2015年12月10日
上海日本人学校高等部でお話して
12月10日は上海日本人学校高等部の生徒150人ぐらいを対象に、第2回特別講演会『中医伝統医学とともに20年〜古さの中に再発見〜』をテーマに1時間半ほどお話してきました。上海には、全世界で唯一の日本人学校に高等部があり、今年で5周年になるそうです。これまで日本人学校では小学校、中学校でお話をしてきましたが、日本人の高校生に話をするのは初めてでした。過去に中国人の高校生にはお話したことがあります。
そして、メールで送られてきた生徒達の丁寧に書かれた感想文を読みながらこのブログを書いています。
講演は前半は私の中医学を勉強したきっかけから、上海中医薬大学や大学院の話しなど。特に、私の医学部クラスでは日本人が一人しかいなかったので、中国人学生の中で揉まれて過ごし、そこで感じたことを話しました。中国には日本人でも返済免除の中国政府奨学金もありますので、その気になれば誰でもチャレンジできることを話しました。そして、やりたいと思ったら、まずはやってみようではないか!という話もしました。若いときだったら、体さえ健康を保つことができたら、なんでも出来ます。インターネットが発展した今、場所による縛りもますます少なくなってきました。
後半は中医学に関して、東洋医学と西洋医学の考え方の違い、日本の漢方と中医学の特色の違い、生薬青蒿の研究で受賞したノーベル賞のお話し、そして葛根湯をはじめとして日本人が馴染みある処方のお話などをしました。単なる風邪薬として日頃服用していた漢方薬に、実はそんな意味があったのか!と気づいてもらえたみたいです。何よりも、そういった医学に全く関心なかった生徒の皆さんが、実はそういう医学もがあったのだ!と書いてくれて嬉しかったです。
そして、なんといっても嬉しかったのが質疑応答に沢山の生徒達が手を上げてくれたこと。また、講演終了後も控え室にまで生徒達が質問に来てくれました。こうした反応があったことは、それなりにこちらの思いが伝わった結果ではないかと思います。
いろいろな質問の中には、生薬の最新の動向に関してとか、動物・植物資源の保護についてとか、身近な疾患の中医学での治療方法とか結構鋭い質問もありました。
東洋医学、特に漢方とか中医学というのは、我々毎日携わっているものからするともの凄く身近なのですが、当然ですが高校生にとってはとても遠いものに感じられたことでしょう。私もかつてはそうでした。でも、実は身の回りにある雑草や昆虫、貝殻から石ころまで治療に役立つということを話すとすごく新鮮だったようです。もちろん、今回はムカデ・サソリ・地鱉虫の生薬の実物をもっていって皆さんに見てもらいました。気持ち悪いと思うかも知れませんが、そうした生薬が人類に果たした貢献はとても大きいということを実感してもらえたらと思います。先人達の経験の成果を現代の我々が引き継いでいるわけです。
私も奈良高校時代は、いろいろなOBの講演会を楽しみにしていました。やはりその道にプロとして進んでいる方々の話を聞くと、ワクワクします。
これからこの上海から日本だけでなく世界各地に活躍していくであろう高校生の皆さんには、ぜひ自分がやりたいと思う分野のプロに出来るだけ早く会って話を聞いて欲しいということを伝えました。私自身も、幸いにそういう先生方との出会いに恵まれ、今でも好奇心一杯で中医学を続けることができす。そして、その目標を達成するための道は決して一つだけではないということ。道が一つしかないから諦めることは決してないようにと願います。
13億人いる中国と違って、日本は1億2千万程度の人口です。人材面ではこれからますます海外との交流は進むことでしょう。
私も上海の先輩として、若い高校生たちがこれからもぐんぐんと色々なものを見つけて欲しいと願わずにはいられません。これからも応援します。
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◆東和クリニック・中医科での担当スケジュール◆
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