春節休み中に出かけた黄山ハイキングで、黄山の麓にある街、安徽省黄山市屯渓はまさしくその典型で、明代末期から清代初めにかけて徽州の商人たちで栄えました。
今回、安徽省黄山市屯渓海底巷の路地裏で出会った餛飩もその一つ。名付けて、「胡氏高湯餛飩(ワンタン)」と呼ばれます。その由来をいろいろ聞いてみるとなかなか興味深い。中国語で〜氏とつくと、さしずめ日本語の〜流といったイメージになります。

(路地裏に入っていきます。)

(通常はこの屋台で作るのだそうです。)
その当時、この海底巷でワンタンの店を開いていた胡さんが、水夫たちが一生懸命働く姿をみて、日常的によく食べられるワンタンを、もっと栄養価の高い料理にして、人々の健康に貢献できないかと考えました。
そこで、その胡さんは知り合いの中医学の先生にお願いして、滋養強壮や寒さに対応できるようなワンタンを作ることができないかと考えたというのがこの「胡氏高湯餛飩」の始まりだそうです。その後、清代の乾隆皇帝の南方巡行時に大変賞賛され、「紅頂餃師」の称号をもらったという由。
その後、もともと秘伝だったワンタンのレシピは庶民のために公開され、今に伝承されているということです。何とも喜ばしいことではないでしょうか!食品に対する不満が堆積している昨今の中国ですが、昔の人たちのこうした功績は賞賛されるべきですよね。
ところで、この「胡氏高湯餛飩(ワンタン)」は中医学の薬膳的思想から何が具として使われているのか?いわゆる豚肉のほかに、ブタの骨髄部分、生姜、キクラゲ、椎茸、棗などが配合されているのだそうです。なるほど。。。。

(店の入り口、歴史の香りがしますね。)

(中でおじさんが素早い手つきで餛飩作りを)
さて、早速私も娘も妻もいただきました。娘は口にあったようでパクパクと食べてくれました。いわゆるミニワンタンとなる上海では小餛飩と呼ばれる分類に属します。スープと一緒にいただきますが、肉のいいダシが出ていて美味しかったです。

でも、ここから分かることは、中医学がいかに昔の人々の間で重宝され、それが日常生活で薬膳として活かされていたのかという現実を知る、一つのよい例だと思います。

【中国での食の安全を考えるの最新記事】