2016年03月10日

春の気温差があるときには活用したい「春捂」の考え方

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 3月7日〜9日まで、日本特有の春先の「雑用」を色々片付けるために奈良今井に戻っていました。そして3月10日に上海に戻ってくるとなんと寒いこと!3日前に上海を出発したときはそうでもなかったのに、一気に季節が逆戻りした感じですね。

 旧暦では「春三月」の真っ只中にいる今現在、中医学でもこの春先の季節は体調の変化に特に注意しないといけない時期で、体の体温調節を如何に自然に順応させるかが大切な問題です。

 中国語には「春の天気は子供の顔、1日に3回表情がかわる」という言葉もあります。朝晩の温度差も大きいですし、さらに風が強いときも多いです。大陸の気候なら尚更です。このとき、どうやって衣服の調節をしたらよいかというのが大きな問題になります。その対策が「春捂(しゅんご)」という習慣です。

 もちろん、国土の広い中国なので北方エリアと南方エリアとでは習慣が明らかに違いますが、今回は日本の関西エリアとも気候が似ている華東エリアでのお話です。

 まず「捂」という字ですが、中国語では「Wu」と発音します。押さえる、被せる、封じ込めるといった意味があります。つまり中医学でいう陽気をこの春先にしっかりと守るために、衣類などを体に被せて封じ込めるというわけです。

 中医学では「寒従脚下起(寒さは足下からやってくる)」という言葉もあります。足は体の中でも血液循環が悪いわけで、男性女性にかかわらず足の冷えを訴える患者さんが多いです。当然、中国でも伝統的に足下を温めることは一般的に認知されていて、そのため春先の衣類は「下厚上薄」というのが大原則になります。
 また、頭の保温も大切です。頭は体の陽気が集まる場所であるけど、陽気が発散しやすい場所でもあり、とくに風にあたったりすることを極端に嫌います。帽子などを被って風を防ぐことが大切とされています。

 さらに背中は「陽の中の陽」とも言われていて、背中からも寒さが侵入しやすい。背中がぞくぞくするというのは非常に良くない感覚なのです。そして、お腹の保温も忘れずに。腹部の冷えは胃腸だけでなく、婦人科疾患とも密接に関係があります。

 体を鍛えるために「寒さを我慢する」ことがいいとする考え方もありますが、あまりムリをしないように。とくに子供や高齢者は体が熱しやすくて冷めやすい。体を温めるエネルギーでもある陽気をしっかりと守ってあげることが必要なわけです。

 とはいえ、春も終わりに近づいてくると、気温が安定してくるので春捂する必要もなく、今度は適度に衣服を脱いで今度は陰気を守りましょうね、ということになります。それでも、足下は冷やさないでください。「寒従脚下起」ですからね。

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posted by 藤田 康介 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 「治未病」という発想
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