2013年06月27日

上海で急増しているアレルギー疾患の実態研究

 先日、中国で始めて行われた成人の喘息患者の動向についての疫学調査については、このブログでも紹介しました。北京・上海で増える喘息患者に書いております。

 今度は、中国の子供に関しての喘息・アトピー性皮膚炎・鼻炎に関しての調査が行われ、さらに室内内装との関連について考察されています。とくに、個性的なゴタゴタした内装がすきな中国なので、この問題は日本以上に大きな問題だと思います。

 中国環境科学学会室内環境と健康分会が2013年6月に公表したデータですが、2010年〜2011年にかけて、北京・上海・ハルビン・西安・重慶・長沙・武漢・太原・南京・ウルムチの10都市で、1〜8歳の幼稚園・小学生の4万8000人の子供たちを対象に、International Study of Asthma and Allergies in Childhood (国際小児喘息、ISAAC)での調査でもちいられる方法を使い、このうち3〜6歳の子供に関してのデータを分析したということです。

 この結果、こどもの喘息の発病率は、1990年は0.91%、2000年は1.5%だったのに、2010年は6.8%と大幅に増えていることが分かっています。細かく見ていくと、呼吸がゼイゼイとする子供が13.9〜23.7%、鼻炎症状が24.0〜50.8%、アトピー性皮膚炎が4.8〜15.8%ということでした。


 上海に関して詳しく見てみると、この10都市のなかで、呼吸がゼイゼイとする項目はウルムチがトップでしたが、それ以外の鼻炎症状やアトピー性皮膚炎に関しては上海がトップでした。また、10都市のなかで、喘息の罹患率は上海がトップで10.6%、逆に一番少なかったのが太原で1.6%でした。


 私が興味深いなと思ったのは、こうした疾患の原因となっている物質として、屋外のPM2.5やPM10との関連よりも、むしろシックハウスなど室内環境との関連性があったという結果です。
 調査したのが室内環境を研究している学会なので、そのあたりの分析をみてみると、近年の住宅建設ラッシュで、大量に新建材を使ったり、気密性の高い構造のマンションが増え、また有害ガスを発生する電気製品の増加で、室内環境の悪化が進んでいるとしています。


 たとえば、この学会が調査した室内の化学物質による汚染状況は、基準値を超えた住宅の割合は上海の場合、ホルムアルデヒドが25%、ベンゼンが2%、キシレンが34%、トルエンが38%でした。特に、キシレンの基準値超えは中国では深刻のようで、杭州や南京では67%の住宅で基準値を越えていました。


 上海の場合、中国人の暮らし方をみていると、子供も大人も屋内で活動することが多いように思います。実際、1日のうち87%以上は部屋で過ごしているという研究データもあります。そうなると、屋外の大気汚染も問題ですが、屋内の建材やダニ・カビなどによる汚染による影響も大変大きいのは想像に難くないはず。とくに、今のような梅雨時期でジメジメとしているときは、要注意ですね。


 これから暑くなってくると、エアコンの衛生問題も対策をしておく必要があります。エアコンのフィルターは、カビ・ダニ・ほこりのすみかになっています。上海のような高温多湿なエリアでは、1ヶ月に1回はフイルターの掃除・消毒をしたほうがよいともいわれています。空調のある部屋の細菌数は、空調のない部屋と比較して多いという研究もありました。


 しかし、中国の家具・建材の問題は厄介ですね。こうした製品の値段は安いのですが、果たしてちゃんとした基準を満たしているかどうかはしっかりとしらべないといけません。室内環境の揮発性有機化合物(VOC)を増やさないためにも、内装は極力簡単にし、家具や建具を置きすぎないことは重要だと思います。


 上海のアレルギー疾患も、いよいよ先進国並みに増えてきました。経済の発展に伴い、ある意味仕方がない結果なのかもしれません。健康と発展の両立は難しいです。


参考文献:上海『新聞晩報』



posted by 藤田 康介 at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の健康事情
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