上海市の大気汚染は季節によってその原因がいろいろ異なりますが、一般的に冬〜春にかけては黄砂が原因のPM10が上昇し、夏はオゾンが、秋冬の今の時期はPM2.5が上昇する傾向にあります。また、地域的にみても、上海の西部・西北部・西南部は空気がよくなく、海に近い東南部は比較的汚染が軽い傾向があります。そのため、これまで空気が良い場所として、モデル地点に指定されていた青浦区淀山湖がモデル地区から外されました。理由は、空気がよい地区の基準のはずなのに、大気汚染が進んでいることが明らかになったからです。今後、奉賢区や浦東新区南東部などに新たな基準地点が設置される予定です。
そんななか11月16日から、上海市では大気汚染の指標として、あらたにAQIが導入されました。
さて、このAQI指数に関しては、これまで中国で使われてきたAPI指数と大きな変化があります。中国の大気汚染基準はこれまではおもにPM10・二酸化窒素・二酸化硫黄をベースとしたAPI指数を1日1回発表していました。しかし、市民の間から、体感する汚染度との間に開きがあるという声が出ていました。そこで、AQI指数指数では、APIの指標に加えて、PM2.5・一酸化炭素・オゾンの3項目が追加され、6項目になりました。また、発表ペースも1時間に1回となり、発表するためのShanghai Enviromental Monitoring CenterのHPも作られました。これはかなり画期的なことだと思います。これまでは、アメリカ領事館など一部でしかPM2.5の数字が分かりませんでしたが、やっと政府公式の数値が出されることになったのです。
さて、そのAQi指数の見方ですが、一応以下のようになっています。
緑色:優秀(1級)・・・・・AQI 0~50 汚染ほぼなし。
黄色:良(2級)・・・・・・AQI 51−100 汚染度可。ごく一部の人たちに汚染物資影響有。
オレンジ色:軽度汚染(3級)AQI 101−150 軽度汚染。健康な人でも刺激症状あり。
赤色:中度汚染(4級)AQI 151−200 弱い人への反応大。健康な人でも心臓・呼吸器に影響の可能性あり。
紫色:重度汚染(5級)AQI 201−300 心臓・呼吸器疾患のある人はさらなる症状悪化に要注意。持久力が低下し、健康な人でも 症状がでる。
茶色:厳重汚染(6級)AQI 300以上 健康な人の持久力は明らかに低下し、強い症状が出て、疾患が出てくる。
そこで、このブログを書いている11月18日未明のデータをみてみますと、AQI指数は192で、4級の中度汚染レベルであったことが分かります。

今回のAQI指数が定められたことで、さらに画期的なことが行われると発表されました。それは、上海市の環境保全部門による、大気汚染警報の発令です。日本でも、光化学スモッグ警報などがありますが、上海ではこれまでありませんでした。そこで、上海市では重度の汚染になったら、教育委員会を通じて屋外での体育などを行わないようにする制度をはじめるようです。これは大きな前身ではないかと思います。
ただ、学校のある場所で、AQI指数を測定できているわけでもないので、今の段階では、個人での判断も大切で、日々発表されるデータには注意を払うべきだと思います。マラソンなどそとで激しい運動をするときは、ぜひチェックしてみてください。
ちなみに、同様の制度は、長江デルタエリアでは行われていて、江蘇省の13都市、浙江省の11都市で発表されています。

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