として欠かせない山羊肉を食べる習慣があります。上海に20年近くいると、この私も夏に山羊肉が恋しくなってくるのでした。(笑)

 実は、毎年行っているお店が金山にあり、ブログでも紹介しましたが、今年は一度、無形文化財に指定されている庄行に行ってみようということになり、クルマを走らせました。

 ちなみに、山羊は本来冬に食べるものと思われがちですが、上海エリアの中医学では夏に食べることも多いです。日本で言うと、土用の丑の鰻といった感じでしょうか。
 暑い夏、「熱でもって熱を制する」というように、一年のうちで最も暑い三伏の時期に、しっかりと身体を温めることで、身体のなかにたまった寒邪を追い出そうという生活習慣は上海を含む江南エリアの中医学に色濃く残っています。山羊肉は栄養価も高く、とくに中医学の消化器にあたる脾胃に優しいので食べても胃にもたれにくいのも特徴的です。

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 ここでは、村全体が夏に食べる伏羊を観光の中心にしているため、広場には多くの食堂が集まっています。そのまえには、特産の梨の売店が所狭しと並んでいますから、間違いなく観光客向けですね。

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 残念なのは、近年、こうした梨作りも上海地元の人が栽培しなくなったことです。地方から来た出稼ぎ労働者に任せっきりでちゃんと監督されていない。そうなると農作物の品質が心配、というのが上海の消費者の声です。

 さて、我々が入った店は、そのなかでも一番大きい「李記羊肉」という大型の「農家楽」です。

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 まあ、結果から言うとまずまずでした。なんというか、料理は地元の味というよりも観光客向けといった感じで、個人的にはちょっと興ざめ。
 しかし、気軽に伏羊を食べられると言う点では、合格かもしれません。ぐつぐつと煮込んだ羊肉を、汗かきながら食べるのが美味しいです。

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 さまざななサイドメニューもあるので、山羊以外の料理も楽しめました。

 近年、エアコンの普及で夏でも身体が冷えたり乾燥したりすることが多くなりました。そんなときは、ぜひ山羊肉など身体の芯から温めることができる食材も使ってみたいところです。

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(上海郊外定番のサトウキビ、緑の茎がポイント)

posted by 藤田 康介 at 07:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学の薬膳・医食同源の世界
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