(最近整備が完了した上海世紀公園のジョギングコース)
上海市疾病予防コントロールセンターがまとめた上海市の最新の癌患者登録データについて、2014年度のデータが公表されました。その概略をみてみたいと思います。
上海市では、中国のなかでも癌患者の登録が積極的に行われている地域であり、2002年から行われています。ほぼ100%網羅されていて、WHOでも信頼できるデータとして定評があります。
上海市で2014年に新たに罹患した癌患者数は6.8万例で、新たな罹患率は477.8/10万人でした。まだ欧米先進諸国よりは少ないですが、それでも増加傾向にあります。また、死亡者のうち約3割は癌による死亡と考えられています。
まず、上海市で最も多い癌は肺癌で、次ぎに大腸癌になっています。男女別では、男性は肺癌、大腸癌、胃癌、肝臓癌、前立腺癌と続き、男性の癌患者のうち、肺癌が占めるの割合は全体の22.3%になっています。
女性は甲状腺癌、乳癌、肺癌、大腸癌、胃癌と続きます。甲状腺癌が占める割合は全体の16.8%になっています。これまで乳癌がトップだったのですが、甲状腺癌に入れ替わりました。
癌と診断された年齢ですが、これは癌の種類によってばらつきが大きいものの、平均年齢が64.4歳になっています。このうち肺癌は68.3歳、大腸癌が68.5歳、乳癌は59.1歳になっています。
一方で、2014年に癌で亡くなった人の男女の割合は、男性が60.5%、女性が39.5%、どうやら男性の方が癌で亡くなる人が多いようです。男女ともに肺癌で亡くなった方が一番多く、男性は肺癌、胃癌、大腸癌、膵臓癌の順に、女性は肺癌、大腸癌、乳癌、胃癌、膵臓癌の順になっています。
上海市では2015年末までに36.8万人が癌を抱えながら生きておられますが、このうち男性で一番多いのが大腸癌で18.7%を占め、その次に胃癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌の順になっています。女性は乳癌が一番多く、27.4%を占め、甲状腺癌、大腸癌、肺癌、胃癌の順になっています。上海市では癌の標準化罹患率は上昇する一方で、死亡率は下がっているというデータもあります。
高齢化社会を迎えている上海では、タバコや食生活の問題、さらに運動不足など改善すべき課題もまだまだ多いです。また食に関しては、中国料理一辺倒だった上海人の食生活に、徐々に欧米化の波が押し寄せているのも間違いないです。とくに朝食でその傾向を感じます。また、巨大都市上海が抱える都市生活特有のストレス問題も注目されています。
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