何教授は、中国政府が中医学に貢献のあった老中医(ベテランの中医師)に送る「国医大師」の称号も受けられており、教育の世界でもご尽力されました。上海にも何度もこられ、私も講義を受けたことがあります。幸運なことに、私が上海中医薬大学に在籍していた90年代のころは、まだまだ「国医大師」の先生方が、ご高齢ながらも第一線で診察をされていたので、その外来のお供をさせてもらったことがたびたびありました。今となっては、そのときの記憶が本当に大切な宝物になっています。
中国の中医学の世界では、先の「文○」の影響もあり、50〜60歳代のベテラン中医師の人材の層が薄いのが問題で、技術の継承に大きな障害が出ています。いまでこそ、危機感をもって継承問題に取り組んでいるようですが、時は遅しといった感じは拭えません。中には、「国医大師」の称号を受けたら命がなくなる、と揶揄する人もいるぐらいです。
伝統医学では自分の師匠の先生とのつながりが非常に大切です。今度、またご自宅を訪問してきます。
ご冥福をお祈りします。
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