2011年03月01日

不足する中国の小児科医

 上海中医薬大学の大学院で博士課程での研究をしていたとき、研究テーマが小児ネフローゼと関係があったため、一時復旦大学附属児科医院に通っていた時期がありました。

 その当時、師事させていただいた院長の徐虹教授が小児腎臓病のご専門で、臨床を半年ほどご一緒させていただいたことがあります。西洋医学の病院ですので、中医学とはつながりがないと思いきや、意外にも中医学に大きな関心を持っておられ、私の研究にいろいろご指導してくださいました。

 児科医院は、上海でも有数の小児科専門総合病院で、中国全国からも患者が訪れます。折しも手足口病が大流行し、外来の行列が入り口の外まで続いておりました。

 充実しているように見えている中国の小児科ですが、やはり人材不足が深刻化しているようです。こちらでは有名な話ですが、最近15年間で小児科専門医の増加はたった5000人で、実に20万人は不足しているというのです。

 大病院では、かなりの科で医師のボーナス支給などにおいて独立採算制が採用されているところが多いのですが、小児科は薬を使用する量も相対的に大人よりは少ないため収入が少なめというのがこちらでは常識になっていて、さらに一人っ子政策の影響で、父兄の小児科に対する要求が非常に高く、リスクが高いという原因で敬遠されているようです。

 検査一つにしても、子供はなかなか言うことが聞かないだけでなく、採血一つにしても拒否する親もいたりして、大変だという現実もあります。

 ただ、一方で小児科疾患は回復するのも早いことが多く、一度元気になれば素直にそのパワーを見せてくれます。医者をしていて、これほど嬉しいことはありません。

 中国の小児科の権威、上海交通大学附属新華医院の郭迪教授が、「小児科医の多くは長寿である。なぜなら、子供の天真爛漫な姿に、医師たちが影響を受けるからである」というようなことをおっしゃっていました。

 責任が重い分、達成感や充実感があるのだと思います。
posted by 藤田 康介 at 08:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国の医療事情
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