2010年07月10日

原発性月経困難症とお灸

 中医学の分野では、婦人科というのは非常に大きなウエイトを占めます。中国各地に婦人科の中医学の流派がありますが、上海も有名な学派があり、私も朱南山先生の朱氏婦人科を勉強したことがあります。昔は産科も中医学にあったのですが、最近ではほとんど姿を消しました。

 夏になって、気温が上昇し、暑さに体が翻弄されることが多いのですが、この時期になってもうちの鼎瀚(ていかん)中医クリニックで意外と少なくないのが生理痛の患者さんです。
 器質的原因が見つからない生理痛のことを、一般に原発性月経困難症といいますが、これは体質によって症状が異なり、痛みの程度も違います。人によっては、下腹部が痛くなったり、腰痛だったり、場合によってはむかつきや嘔吐、冷や汗がでたり、中には気を失ってしまう場合もあります。そうなると、とても仕事などが手につかなくなります。特に未婚の方や、結婚されていても子どもがない方に多いです。

 西洋医学では原因がはっきりしない生理痛でも、中医学ではいろいろ原因が検討できます。一般的なのは、気血の流れが滞ったり、気血を正常に循環させるエネルギーがなかったりするのに関係があります。気血の流れを滞らせる原因としては、寒さなどの冷えもありますし、肝や腎が弱っていたりすることとも関係があります。特に、症状が激しい生理痛では、冷えとは大いに関係があり、温めてあげることで痛みが緩和することも多いです。この冷えタイプの生理痛の治療にお勧めなのが、お灸と煎じ薬(生薬)との併用です。ポイントは、生理が始まるであろう1週間ぐらい前から、お灸をしてあげたり、生薬の服用を開始すると、効果的です。

 お灸はお手軽にできて、かつ安価なので、中国では自宅でやる人もおられます。生理痛に使えるツボとしては、ヘソ部にあたる神闕穴や、そこから指4本分したの下腹部に位置する関元穴を使います。この2つのツボは、中医学でいう胞宮(いわゆる子宮のこと)と関係があり、温めることで熱を伝えやすくします。

 お灸のモグサは上海市内の薬局でも手に入ります。直径1センチ程度のお灸を1センチぐらいの高さで切り、厚さ0.5センチ程度に切った直径4〜5センチ程度の生姜のうえに置きます。このとき、生姜には針で小さな穴をあけておきます。そして、穴の上において点火します。

 しばらくすると熱く感じてきます。やけどしないけれど、皮膚が少々赤くなるぐらいまで置いておき、熱くなってきたら場所を少しずつ移動させてみてください。これを毎回5〜6個のモグサで行います。

 生理がはじまる1週間前というのはなにかと大切です。中国の女性の方で、中医学的知識がすこしでもある方なら、この1週間前はどうやってからだの調子を整えるかよく知っています。そうした心がけが、女性の体の養生という意味で非常に大切だと思います。

 以前、製薬会社の方から、皮膚科・婦人科・小児科というのは、西洋医薬でいい薬がなかなか開発されてこないという話を聞きました。身近な症状だけど、意外と治療が難しい分野なのです。
posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脈案考察
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