2012年11月07日

立冬と中医学の「秋凍」

 2012年は11月7日が立冬です。中医学では、そろそろ膏方の処方シーズンに入ってきました。冷え性や虚弱体質、なんとなく体がしんどいという方に処方される、中医学の智恵です。膏方だと味も量も煎じ薬と違って服用しやすいので、毎年この時期だけ処方に来られる患者さんもおられます。

 暦の上では、立冬、立春、立夏、立秋など「立」がつく日が少なくありませんが、「立」とは古代中国語では何かが始まるという意味。まさしく、冬がはじまるわけで、農作物の収穫を終え、動物も冬支度をはじめます。



 中医学の養生の世界では、冬は「閉蔵」の季節と呼ばれ、陰を溜めて、陽を護る、いわゆる「斂陰護陽」の考え方を重視します。単に体に溜めたらいいというわけではなく、いつもよりちょっと早寝遅起して、陽を静めて陰を蓄え、陽気を傷つけないように部屋を適度に暖め、急に厚着をして腠理(いわゆる毛穴)から陽気が逃げてしまわないようにするのもポイントです。そのため、これぐらいの時期を中心に重視される鍛錬方法に「秋凍」というのがあります。日本的にいうと、「寒いのに薄着をして頑張ろう!」的なニュアンスもあるかと思いますが、すこし違います。



 中医学の養生で言う「秋凍」とは、中国は国土が広いので一概に統一した時期を言えませんが、上海エリアでは、まさに今ぐらいの温度が適当なのかもしれません。多少肌寒くなっても、すぐに服を着込まずに、熱くなりすぎて発生する過剰な熱や汗から体を守り、陰陽をコントロールするというものです。じゃあ、薄着をすればいいのだ?といえば、実はそう単純ではなく、中医学的にも冷やしてはいけない部位が決まっています。



 例えば、臍・頭・足・関節などがそうです。とくに、臍は寒邪の刺激が敏感で、寒さに曝されると、腹痛や下痢をおこすだけでなく、女性なら生理痛の原因にもなったり、不妊とも関係があります。頭は、帽子をかぶれば良いですし、足は靴下をはいたり、足浴などをすればいいでしょう。関節は、冷えによって血液の循環が悪くなると、関節炎にもなりやすくなります。ポイントは、体の表面は鍛えても、体の中、つまり五臓六腑を冷やしてはいけないということです。従って、運動して汗をかいたら、しっかりと拭くだけでなく、冷たいものを摂取して人為的に冷やさないようにすることも大切です。



 最低気温が常時10℃を割るようになってきたら、秋凍はおしまい。いよいよ本格的な冬に向けて、体の調子を整えて行く必要があります。




posted by 藤田 康介 at 07:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想
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