そんななか、復旦大学の公共衛生学院の周穎副教授らのグループが興味深い研究を発表していました。プラスチックなどの原料としてつかわれるビスフェノールAが、これまでの海外の研究でも、エストロゲンに類似した生理作用をおこすことが指摘されていますが、子供の肥満と関係があるのではないか、という研究です。
ただ、ビスフェノールAの尿中に排出される濃度は、食べ物の摂取とも関係があり、季節的な影響も大きく、正確に測定することが難しいという問題がありました。たとえば、過去の研究では、尿中に排出されるビスフェノールAの濃度に関して、尿中のクレアチニン濃度から数値を調節していましたが、クレアチニン濃度は体重の影響もうけるため、ビスフェノールAとの関連を引き出すのが困難でした。そこで、尿の比重をつかってビスフェノールAとの関連をみてみると、調査した259人の8〜15歳の子供の尿84.9%から検出されたということです。さらに、ビスフェノールAの濃度が高いほど、肥満程度も高くなる傾向にあることも分かりました。今後は、さらに1500人を対象に調査を続け、長江デルタエリアにおけるビスフェノールAと肥満との関係を調べていくということです。
もともと、ビスフェノールAはほ乳瓶などに使われていたことがありましたが、中国では2011年6月から育児用品での使用が禁止され、2011年9月からはビスフェノールAが使われた製品の育児用品での輸入が禁止されました。しかし、実際にはほ乳瓶以外の製品ではまだ使われていることがあり、たとえば缶詰の内側に塗られていたりすることがあります。
日本の厚生労働省でも、ビスフェノールAに関するQ&AをHPで公開しています。http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html
ビスフェノールAに関しては、食べ物からの摂取か、皮膚や空気からの接触による影響が考えられますが、体内での半減期が短く、24時間以内にほとんど代謝されてしまうため、こうした物質を隔絶することが有効といわれています。とくに、我々の身の回りにはプラスチック製品が溢れていますので、そうしたものの使用を極力減らすようにすることが大切だと思います。
中国では、はたしてちゃんとしたプラスチックが使われているかどうかも心配なので、私は毎日使う弁当箱はガラス容器にしていますし、豆乳製造器もプラスチックではなく、金属のものを使う様にしています。そのほか、ペットボトルやガロンタンクの水はなるべく早く飲んでしまうようにしています。ペットボトルの再利用にも注意が必要かと思います。なるべく食べないようにしていますが、コンビニ弁当の容器も、私は気になっています。
生活が便利になってくると、ものが溢れてきていますが、それに伴う弊害についても注意しなくてはいけません。

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そもそも、日本人や中国人、ネイティブアメリカンなどの黄色人種は、内臓脂肪を貯め込む遺伝子を持っていて、太りやすいそうです。
ネイティブアメリカンには、ピマ族のように人口の大半が肥満になってしまった部族もあるそうです。