2012年05月15日

AS(強直性脊椎炎)の中医学的治療の研究成果

 再び、中西医結合学会の2011年度科技奨に関しての話題です。
 時々、このブログでも1等賞に選ばれた研究成果を見てきていますが、今回は老中医の経験から、現代医学への研究アプローチを行ったという例です。

 中日友好病院の研究グループが、国家中医薬管理局などの支持を受けながら、十年間に渡って研究を行ってきた『補腎強督法を中心にしたAS(強直性脊椎炎)総合治療法の臨床と実験』です。グループでは、焦樹徳教授の経験に基づき、国の「十一五重点専科診療方案」として重点的に研究が行われてきたテーマでもあります。

 AS(強直性脊椎炎)は、脊椎や股関節、肩の関節などに痛みや腫れなどの炎症反応がおこり、進行すると脊椎が硬直してしまう原因がまだ明らかではない疾患です。

 焦樹徳教授は、ASの中医病名を大僂と命名しています。この言葉は、『黄帝内経・素問・生気通天論』に登場しており、「阳气者,精则养神,柔则养筋。开阖不得,寒气从生,乃生大偻。」とあります。ここからも推測されるように、ASの弁証に関しては、寒熱がポイントとなります。

 そこで、AS治療の理論として、補腎強督を提唱し、中薬治療をベースに、運動・健康教育・西洋医学との併用・外用と内服の活用により、治療案が検討され、現在では国家中医薬管理局の「十一五重点専科診療方案」として採用されています。また、研究によって開発された補腎舒脊顆粒(骨砕補・杜仲・狗脊など10種類の生薬で構成、効能は補腎舒脊・散寒除湿・活血止痛)は、日中友好病院で院内製剤として使われていて、中国国内では唯一のAS治療用の中成薬として活用されています。
 
 これまでの研究では、補腎強督法により早期ASの骨量喪失の改善や、骨代謝の双方向での調節、骨密度や瘀血状態の改善などが確認されたとしていうます。

 AS治療の一つの方法として、今後も研究が続けられていくものと思います。

 中医学の興味深いところは、単なる古典の処方を検証するだけでなく、日頃の臨床結果から、効果の良かった処方を再検証し、新しい理論・弁証を構成していく点です。そのためにも、経験豊かな老中医たちの処方を勉強することも大切なのです。
posted by 藤田 康介 at 07:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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