今年の国慶節は、福建省に行ってきました。
上海からは高速鉄道で福州まで5時間乗り通し、そこからレンタカーをかりて、高速道路を4時間ほど飛ばし、土楼で有名な竜岸が目的地。
10月の福建省は、上海と比較してもまだまだ暑く、最高気温が35℃を超える日もあり、びっくりしました。とにかく蒸し暑い。そんななか、よく食べられている柑橘類が、文旦(ブンタン)です。中国語では柚子と言いますが、日本の柚子とはまったく違うものです。農家の庭先によく植えられていて、実が大きいので木にぶら下がっている様子は非常に存在感があります。
日本でも高知県などでよく食べられているそうですが、私の地元奈良県ではあまり馴染みがありません。でも、中国の上海エリアを含む南方では、非常によく食べられていて、この季節には欠かすことができません。
文旦の味の特徴は何と言ってもパサパサした食感。私は当初、この食感は美味しくないと思ったのですが、慣れてくると結構クセになります。オレンジなどのように汁が飛ばないので食べやすいですし、甘さもしつこくなく、サッパリした感じです。ただ、皮が分厚いので、剝くのが少し大変かもしれません。
文旦は、中医学の世界でもなかなかよく使われる食材です。
私はまず悪阻でしんどい妊婦さんにお勧めしたいです。中医学では伝統的に、悪阻対策の中医薬の処方がいろいろあり、実際に使ってみて効果もあるのですが、この文旦も非常に効果がある食材で、他はダメでも文旦はいけるという患者さんもおられました。実際、中国でも『日華子本草』に、少量の文旦は悪阻に良いという記載もありますので、実際に使われていたことが分かります。
さらに二日酔いのムカつきにも使えます。基本的に、文旦には食欲を増進し、消化を高める働きがありますので、なにかと重宝な果物です。また、咳や痰にも良いとされ、慢性の痰を伴う咳に使うという中国の農家のお話は地方に行くとよく耳にします。その他、文旦の外側の黄色い皮は咳に効果的です。薄くスライスして、適量の蜂蜜に浸し、蒸すとできあがりです。無駄にするところがないですよね。
ただし、性質は寒となっていますので、食べ過ぎには注意してください。
とか言いつつ、思わず文旦を手にしてしまいます。上海では一個30元前後もするのですが、福建省の農家だったら一個2元で分けてくださいました。袋に詰めて、上海までお土産に持って帰りました。
しかし、中国の南方に行くと果物の種類が豊富になりますね。バナナやパパイヤ、パッションフルーツなどもたわわに実っていて、南国に来たことを実感しました。
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