2012年05月13日

中医学を活用した非小細胞肺癌の研究

 近年、大気汚染や喫煙の関係で、中国でも急増している肺癌の問題について、2011年度の中国中西医結合学会の科技奨を受賞した7つの研究成果のうちの一つに、中医学を活用した非小細胞肺癌の研究がありました。

 肺癌は、大きく分けて小細胞肺癌と非小細胞肺癌に分けられます。小細胞肺癌は全体の20%を占め、悪性度が高く、進行も早いです。腫瘍マーカーは、ProGRPやNSEが使われます。一方で、非小細胞肺癌は、肺扁平上皮癌と肺腺癌、肺大細胞癌に分類され、肺扁平上皮癌ではSCCとCyfra、肺腺癌ではCEAやSLXなどが腫瘍マーカーとして使われています。肺腺癌は、非喫煙の若い女性に発生する肺癌として知られています。

 今回の研究では、中国中医科学院広安門医院など13箇所の主要な中国の医療機関が合同で研究を行い、931例の非小細胞肺癌の患者に対して術後の再発率や、生存期間、QOLについて、Mult-Center Clinical TrialやProspective study、Queuing theoryなどの手法を用いて分析しました。

 この中で、化学療法を行っているときは、健脾和胃・益気養血・滋補肝腎を使い、放射線治療をしているときは、養陰生津・活血解毒とし、放射線治療をしていない早期患者の術後は、益気活血・解毒、末期患者の術後は、益気活血・解毒散結を使い、治療段階において、中医学による治則を変化させました。

 その結果、非小細胞肺癌のうち、ステージT〜VAの術後の患者に対しては、体重や体力を改善し、QOLを高め、化学療法による骨髄抑制を抑え、消化器系の副作用も改善し、転移を減少させる傾向にあることが分かったようです。

 いずれにしろ、肺癌治療において、何らかの形で中医薬(漢方薬)を介入させることが有効であるので、単純に数種類の生薬を使うだけでなく、今後はその治則の変化をうまく弁証することが求められるのではないかと思います。
posted by 藤田 康介 at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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