2011年11月07日

東京講演テーマ「中医体質学の新たな動き」

 11月6日に東京浜松町で行われたバンキー療法でお馴染みの健康医学総合研究所の治療師の方を対象にした第17回健康医学会・学術大会で、特別講師として1時間半ほどお話してきました。昨年度に続き、2回目です。バンキーはうちの中医クリニックでも使っていますが、いわゆる抜罐法の現代版で、火を使わずに一定の圧力でツボを刺激できるほか、日本でも医者を中心に刺絡療法で使われています。今回は、北は北海道から南は四国・九州まで日本全国から聴講に来てくださいました。

 さて、私がテーマとして話したのは、「中医学の体質論」の最近の動きです。体質改善といった表現は、中医学や漢方の世界でよく使われますが、どうも医者にのってそのとらえ方が色々あり、統一した見解がこれまで有りませんでした。しかし、中国では近年、その理論の整理が行われていて、私も2006年9月の『中医臨床』に詳細を執筆しておりますが、一定の成果が出てきています。この記事では、上海中医薬大学の匡調元教授など中国の専門家を取材してレポートしました。

 ここにきて、なぜ中医学による体質論なのか?

 私は、2つの観点が関係していると思います。一つは、中国の高齢化です。医療費の高騰が中国でも問題になっていて、公的保険制度の整備が急がれていますが、それ以前に、病気にならないことが一番の医療費節約です。そのため、中医学の特徴でもある「未病を治す」という考え方から、人々の体質を大まかに分けて、その体質に合わせた養生方法を医療機関が提案するというものです。上海の公的病院に勤めている私の妻のところでも、すでに地域末端医療の分野でこの体質論が動き始めているようです。

 もう一つは、一般的に難しく考えがちな中医学の弁証論治をわかりやすくするというメリットもあるかと思います。中医体質学では9つの大きなグループに分類しています。健康的な平和質のほかに、気虚質・陽虚質・陰虚質・痰湿質・湿熱質・血瘀質・気鬱質・特稟質の9種類です。北京中医薬大学の王g教授らのグループが中心となり、2009年に中華中医薬学会で正式に決定されたもので、今では中国の体質学のスタンダードになっています。うちの中医クリニックでも、この体質学の分類法を取り入れています。このように大きく分類することで、臨床研究における症状の曖昧さを極力統一し、共通の概念で討論できるようにしていのだと考えられます。

 さらに、体質学を使って、コンピューター診断をするシステムも開発されました。脈診や舌診もできるもので、すでに、上海市内の病院での導入も始まっています。こうした動きは、今後も続くかと思いますが、中医学というプラットホームに、様々なスタンダードを導入していくのはある意味、中医学の普及には欠かせない試みかもしれません。
posted by 藤田 康介 at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近の活動
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