2012年11月08日

上海の大気汚染中のPM2.5 が肺に与える影響とその対策(1)

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(どんよりとした上海の朝焼け)

 今日は朝から雨ですね!上海では間違いなく空気が浄化されるので、なんとも嬉しいことです。PM2.5 のレベルもとりあえず、Goodレベルに落ち着いています。

 11月5日に書いたブログの続きになります。この時期、上海で深刻化する大気汚染、とくにPM2.5問題が人体に与える影響について、もう少し考えてみたいと思います。


 PM2.5と呼ばれる浮遊粒子状物質は、遷移元素(鉄・クロム・ニッケル・亜鉛などなど)や硝酸塩、硫酸塩などのほかにも病原体なども吸着して浮遊するという特徴を持っています。これが、呼吸器に入ってくるとかなり厄介で、これまでも各国の研究で、大気汚染が悪化すると、肺気腫や気管支炎、さらに肺癌の発病リスクが高まるということが分かっています。

 復旦大学附属中山医院呼吸器科の李教授らの研究グループによると、PM2.5 が呼吸器系に与える影響として、こうした遷移元素がPM2.5に吸着して肺に入ってくると、局部的に高濃度な金属トランスポーターとなり、強力なフリーラジカルを発生させます。酸化作用が働き、炎症反応となり、場合によっては悪性腫瘍にもなっていまいます。すなわち、肺に取り込まれた浮遊粒子状物質は、肺胞にあるマクロファージによって食べられ、サイトカインや前炎症性分子を分泌し、これらが肺胞の上皮細胞や内皮細胞にも影響をあたえ、さらにサイトカインによってマクロファージ・好中性顆粒球・単球などの炎症細胞が集まってきて、炎症反応を促進させるのです。

 こうした肺胞内の変化は、身近なところでは、喫煙でも起こります。喫煙により、浮遊粒子状物質が肺胞に溜まり、その上でPM2.5の影響を受けると、喫煙の有害性がさらに増幅される可能性があると指摘されています。空気の良くない中国の大都会での喫煙はよくないですよ!

 上海市疾病予防コントロールセンター(SCDC)によると、上海市で発生する癌の30%は肺癌で、肺癌の発生率では中国全国でトップになっています。大気汚染が原因と考えられていますが、その中でも発がん性物質とクルマの排ガスの増加とは関係があります。上海では今、130万台の上海ナンバーのクルマと、50万台の地方ナンバーのクルマが走っています。特に、中国ではガソリンなど燃料の質が悪いのも大きな問題です。PM2.5は、そうした燃料に含まれるPAH(多環芳香族炭化水素)を細胞表面に吸着させる働きがあるほか、PM2.5そのものに含まれる遷移元素系の金属やベンゼンなどの有害物質は、DNAに対しても影響を与え、遺伝子の突然変異を誘発し、癌の発生へとつながります。

 そんなことを考えると、とくに空気の悪い日にマラソンなどの持久走をすることはよくないことは明らかですね。残念ながら、今現在では上海では光化学スモッグ警報のような、関連する規程が出ていません。よって、学校関係の方がもしこのブログをお読みでしたら、ぜひ子供たちの健康のためにも、体育の時間とその時の大気汚染の関係をよく調べていただきたいものです。最近、咳や喉の不調を訴える患者さんがうちの中医クリニックで多いのも関係があると思います。

 PM2.5による汚染は、大気全体と関係があるため、なかなか対策が難しいですが、次回ではその対策を考えてみましょう。



posted by 藤田 康介 at 00:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 中国の健康事情
この記事へのコメント
次回を楽しみにしています。PM2.5ぐらい小さいとマスクの効果は限定的ですよね・・・
Posted by 林 at 2012年11月09日 12:31
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