2017年03月09日
老中医の健康法
(江蘇省常熟にて)
中国での中国伝統医学(中医学)は西洋医学の大学とは別に、中医薬大学があり学生達はそこで勉強し、附属病院で所定の研修を経て医師国家試験に合格し、その後も様々な試験を受けながら一人前になっていきます。その過程でとても大切なのが大学で教わる知識だけなく、師匠となるベテラン中医師、いわゆる「老中医」との出会いです。私も学部時代、院生時代、そして卒業後も色々な老中医に師事しましたが、大学院時代に師事した陳以平教授が今年80歳になられ、今年は私たち弟子が集まって記念論文集を作ることになりました。先生は今もお元気で、腎臓内科の臨床第一線で活躍されています。
こうした先生方に師事すると、医学に関する知識だけでなく、先生の生き方、さらに将来現役で活躍されているヒントを学ぶことができます。とくに、健康法に関してはとても参考になることが多いです。以前、広東省広州中医薬大学を訪れ、中医学の世界では人間国宝級の認定を受けている、国医大師のケ鉄涛先生にお会いしました。この先生もまだまだ現役で、2016年に100歳を迎えられました。先生に長寿の秘訣を伺ったとき、先生が挙げられた長寿の秘訣の筆頭は運動でも食べ物でもなく「心」であると答えられました。情報が溢れている現代社会、とくに健康情報に関しては本当に色々なものがありますが、先生の仰る「心」とは、中医学でいう「養心」のことで、「徳」を重視し、損することを厭わない余裕のある「心」が大切だと仰いました。そして、その次ぎに大切なのが「規則正しい生活と運動」、最後に挙げられたのが「飲食」でした。
老中医の健康法をいろいろ整理してみると、やはり「未病を治す」という思想に基づいた「養生」の考え方が非常に大切だと分かります。病気になる前に、如何に予防するか?という観点です。たとえば「心」が乱れそうになったとき、よく使われるのが「書道」です。無心で字を書くことで、心の落ち着きを取り戻すのですが、老中医に書道家が多いことにも納得できます。処方箋を毛筆で書く老中医もおられます。また、太極拳や八段錦も日々よく行われています。こういった健康法は、なにも特別に行うものではなく、中国の日常生活の中でごく普通にあるもので、無理なくできることが特徴ですね。特に二十四式太極拳や八段錦は大学の体育でもやりますし、覚えやすいので皆さんもぜひ中国滞在中にマスターしていただきたいです。
日本行きのスケジュールはこちらからどうぞ。
◆東和クリニック・中医科での担当スケジュール◆
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/179345382
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/179345382
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック