2011年02月14日

非定型抗酸菌症の中医学(漢方)と西洋医学を併用した症例

 2年ほど前に気管支鏡検査でマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)が検出され、非定型抗酸菌症と診断された患者さんが通っておられます。一時は上海の病院で結核ではないかと疑われましたが、日本に戻った検査の結果に非結核性であることが確認され、去年の春頃から中医学を導入した治療を行っています。

 非定型抗酸菌症は、呼吸器の感染症で、咳や痰の症状のほかにも、ひどくなると全身がだるくなるなどの症状がみられます。感染することはありませんので、隔離する必要はありませんが、この患者さんの場合、夜間を中心にひどい咳や緑色の痰に悩まされ、盗汗などの症状がありました。

 西洋医学的には、結核治療と同様の治療が行われ、REF・EB・CAMなどの薬を使いますが、中医学の生薬を併用するという手もあり、この患者さんの場合、生薬を導入した段階でかなり咳が収まり、その後の西洋医薬との併用でかなり良好な効果を得ることができました。

 心配された西洋医薬使用による副作用もほとんどなく、2010年の検査では一時期悪化傾向にあったCTでの陰影も、今回の検査で大きく改善され、喜んでいらっしゃいました。日本の大学病院の先生から、どういう漢方薬を使ったのか?と聞かれたとおっしゃっていましたが、西洋医学の先生にも少し中医学に関心をもっていただけて私も嬉しかったです。ただ、実はそれほど複雑な処方をしたわけではありません。

 中医学では、昔から肺結核(肺癆)の治療に中医薬が使われていて、効果の問題はありますが、経験処方はかなりあります。私が上海中医薬竜華医院の呼吸器科にいたとき、上海市名老中医の邵長栄教授に師事したことがあるのですが、この先生ぐらいの年代になると、実際臨床で肺結核の治療で中医薬(漢方薬)による治療を行った経験があり、いろいろ指導していただきました。今回の非定型抗酸菌症も、症状が似ていることからその中から肺結核の経験を参考にしてみました。

 基本的には気陰両虚の証から、養陰降火の生薬を処方しました。メインの生薬には、百部・丹参、黄芩などを使い、症状にあわせて沙参麦門湯や二陳湯を組み合わせました。肺と腎との関係から、一時期蛤蚧(ヤモリ)の粉も使いました。煎じ薬だからできる、生薬の自由な組み合わせです。

 中医学の弁証論治は、違う病気でも同じような処方を使うことがよくあります。基本的に、症状を分析して思考が似ておれば、処方の共通性はあるわけで、今回もそういったやり方がうまくいった例だと思います。
posted by 藤田 康介 at 15:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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