
6月28日の新華社の報道によると、中国で研究開発されてきた中医薬注射剤「カンライト(康莱特・kanglaite・KLT)」が、すでに、米国では膵臓癌に対してフエーズ2の臨床試験は終え、いよいよフエーズ3にの臨床試験に入るとのこと。
私の知っている限り、中医薬を使った注射剤では初めてではないでしょうか。しかも癌治療の分野でというのが驚きでした。
私が上海の大学病院にいたころから、カンライトは使われていました。牛乳のような真っ白な点滴注射剤でした。当時は手術が困難でかつ化学療法に体がついていかない末期の患者さんに使われていたのですが、副作用が少ないという点では重宝されていました。1995年に当時の中国衛生部から新薬証書を取得し、中国国内では使われてきました。そして1999年からFDAに対して新薬登録申請を行っていたとのことです。
このカンライトの有効成分は、中医薬ではお馴染みのハトムギの実(薏苡仁)から抽出されたものです。27日に行われた中国工程院の李大鵬院士の記者会見によると、中末期の膵臓癌、肺癌、肝臓癌に一定の効果があり、化学療法と併用すると副作用を抑え、生存期を延長させることができるということです。
これから行われるフエーズ3試験では、中国・米国・欧州で3〜4年かけて、750名の治験者を対象に研究が行われるということ。研究予算は5000万米ドルだとか。
ちなみに、ロシアでは2001年から臨床試験が行われ、2003年に薬品登録に成功し、2005年から発売されているそうです。
一方で、日本漢方も中医学に対抗して世界市場を目指しているようですが、まだ目立った成果が出ていません。今後の動きが期待するとしましょう。
こうして少しでも治療手段が増えることは望ましいことだと思います。
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