2012年11月26日

月経期の頻尿と中医学

 日本でも中国でも、漢方や中医学を使って、婦人科の治療を行っている方は多いと思います。とくに、月経痛や月経前症候群(PMS)対策では、東洋医学はかなりの特色を持っています。

 最近、私が見かけた患者さんで、効果が比較的良好だったのが、月経期の頻尿での中医学の活用でした。いずれも、月経がないときは、トイレに行く回数は普通なのに、月経が始まると途端に回数が増え、酷いときには15分に1回の割合でトイレに駆け込むという状況でした。西洋医学の検査では、とくに異常は見つかっていないけど、ただ月経時の腰痛や下腹部の不快感はかなり強いものがありました。日常生活に支障が出ていたので、受診されました。1例は湿熱毒邪+蘊結下焦の実証で、もう一例は、気血不固+腎虚の虚証で弁証すると、症状がおさまりました。

 一般に、月経期はヒトの腠理(いわゆる毛穴のこと)が大きく開き邪気が入りやすくなると同時に、腎虚がすすみ、膀胱の気化がうまくいかなくなります。そのため、補腎と理気を促す生薬が有効で、津液の代謝を整えます。

 今回は、山薬・菟絲子(としし)・覆盆子(ふくぼんし)・黄耆・党参などを使い、症状の変化を見ながら清熱去湿作用のある鳳尾草(ほうびそう)、月経を整えて補腎作用がある鹿含草などを加減させてみました。

 中医学の特徴を利用できる、効果的な治療法だと思います。



甘霖・我が愛しの上海へ
posted by 藤田 康介 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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