
(左から粉葛根・柴葛根・葛花)
葛根湯で出てくる葛根は、中医学でも日本漢方でもよく使う生薬です。中国ではスーパーでも売っていますが、そこで手に入るのは中国語で粉葛根と呼ばれるもの。一般に、生薬薬局にあり、中国の薬典で使われているのは柴葛根です。
日本漢方の権威、難波恒夫先生の『生薬学概論』に出ている葛根の項目では、「粉白色でデンプン質に富んだものが良い」という記述があり、どうやら日本では粉葛根がいいとされているのですが、中国の薬典には褐色で繊維質の多い柴葛根を使うということなので、すこしとらえ方が違うような感じがします。
ただ、一般に中医学の臨床では、高血圧や脳梗塞、狭心症などの治療では柴葛根の活血作用を活用し、発熱・下痢・肩こり・頭痛では粉葛根を使うことが多いですし、私もそう区別しています。
もう一つ、あまり知られていない葛の生薬として、葛花があります。実際には、葛の花がまだ開花していない蕾の状態を使うのですが、二日酔いの症状に使う「解酒」作用があるといわれている生薬です。ただ、お酒を飲む前に、酔い防止では使わないので注意が必要です。

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