2012年04月20日

膵臓癌の治療、中医学でなにができるのか

 前回、東京医科歯科大学で開催された統合医療学会国際シンポジウムでも講演された復旦大学附属腫瘤医院の劉魯明教授らのグループが10年来研究している中医学と西洋医学を併用した治療方法が、2011年度の中国中西医結合学会の科学技術奨の1等を獲得しました。

 膵臓癌といえば、5年生存率が2〜5%程度と低く、3年以上生存したというケースも非常に少ないのが現実です。Apple社のスティーブ・ジョブズもこの膵臓癌で亡くなりました。そのため、中国では以前から西洋医学の治療法に、中医学を併用するやり方が使われています。

 今回の研究のポイントでは、従来の症状から分析する弁証論治的なアプローチから、まずは弁病を行ってから弁証をおこなうという、近年中国でよく行われている治療方法の検証とも言えます。膵臓癌の場合、AJCC分類を活用し、早期(T/U期)の場合は、手術を最優先し、術後に中医薬を導入し、中期(V期)で、手術では切断できない場合は、胆嚢空腸吻合術を行って黄疸対策を行いつつ、中医薬の導入し、末期(W期)では、中医薬をメインにして、場合によっては化学療法を組み合わせるというものです。

 膵臓癌に関しての中医学アプローチは、これまでは「脾虚気滞」で考えれていましたが、劉魯明教授らのグループは、「湿熱蘊結」がその核心となる病因病機であり、そこで清熱解毒・化湿散積法の処方を研究の対象にしました。すでに、「清胰化積方」という処方が開発され、膵臓癌を治療するときの基本処方として活用されてきました。生薬の構成は、白花蛇舌草・半枝蓮・蛇六谷・絞股蘭・白豆蔲となっています。臨床では、この処方の後ろに、患者の症状にあわせて加減していくことになります。これが、ある意味近年の中国でよく行われている弁証と弁病の結合の処方方法ですね。

 これまで、1500例を対象にした臨床研究では、1年後の生存率が25%、3年後が14.1%、5年後では8.4%となっていて、中位数は7.6ヶ月となりました。また清胰化積方をつかった治療グループ64例のうち、7例が生存5年を越えており、最長で106ヶ月生存できたという報告でした。末期膵臓癌の5年生存率が、少しでも高められたことに評価を受けたとのことです。

 いずれにしろ、今後の研究成果が期待されます。
posted by 藤田 康介 at 07:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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