2012年10月07日

日本温泉気候物理医学会・温泉療法医研修会&長野県中房温泉のお話

 10月7日に、東京八丁堀の東京医療福祉専門学校で日本温泉気候物理医学会の温泉療法医研修会があり、招待講演ということで東京に赴いてお話してきました。温泉療法医というのは、一般社団法人日本温泉気候物理医学会が、正しい温泉・気候・物理療法を発展させるために、患者に対して指導を行うことができる医師のことで、その単位を取得するためにこうした研修会が各地で定期的に行われています。また、今回はポスター発表もあり、なかなか充実した内容になっておりました。

 今回のお話は、私の研究テーマでもある足浴も絡め、「中国における足浴、温泉療法事情について」の講演をしました。足浴に関しては、私が日頃中医クリニックで実践していることも含めて、中医学との関わりについてお話しました。

24.10.7温泉地方会理事長含む全員DSC00410.jpg

 ところで、私がここまで温泉にこだわっているのは、やはり日本人古来の養生文化であり、その恩恵を昔から受けてきたからで、それを今でも実践してきているからです。今回の講演でもすこし触れましたが、日本の漢方医学と温泉も深い関わり合いがあります。

 例えば、長野県にある中房温泉。私も2007年に訪れていますが、ここで興味深い記録を発見しました。江戸時代に書かれたものらしいですが、ここに温泉の効能も書かれています。そこには、労症・肝気・かく(膈)の病・夫人血の道・疝気・疝しゃく・頭痛・胎毒・しつ(湿)・ひぜん(疥癬)・がんそう(眼瘡)・打身・くじき・切疵(きず)と出ていて、最後には江戸時代でも不妊治療で使われていたようで、「尚婦人何病にても速効あり。子なき婦人は入湯いたし候へは身を暖め子をもうけること疑いなし。」とも書かれていました。ここでいう血の道とは、女性の月経前後に現れる目眩・悪寒・発汗などの症状をさしますし、肝気とは、中医学で言う肝気鬱結のことを指し、胸の痞えや月経不調、消化器の働きの低下などを指します。いずれも漢方の用語ですが、温泉の泉質を成分単位ではなく、お湯全体をトータルで考えたときに、非常に大切な考え方だと思います。西洋医学と中医学(東洋医学)との関係とも似ていると私は思います。

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(中房温泉)

 中房温泉は豊富な湯量と様々な源泉、さらに100℃近い温度をもっており、昔から湯治として人々に愛されてきていたことがわかります。今でこそ、クルマがあるので簡単に行けますが、昔の人は山道を歩いてこられたわけです。ここまで来るだけでも元気になりそうですね。

 地元の人しかしらない温泉の効能。ここに、我々の体を健康にするヒントがあるのではないかと私は見ています。

( 2007年9月に中房温泉に言ったときの記録はこちらから。)
posted by 藤田 康介 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動
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