2011年06月08日

中国で増える気管支喘息、中医学は何できる?

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(やっぱりもやってしまいます。) 

 ここ20年間で、中国で気管支喘息患者が急増しています。少なく見積もっても、中国では2000万人の患者がいるといわれており、このうち子供の発病率は中国で3〜5パーセント程度とみられています。

 理由は、大気汚染との関係が指摘されていますが、いずれにしろ3〜5歳で気管支喘息を発症しやすく、またこのうち年齢と共に治癒できるのは多くなく、大部分は治療を必要とします。ハウスダストなどのアレルゲンが原因であることも多いわけです。

 では、中医学や漢方ではどのように活用できるのか?

 もちろん、発作が起きたときに頓服で生薬を使うこともありそこそこ発作を軽くできますが、最大にその力を発揮できるのは、やはり発作が起きていないときのケアだと中医学では考えます。このあたり、私が以前大学院で研究してきた小児ネフローゼも同様で、発作回数を如何に減らすかということが中医や漢方での治療ポイントになります。

 中医学でも気管支喘息に関する研究がいろいろ行われていますが、西洋医学のGINAガイドライン(国際喘息指針)同様、中医学でも中国国家中医薬管理局が『中医病証診断療効標準』を定めています。これをもとに、江蘇省中医院が中医学を使って予防的治療を3ヶ月行った場合と、行わなかった場合を比較して、治療後1年間の発作回数を調べたところ、中医学治療を行ったグループの発作回数は1.906回で、中医学を使わなかったグループの4.192回と比較すると有意義的な違いがあったということです。ここで使われていた処方は、玉屏風散や四君子湯、参苓白朮散など極めて基本的な処方の組み合わせの固定処方(加減しない)でした。

 気管支喘息の発作を考えた場合、肺の中に溜まった痰が何らかのきっかけで動き出すと症状が発生すると考えます。また、子供は肺や消化器(脾)の働きがまだ完全でないため、痰が生成しやすいとし、それが外邪と呼ばれる外因(アレルゲンや食べ物、大気汚染など)をきっかけに動き出すと発作になるとします。従って、肺や脾の働きを如何にサポートしてあげるかが、痰をつくる量を減らし、発作の回数を減らすことになります。

 肺の気というのは非常に大切で、中医学では湊理(体表の穴、汗腺など)の開け閉めをコントロールしたり、衛気と呼ばれる気で外邪から身体を守ったりします。玉屏風散にはまさにその作用があり、一般に風邪の予防などによく使われるのです。

 季節柄、冬〜春に発作の多い気管支喘息。夏になると、本格的に中医学の冬病夏治の季節になります。冬の病気は、ぜひ夏のうちにしっかりと予防しておきたいところですね。
posted by 藤田 康介 at 06:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 脈案考察
この記事へのコメント
おはようございます。

蓬に続き、肺の経穴や衛気を授業でやったばかりで、だんだんとわかってきて面白く拝見させていただいています。
子供時代、気管支炎を繰り返していましたが、今こうして”肺”の勉強しているのが不思議です。とても参考になります。
Posted by bao at 2011年06月11日 08:12
 ご訪問ありがとうございます。

 いろいろ偶然が重なりますね。またいろいろ思いついたことを書いていきますのでよろしくお願いします。
Posted by 山之内 淳 at 2011年06月11日 15:56
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