
先日も、復旦大学公共衛生安全教育部の専門家が、上海・江蘇省・浙江省の8〜11歳の1000人の子供の尿を調べたら、殆ど全員で何らかの抗生物質が検出されたことは日本でも報道されてニュースになりました。
それもそのはずで、中国は世界最大の抗生物質生産国であり、また消費国でもあります。中国科学院が明らかにしたデータでは、2013年に中国で生産された抗生物質の量は24.8万トンで、このうち16.2万トンが自国で消費されています。さらに内訳をみると、このうち48%が人間に使われ、52%が家畜に使われています。そして、5万トンの抗生物質が、河川にジャジャ漏れになっているということらしいです。詳しいことは、中国科学院が6月16日に発行した『中国科学報』に掲載されています。
その結果、中国の各河川における抗生物質の濃度は平均で303ナノグラム/リットルで、最高で7560ナノグラム/リットルの数値が出たところもあったそうです。ちなみにアメリカでは120ナノグラム/リットル、ドイツでは20ナノグラム/リットル、イタリアになれば9ナノグラム/リットルに過ぎないとか。
ではこれほどの抗生物質は、どこに使われているのか?
実はその大部分が豚や鶏など家畜に使われているようです。ちなみに豚の中で最もよく使われている抗生物質はテトラサイクリンということでした。テトラサイクリンといえば、歯の色がかわることでご存じの方も多いかも知れません。鶏も、養鶏場はもちろんのこと、中国人が大好きな「地鶏」と呼ばれるものに関しても、抗生物質は使われているようでした。もちろん、牛に関しても同様で、搾乳するときの炎症を抑えるために抗生物質は使われています。抗生物質がなければこうした産業は成り立たないようですね。
広州の新聞『羊城晩報』にはある養豚場の話が書かれていましたが、1匹の豚を240キロまで育てるの7ヶ月の間に、飼料は1300元必要だが、それ以外にも薬代が300元もかかるのだそうです。病気にかかれば薬を打つというのが常套手段になっています。
人間に抗生物質を使うのと同様、家畜にも大量の抗生物質が使われている現実。将来何らかの影響が出てこないか懸念されます。
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