2012年08月08日

夏場の長引く咳、中医学の「夏に生姜、冬に大根」の発想

 暑くなってきて、しつこい咳でうちの中医クリニックに来られる方が少なくありません。

 私のところに来られる咳の患者さんは、9割方は上海市内の各病院・クリニックを一通り巡回されてからの方が殆ど。胸部レントゲンを見てみても異常はないし、血液検査もとくに問題なし。さらに、どこの病院でも出される西洋薬の種類もそう変化はなく、中成薬やエキス剤も出されるも、これまたとくに効果なし。痙攣性咳嗽のような症状をともない、咳することで体力を消費してしまいます。そこで、煎じ薬を服用したいということで来られます。

 五行説でいうと、夏は火になります。相克の関係から、火は金を冒すから、肺が痛みやすいという話は中医学ではよく出て来ます。また、肺は大腸と表裏の関係にあるので、中には夏場の便秘などの症状を併発されている方もおられます。

 肺はその性質から、一般的に乾燥や冷えを嫌う一方で、鼻口で外気とつながっているので邪気を受けやすいという特徴があります。

 夏の暑さにより、熱が肺や大腸を襲うと、前身の津液の流れや量に影響を与え、口や舌の乾きを導き。甚だしくなると咽の痒みや乾燥といった症状が出来ています。この場合、痰の量が極めて少ないのが特徴です。さらに、時間が経過すると皮膚の痒みや発疹などにつながることもあります。

 一方で、夏には体の陽気をしっかりと蓄える必要があります。暑くなって、エアコンを使いすぎたり、扇風機の風を直接受けたりすると、体の表面にある毛穴(腠理)から寒涼の邪気が入りこみ、肺の衛気を傷つけ、免疫力が低下します。さらに、アイスクリームなど冷蔵庫や冷凍庫に入っている食品をパクパク食べることで、脾・胃の陽気を消耗させ、陽気を消耗させるというパターンもあります。


 その対策として、夏場の天気が暑いときこそ、肺を補うために、ちょっと辛めの食品を食べてみようという発想があります。それが、中国でよく言われる「夏に生姜、冬に大根」の発想です。発散・行気・活血・化湿作用のあるネギ・生姜・ニンニクなどを少々食べてみようというわけです。

 そのほか、夜寝る前にリラックスした姿勢で椅子に座り、意識を丹田に集中させ、胸に位置する膻中を軽く叩き、さらに背中の肩胛骨の間あたりを軽く叩いてもらって胸の気を通して上げるという方法が推拿にあります。

 話が変わりますが、上海の属する江南エリアは、その気候風土によって様々なパターンの感冒を見受けます。子供の場合、夏場の感冒はその症状の変化が比較的はっきりとしていて、初めは微熱程度で、悪寒がして、咽もあまり痛くない風寒感冒となり、1〜2日後には風熱感冒となって発熱や咽の痛み・充血などの症状になります。また、エアコンの使いすぎや冷えが原因で、頭やお腹が痛くなり、嘔吐・発熱する暑湿感冒もよくみられます。

 初期の段階である風寒感冒だったら、教科書的には荊防排毒散を使ったりしますが、それ以外にもネギの白い根っこの部分にあたる葱白や調味料にもよく使う豆豉なんかも使ってみることができます。中国だったら、簡単に自宅でできます。

甘霖・我が愛しの上海へ

【連絡】 
・8月19日(日)は東京でのTCMN15周年夏大会での発表のため、休診します。

      
posted by 藤田 康介 at 11:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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